Mailzine「英語を読む」 No.39


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Mailzine「英語を読む」 No.39  1998-7-15日 発行     

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みなさん、こんにちは。 「英語を読む」No.39をお届けします。

今回は、7-13のTIMEやNewsweekの記事の感想を十分書けないまま、7-20の記事 に飛んでしまいました。Newsweekではアフガニスタン女性の近況を伝えるレポ ート、TIMEではPromise Keepersの近況とそれに対する女性だけの宗教活動Women of Faithの動きが面白かったので、是非とも感想を書きたいと思っていたのです が、時間が少しずれると書けなくなります。

T. MuramatsuさんのNYTの感想記事は、私のmailzineでは、おそらく始めての ことだと思います。私がこうした分野は苦手ですから、ほとんど読みません し、その知識もありませんから。またbMicroWorldNewsさんからは、プラトン の国家についてご紹介いただきました。これはNo.38のAsimov特集の Professionに対して、指導者を選ぶ方法で似たようなものがあるということ で、手紙をいただいたものです。Asimovがプラトンを参考にしていたかどうか は分かりませんが、いろんなユートピア論は知っていたと思います。それに聖 書の詳しい案内書を書いている彼のことですから、そうしたことも頭にあった のかもしれません。

1998-7-15

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目次
1. TIME 1998-7-20より
(1)カマラの日記 (Asia版)
(2)教師解雇の昨今事情
2. スーパー・コンタクトレンズ(Sunday Times 7/12)
3. A Burst of Rock, Bright as the Rising Sun (New York Times 7/12/98)
by T. Muramatsu
4. 気になるNewsweek 98-7-13 by MicroWorldNews
5. 国家(プラトン/藤沢令夫訳)より by MicroWorldNews

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1. TIME 1998-7-20より
(1)カマラの日記 (Asia版)
(2)教師解雇の昨今事情

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(1)カマラの日記 (Asia版)

TIME 7/20 WEB版のASIA版の記事からです。

* Kamala's Tears

多くのネパール人が湾岸諸国に出稼ぎに行っている。待遇はあまり良いとは言 えず、未成年の女性を斡旋することは違法なのだが、それでも抜け道はいくら でもある。1人の少女の日記によって、彼女たちの実状が明らかになった。

Kamala Raiがサウジアラビアに出発したとき、彼女の夢は大きかった。親戚に はいっぱいおみやげを持って、そして洋服店を開くお金を稼いでくるのだ。し かし彼女が帰ってきたときは、担架に縛り付けられ、つじつまのないことを叫 んでいた。彼女がどうしてそうした精神的異常を来したのか誰にも分からなか ったが、真相は思いがけないことで明らかになった。彼女のわずかばかりの荷 物の中に、2冊のノートと何枚かのルーズリーフがあった。そこにはきちんと した字で、か弱い10代の女性がhousemaidとして経験した経験した悲惨さが書 き記されていた。

カマラは、学校の成績は普通だったが、詩に興味を持っていたらしい。引用さ れている文章からも、悲惨な割にはそうした印象をうけます。彼女もアンネ Anneを知っていたのかもしれない。最初の書き出しはこうです。"I, Kamala Rai, am going to tell you of my sorrow," そして"I can no longer separate night from day. I have no one who will help me get out of this hell. I have cried so much that all my tears have finished." 涙も 涸れ果てて、昼と夜の区別も付かなくなった。

TIMEはMany such tears have watered the deserts of Arabia. と言っていま す。ネパール人には出稼ぎとしては、湾岸諸国では人気が出ているらしい。以 前にはインド人やバングラデシュ人の話も読みました。ネパール人は特に安い 労働力として需要があるようです。女性がメイドとして働く場合、なかなか他 のネパール人と連絡をとれないことも多いのでしょう。時には暴力的な雇い主 からいろいろと虐待される。あるいは肌が白いからと言う理由で、売春宿の需 要が高かったりする。

カマラも家に閉じこめられて、唯一の慰めが決して出すことのない手紙を書く ことだったらしい。その中で、現在の苦境と、そこからの脱出を何度も訴えて いる。日記の中でsponsorと彼女が呼んでいるのがおそらく雇い主なのでしょ うが、彼から閉じこめられたり、縛られたりあるいは殺すぞと脅かされていた らしい。日記には書かれていないが、検査の結果強姦された痕跡もある。

