「英語を読む」 No.31


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「英語を読む」  No.31  1998-6-15日 発行     

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みなさん、こんにちは。 「英語を読む」No.31をお届けします。

今回は、13日(土)に発行を予定していました。しかしたまには月刊誌の記事の 感想もいいだろうと思って読んだthe Atlantic Monthlyの記事の感想が途中で つまずいて、結局今回は間に合いませんでした。長い記事もときどきは読みた いのですが、感想を書くとなるとまだ要領がよくつかめません。

今週号も、Sunday Times・Newsweekを初め、いくつかの面白かった記事を積み 残しています。週刊誌の発行ペースやはり速い。特にTIMEは、US版を読んだ後 には、ASIA版の感想を書けないのが気になっているのですが、なかなかうまく いきません。

1998-6-15

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目次
1. 気になるNewsweek 98/6/8 by MicroWorldNews
2. Sunday Times 98-6-7
 (1)  よみがえるヒッチコック
 (2) カストロよ、永遠に
3. コーヒー、お茶、それともイエス様?(TIME 98-6-15)
4. Newsweek 98-06-15
(1) 爆心地はカシミール
(2) 失われた夢

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1. 気になるNewsweek 98/6/8 by MicroWorldNews

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*Out of Pandora's Box

先週のNewsweekでは、核実験関連の記事はBusiness欄に1ページだけ。世界の読者に はインドネシアの方がずっと緊急な心配だったのですから仕方ありません。しかし、 NO MORE! 今、このまま無視を決め込むなら、核競争が中東まで波及することは必至 です。
まずMichael Elliott氏の総括を読みましょう:

”インド・パキスタン全国民が実験を歓迎したと考えるのは妥当でないが、先週 Vajpayee首相がこれは「人類の1/6の権利」に過ぎないと言ったのは全国民を代表 している。 世界の反発を無視する両国は既存の良識を破壊してしまった。1つの世 界はまだ来ない。強力な兵器は厳重に管理すべきだとする先進国の常識など通用しな い。自国の名誉こそが何よりも問題であれば、それを封じることはきわめて困難だ。 この意味では、実験を阻止できなかったClinton政権を責めるのは安易に過ぎる。ワ シントンの法律がどこでも通用するわけでない。
 ここ数年欧米はインド方面へ注意を払ってきたとはいえない。バルカン、ロシア、 中国がより大きな脅威だった。それが間違いだった。両国は誇り高いだけでなく、強 烈な競争意識と周知の核計画をもっていた。無視すべきではなかったのだ。
 今この誤りを正すべきだ。確固たる政治的リーダシップにより可能となる。両国は 核戦争をしたいのではない。自国の安全保障に対して敬意と配慮がほしいのだ。”

では敬意と配慮とは具体的にどう実現されていくのでしょう?

”パキスタンの人口担当相Abida Hussain氏の話によれば、Sharif首相は早くも5月 3日に米国にインドの核実験予定を警告したという。その文書は「どうせゴミ箱に行 ってしまったんでしょ」とのこと。No more. In Washington, those departmental rubbish bins will likely be replaced by a lot more South Asia desks. (もう 決してこんなことはないでしょう。そういうお役所のゴミ缶はたくさんの南アジア担 当者の机に置き換えられる模様です。)”

こんな扱いを受けていれば誰だって何かやりたくなるでしょうね。
しかし気を引くために核実験が必要だったとは!
どこの国でも官僚ってそんなものでなければよいんですが。

MicroWorldNews

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2. Sunday Times 98-6-7
 (1)  よみがえるヒッチコック
 (2) カストロよ、永遠に

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(1) よみがえるヒッチコック

*Horror over Hitchcock remakes by Christopher Goodwin, Los Angeles

いまやハリウッドでもっともひっぱりだこの監督はSteven Spielbergでも James Cameron でもQuentin Tarantinoでもない。今は亡きヒッチコックだそ うです。少なくとも、彼の6作品が、再映画化の計画があるようです。1年くら い前に、TIMEのESSAYで彼の「めまい」のリメーク版が上映されているという 話しを読んだことがあります。あれは、白黒作品を現代風にカラー仕立てにす るという内容でした。今回のはそれと違って、ヒッチコックの作品の原作を別 の監督が映画化するということのようです。その6作品は「ダイヤルMをまわ せ」(新作品名はA Perfect Murder)「サイコ」「白い恐怖」「裏窓」「39 夜」「泥棒成金」です。

