「英語を読む」 No.35


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「英語を読む」  No.35  1998-6-30日 発行     

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みなさん、こんにちは。 「英語を読む」No.35をお届けします。

No.29を発行したのが、6月3日。今回のNo.35を発行するのが6月の最後の日。 6月は合計7号の「英語を読む」を発行したことになります。これは以前の weekly発行を上回るかなり速い発行ペースだと思います。ひとえに、 MicroWorldNewsさん、T. Muramatsuさんなどの、投稿があったからだと思いま す。今後ともよろしくお願いします。

今回はNewsweek, TIMEの記事の感想です。私自身は、Newsweekの感想は書いて いませんが、6/29号はかなりの記事を読みました。ほとんどが前に読んだ記事 の続報などでしたから、感想を書くまでにはいたりませんでした。 *Dial R for Remake(p.56C)
*Running Wild in the Street (p.50-51)

それと既に6/29のTIMEで読んでいた *Descent into Darkness (p.46B-46C)
これは、今回のTIMEの記事とほぼ同じ内容です。

あと気になって感想を書こうと思ったのが、次の2つでした。 *Shifting the Blame Farther Up the Ranks (p.45) *Lies of a Serial Killer(p.57) どちらも余り楽しい話題でもないので、今回は省略しました。私自身は犯罪記 事などには興味を持っているのですが、あまり陰惨な事件や、いやな内容ばか り読むと、読んでいて気分が滅入ることもあります。時には新聞などから、楽 しい話題を1つくらい紹介できればいいのですが・・・

本当は雑誌ばかりではなく、本の話題も毎回1つくらいは入れたいのですが、 なかなか気分がのらないとうまくいきません。そのうちにまた何か読んでみよ うと思っています。

1998-6-30

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目次
1. 気になるNewsweek 98/6/29 by MicroWorldNews
2. TIME 98-6-29より
(1) 墜ちた偶像
(2) 500頭の牛をひきつれて
(3) 真実とうそ(ESSAY)
(4) 黙示録のようにはならないけれど

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1. 気になるNewsweek 98/6/29 by MicroWorldNews

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今週のNewsweekはClinton大統領の訪中特集が何と30ページも。出発前からこんな に盛り上がってしまっては、いったい来週号は何を書くつもりなのか、気になってし まいますよね。さて、これを読もうとしていた土曜日の午後、ちょうどCNNのライ ブで両首脳の記者会見が始まりました。江沢民主席、Clinton大統領がそれぞれの軍 縮関連の合意事項を各15分発表後、報道陣の質問に回答します。江沢民主席に勧め られてClinton大統領は最初の質問者を指名します。この香港の女性記者の質問はア ジアの経済危機に関すること。これについて大統領は、日本の通貨安定に米国は全力 を尽くした、日本経済の自信回復を支援する、との回答です。次は江沢民主席が米国 の女性記者を指名します。こちらは勿論人権問題に関することです。その後も約30 分、台湾やDalai Lamaなど中国にとっては耳の痛い話題が続くのですが、両首脳は終 始和やかに回答に応じていました。終了後CNNの駐在記者のコメントは、印象的で す:”この土曜日の午後両首脳が1時間以上も、天安門、台湾、Dalai Lamaなどのこ とを多数の報道陣の前で愛想よく話し、中国の人々も自宅のTVでこれをライブで見 ているなど1987年に誰が想像できたでしょうか。”

圧倒的なライブの迫力の後でNewsweekの記事を読むと、どうもやたらと言い訳がまし くて、米国内には訪中批判が強いということはうかがわれますが、自他共に過去の過 ちなど忘れやすい日本人にとっては、意味のない記事です。今回の訪中は一連のアジ ア危機を背景に実にタイムリーに計画され、核戦争が気になる人にもビジネスが気に なる人にも安心感をもたらすので、どこの国の神様の思し召しかはわかりませんが、 私たちは蓮の花の上でついうっとりと眠りこんでしまわないように、Newsweekの次号 に期待しましょう。

by MicroWorldNews

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2. TIME 98-6-29より
(1) 墜ちた偶像
(2) 500頭の牛をひきつれて
(3) 真実とうそ(ESSAY)
(4) 黙示録のようにはならないけれど

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(1) 墜ちた偶像

TIME US版、6/29の記事からです。あまり楽しくない記事ばかり読むのも困っ たものだと思いながら、つい読んでしまいました。

* A Precarious Genius
Michael Laudor was a role model for those stricken with schizophrenia--then he fell from grace

