「英語を読む」 No.32


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「英語を読む」  No.32  1998-6-17日 発行     

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みなさん、こんにちは。 「英語を読む」No.32をお届けします。

No.31が6月15日でしたから、今のペースは私が発行することにかつて苦しんだ Weeklyでなく、まるでDailyです。 (^o^)  もちろんこれはMicroClassics さんたちの投稿があるおかげです。この調子だと、今週中にもう1回発行する という信じられないことがあるかもしれません。

今週号の雑誌の感想はNo.32にはほとんど入っていませんので、次に回しま す。しかし発行回数が多くなっても、私の場合定期発行というか、例えば毎週 何曜日に発行ということは考えられません。mailzineの中には毎日発行という ものすごいものもありますが、毎週何曜日発行、あるいは毎月何日発行という のは結構見受けられます。しかし私自身発行を続けて、自分にはこうしたこと は難しいような気がしています。もっともありあまる文章の中から選択して発 行するということであれば、そうしたことも可能かなと思いますが、私の場合 そんな贅沢は出来ません。やはり発行回数が多くなったとしても、不定期発行 という気ままな形態が私には似合っているようです。

1998-6-17

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目次
1. 気になるNewsweek One More from 98/6/8 by MicroWorldNews
2. 記憶とは何か(Newsweek 98-6-15)
3. アメリカ軍による最初のサリン事件(TIME,Sunday Times)
4. The Portable Coleridge (2) by MicroClassics

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1. 気になるNewsweek One More from 98/6/8 by MicroWorldNews

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*RFK's Last Campaign

30年前の6月5日選挙戦中凶弾に倒れたRobert Kennedy、その後の政治はどう変わ ったのか、現在RFKの伝記を執筆中であるEvan Thomas編集長補佐による記事を読 みましょう。

”この満たされた時代においては、1968年春当時のRobert Kennedyへの期待は理解し がたい。30年前、この国は崩壊寸前に見えた。2月のテト攻撃後のヴェトナム戦争 は終わることも勝つこともできないようだった。4月のKing師暗殺以来多くの都市で 人種暴動が起こり、夏には最悪事態となりそうだった。国民は混乱なしに変革をもた らす救世主を待ち望んだ。今日の政治は醜聞と予算の争奪に過ぎないが、当時は戦争 と平和、人種と暴動が問題だった。Robert Kennedyが政治を「名誉な職」と言っても 笑う者はなかった。当時は気づかれなかったが、彼の死は公職への夢と希望の転回点 となっていたのだ。彼の死の前は、1人の男が平和な王国を築くというアーサー王伝 説がまだ信じられていた。
Kennedyはそれになろうと必死だったが、それにふさわしい勇気を示す重荷に悩んで もいた。彼の緊張と時代の激動が、最後の48時間とくに鮮明だった。彼は Californiaを縦断遊説しつつ、高揚と憔悴、大胆と小心を同時に示した。弱さも魅力 のうちだった。選挙民は彼の内面の葛藤と運命への挑戦を感じとった。彼が生きてい たら何をなしたかは、解のない問題の1つだ。”

”そのロックスター的救世主のイメージ、セクシーな理想主義の勝利者像は、その後 多くの政治家に模倣されたが、真似のできないところがあった。かつてこれほどまで に崇拝され、殺到され、また悪く言われた政治家はいなかった。彼は言いにくい真実 を口にせずにいられなかった。重要な票田であった医学生への講演で貧困者医療保険 の政策を提案したときのこと、負担は誰が、との質問に彼は「君達だ」と答え、さら に学生の徴兵忌避の批判までした。”

”兄Johnの暗殺後、自らのカソリック信仰に疑問を抱き、他に意味を探し求めた。シ ェイクスピア、カミュ、エマソン、ギリシャ悲劇を読み、宿命を理解しようとした。 詩人Robert Rowellとの対話で彼は自分をヘンリー5世と比較した。彼を憎み恐れて いる大統領に対抗して出馬することは、兄と同様の悲劇を招きかねないことはわかっ ていた。
しかし傍観はできなかった。道徳の危機の時代に中庸を保つ者は地獄の最も熱いとこ ろに堕ちると、ダンテを好んで引用するのだった。”

”Over the years, people lost interest in politics and politicians. Robert Kennedy faded into the mists of imagination, unrealized, still enigmatic.”