サウジに行って、時間が経つとともに彼女の苦しみも深まった。If I were a bird I would fly away, but I have no wings. They never let me leave the house. I have to live with everything they say and do. 彼女は1月 半ばにカトマンズに戻ってきた。少しずつ恨みの言葉を話し始めたが、細かい ことまでもは思い出せない。それに彼女の代わりはいくらでもいる。実際同じ 施設には、カマラが帰国してから出発した女性で、同じような状況で帰国した Durga Regimiがいる。

カマラは山村で叔父から育てられた。叔父は勉強することを励ましたから、彼 女は学校に行けるように、夜明け前に起きて仕事を片づけた。勉強の中では、 特に詩が好きで、shairiと呼ばれるcouplet(2 行連句)を作ったりした。確か に引用されている文章にも、それが見られます。例えばサウジに出発する前に 作った作品の1つ。If I were a flower, I would have blossomed. But I am just a thorn. If I were rich, I would have given you many gifts. But I am just too poor.

1995年にカマラは学校をやめなくてはいけなかった。月謝が0.45ドルから0.53 ドルにあがったからです。さらに家族は持参金を用意できなかったから、意中 の相手との結婚もできなかった。そこでカトマンズに出て、衣服工場で働いて いるときに、労働者を湾岸諸国に斡旋しているブローカーに会った。1000ドル を前借りして、年齢を偽ったパスポートを取得して、契約をしたらしい。10カ 月の待機期間の間に、沿岸諸国に出稼ぎにいく意欲は少しは薄れたらしいが、 預けた金が返ってこないこともあったので、結局去年の10月にvisaが発給され るとともに、Al-Joufに向かった。

最初のうちは、言葉で苦労したものの、家事は機械がしてくれるし、楽しかっ たらしい。やがて、だんだんと不満が高まってきて、そうした悩みをbroken Hindiで書き記すようになる。ただ契約書の内容をカマラが確認していれば、 彼女も出稼ぎに行くことを最初から考えなかったもしれない。内容が雇い主の 側に、圧倒的に有利だからです。

ネパール政府もこうした事例が多いことを憂慮して、一時的に女性の出稼ぎを 禁止したようです。しかし直接湾岸諸国に行くのではなく、インドやバングラ デシュを経由して行く方法が考え出された。今度はインド人の斡旋業者が暗躍 しており、結局数そのものはあまり減らないらしい。カマラを斡旋した業者は 逮捕されたらしいが、裁判はまだ始まっていない。ネパール政府はInterpolを 通じて、彼女の雇い主を逮捕するように言っているようですが、カマラの日記 に書かれていることがすべて本当かどうか、はっきりしないところもあるよう です。彼女は空想力が豊かなようですから、事実と想像がごちゃ混ぜになって いるところもあるのかもしれません。

今後何かを書くのかと問われて、彼女は答える。Never," she says in a moment of angry clarity. "Like my tears, my poetry has also dried up." TIMEは、彼女の中に砂漠が広がっていると結んでいます。多くのネパール人 が、異国でいろいろと苦労していることだけは確かなようです。そのことを感 受性の強い少女の日記が、人々に強く訴えたことも。しかしインド政府が核実 験をしたことで、インド人の出稼ぎ者が減少すれば、ネパール人に対する需要 はさらに大きくなるかもしれません。

多分雇い主にしてみれば、カマラの日記がこんな反響を引き起こすことは考え なかったのでしょう。アンネの場合も、日記が生き残ったのはほんの偶然だっ た。ある人々には一見何の価値もないものが、彼の持っている財産以上の価値 を有する場合がある。カマラの場合はどうなるのかはっきりしないところもあ りますが、このへんは面白いですね。

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(2)教師解雇の昨今事情

*Ever Try to Flunk a Bad Teacher?

教師としてふさわしくない人をやめさせるのには、手続きを簡略化すべきかと いう話題です。

Clementine Johnsonは6年前タイピングを教えていたようです。(学年不明) 生 徒たちが本を投げ、タイプライターを分解し始めたら、制止するどころか、自 分も楽しくその騒ぎに加わった。(^o^) tossed backとありますから、 typewriterの分解をしてその部品を投げたかどうかははっきりしませんが、多 分タイプ教本を投げ返したのでしょう。校長が、彼女の授業をunrulyと言った ときの、彼女の反応が面白い。自分の代々の骨の遺伝子の中にとりついている 霊魂 living flesh on my true hereditary genes bonesについて手紙に書い てよこした。そしてあげくは自分の姓をJohnsonからGodに変えてしまった。変 わった先生もいればいるものですが、アメリカではやはり簡単に名前を変える ことが出来るようですね。