精神分裂症を克服し、有名人になった男性が、同棲している婚約者を殺し てしまった。彼にとっての救いとは何だったのか。世間的な名声や、金銭では なかったのでしょう。

難しい表現がいくつかあるのですが、それらを無視して大体の内容を書い ておきます。

Michael Laudorはユダヤ系の青年で、どうも長い間精神分裂症に苦しんでいた らしい。父のCharlesが生きていたときは、よかった。死の影におびえている 息子を現実の世界に立ち向かわせるべくいろいろ努力してくれたから。しかし その父は1995年に 前立腺ガンで死んだ。

父のおかげで少なくとも彼は病気を悪化させないで、克服できた。例えば記事 にははっきりと書いてありませんが、Yale大学を卒業してメーシー百貨店で忙 しい仕事に就こうとしていたとき、Yale Law Schoolに進学することを勧めた のも父だった。これは正解だったようです。なにしろMichaelは、Law School に入学を許可された日でも、The monkeys are eating my brainと叫んでいた くらいですから、かなり被害妄想的症状は重かったのでしょう。そのまま就職 していたら、多分回復は難しかったかもしれません。

マイケルにとってはLaw schoolは、アメリカのどの精神病院よりも治療として 役にたったようです。在学中の勉強を通して、彼は精神的に病んだ人々に向け られる偏見と戦う弁護士になることに生き甲斐を見つけだしたからです。そし て彼の分裂症克服の物語に対してScribner社は、出版の前払いとして60万ドル 支払った。さらに映画化の話も持ち上がり、一時は主役としてBrad Pittがマ イケルの役を演じる話も出たらしい。とにかくこうして彼はアメリカ人好み の、困難を克服した英雄になったわけです。

こうした中で悲劇は起きた。マイケルにはCaroline Costelloという婚約者で 同棲している女性がいた。彼らはともにYale大学の学部生時代から深く愛し合 い、キャロラインは病気の間も彼のよき理解者だった。彼女はユダヤ教に改宗 するためラビに相談していた。理想のカップルにみえた2人だった。ところが 先週の水曜日、キャロラインが料理ナイフ(chef's knife)で10箇所以上殺され て死んだ。マイケルが逮捕され、犯行を自白した。

前兆はあった。有名になったが、マイケルは法律を教える仕事に就くことが出 来なかった。work teaching lawというのは、弁護士のことではないような気 がしますが、はっきりとはわかりません。薬物投与を間違えたのかもしれない し、中止していたのかもしれない。特に8月には彼の本が出版される予定だっ たようですから、完全主義者のマイケルにはそのプレッシャーも大きかったの かもしれません。彼の文章はan almost mathematical use of languageで書か れていたようです。そして少なくとも母親は危険な兆候を感じていたようで、 警察に息子と将来の嫁のアパートに立ち寄って様子を見てくれるように頼んで いる。しかし警察が見つけたのは、キャロラインの死体だった。

最後はマイケルが1995年にマイケルが語った言葉で終わっています。"There is a notion in Judaism of tikkun olam, to heal the world."彼は自分の使 命を精神的に病んだ人々を救うことに置いた。しかし狂気の持つ複雑なサイケ デリックな世界の中で、彼は自分自身を破滅させたのかもしれない。

この文章は、一番最初に同じような精神分裂症に悩みながらも、1994年にはノ ーベル経済学賞を受賞したSylvia Nasarの話から入っています。精神分裂症か ら回復することと、救われることは同一ではない。普通の生活をすることが回 復であるならば、絵をかけなくなった画家はたとえ病気から回復しても、救わ れたことにはならないのではないか。マイケルもまた、自分の使命感を見失っ たか、あるいはまたその重みに圧倒されたとき、自分を救うことが出来なくな ったのではないのか。

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(2) 500頭の牛をひきつれて

韓国の現代グループの総帥、Chung Ju Yung氏が牛500頭を引き連れて、北朝鮮 にわたった。民間人としては、朝鮮戦争の休戦後初めてらしい。日本のTVなど でも、報道されましたし、簡単に書いておきます。

*Bringing Home the Beef (p.41)