宿命を予感しつつ破滅へと突き進む古典界の英雄たち、医師リウーでさえも、この満 足化社会ではケルトの妖精伝説と同様の謎めいた存在へと昇華しつつあるのでしょう か。
そして、現実の生こそが、才ある人の構想よりもはるかに濃密な伝説を常に紡ぎ続け ていたのだと、私たちは近年気づき始めたのでしたが、 それが歳月によって鍛え上げられるのを待たずに摘みとられることによって、 より安全で無害なものになっていったのもまた事実なのです。

MicroWorldNews

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2.  記憶とは何か(Newsweek 98-6-15)

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Newsweek 6/15の特集記事からです。

*Memory (p.44-50)

アメリカでは、ベビーブーマーたちが年をとるにつれて、最近は頭脳の健康へ の関心が高まっている。記憶力が衰えていくことへの恐れは、必ずしも年齢に は関係ないでしょうが、やはり大きい集団が年をとってくると、社会全体の興 味がどうしてもそちらの方に向かうのでしょう。彼等が30代・40代の時は、健 康ブームだったが、今やmental fitnessの時代だというわけです。

忘れっぽくなるのは年をとると共に避けられないのでしょうが、果たして megamemoryはいいことなのか。megamemoryというのは、優れた記憶力というこ とでしょう。脳の働きは徐々に解ってきているものの、まだ完全というにはほ ど遠い。

人間の脳が莫大な情報を処理していることはよく知られている。コンピュータ とは違っているが、仮にコンピューターに例えるならば、人間の脳も2種類の 記憶から成り立っている。つまり現在使用中の短期間の記憶と長期間にわたっ て保存される記憶とにである。

そして現在使われている記憶は、コンピューターで言うRAMに近く、やがては 消えてしまう。この辺は1度経験したことは脳のどこかに保存されている、と いう普通考えられているのとは違うようです。これには単純計算とか、電話を かけているときにその番号を覚えていること、などがあげられる。

これに対し、長期間の記憶はHDに保存されているようなもので、大脳皮質に保 存される。大脳皮質は100億の神経細胞から成り立っており、化学的・電気的 刺激を伝達しながら情報交換する。私たちが記憶と呼ぶものも、この神経細胞 間の情報交換に他ならないが、それが繰り返し使われて初めて、そのパターン が神経組織の中に定着し、そうでなかったら消えてしまう。これは無意識のう ちに行われるが、その働きをするのがhippocampus海馬状隆起である。

ではこの海馬状隆起の働きが活発になるのはどんな場合か。1つは伝えられる 情報が感情的に重要かどうかと言うことだ。興味ある情報であれば、活発な活 動をする。

2番目に新しい情報が既に知っている情報と関連あるかどうかということだ。 つまり過去に経験した情報に関連した新情報は容易に定着する。このへんは コンピューターと違う。人間は脳に蓄積した情報がそれぞれ違うから、同じも のをみても、各自違った意見をもつのはそのためだ。

そして自分が関心ある情報だけを記憶しているから、人間は生きていける。完 璧な記憶力は、必ずしもすばらしいことではない。ときどき超人的な記憶力を 有しながら、抽象的思考が出来ない人がいるのはその例だ。彼等の場合、海馬 状隆起が過度の情報を取り入れ、フィルターの役目をしていない。

それでは海馬状隆起を取り除いたら、どうなるか。これには1953年にH.M.とい う人に行われた実験があるようです。ひどい癲癇で苦しんでいた27才の労働者 を、その苦しみから救ってやるために、そして過去の記憶は消さないように、 海馬状隆起除去の手術をした。しかしH.M.は実験後新しい記憶を生み出せなく なった。朝食に何を食べたのか、誰と会ったのかをさっぱり覚えていない。40 年たった1993年段階でも、自分が何歳であるか、今が何日で、どこに住んでい るかがさっぱり解らなかった。

しかし海馬状隆起が崩壊するのは手術によってだけではない。アルツハイマー 病の場合、海馬状隆起が徐々に壊れていき、新しい記憶が定着出来なくなる。 しかも人間の脳は60代から70代の10年間に、5〜10%萎縮するし、海馬状隆起も frontal cortex(前頭葉?)もより不活発になる。

しかし必ずしも悲観することはない。アルツハイマーやvascular disease(脳 梗塞?)にかからなければ、年をとったからと言って記憶力がダメになるわけで もない。最悪の場合でも、少し衰えると言うだけだ。確かに細かいことへの記 憶力は衰えるが、経験がそれを補ってくれる。80代になっても、大学生よりも 頭がsharper and quickerな人もいる。