Ms. Godを解雇することは簡単なことno brainerのように見えたが、そうでは なかった。その後1年間は、教職にとどまった。どうやら解雇手続きは、なか なかやっかいであるらしい。もちろんTIMEも書いているように安い給料で一生 懸命がんばっている先生がほとんどでしょうが、どう見てもおかしい教師を解 雇する手続きが、なかなか簡単にはいかないらしい。

フロリダの去年の教師解雇率は0.02%だそうです。別の数字としてイリノイ州 の10万人のtenuredの公立学校の教師のうち、1991年から1997年までに解雇に なったのはわずか44人。1年に6〜7人ということのようです。どうやらこの tenure身分保証のある教師は簡単には解雇できないようです。州によって違 いはあるものの、3年間の教師としての在職期間を有すれば、この資格を得る ことが出来る。

tenure身分保証を与えられた教師を解雇するには手続きが難しくなる。校長は いくつかのレポートを提出しなければいけないし、1年間の猶予期間が認めら れているし、さらに裁判などの手続きなどもある。だから、1人の教員を解雇 するためには、1年間の給料を払い続け、代用教員を雇ったり、弁護士費用な どいろいろ合計して137500ドルの費用がかかる。

もちろんこの身分保証制度は悪い面ばかりではない。裁判官や大学教授にも適 用されているし、特にアメリカの場合creationism創造説を教えない科学教師 たちを守る役目も果たしている。

しかし最近アメリカでもいろんな事件が起きているようで、解雇手続きを簡単 にしたり、場合によっては身分保証そのものを廃止する動きも出てきているら しい。それに解雇のための聴聞までの猶予日数は、フロリダでは90日にする予 定だし、ニューヨークはすでに60日以内と決めているようです。サウスダコタ は1995年に、身分保証の制度そのものを廃止してしまった。

どうも全体的に、教師が手厚く保護されていることへの不満は全国的に高まっ ているようです。しかしTIMEに書かれている不祥事の例は、Ms. Godともう1人 書かれているのですが、私にはそんなに全国的に話題になるようなこととも思 えないのですが、アメリカでは倫理規定が厳しいのでしょうか。それとも例え ば犯罪に関していたら、そもそも身分保証の制度は最初から適用されないのだ ろうか。なおもう1人の先生は、生徒のカンニングを助けた事例です。

日本でも、小学校でさえも、学級崩壊とやらが話題になるこの頃です。日本の 場合でも、競争原理は、確実に入ってくるでしょうね。今朝のニュースでも、 熱意のある先生と無い先生の給料やボーナスが全くいっしょというのはおかし い、とか言っていたような。

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2. スーパー・コンタクトレンズ(Sunday Times 7/12)

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The Sunday Times 7/12の記事からです。新型のコンタクトレンズをつければ あなたもふくろうの目を持てるそうです。

* Contact lens with a twist turns short-sighted into night owls

ハイデルベルク大学の応用物理学教授、Josef Billeによって開発されたこの レンズがもうすぐ売りに出されるらしい。これをつければ、暗いところでも、 5倍もよく見えるようになるそうですから、まさにふくろうの目を持つことが 出来るようで、SFのようだと書いています。100ヤード離れていても、顔の表 情まで分かるそうです。夜間に車で遠出をしたり、スポーツをしたり、あるい は軍隊が秘密訓練をしたり、まるで昼間と同じように行動できるようです。

実験室段階では13倍という結果が出ていたようですが、実用的な段階では5倍 になるということのようですが、それにしてもすごい。これはいわゆるactive mirrorsと言われるものの研究の成果だそうです。数千光年離れた銀河の写真 を、天文学者が撮影できるようになったのも、このおかげだとか。各人にあっ たコンタクトレンズを作るのが、少しめんどくさそうですが、どうやら商業化 のめどがついたようですし、これが発売されたらあっという間に人気が出るか もしれません。

あるドイツの警察関係者は次のように警告しています。「運転中によく見える ようになるかもしれない。しかし問題は、より速く行動できるかだ」 なるほ ど、どうやらこの発明、画期的なようです。

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3. A Burst of Rock, Bright as the Rising Sun (New York Times 7/12/98)
by T. Muramatsu

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YUKIさんこんにちは.

今回は全く私の趣味です.
松田聖子を始め,誰が出て行ってもだめなような印象がある日本のミュージシ ャンですが,アメリカでは全く違ったところに期待が高まって いるようです.

*A Burst of Rock, Bright as the Rising Sun (New York Times 7/12/98)

1960年代のビートルズの出現は,イギリスの音楽に対するアメリカ人の認 識を一変させた.もはやアメリカンロックやR&Bの単なるイミテーションでは なくなったのだ.そして現在の日本の音楽シーンは,まさにその段階に来てい るように見える.

