Weekly「今週の英語雑誌」 No.21


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Weekly 「今週の英語雑誌」  No.21  1998-1-17日 発行     

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みなさん、こんにちは。 Weekly 「今週の英語雑誌」No.21をお届けします。

今回は、雑誌ごとにではなく、記事のタイトルを目次につけました。記事の数が 少なかったせいもありますが、内容はこちらの方が見やすいかもしれません。

The Timesを初めて取り上げました。新聞ですがまあいいでしょう。14・15・16と 3日分の記事を読んでいます。この事件はまだ進行中なので、面白ければさらに取 り上げるかもしれません。

アメリカの雑誌が少な目ですので、出来たら次号はTIME/Newsweek中心にしたいと 思っているのですが、はたしてどうでしょうか。

1998-1-17

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目次
1. 復活するモルモンの一夫多妻制(Sunday Times, 1/11)
2. 豚2頭、勇敢ある逃走(The TIMES,9/14)
3. ブラウザー戦争とネットスケープ(US News, 1/19)
4. ネタニヤフにチャンスはあるのか。(US News, 1/19)

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1. 復活するモルモンの一夫多妻制(Sunday Times, 1/11) 

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Sunday Times 1/11の記事からです。

* Mormons find new passion for polygamy
Church still frowns on multiple marriages but society is showing more
tolerance

モルモン教の一部で、一夫多妻が復活してきた。主流ではないが、教祖の教え に返れということで、これはモルモン教原理主義とでも言えるのでしょうか。 彼らは教会主流派の反発もなんのその、自分たちの教会を設立しているよう で、社会全般の動きと相まって、極めて快適に過ごしているようです。  (^^;

例えば、Bart Malstromは、38才になる薬草の製造業者ですが、4人の妻と12人 の子供たちとモルモンの州ユタで一緒に生活している。妻の年齢は37才、33 才、27才そして22才です。27才と22才の女性は実の姉妹です。他人の結婚生活 の4倍を享受できるというわけで、Malstromはもちろんなんら良心の痛みは感 じていません。

こうした一夫多妻が、ユタ州では増えてきているようです。アメリカの道徳の 衰退を嘆く宗教的原理主義者が元気を取り戻す中で、こうした動きはあまり気 づかれずにいる。

Malstromの経験によれば、2人の妻しかいないときは、お互いの妻が嫉妬して 地獄だった。しかし多々益々弁ずというわけでしょうか、妻の数が増えれば増 えるほど均衡がとれてきた。But the more you add, the more it is balanced out. これには妻達も同意しているようです。

もともとが一夫多妻を認めていたモルモン教は、1890年に連邦政府から、自分 たちの州としてユタ州を認められたときに、一夫多妻制度を廃止した。だから 公式のモルモン教の教会ではそれ以来一夫多妻制度をwhoredom、つまり売春あ るいは偶像崇拝として排斥してきたのですね。ただ完全に無くなってしまった のかどうかは分からない。本文にもforced undergroundとありますから、地下 に潜ったということは、一部は細々とであれ、行われていた。まあこれは実質 他の社会でも認められていることかもしれませんが、問題はイスラム等にも見 られるように、各配偶者の権利が絡んでくるでしょう。さらに宗教的裏付けが あるとすると、日本などの現代風にいえば妻と愛人の関係とはやはり全く同じ というわけには行かないと思います。

現代の推定では、一夫多妻制度を実践している人々は、家族も含めて35000 人。これは19世紀のモルモンの指導者ブリガム・ヤングの時代より多い。ヤン グは16人の妻と56人の子供たちがいたということです。

宗教的迫害はもはや彼ら一夫多妻主義者には関係ないらしい。自分たちの教会 を持っているから、教会から排斥・破門される心配もない。だからその活動が 根付き始めた。

8人の妻と9人の子供がいる建築業者のRocky Bakerによれば、「私たちの親た ちは苦労した。今では他人の個人生活には立ち入らないから、楽だ。私たちは 初めて社会から認められたと感じている」ということです。