一応、この牛は農耕用として連れて行かれたはずなのですが、タイトルの通 り、結局は食料になってしまうのだろうか。

1989年北朝鮮を訪れたとき、Chung Ju Yung氏は故郷に住むおばに白いドレス のシャツを持っていった。いつの日かそれを取りににくると約束して。90年代 になって南北朝鮮の関係は厳しくなったが、Chung Ju Yung氏は約束を果たし たと言うわけです。しかも500頭の牛を乗せたトラックとともに。牛はもちろ んトラックも故郷への贈り物なのでしょう。ところでこの白いシャツを、 Chung Ju Yung氏はおばの家のクロゼットに掛けておいてくれるように頼んだ ようですが、これは彼自身のシャツだったのでしょうか。

この出来事は両国の関係にとって画期的なことになるだろう。金大中大統領の sunshine policyの成果ともいえる。北朝鮮政府も韓国政府が望むような改革 を実行に移すことは難しいから、民間人がこうした形で援助をしてくれること は望ましい。しかしこうした援助が農民の元に届くかどうかは少し疑問。

贈り物の総額はさらに牛500頭(another 500 head of cattleとありますから、 多分合計で1000頭だろうと思います)、50000トンの穀物、100台の現代製トラ ック。合計、1000万ドルと言うことです。

Chung Ju Yung氏は元々北朝鮮出身で18才の時に、南に向かった。現在82才で すから、64年くらい前です。当然日本の支配下にあった時代です。それからい ろんな職業を経験して、韓国一の財閥を作り上げた。韓国人にとっては立志伝 中の人物です。しかしふるさとを忘れたことはない。農業のことも忘れたこと はなく、15000ヘクタールの農場には今でも週に1度か2度は通うほどです。故 郷を出るとき、家の牛を売ったお金を盗んでその資金にしたこともあって、今 回の行動も亡き父親への贈り物という意味もあるようです。

しかしもちろん単なるsentimental journeyではない。自分の故郷の地、 Keumkang Mountain areaを開発する計画があるし、統一後を見据えてもいるの でしょう。

今回のChung Ju Yung氏の行動を見ようと韓国人はTVの前に釘付けになった。 さらに北が故郷である韓国人にとっていつの日か故郷に帰れるかもしれないと いう夢が膨らんだ。大金持ちでなかったら、その夢が実現するのはまだ遠い先 のことかもしれないが、少なくとも希望は見えてきた。

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(3) 真実とうそ(ESSAY)

TIMEの6/29号のESSAYからです。USA版で読んで面白そうだが、内容がぴんとこ ず、多分Asia版には載らないだろうなと思っていたら、載っていました。ここ に書かれてある事実をほとんど知らないものだから、実を言うと何を書いてい るのかよく分からないのです。ずっと前、クリントンが再選された号のやはり 同じESSAYで「ヒラリーの50の願い」という記事を読みました。あの時も実は 無茶だったのですが、今回も無茶を承知で読んでみます。背景知識がほとんど ゼロである文章を読んだらどういうことになるのか、少し怖いきもしますが ・・・

*The Lies Must Stop (p.60)
A loyal New Yorker finally punctures all those rumors about his redoubtable mayor
By LEWIS GROSSBERGER

文章の構成は単純です。前書き的な2段落があって、本文に当たる6段落はいず れも、噂と事実を列記するという形で、噂を否定しています。(もっとも事実 に当たる部分が、作者の本音としても、こちらの方がより皮肉だったりします が)。

とにかく内容の構成は簡単なのです。問題は、どこまでが事実でどこまでが、 皮肉なのか、さっぱり分からないことです。内容を読み違えている可能性は、 限りなく大きいのですが、読んでみます。なお各段の最初の数字は本文の何段 落目か、ということを表しています。訳は例によって、厳密でもありません し、本文をとばしたり、こちらで勝手に多分こうだろうと思うところをつけ加 えています。

1. 誇り高きニューヨークっ子として、我らの畏れ多い市長に対して奇怪で無 責任な噂が、真っ赤な嘘も含めて流れている。こうしたものに対しては断固と して反駁して、我がNYの名誉を守らなくてはいけない。

2. NYの市長、Rudolph Giulianiは強く献身的で恐れを知らない人物である。 彼はまた革新者であり、新しいアイデアに富んでいる。そうでなければ教員の ために、服装規定を設けるというようなことを思いつくはずがない。もちろん そうした人物には、敵がいるものだ。ジャーナリズムの世界の反動主義者やニ ヒリスト、反対政党や既得権益を守ろうとするものから激しい抵抗を受けるの は当然だ。ばかばかしい噂が飛び交っているが、以下に述べるように、事実は 全く異なる。