年齢に関係なく記憶力の差は大きい。高血圧は脳の働きには悪い。睡眠不足は 新しい記憶の定着を妨げる。過度のアルコール摂取や甲状腺機能不全も同様で ある。さらに意気消沈したり、心配したり、刺激が少ない生活も同様だ。

さらに現代でこわいのは、過度の情報を取り入れることが記憶力に悪い影響を 与えるということ。昔のように情報を自分の判断で取捨選択することが必要な ようです。情報の洪水にそのまま身を任せてはいけない。しかもこうした情報 の不消化は不眠・注意散漫・過度の飲酒・慢性ストレスの原因になり、結果と して脳に影響を与える。長期にわたるストレスは海馬状隆起の神経を殺す結果 となる。

ではどうしたら記憶力を保持できるのか。よく眠り、ストレスのない生活をす ればよい。これは現代においては言うは易く、実行は難しいかもしれません。 さらに果物・野菜・食物繊維を摂取した方がよい。70代の人が運動をしている 間は、3年間は他の人と比べて記憶力が衰える割合が低いという研究もあるよ うです。

記憶力の衰えを防ぐために、アメリカでは様々なセミナーが開かれたり、薬な どが利用されている。p.50には、銀杏(ぎんなん)の葉、・ビタミンE・DHEA・ アスピリン・エストロゲン・DHAなどがあげられています。以前にTIMEや Newsweekなどでもいつまでも若さを保つ薬として紹介されたものが多いです ね。

しかし日頃、新しい名前を覚えるためには注意深く聞いて、それを反復したり する努力が大切なようです。銀杏などは健康な人に対しの効用ははっきりとは 解らない。エストロゲンの効用については詳しく書かれていますが、こうした ものについてはここでは省略しておきます。

人間の記憶装置は数百万年をかけて作られてきた。もしそれが薬などで容易に 効率的になるものならば、今までに進化の過程でそうしたことが発生してきて いたのではないか、Newsweekはそう言いたいようです。それにmaximal memory とoptimal memoryは同一ではない。優れた記憶力を持っている人間が、必ずし もいいとは限らない。時には忘れることも必要だ。だからあまり欲張るな。こ れがNewsweekの結論です。

この記事感想を書くときに専門用語を調べながら、少しずつ読んでいきました。 大体のことは解ったし、少しだけ賢くなったような・・・私も、物忘れがひど くなったり、新しいことを覚えられないということが、ひと事ではない年です から、こうした記事は非常に気になります。しかし私は概して若いときから、 昔のことは忘れるのが得意だった。他の人が昔の細かい出来事を詳しく覚えて いるのに驚くことが、よくあります。さらに私の周囲には70代や80代で、本な どは全然読まないような人で、自分に起こった出来事を日時から、そのときに 誰がどうしたことを言ったかということまで詳しく再現できる人がいる。私も 確かにその場に居合わせた筈なのに、私の頭からはすっかり消えている、とい うことがときどきある。もちろんそうした人は、頭の健康状態もいいわけで す。私も少し努力する必要があるかもしれない。 (^^;

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3. アメリカ軍による最初のサリン事件(TIME,Sunday Times)

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ベトナム戦争当時、アメリカン軍がサリンを使っていたのではないかという疑 いが強くなっているようです。6/15のTIME、6/14のSunday Timesがどちらもか なりのスペースを割いて報告しています。内容はほぼ一緒、引用文なども重複 が多い。TIMEの記事を軸にして簡単に書いてみます。

*Did the U.S. Drop Nerve Gas? (TIME 6/15 p.29-31)
*Apocalypse Row (Sunday Times 6/14)

1970年9月、公式には戦場でなかったラオスの地で、ベトナム解放戦線とパテ トラオに包囲されたアメリカの秘密部隊を救出すべく、アメリカ軍は空から神 経ガス、おそらくはサリンを投下した。空から投下されたbad of the badsと 呼ばれたものの正体が今明らかになりつつある。

A-1 スカイレイダーからそれが投下されると、爆発音の後、湿った霧が立ちこ め、ベトナム兵は一瞬のうちに地に倒れ、嘔吐し痙攣していた。そのあとそこ ら中に死体が転がっていた。一瞬前までは兵士であったものが、即座に物言わ ぬものとなった不気味さ。

アメリカ軍脱走兵を皆殺しにするために行ったOperation Tailwind(追い風作 戦)。ここで使われたのはGBと呼ばれていた神経ガス。どうやら松本・東京地 下鉄で使われたサリンであった可能性が高い。公式文書は一切残されていな い。