彼らの解放性は、建築にも見られるようです。家族が多いから、かつての教会 を数十の部屋に改造している人も何人かいるようです。その他にも例えばある 金融業者は飛行機のプロペラの形をしたマンションを建てた。10人の妻と28人 の子供のために、37の浴室と31の寝室があるそうです。また3人の妻がいる別 の男は、1軒の家を3つのフラットに分けそれぞれの妻を住まわせている。入り 口も別です。心配りとして、どの寝室も(壁を隔てて)隣り合わないようにして いる。

一番最初のMalstromの例では、中央に最初の妻が住む家があり、その回りをリ ング上に他の3人の妻と子供たちの家が囲んでいる。彼は2晩交代で各妻の家を 回り、第5日目は一人で過ごすようです。ということは彼の生活は10日で1サイ クルを終えるわけです。

もちろんフェミニスト達が主張する性的奴隷として男に従属しているという 批判を、一夫多妻を実践している妻達は正しくないと考えています。仕事を持 っていて忙しいときには、Babysitterを雇う必要もなく、別の母親が面倒見て くれますから。(^^; その他に大家族ですから、いろんな催し物をして賑や かなのでしょう。

記事には直接書いてありませんが、当然こうした家族で育った女性も、また同 じ道を選択することが多いようですね。職業的にも:教師などについている人 もいるようですし、多分ほとんどの女性が経済的には自立に近いのかもしれま せん。このへんも教育との関連は少ないようです。ユタ州は教育水準はどうだ ったかな? 必ずしも低いとはいえないと思うのですが・・・

ただもちろん彼らをとりまく環境が少しは穏やかになったとはいえ、周囲から 浴びる視線は、やはりきついでしょうね。両親や親戚との確執もある。これは 同じモルモン教徒であっても、埋まらない溝でしょう。地域社会との関係も必 ずしもうまく行くとは限らない。さらに2番目の若い妻に多くの愛情を注いだ ために、最初の妻が他の男性と逃げてしまった例もある。

しかしそれにも負けずさらにたくさんの妻を持とうと努力している人も多いよ うです。 (^^;うらやましいような、信じられないような感覚です。

アメリカの社会風俗を読んでいると、とうてい理解できないことが結構ありま す。このpoligamyの復活も、彼らは宗教的信念の持ち主なのでしょうから法律 的・社会的慣習を無視することにはあまりこだわらないのでしょうが、やはり 驚かされる。ここまで堂々と実践されると、私の理解を超える。あとNudistの 活動も理解を超えます。同性愛者の結婚ならば、理解の点ではついていけるが、 感覚の点ではついていけないところも少しある。アメリカはPromise Keeperた ちが活躍していると思ったら、今度はモルモン原理主義者達。もしかしたらま たHeaven's Gateのような宗教が今年あたり何かで話題になるかもしれない。 あまりにも自由で開放的なアメリカの社会。束縛多き社会の住人としては、た だただ唖然とするばかりです。まあしかし面白い記事でした。 (^o^)

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2. 豚2頭、勇敢ある逃走(The TIMES,9/14)

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久しぶりにThe Timesからの記事です。まだ進行形の記事です。まずは1/14 の記事です。

* Fleeing pigs save their bacon

現在逃走中の子豚2頭はまだ捕まっていない。彼らは屠殺される寸前に、屠殺 場から脱出したのだ。

彼らの逃走は、急流を泳ぎわたる場面も含めて、警察と動物動物保護論者 に深い感銘を与えている。警察関係者は言っている。「彼らは朝食のベーコン として定められた自己の運命に逆らって、大脱走を企てたのだ」

ことの始まりは先週の木曜日だった。3頭の5ヶ月のGinger Tamworth種の若い 豚が、Wiltshire州ののMalmesburyの市場に連れて行かれた。最初の1頭は、事 故もなく、自分の運命を受け入れた。しかしあとの2頭は自由を求めて、屠殺 場付近での10分間に及ぶ追走劇の結果、追手の魔の手から逃れた。