3. 噂1・・・Giulianiは自分と数名の信頼できる部下のために150億ドルかけ てセントラルパークの地下に強固な隠れ家をつくった。そこに近づくものに は、特殊訓練を受けた殺人部隊が直ちに反撃する。
 事実・・・World Trade Centerないにわずか1500万ドルかけて、非常時のた めのコントロール・ルームを建造することを提案しただけだ。

 

4. 噂2・・・Giulianiはホームレスの人がpleaseという言葉を使わないで施 しを請わなかったとき、彼を絞め殺した。
 事実・・・少なくとも最近はそうした事件は起きていない。この噂の元にな っているのは、非番の警官が非武装のsqueege manに発砲したことにあるのか もしれない。多くのsqueegee menやホームレスの人たちは、彼の市長就任とと もにNYからいなくなった。市長とその裏にいるprivate armyが、彼らをさらっ て全国のハンバーガー店に送り込んだというのは根拠がない。市長は夜密かに 町をくるまで巡回しているが、それはこの町に犯罪を発生させないためにであ る。

5. 噂3・・・Giulianiは歩行者や、タクシードライバーや、ホットドッグ売 りや、squeezeeや、福祉の恩恵を受けている人、記者たち、自分のどんな政策 に対してでも、一度でも反対したような人はどんな人でも嫌いである。彼は自 分の妻ともうまくいっていない。
 事実・・・市長はこうした人を嫌いではない。ただこうした人物は時として 失礼なことをするから、厳しく教えてやる必要がある。規則を守り、もしそれ を破ったら罰されるということを分からせなくてはいけない。彼もいっている ように、自由は権力に伴うものであり、あらゆる人物が何をどのようにするか という決定権を法的権力者に譲り渡すことなのだ。

6. 噂4・・・Giulianiは頭がおかしい。
 事実・・・少なくとも有名な精神医学の専門家から精神異常者と判断された り、犯罪的に危険人物としてそうした施設に収容されたことはない。彼のこと をa bullying, paranoid "control freak"という人もいるが、NYのような都市 を治めるめるにはそうした性格が適していると言う専門家は多い。記者や反対 者たちを"jerky," "stupid," "silly" , "not really that intelligent"と呼 ぶことはあるが、それは彼らがそうである限りにおいてである。その点で彼は 人を見る目があると自慢しているのは正しい。

7. 噂5・・・Giulianiは、George Steinbrennerが好きである。
 事実・・・これは最大の侮辱である。市長は誰も好きではない。ただYankee のオーナー(George Steinbrenner?のこと)を信頼できる公平なスポーツ会社の 経営者と思っているだけだ。Steinbrennerはかび臭いヤンキースタジアムがNY の繁華街にあるのは、もったいないと考えて、あほどもが立ち寄らないような 現代風テーマパークを建造しようとしているだけなのだ。

8. 噂6・・・Giulianiは女装を好み、プラチナのブロンドのカツラをつけ、 ハイヒールを履いている。
 事実・・・彼は楽しんでそうしているわけではない。NYの経済は娯楽産業に 負うところが大きいから、仕事の必要上そうしているのだ。もしそうしなけれ ば、失礼に当たるではないか。

9. 以上述べたことで明らかだと思うから、これ以上噂が流れないように望む ものである。

噂と事実は後ろの方が簡単だったので、後ろから書いていったら疲れてしまっ て噂1と噂2は大分省略しています。まとめとしても不十分なようです。それに してもこの文章は、大きな勘違いがどれだけあるのか、思い及びません。

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(4) 黙示録のようにはならないけれど

*Apocalypse NOT (p.48-51)

2000年問題の記事です。副題というか最初のリード部分がすべてを表していま す。For most private computers, the notorious Year 2000 glitch won't be the end of the world. For Washington, however, it could be a disaster. 本文記事が民間関係の、囲み記事が政府関係のコンピューター問題 を取り扱っています。実際に読んでみた限りでは、やはり2000年1月1日には少 しの混乱は避けられそうもない、ということです。