当然賛否両論があるようです。1959年に「北北西に進路をとれ」に出演した Martin Landauは反対。「ヒッチコック以上に彼の映画をうまくとれる監督は いない。」

この議論は非常に微妙な問題を含んでいるから、「ダイヤルMを廻せ」で妻を 殺す夫の役割を演じたMichael Douglasのように、A Perfect Murderがヒッチ コックのリメーク版ということを否定している人もいる。原作のFrederick Knottの劇を基にした作品だからというわけです。Michael Douglasは今度も またまた主役のようです。Dial M for Murderは1954年の作品ですが、A Perfect Murderは今週アメリカでは封切られるようです。しかしこれも大分 前の作品なのに、出演者がよく生きていたな、という感じですが、40年くらい 前に20代で主役を演じたとしたら、まだ70歳前後ですから、当たり前ですね。 ヒッチコックが死んでしまって、バーグマンやらグレース・ケリー、ジェーム ズ・スチュアートといった出演者の中にも亡くなった人が目立つから、ヒッチ コックの作品に出演した人はみんな死んでしまったのかと一瞬錯覚したようで す。 (^^;

ダイヤルMには批評家の反応は厳しいようです。オリジナリティはほとんどな い、とか。しかしBergmanとGregory Peckが演じた「白い恐怖」Spellboundの 場合、女性精神科医、記憶喪失の男性患者、それだけがヒッチコックの作品と 共通で、他はかなり違うものになるらしい。まったく別の作品になるかもしれ ない。これに対して「サイコ」は、カラー作品ということを除けばヒッチコッ クの作品とほとんど同じ内容のようです。「裏窓」では、Supermanを演じた Christopher Reeveが主役を演じるようです。病室の中から対岸の建物の殺人 事件を目撃する映画だから、半身不随の彼にはぴったしかもしれません。

ヒッチコック自身はリメーク版には必ずしも否定的ではなかったらしい。彼自 身1934年の「知りすぎていた男」を1956年に改めて制作しているから。しかし 去年「めまい」のカラー化の仕事を監督したJames Katzによれば、「ヒッチコ ックは今でも通用するから、彼等はヒッチコックのリメークを作るのだ。しか しもし今でも通用するのなら、何故ことさらリメーク版などを作る必要がある のだ」これには私も納得します。私ももう1度見るとしても、ヒッチコックが監 督した作品で見てみたい。

私はここにあげられた作品は大体見ている。「泥棒成金」がはっきりしないの ですが、もしかしたら見ているかもしれない。彼の作品は、昔衛星放送で放映 されたものを録画していて大体主要作品は持っています。もしかしたらまだ見 ていなかったものがその中にあるかもしれない。

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(2) カストロよ、永遠に

*Embalmers prepare for Castro's last stand

カストロの死が近づくにつれ、彼を革命広場の霊廟に永久に保存展示する計画 がひそかに進行しているらしい。キューバも、果たして民主社会に無事soft landingするかと思っていたら、まだこんなことを考えていたとは。カストロ 自身が、社会主義社会からの脱皮をはかっているという観測もあったけれど、 どうやらこの記事は全く違う観測のようです。

しかも死体を永久に保存展示するだけでなく、首都ハバナをカストロと改名す る計画もあるらしい。レーニンの例に倣ったのでしょうが、はたしてうまくい くくかどうか。

万が一カストロが死んだら、という国家的計画が密かに準備されている。それ によると、全土が1カ月の喪に服し、特に(葬式当日の)1日は、テレビ・ラジオ では、funereal music, "patriotic songs", messages of condolence and reruns of Castro's most famous speecheを流すらしい。まあ、これは当たり 前でしょう。ハバナと主要な小学校や工場のいくつかが彼の名前にちなんで改 名される。外国ではこうしたことが好きだから、これもまあ納得できる。しか し非常事態が発され、5000人の反体制派が逮捕されるとなると穏やかでなくな る。