巨大な米国マーケットを狙って,日本の音楽産業だけでなくアメリカの音楽関 係者の中にも,次のスターを日本から発掘しようとする動きが出ています.ア メリカのポップミュージックがやや停滞する一方でアジアのポップカルチャー に対する関心が高まっている現在,まさにそのチャンスが到来しているのかも 知れません.まだ否定的な見方の方が多いことは事実ですが,「次のジェフ・ ベックやポール・マッカートニーは日本から現れる」と信じて日本のライブハ ウスを回るアメリカのプロデューサーも増えています.

アメリカで隠れた人気を持つ日本人ミュージシャンには3つのタイプがある.

一つはアヴァンギャルド系.次にニッチともいえるパンク,スカ,歌詞の比重 の低いエレクトロニック・ダンス・ミュージックのようなもの.しかし3つ目 が最も興味深い.既存のスタイルの枠におさまらない,新しい日本の音楽と美 意識が表れている分野だ.ジャマイカのレゲエは,R&Bをまねようとしてビー トが違ってしまったものだが,この渋谷系ともいわれる音楽も,出発点である アメリカ音楽を津波のように押し流し,あらゆる要素をごちゃごちゃにしてし まったものといえる.コーネリアス(小山田圭吾)は,「僕はずっと自分がや っているのは西洋音楽だと思っていた.ところが世界中で僕の音楽を聴いてく れる人の反応がわかってみると,日本の音としてとらえてくれている」と言 う.

アメリカのレコード会社とも契約している Pizzicato Five やコーネリアスと いったミュージシャンに共通するのは,ビーチ・ボーイズからバート・バカラ ック,映画音楽のモリコーネ,ラップのパブリック・エネミーと,好きな音楽 の幅が広いということです.こうした中から生み出される独自性が,日本の音 楽として今アメリカで注目されてきています.しかしそれだけが原動力という わけでもありません.

こうした日本のポップ,ロック界の動きの影には,若い世代が大人の知恵を 疑い始めた60年代のアメリカと似た社会状況が浮かび上がってくる.日本経済 が今,頂上の一歩向こうは断崖だという事実を身をもって学ぶ中で,若者の中 には学校を出ても就職したくないというドロップアウトの傾向が出てきてい る.彼らは日本が最も豊かな時期に生まれ,ねだれば親は何でも買ってくれ た.ところが自分が社会に出る今になって目の当たりにしたのは,あれほど親 が一生懸命に働いていた会社の凋落ぶりだ.「何のために働くのだろう」

日本の新しい音は,かつてのブリティッシュ・ロックのようにアメリカで大き な流れになるのでしょうか.これまでの何度かの試みと,今回始まりつつある 動きとは違うのでしょうか.

おそらく最大のハードルは,日本の音楽に対する信用を得ることだろう.1970 年代から,日本のヒットチャートは歌よりも見た目優先の作られたアイドルが 独占してきた.これまでアメリカに進出しようとした松田聖子や久保田利伸は 無残に失敗し,日本の音楽の評判を落とすだけに終わった.人気があるのは日 本の香りがする音楽だ.だから大抵のアメリカ人にとって久保田利伸はつまら ない.彼は確かにソウルの真似はうまいが,イミテーション以上ではない.し かし少年ナイフは日本のことを歌っている.満員電車,ルイ・ヴィトンを買い あさる様子,風呂上がりのアイスクリーム,といったように.坂本龍一や喜多 郎は明らかに日本のメロディーだ.

"A Starter Kit" と題された囲み記事にいろんなジャンルが紹介されています が,Pop のところには「日本のポップを好きな人はほとんどいないが,小室哲 哉の slick work が聴かれている」とあり,久保田利伸と同じような評価であ ることが伺えます.これならアメリカでも「通用する」だろうという時の基準 をアメリカに合わせた瞬間,受け手とのミスマッチが生まれるわけですね.一 方 Rock では Bonnie Pink,Cocco,UA といった女性シンガーが高い評価を受 けており,特に UA の "Ametora"(雨虎)はsoulful wonder と表現されてい ます.また,「津波のように」と形容された渋谷系はここでは Tsunami Pop と書いてあります.