2頭はさくの間を押し分けて、Avon川に急ぎ足で進み、対岸に泳ぎ着いた。そ れから近くの森林地帯に身を潜め、警察と野次馬の一団から逃れてしまった。

この騒ぎを見ていた住民の1人、ハリー・クラークによれば、「彼らはとても 可愛かった。とても美しいしょうが色をしていて、すばやくこっそりと薮の中 に消えてしまった。私たちはその日豚肉の切り身を食べたのだが、とても罪悪 感を感じてしまった」

また動物保護論者のピーター・ネヴィルは言っている。「あのGinger Tamworthこそ、真の生存者であり、その脱出への努力で名声を得た。現代の豚 の種の中には、食料にされることにあきらめを感じ、常識というものをなくし てしまったものが多い。しかしTamworthはさすがに違う。彼らは野生の中でも 生き延びるだろう」

OwellのAnimal Farmの指導者も、豚だったはずですが、何種だったかは覚えて いません。(^o^)

最近は、The Timesを読むこともあまりありません。この記事は、最初E. Hayashidaさんから紹介してもらいました。

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勇敢にも遁走した2匹の豚の続編です。1/15日付の記事です。

会議室でGreenyさんからレスをもらいました。

>>以前見た スゴク賢い 豚の映画「ベイブ」を思い出してしまいました。 >>その映画 確か、ゴールデン・グローブ賞を取ったはずですが、 >>当時 豚は以外と賢く、最近豚を主人公にした 本も数多く出ているという記事 >>新聞なんかで 読んだ覚えが あります。

この話をあるところで話したところ、自分を牧羊犬と思いこんだ豚、「ベイ ブ」の話が出ました。そのときはGreenyさんがかいていた映画の名前は、覚え ていませんでしたが、多分そうだろうと思いました。録画したビデオを貸して くれるそうです。(^o^) あまり面白そうだとも思えませんが、Greenyさんは 面白かったですか。 (^^;

*Two, whose plucky escape has inspired a campaign for them to be spared
Boars on run keep wellwishers at bay

さて15日付のThe Timesから、簡単にその後の様子をかいておきます。6日後の 14日現在まだ捕まっていない。しかしどうも反響が大きいようです。現地には テレビのレポーターは大勢来るし、ITNのヘリコプターは上空を舞うし、少し 異常です。

とにかくこの勇敢に遁走した豚2匹、一般の同情をひいているようで、命を助 けてくれるようにという電話や、引き取りたいという申し込みが殺到している ようです。当の屠殺場の責任者である(多分)ニューマン氏によれば、思いがけ ない反応だということです。ロンドンの全寮制の女子校からも、申し込みが来 ている。逃走できるほど賢いことを示したのだから、この2頭は別のチャンス も与えられるべきだと言っている人もいます。

さらに2頭が逃げ込んだ薮の所有者Carl Sadlerは彼らが出来る限り自分の敷地 に滞在することを歓迎するといっているようです。かの地は豚にとっては最良 の場所であり、地下の根を食べてくれたら幸せだということです。この人、伝 統的な編み垣traditional hurdle makerの作り手みたいですね。

さらに英文学の教授は、2頭をFred and Gingerと名付けたようです。どうもこ の名前にはいわれがあるようですが、私には分かりません。教授の説明によれ ば、命名の根拠としては「屠殺業者のナイフから逃れたそのすばらしいフット ワーク」をあげているようです。

しかしもちろん彼ら2頭に同情する人ばかりではない。2頭の所有者のArnold Dijulio氏は、すべての申し込みを断っているようです。どういうことかはよ く分からないのですが、困惑しているのでしょうか。これに対して逃げ込んだ 薮地の隣の畑を所有しているRoy Waine氏は、彼らが掘り尽くした穴を見て、 愕然としたようです。もし生け捕り出来ないならば、射殺すべきだと、残酷な ことを言っています。しかし彼の言い分にはもっともなところもあります。今 は冬のまっただ中で、いつも暖かいとは限らないこと、現在2頭が食べている 林檎などが無くなり、地面が凍結したら飢え死にするかもしれないと心配して いるわけです。 (^^;