最初に出てくるTim Mayの例は少々物騒です。彼は長年コンピューター技師と して働いてきて、引退後の生活をカリフォルニアのCorralitosの風光明媚な丘 の上で暮らしている。しかし彼がこの場所を選んだのは、単に景色がいいから だけではない。ここは農業的・漁業的に豊かだから、来るべき新千年期の飢え をしのぐのには最適の場所らしい。彼はさらに金を集め(非常時の場合はドル 紙幣なんか役にたたないから)、さらに大量の食料もため込み、恐ろしいこと に銃もかなりの数を所蔵している。彼によれば、デッドラインを乗り切れない ことが明白になってくるにつれて、彼のような人は増えてくるということで す。

Timはこの世の終末が近いと信じるカルトの一員なのか。そうではない。彼は 2000年1月1日にコンピューターのバグが引き起こす社会的混乱に備えて、自衛 しているわけです。この問題は前からときどき読んできて、どのような結果に なるのか、私のように想像力がないものには、なかなか分からないのですが、 どうやら残された時間が少なくなってくるにつれて、こうした動きも出てきて いるらしい。専門家はY2Kと呼んでいるようですが、果たして我々の情報化社 会が一瞬にして機能を失ってしまうのかどうか。まあ記事を読む限り、生活す る上では、少しの不便は出るかもしれないが、パニックに陥ることまではな い、ということのようです。

確かに大企業の60%は自分たちのコンピューターのthe first step of assessing whether their systems are ready for the new centuryも、完了 していない。ましてそのバグ対策を完了しているわけがない。自分たちに都合 の悪いことは、あまり公表もしないから、まあ混乱は起きる。There will be some extremely annoying, disruptive failures. But it's not going to be the apocalypse. あまり安心できないような言い方ですが。

とにかくY2Kを考えるとき、電気・食料・金・医療などへの影響を見逃すこと は出来ないのですが、この記事全体を通読した限りでは少しの影響は出る。電 力の場合、ドミノ効果として、local failureがregional blackoutへと広がる 可能性はある。電力が消えたら、コンピューターが使えなくなるわけですか ら、影響も大きいかもしれない。食料に関しては、流通機構の中で、普通は15 日から20日の食料供給がストックとしてあるから、短期間の不足には間に合 う。That [extra supply] is not something we're normally proud of, but it might come in handy. 普段は非能率的だが、いざというときには役にた つ、というわけです。しかしこれは広いアメリカのことですから、日本の場合 はどうでしょうか。日本の情報化が始まったのは、アメリカよりも遅いから、 コンピューターバグの割合は、アメリカよりも低いかもしれない。しかし効率 化はより進んでいると思うから、万が一対策が遅れたら、アメリカよりもひど い結果になるところもあるかもしれないなどと考えたりもします。

個々の事例は省略しますが、エレベーターは止まるかどうか、という問題にま で発展するのには驚きました。エレベーターの場合、ほとんどは大丈夫なよう ですが、しかしプログラムがチップの中に書き込まれているものが、5%足らず は存在するらしい。これはチップそのものを取り替えなくては、プログラムの 書き換えは難しいと思うのですが、単体のマシンの中には2000年になると動か なくなるものもあるかもしれませんね。

未来学者によれば、この経験は子孫への絶好の贈り物だということです。この さい、プログラムの年表示を4桁表示から5桁表示に直せば、人類はY10Kで苦し まなくてもいいから、ということのようですが、なかなか考え方が雄大です。 しかしY10Kが問題になるとき、こうした小さなことで文明が崩れるかもしれな いと考えると何かあっけないですね。

囲み記事は少し物騒です。アメリカ全土のコンピューターの4分の1を政府が所 有し、国防省だけで150万台所有しているが、実体はもっと多いらしい。しか も民間よりも、事態は厳しい。27年間軍事関係のコンピュータープログラマー であったBill Curtisは、現在国防省のY2K問題の責任者のようですが、彼はプ ログラマーとしてほんの数行しか4桁で年表示しなかった。後は全部2桁で書い たし、そのように指導してきていた。1995年に始まった国防省のY2Kチームは 現在まで29%しかその作業を終えていない。関係者によれば、アメリカの核兵器 は安全装置がついているから大丈夫だが、ロシアのがどうなっているか分からな い。2000年1月1日にロシアの核弾頭が一斉に世界各地に向けて発射される、ま さかそんな悪夢のようなことは起こらないと思うのですが。

とにかく2000年1月1日には入院しない方がいいかもしれない。医療装置が十分 働かず、unnecessary deathsが起きるかもしれないから。今回の記事はきわめ て冷静ですが、これから危機意識をあおる記事がさらに出てくるかもしれませ ん。

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