いつか日本人歌手の "r" のおかしな英語がイギリスなまりと同じように流行 になり,日本語の歌がシャンソンのようにロマンチックに聞こえる時が来るか もしれない.しかしそれには,日本の音楽ではなくアメリカ人が目を覚ます必 要がある.インディーズ雑誌『米国音楽』の川崎大助氏は語る.「イギリス人 や日本人は,60年代からアメリカの音楽を聴いていた.逆にアメリカ人は,我 々が聴いてきた日本やヨーロッパの音楽をこれから経験することになる.おそ らく今違うのはアメリカ人だけなのだろう.」

by T. Muramatsu

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4. 気になるNewsweek 98-7-13 by MicroWorldNews

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*A Rare Meeting of Minds

9日間の日程の後Clinton大統領の訪中が無事終了しました。大統領は27日 の共同記者会見・北京大学での講演・上海でのラジオ放送と3回も直接中国の 人々に語りかける機会をもちましたが、米国内では積年のライバルJack Kemp 氏さえも "I think it was a huge success" と評価したと伝えられています( p21)。UCBのジャーナリズム大学院学部長で中国に詳しいOrville Schell 氏の総括を読みましょう。

”江主席が微妙な問題についての米国の見解の公式表明を快諾し直後に防衛的 反論も行わなかったことは注目に値する。中国は国際的大国としての権利を主 張するだけに留まらず、今やそれらしく振る舞うべきときであることを宣言し たかに見える。中国は今後もアジア危機に伴う経済問題に悩まされ、それが政 治的危機に波及する可能性も有り得るとはいえ、今次サミットが敬意に満ちた 人間関係の基礎を築くのに貢献したことは否定できない。さらに開かれた実り ある対話をその上に築くこともできるだろう。”

”サミットは直接の進展や新たな合意をもたらしたわけではないが、過去数十 年の中国を見てきた者はこの訪中の重要性を見逃すことは有り得ないだろう。 この情勢の変化で米中関係が新たな「建設的契約」の時代に進むかはさらに見 守る必要がある。たった1羽の駒鳥は春の到来を意味しない。そして危うくも 忘れられがちなのは、中国のような専制国家でさえも、「偉い人たち」は我々 が時に思い描くほど全能ではない、ということである。(And we forget atour own peril that even in an autocratic country like China, " bigleaders" are not as all-powered as we sometimes like to imagine.) 江主席がClinton氏と新たな関係をもったとしても、かの国の込み入って矛盾 にみち手に負えないリーダシップに国民の支持を得て新たな米中関係を主導で きるかは別の問題である。”

”確かなことはこれだけだ:いかに楽観的な見方をしたとしても、中国の民主 主義は、ゼウスの頭からアテナが生まれるようには出現しそうにない。共産党 と儒教の時代の専制主義の伝統は極めて根の深いものであるから。”

最後のところは、我々日本人にとっては、どうでしょうか?唯一の神のため異 教徒と戦う騎士達も、理念のために王を処刑する人民も、1人戦車の前に立ち はだかる若者と等しく、私たちには懐かしい神話に過ぎないのですが、今日も 神々への祭祀の一環として投票をすませてきたところなのです。

by MicroWorldNews

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5. 国家(プラトン/藤沢令夫訳)より 

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そこでわれわれは、彼らを早く子供のころから観察するために、最もそのよう な考えを忘れてしまいそうな、また欺かれて考えを変えてしまいそうなさまざ まの事柄を、彼らに課さなければならないし、そしてその中にあってよく記憶 を確保する者、欺かれて考えを変えることのない者を選び出し、そうでない者 は名簿からはずさなければならない。またさらに、さまざまの労苦や苦痛や競 争を彼らに課して、その中で、そうした同じ観察をしなければならない。この 人たちを若いうちに何か恐怖をよぶような状況の中に連れて行き、それからこ んどは快楽のなかへとおきかえて、金を火のなかで試すよりもはるかにきびし く試しながら、よく観察しなければならないのだーーすべての状況においてそ の人が、たぶらかしに対する抵抗力と端然とした品位を示すかどうか、自己自 身を守り、自分が学んだ教養を守るすぐれた守護者として、自分が身につけた よきリズムとよき調和をそれらすべての状況の中で保持し、かくて自己自身に とっても国家にとっても、最も有用有為の人物でありうるかどうかと。(3ー 20)

しかしアリストテレスの政治学は、神のように突出した人間はその国の一部と みなすべきではないとしています:
”しかしもし誰かある一人の者なり--があって、ただその一人の徳に対し、そ の他のすべての人々の徳や政治上の能力は比べものにならぬほどその一人の人 が徳の卓越していることで傑出しているなら、もはやこの傑出した人々を国の 部分と見てはならない。何故なら、徳や政治上の能力に関してそれほど不等で ある人々なのに、等しいものに値するものだと認められるなら、不正を受ける ことになるだろうから。というのはかような人はいわば人間の中の神のような ものであろうから。(3-13-13)”

by MicroWorldNews

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