この大捜査網にThe Timesの記者も加わったようですが、まだ捕まえていな い。前に述べたニューマン氏の助言では、「耳を引っ張れば、引きずってこれ るかもしれない。しかしTamworth種は普通の豚とは違って、かみつく。だから 私ならそんなことはしないがね」ということですから、どうもTIMESの記者が 実験しているようにじゃがいもなどでおびき出すのが効果的らしい。

今までにも地元の人の思い出に残る豚の起こした事件には、ウェディングケーキ を食べた豚とか、5ポンド紙幣を強奪した豚などがいたようです。この5ポンド をかっぱらった豚は、連れてこられたときYour fee is in the pig.というメ ッセージを持ってきたようです。多分屠殺料金が5ポンドくらいだったのでし ょうか。紙幣が原形をとどめていたのかどうかは、記事からは分かりません。

Tamworth種の説明が載っているのですが、これは古くからの種で動物保護論者 によれば、もっとも知的な動物の1つだそうです。彼らは頑健で、機知に富 み、危険をすばやく察し避ける本能を有しているそうです。ショウガ色だか ら、森に隠れたらなかなか見分けがつきにくい。長い体と足で、他の種よりも 速く、すばやく脱走する能力に関しては、他の種を圧倒している。成長速度も 速く、自活能力も高い。今世紀はじめには、その豊かで香り高いベーコンの原 料としてだいぶ飼われていたが、安く育てることが出来、より多くのベーコン がとれる最新品種が出来てからは減少気味で、現在は珍種といえる。ペットと しても飼えるが、生まれたときから育てなければ少し難しいようです。さすが にこうした大事件を引き起こすだけあって、これはなかなかの代物なのです ね。 (^o^)

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1月16日付The Timesからさらに続報です。

*Net closes in on Tamworth Two

タムワース種の2頭に、昨晩法の力が遂に身近に迫った。そのうちの1頭は逃げ 出したばかりの屠殺場の近くの庭で発見されたが、間一髪逃げおおせた。また もやこの2頭のすばやさが証明された。

昨日1日中話題になっていたのは、この勇敢な脱走者がはたして大勢の追手に 捕まらないかどうかということだった。2頭は薮という地の利点とその狡猾さ において勝っているが、追跡者たちはヘリコプターと軽飛行機(light plane) と豊富な資金がある。

2頭の所有者であるArnold Dijulio氏は、もし2頭が生け捕りにされたら屠殺場 には送らず、それにふさわしい家庭に売却すると発言した。とたんに2頭に対 する買値は15000ポンドに跳ね上がった。London の新聞社街であるフリート街 では、タムワースの2頭組の身柄を独占しようと各社が躍起になっている。あ るタブロイド紙は7人のレポーターを現場に派遣した。The Sundays 紙は、高 額の契約金を用意した。80年代半ばに、the Street紙がスペインでろばのブラ ッキーBlackie the Donkieを死から救おうと大々的な活動をして以来、タブロ イド各紙のライバル意識をここまでかき立てた動物はいない。

The Evening Standard紙は、2頭との独占インタビューを掲載したが、その内 容を信じるものはほとんどいない。特に2頭が黒い眼鏡をかけている写真が掲 載されたからである。昨晩7時、1頭があるタブロイド紙の所有するところとな ったという噂が流れた。その新聞は今日誇らしげに1頭を安全な場所に保護し ていると言っている。

2頭の捕獲作戦の中でもっとも積極的だったのは、養豚業者のDave Lang氏のも のだった。氏は均整のとれた60ストーンの重さのサマンサという雌豚を連れて きた。その尻を見たら、あまりの魅力に耐えきれずに逃亡中の2頭が現れてくる ことを期待したのである。

Mary Clarkeの所有する2エーカーの庭で、1頭の逃亡者が鼻をふんふんいわせ ながら、根を食い散らしているのを発見されるに及んで、Wiltshireの警察も 遂にこの捕獲大作戦に参加せざるを得なかった。警察と英国動物愛護協会の係 官が、2時間にわたって追跡劇を繰り広げた。