今年始めにローマ法王をキューバに迎えたときのカストロは、パーキンソン病 を患っている法王と比べたら、元気で沈着だった。彼は、平和のうちに権力委 譲が実現することを望んでいるとも伝えられている。後継者には弟のRaulが予 定されているらしいが、カストロ自身が元気な内に政権委譲の民主的なルール を作っておかないと、混乱が起きるような気もします。

カストロには、穏やかな死と平和な永眠を個人的には望んでいますが、このま まだと少し難しいかもしれません。

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3. コーヒー、お茶、それともイエス様?(TIME ESSAY 98-6-15)

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TIME 6/15 US版のESSAYからです。

*Will It Be Coffee, Tea Or He?
Religion was once a conviction. Now it is a taste
By CHARLES KRAUTHAMMER

あのCharles Krauthammerの正体が遂に暴かれた。(^o^)  やはりユダヤ系だ った。私の推測は間違っていなかったから、少し嬉しい。しかし謎のままでい るのが面白い人もいる。この人はその過激な発言ぶりにほとほとあきれつつ、 いつしか気になる人になっていましたから、謎が解きあかされるのは、少し残 念です。知らないままでいる方が、いろいろ考えることが出来て楽しいという 人もいる。この人は、私にとってそうした人物だったから、わざとINTERNETで 調べることもなく、いつその正体が明らかになるかと思っていたのに、案外簡 単に自分から種明かしをしてしまった。もっともただユダヤ系ということだけ ですが、私は後の経歴はあまり興味ないからこれで十分なのです。

内容は、宗教が現代では信仰や信条ではなく、単なる好みの問題になってしま ったということを論じています。いつもと違って、全体の内容を紹介するので なく、今回は記事のあちこちから気になった表現等について書いてみます。

作者は先週病院で検査を受けたのですが、そのとき受け付けの人が名前や職業 や保険証の番号、病歴などを聞いたあとでした最後の質問。What is your religious preference? 作者にはこれが気になった。昔だったら、Who is your God?、一世代前でも宗教は何かと聞いたのに、最近はreligious preferenceになっているわけです。作者のまず頭に浮かんだ答えはが"I think Buddhism is the coolest of all, but I happen to be Jewish."  これで 見ると皮肉屋のKraupthammerも、仏教に対してはあまり辛辣な考えは持ってい ないようです。ユダヤ人は仏教徒からはあまり酷い目に会わされていないから でしょうか。次にヨナに倣って、I am a Hebrew, ma'am. And I fear the Lord, the God of Heaven, who made the sea and the dry land.と答えたか ったが、X線検査を受けるかわりに、変人扱いされて精神科におくられるのを 恐れて、これも口には出さなかった。

結局作者が何と答えたのかは書いていないのですが、多分おとなしく本当のこ とを言ったのだろうと思います。書いていることは辛辣だが、日常生活は常識 人かもしれない。 (^^; とにかく作者の気になったのがreligious preferenceという表現。信仰もいまやコーヒーやワインやセックスやシャツの 糊付けと同じように単なる好みになった。もちろん病院で宗教に冠する質問を するのは、信仰を云々しているのではなく、万が一に備えて必要な事務処理を するための情報が欲しいからなのですが・・・

しかし一見宗教が流行しているから見えるアメリカでもreligious preference という表現に見られるように、宗教がかつての意味あいを失ってきているので しょう。チェスタトンは、無神論者の良いところは(信仰に対して)寛容なところ だと言ったが、それは信仰によってその人の人生が決まり、場合によっては異 端審問にかけられるかもしれなかった時代のこと。現代のreligious preferenceの時代には、車の好みで人が処刑されることがないのと同じよう に、宗教が違うからと言って処刑はされない。

しかし奇妙なことにこの宗教的寛容な時代にあって、現在も生き残っている宗 教的不寛容がある。 that is the disdain bordering on contempt of the culture makers for the deeply religious, i.e., those for whom religion is not a preference but a conviction. どうやらここで言っているのは、 宗教的原理主義者のことではないらしい。逆に文化の担い手the culture makersというのは、時代の先端を行く人たちのことでしょうか、その彼等が信 仰心厚い人たちを(時代遅れだとか保守的だとかいって)軽蔑のまなざしで見る 態度だが問題だというわけです。