ただ1970年当時の統合参謀本部 の議長だったThomas Moorer海軍大将がもこの 追い風作戦を始め、ベトナム戦争では何回かサリンを使用したことを証言。ど うやらガス使用の命令は政権TOPから出ているようですが、当時のキッシンジ ャー大統領補佐官は、現在一切のコメントを拒否。さらに当時の防衛長官は神 経ガス使用は記憶にないといいながらも、Mooreの証言を否定しない。当時そ の場に居合わせたものは全員が、今日まで後神経ガスにかかったと見られる症 状に苦しんでいる。

サリンは戦闘現場でだけ使用されたのではないらしい。翌日攻撃をする村にか けてあらかじめサリンを散布していたこともあるらしい。当然民間人も多く死 んでいる。

しかもこうした作戦の目的はアメリカ脱走兵を抹殺すること。当然のことです が、救助ではありません。彼等の持っている通信・軍事知識が、敵にわたるの を恐れてのことです。どちらの記事でも、アメリカ人らしい男性2人が穴の中 に逃げ込んだ所を、アメリカ軍の手榴弾で殺されている様子を書いています。 公式発表では脱走兵は全部で2人。しかし実際は300人以上いたという証言もあ る。公式には彼等を殺したという一切ない。

さらにこの追い風作戦を受け持ったのが、SOGという秘密部隊。これは秘密部 隊というより影の部隊です。正式にはStudies and Observation Groupです が、公式には存在せず、そのかわりに非通常兵器を含めあらゆる手段を使って どのようなblack operationでも成し遂げた。彼等のモットーは「殺し尽く せ、あとは神にまかせよ」(Kill them all, and let God sort it out.)とい うことだったらしい。たとえ彼等が殺されても、正規の慣行で本国に送り返さ れることはなかった、とどこかで書いてあったようです。

もちろん今でも神経ガスの後遺症に苦しむかつての兵士の中にも、神経ガスを 使ったことを肯定的に考える人もいるようです。しかしクリントン政権にとっ ては大分苦しい。クルド人に神経ガスを使ったことでフセインを責める口実の 根拠が失われる。

それにしてもすさまじい。現在世界各地で起きている紛争でも似たような出来 事が日々起きているかと思うと、あまり楽しくない記事です。

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4. The Portable Coleridge (2) by MicroClassics

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Coleridgeは多くの忠実な友人に恵まれていた。詩人Wordsworthや文人Charles Lamb 、陶器商のWedgewood などはよく知られている。エリア随筆に登場するColeridgeの 思い出は、「霊感を受けた学院の少年」、「スペインのガリオン」の如く、「学識に 於いては遥かに高く、堅実であったが、動作に於いては緩慢であった」(戸川秋骨訳 )。
友人達に多くの手紙を書いたが、中でも24才の時親友Thomas Pooleに宛てた一連の 手紙では、少年時代の思い出が自伝風に語られ、興味深いものである。

”1才の時ぼくは暖炉の燃えている石炭に触って大やけどをしてしまいました。手当 をしたのがYoung医師でしたが、ぼくはこの時初めてことばをしゃべったそうです、 「Young先生の意地悪!」と。火を掴んだり、最初の言葉で職業人に嫌悪を表明した り、いかにもさい先が悪いと思いませんか?”

10人兄弟の末子で両親に愛されたがこのため妬まれることもあった。それで神経質 で臆病になり、遊びの仲間に入れず、本ばかり読んでいた。夢見がちで体を使うのが いやで、記憶力理解力が発達してしまい、大人からは感心されたが、うぬぼれが強く なり、他の子供たちを見下し、「8才で変人になってしまった」、という。 この頃の最も喜びに満ちた記憶として、夜空を見ながら惑星の仕組みについて父から 教えられたことをあげているが、:

For from my early reading of fairy tales and genii, etc., my mind had been habituated to the Vast, and I never regarded my senses in any way as the criteria of my belief. I regulated all my creeds by my conceptions, not by my sight, even at that age.