しかし彼らの共同作戦は、ロープとネットと明かりを使ったもので、80人もの 見物人がいるという大がかりなものであったにも関わらず、失敗に終わった。 そして4時間後、逃亡者はクラーク家の裏の小牧場に逃げ込んでしまった。

夜になってから動物愛護協会は、発見された場合に備えて、静かにさせるため に(鎮静剤を使うために)ベテランの射撃手を配置することを決めた。協会の Phil Buffuによれば、「彼はもう十分苦しんでいるから、安全に捕獲するのに はこれが最善の方法だ」ということである。

午後になって警察は情報のホットラインを常に最新のものにしている。5時40 分の発表では、「彼は現在捕獲されていない。目下クラーク氏の庭の樅の木の 下で横になっている」 その後の発表では、「他の1頭の所在は不明。透視者 によれば所在は分かっているが、依然として逃亡中である」ということだ。

まだまだ続きがあると思います。 多分。(^o^)

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3. ブラウザー戦争とネットスケープ(US News, 1/19)

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* The browser wars take a toll on Netscape

日本の公正取引委員会も、独禁法違反の疑いでマイクロソフトの調査に踏み切 りましたが、ますます強くなるマイクロソフトの前にはあまり影響はないのか もしれません。今回はマイクロソフトの無料配布とWindowsとの抱き合わせの 政策によって、追いつめられてきたNetscapeの話です。

ネットスケープが1997年全期及び第四四半期での損失を発表したとき、当然の 結果が訪れたと言うべきなのだろうか。同社の株価は暴落し、乗っ取りの噂さ え飛び交っている。

しかしNetscapeの死亡記事を書くのはまだ早すぎる。手元資金は豊富だし、そ の製品への信頼も厚い。その大敵マイクロソフトへの司法省の訴訟は、同社に 短い休息を与えてくれるかもしれない。だが将来が深刻なことに変わりはな い。

NetscapeはNavigateで、最初に閲覧ソフト市場の種をまき、一時は最大87%の シェアを持っていた。それからマイクロソフトが、Internet Explorerを無料 で配布したばかりでなく、コンピューターメーカーに対して、Windows 95をイ ンストールするときには同ソフトをもインストールするように要求した。その 結果、IEのシェアは1996年4月の4%から、現在の40%まで拡大した。今Netscape は、競争のためにNavigatorを搭載してくれるコンピューターメーカーにわず かばかりの契約料しか請求していないが、これをさらにゼロにしようとして いる。

Netscapeの最初のねらいはブラウザー・ソフトで利益を得ることではなかっ た。剃刀メーカーが剃刀の刃で利益を得るように、NetscapeはWeb上での利益 拡大にブラウザーを利用して、"server"ソフトウェアをWeb contentとサー ビス会社に売ることで利益をあげることにあった。

しかしNetscapeの価格政策は、この分野でも、マイクロソフトから圧迫を受け て来た。同じようなソフトをWindows NT OSとバンドルしてくるか、無料で提 供してきたからである。マイクロソフトにはその余裕があるが、Netscapeには ない。「これを競争という人もいるが、その結果技術革新が阻害されている」  多くの会社が、同じようにして淘汰された。消滅した会社には技術革新は出 来ない。

Netscapeの経験は次のことを教えてくれる。どんな技術力のある会社も、マイ クロソフトが豊富な資金とその市場支配力で乗り込んできたとき、事業展開が 出来なくなるということだ。あるシリコンバレーの事業を開始した会社創業者 は、どうしたら金持ちになるかと問われ、次のように答えた。「株式を公開す ることでか。違う。マイクロソフトに買収されることでだ」彼はこれを笑いな がら言ったかもしれないが、彼はジョークを言っているわけではないのだ。

剣によって生きるものは剣によって死ぬ。少なくとも深傷を負う。Live by the sword, die by the sword--or at least suffer some nasty cuts. この 言葉で記事は始まっています。Netscapeの現状を表しているものとして紹介さ れているようですが、しかしこの言葉はいつの日にか、マイクロソフトに、は ねかえらないとは限らない。ガリバーは、競争者をすべて打ち倒し、自分しか いなくなった世界で、真の王者足りうるのだろうか。