Stephen Carterは、現代を「不信仰の文化」the culture of disbeliefと呼ん でいる。そして知識あるもの、洗練された者は、宗教心を持ち合わせていない し、信仰を持っている者に対しては社会的ハンディsocial penaltyが課せられ る。政治の世界で、自分の政策基盤が聖書(宗教)にあるとでも表明しようもの なら、袋叩きに会う。中絶問題でも他の倫理的・現実的・社会学的・医学的な 理由から、賛成反対を表名するのはかまわないが、自己の宗教心から議論を展 開することは出来ない。Call on Timothy Leary or Chairman Mao, fine. Call on St. Paul, and all hell breaks loose. Timothy Learyや毛沢東の 思想に同調するのは良いが、聖パウロの信仰を根拠にすることは出来ない。 Timothy Learyは、名前は聞いたような気がするけど、良く覚えていない。

本文では、Whitewater事件の検察官hickman Ewingを宗教的狂人と評した大統 領補佐官Sidney Blumenthalや、マスメディアのことも書かれています。ここ でNew York Timesはzeitgeist arbiter of the Establishmentと書かれていま す。指導層の代弁者、というような意味あいが濃いのでしょうか。現在の宗教 的色眼鏡で見たら、キング牧師もMobby Dickもとんでもないreligious fanaticということになるとも書いている。

とにかく信仰心ある者にとっては受難の時代と言うことでしょうか。しかし作 者のここの議論は、少し言い過ぎなような気もする。作者が周囲の者と考え方 が違うということで、ひごろ考えることが多々あるのだろうと思います。それ と作者の今までに書かれた考え方は、一種の反語かもしれないと思っていまし たが、やはり本音のようです。

もう1人、TIMEのEssayで良く見かけたBarbaraとか言った過激な皮肉屋がいま したが、こちらの方は最近その文章を読んでいない。しかし謎の人物でどんな 人かなという好奇心を持たせた点では、この文章の作者CHARLES KRAUTHAMMER が一番でした。彼を除いたら、今の所私には他にそういった人は特別いませ ん。

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4. Newsweek 98-06-15
(1) 爆心地はカシミール
(2) 失われた夢

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*Ground Zero Is Kashimir (p.4)

インドとパキスタンに核戦争は起こるのか。時間が経過しても、あまり楽観的 な見方は出来ないのですが、Newsweekでは核問題を単なる軍事問題では無いと いう視点から論じています。

アメリカや世界銀行は、核のバランスが崩れるのをおそれて、経済制裁で対抗 しようとしている。しかし地政学的・援助云々の問題でないことは、援助国の 中で少なくとも日本だけは理解している。これは核戦争の恐ろしさを見にしみ て知っているということでしょう。

印パ両国の軍事費拡大は国家予算の中でもかなりの割合を占める。インドは 100億ドル、これは国内社会計画予算の3倍。パキスタンの軍事費は40億ドル で、社会的費用の10倍以上。domestic social programsとかsocial expenditureの定義はよく分かりませんが、福祉厚生予算などを含む、かなり 広範囲なものだと思います。とにかくかつて「アジアのスイス」とも呼ばれた 観光地カシミールは今では、領土問題に端を発して核戦争に発展する危険をは らんでいる。

しかしその根底に横たわるのは、ヒンズー教とイスラム教の対立がある。イン ドのイスラム人口は、1億2500万人。日本の人口と同じくらいです。nearly a tenth of the overall populationとありますが、これは多分インドのではな く、全イスラム人口の10分の1を占めるのだろうと思います。そしてパキスタ ンの核実験は、インドにとって隣国との対立というばかりではなく、この国内 に抱える巨大なイスラム教徒をどのように扱うべきかと常に表裏一体になって いる。fifth column第五列という古めかしい表現が出てきていますが、いわば 味方の中に数多くの敵がいる。そうした疑心暗鬼がインド人の多数を占めるヒ ンズー教徒に無いとはいえない。現政権の中にも、そうした排外的愛国主義 (この場合は宗教主義と言ってもいいと思うのですが)が、はっきりとある。 インド人民党の基盤はヒンズー原理主義だったですよね。