妖精話の経験が科学への興味を促した、としているところが興味深い。
しかしこの豊かな感受性が青年期の詩人を苦しめる。兄Georgeに宛てた手紙では、空 想癖を率直に後悔する;

The time, which I should have bestowed on the academic studies, I employed in dreaming out wild schemes of impossible extrication. It had been better for me, if my Imagination had been less vivid. I could not with such facility have shoved aside Reflection! How many and how many hours have I stolen from the bitterness of Truth in these soul-enerving Reveries-- in building magnificient ediffices of Happiness on some fleeing shadow of Realty!
Having, or imagining that I had, no stock of Happiness to which I could look forward, I seized the empty gratifications of the moment, and snatched at the Foam, as the wave passed by me.(22才)

また、旺盛な読書癖は純粋に楽しみのためだったが、他人には誤解されやすい。友人 Thelwallに宛てた手紙では:
I am, and ever have been, a great reader, and have read almost everything--a library cormorant.
In short, I seldom read except to amuse myself, and I am almost always reading.
In conversation I am impassioned, and oppose what I deem error with an eagerness which is often mistaken for personal asperity; but I am ever so swallowed up in the thing that I perfectly forget my opponent.
I feel strongly and think strongly, but I seldom feel without thinking or think without feeling.
Contempt is hatred without fear; anger, hatred accompanied with apprehension. But because hatred is always evil, contempt must be always evil, and a good man ought to speak contemptuously of nothing.(24才)

しかし、徐々に自分の「欠点」を受け入れ、落ち着いた心境になっていく。兄George 宛:I am prepared to suffer without discontent the consequences of my follies and mistakes; and unable to conceive how that which I am of Good could have been without that which I have been of evil, it is withheld from me to regret anything.
I love fields and woods and mountains with almost a visionary fondness. And because I have found benevolence and quietness growing within me as that fondness has increased, therefore I should wish to be the means of implementing it in others, and to destroy the bad passions not by combating them but by keeping them in inaction.(26才)

このような精神的成長は、当時の歴史的一大事件フランス革命への関心によっても促 された。革命勃発時Coleridgeは17才、自由平等友愛の理想は若い詩人を熱狂させ ずにはおかない。しかしその後の革命の過激な展開は、彼を深く考えさせた。23才 の詩人は Bristolにおける講演で、寛容さの重要性を強調する:

少数者の知識は多数の無知に対し無力である:
The annals of the French revolution have recorded in letters of blood, that the knowledge of the few cannot counteract the ignorance of the many; that the light of philosophy, when it is confined to a small minority, points out the posessors as the victims, rather than the illuminators, of the multitude.
天才とはむしろ怠惰なもの:
Men of genius are rarely either prompt in action or consistent in general conduct. Their early habits have been those of contemplative indolence; 独善と不寛容の罪:
If we clearly perceive any one thing to be of vast and infinite importance to ourselves and all mankind, our first feelings impel us to turn with angry contempt from those, who doubt and oppose it. The ardour of undisciplined benevolence seduces us into malignity: and whenever our hearts are warm, and our objects great and excellent, intolerance is the sin that does most easily beset us.
優柔不断が過激を防ぐ:
The oscillation of political opinion will retard the day of revolution, and it will operate as a preventive to its excesses. Indecisiveness of character, though the effect of timidity, is almost always associated with benevolence.
真の愛国者は急がず、たゆまず:
Accustomed to regard all the affairs of man as a process, they never hurry and they never pose.
悪は環境や知識から生ずる:
Convinced the vice originates not in the man, but in the surrrounding circumstances; not in the heart, but in the understanding;
変革には環境と知性を整うべし:
to correct a vice or generate a virtuous conduct he pollutes not his hands with the scourge of coercion; but by endeavouring to alter circumstances would remove, or by strengthning the intellect disarm, the temptation.
各人は異なる他人を憎みがち:
The world is a vast labyrinth, in which almost every one is running a different way, and almost every one manifesting hatred to those who do not run the same way.
過ちを恐れず真理を追求しよう:
It is more honourable to the head, as well as to the heart, to be misled by our eagerness in the pursuit of truth, than to be safe from blundering by contempt of it.
しかし、その目的は博愛である:
The searcher after truth must love and be beloved; for general benevolence is a necessary motive to constancy of pursuit; and this general benevolence is begotten and rendered permanent by social and domestic affections.
謙虚で素朴な心が真理を見いだす:
The man who would find truth, must likewise seek it with a humble and simple heart, otherwise he will be precipitate and overlook it; or he will be prejudiced, and refuse to see it.
偏見に満ちた相手の敵意を刺激しない:
Let us not wantonly offend even the prejudices of our weaker brethren, nor by ill-timed and vehement declarations of opinion excite in them malignant feelings toward us.
このことを肝に命じよう:
It is not enough that we have once swallowed these truths;--we must feed on them, as insects on a leaf, till the whole heart be coloured by their qualities, and shew its food in every the minutest fiber.

次回最終回では彼の評論を中心に、詩への理解を深めていこう。

MicroClassics

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