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4. ネタニヤフにチャンスはあるのか。(US News, 1/19)

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* Down and maybe out
Netanyahu's survival plan includes a role for Clinton

ネタニヤフをとりまく状況は益々厳しくなってきた。しかしもしかしたら、ま たも彼はこの苦境を乗り切るかもしれない。

外相が辞任して、彼の政権基盤は益々危うくなっている。議会での議席差はわ ずか1。クネセットの120の議席のうち、与党は61。しかも連立を組む与党内部 は政策の違いがかなりある。宗教政党は西岸からイスラエルが撤退すれば、協 力しないというし、穏健派の政党は撤退しなければ支持しないと脅す。こ れではネタニヤフの政権の命運ももはやこれまでのように見える。

しかしどうもそうはならないらしい。少なくとも今すぐ彼が政権を投げ出すこ とにはならないらしい。ヨルダン国王も、アラファトもネタニヤフが政権を保 持するという前提で、動いている。

不思議といえば不思議。リクード連立政権内部であと2・3人の反乱が起きれ ば、不信任案が可決され、総選挙になる。そうなれば現在の予想は圧倒的に、 労働党に有利。49%対36%ということです。しかしそのようにはならないらし い。ネタニヤフ自身の言葉では、「だれもが、計算をしている。Everyone is doing the math. しかしそれでどうなる?この政府とこの連立政権と、この首 相は計算通りにはいかない」と、相手にもしないようです。

彼の作戦は、穏健派と強硬派の中を上手に泳ぎ回り、西岸についての決定を出 来る限り延ばすことのようです。来月クリントンを訪ねるようですが、クリン トンが11%から14%の領土からの撤退を持ち求めるのに対して、連立政権の基盤 の弱さを理由に6%から8%の方針を伝えるようです。さらに国内向けにはこのク リントンとの会談を利用しようというつもりらしい。穏健派のThird Way Partyが4人、強硬派のthe Land of Israel Frontが17人の国会議員を抱えてい るようですから、どちらもうまく取り込みつつ、政策を遂行しなくてはいけな いのでしょう。益々老獪になってきましたが、これでは画期的な政策転換は無 理ですね。

一部撤退を発表してまず穏健派をなだめる。しかしテロが無くならない限り は、撤退できないという条件をつけて、事実上撤退しないことで強硬派を引き つける。さらに西岸問題とは別に、改革・保守派のラビによるユダヤへ教への 改宗させる権限の議論の委員会報告が今月末に出るようです。結果次第では、 10人の国会議員を有する宗教政党Shas Partyが政権離脱するかもしれない。こ う見てくると、ネタニヤフが政権の座についているのは奇跡としかいいようが ない。まあ彼は自分が政権を失えば、労働党が政権につくぞといっているよう ですし、事実その通りでしょうが、この一点だけで連立与党はまとまっている のかもしれません。このへんが彼の悪運が強いところのようです。 (^^;

さらに駆け引きも上手なようで、どうしようもなくなったら11月に総選挙を行 う手もあるようです。リクード内部で彼のライバルであるのがいずれもテルア ビブとエルサレムの市長のようですが、この両市とも11月に選挙がある。だか ら彼らが首相の座を狙おうとすれば、市長職をあきらめなくてはいけない。今 の状況では、リクード内部で大きな反対にはなれないのかもしれません。

労働党の比較では、ネタニヤフは自分が国際的圧力にも耐えうる実務家である ことを強調しているようです。だからアラファトとも話し合えるというわけで すが、現状維持のままをなだめすかしながら維持していくようでは、アメリカ の幻滅とパレスチナ人のいらいらは増すばかりでしょう。

多くの政治的綱渡りを演じてきたネタニヤフを評して、地元紙の中には「魔術 師」と呼んでいるのもあるとか。しかしかれ自身によれば、単なる生き残り survivorではなく、「勝利者」winnerだということです。しぶといですね。

 (^^; 

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