不安材料として4つほどあげられています。

1. インド国内のイスラムへの改宗運動・・・中近東のイスラム諸国は、リビ アも含めて、インド国内にモスクを含めてさまざまなイスラム施設を作るべく 資金援助してきている。仏教の影響が強かった不可職選民をイスラムに改宗さ せようとしている。原理主義的思想も入ってきているから、今まで穏健派が多 かったインドのイスラム教徒を、過激にする恐れがある。

2. 中近東諸国のパキスタン支持・・・中近東諸国を含めて世界50のイスラム 諸国から構成されるイスラム会議がカシミール問題でパキスタンを支持してい る。その結果、開発途上国の間で、インドのイメージは非同盟国からカシミー ルを暴力的に支配している国へと、悪化している。

3. 貿易の縮小・・・その結果インドと中東産油諸国の外交・経済発展・貿易 関係が、急速に後退している。今までインドの外貨源だった産油国での建設契 約にも韓国やフィリッピンが進出している。インドが原油を20%引きで輸入出来 る特権も一部廃止され、イスラム諸国への輸出も減少してきた。

4. 核技術拡散のおそれ・・・パキスタンがカシミール問題での支持と引き替 えに、リビア・シリア・イラン・イラクのいわばrogue stateに対して、核技 術を輸出するかもしれない。

独立以来インドは宗教と政治の分離をすすめる世俗国家の道を歩んできた。し かしパキスタンは常に宗教国家だった。だからインドは今までも、近隣のイス ラム諸国や国内のイスラム勢力を警戒してきた。しかしインド自身が宗教国家 に突き進むとしたら、どうなるのか。

解決策は、外から見ていても、なかなか難しそうです。

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p>*Lost in America (p.24)

アメリカでヒスパニックの人々が、最底辺層を形成し、若者たちは将来への展 望が見いだせないまま、マフィア化しているという記事です。教育記事などで も読んだことがありましたが、黒人層が体制内で順応しているというか、階層分 化しているのに対し、ヒスパニック系は大多数が貧困層から抜け出せないでい る。ヒスパニック系の呼称は、Latinoを使っています。

アメリカへの移民はヒスパニックが多いと思いますが、彼等がアメリカに住み 着いたとしても、最底辺層に閉じこめられたままになっている。かつてのスラ ムの黒人層と同じようなことが起きている。実際このままの状況が続くと、こ れから10年で、底辺層の最大人種はヒスパニックになる。

しかも問題は移民たちの子供たちである。親たちは故国の貧しさを知っている から、アメリカの生活にも耐えることが出来る。しかし(アメリカ国籍をもつ) 彼等の子供たちは、アメリカしか知らない。しかも自分たちが貧しい生活をし ているのに、マスメディアからは豊かなアメリカの情報が流れてくる。ヒスパ ニックの目を見れば、彼等がどれくらいの間アメリカにいるのかが分かる。ア メリカに来たばかりの第一世代は、希望に満ちて輝いている。しかし彼等の子 供たちの目は、もう輝いていない、というわけです。

基本知識・職業訓練の不足のために、低賃金からなかなか抜け出せない。ヒス パニック系は、出産率が高いためにその人口割合は徐々に高くなっている。し かし高校中退率も、依然として高い。ここに載せられているNewsweekの数字 は、例えばアメリカ生まれの人の場合、ヒスパニックの高校中退率が17%、黒 人が13%、白人が17%となっていて、これは今までに読んだ数字と少し違うよう な気がするのですが・・・

移民の子供たちはギャングを形成している。それに困り果てた親たちが彼等を 故国に返したところ、例えば10年前はギャングが存在しなかったエルサルバド ルでは、移民の帰国子女たち(^^;がギャングの縄張り争いを繰り広げるように なった。

移民は非熟練労働者の流入として大きな問題を抱えているわけですが、アメリ カ社会は彼等を必要とするようになってきてもいる。もうすぐbaby-boomerた ちが引退するにつれて、ヒスパニックの若い労働者はますます重要性を増して くる。彼等にアメリカの未来がかかっているともいえるわけですが、問題は果 たしてその労働転換がうまくいくかということでしょう。

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