Weekly「今週の英語雑誌」 No.20


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Weekly 「今週の英語雑誌」  No.20  1998-1-8日 発行     

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みなさん、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

今年初めての Weekly 「今週の英語雑誌」No.20 をお届けします。おかげで、 No.19の発行部数は、1000部を越えました。正直なところ、ここまで増えると は思っておりませんでした。

今年1年がどんな年になるかは、世界が激動の時代であることは分かります が、こと自分のことになるとよく分かりません。去年の予想もあまり当たらな かったのですが、去年の場合は予想よりも現実の方がはるかに大きな変化があ りました。今年も、まず当たらないでしょうが、私の英語雑誌関係についての 目標をあえて書いておきます。

1. WeeklyをNo.50まで発行すること。これが最大の目標です。もちろん順調 にいけば、これは達成できるはずなのですが、やはり簡単には行かないように も思っています。毎週発行するというエネルギーを維持し続けることは、大変 なところがありますから。

2. 記事をもう少し掘り下げて読みたい。長文記事とか、経済関係の記事も丹 念に読みたいと思います。今回はかなり長めの記事もあったせいか、記事数と しては5本と多分今までで一番少なくなりました。

なかなかつつましい願いですが、果たして実現できるでしょうか。

正月に少し怠けていたので、発行日が少しずれました。

1998-1-8

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目次
1. The Sunday Times 98-1-4
2. TIME US版 97-1-12
3. The US News 97-1-12

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1. The Sunday Times 98-1-4

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1. アラファト政権の腐敗
Revolt builds against Arafat
Palestinian president accused by his own party of failing to curb
rampant corruption and alleviate poverty

今年初めの感想として1月4日付のThe Sunday TimesのWorldの記事からいくつ かを読んでみました。まずはパレスチナの記事から。

アラファトが来月もしかしたら不信任案決議の不名誉を受けるかもしれない。 不透明な中東情勢ですが、これは別にイスラエルとの和平が進展しないからで はない。身内の腐敗堕落が原因です。一般住民の貧困をしり目に、一部高級官 僚の腐敗ぶりが目につくからです。本文ではsenior officialsとなっています が、当然アラファトの側近が含まれます。

一部の高級役人が豪華な邸宅を建て、高級車を買っているのが、未だに難民キ ャンプで苦しい生活をしていたり、ガザ地域では48%の失業にあえぐ国民から 見て批判が高まっている。これにはアラファトのファタ党内部からも、怒りの 声が起きているようです。彼は大幅な改革と汚職根絶の手段を講じると宣言し たようですが、失敗すれば35年にも及ぶパレスチナの最高指導者としての地位 を失うかもしれない。

ある大臣は数十台のMercedesを関税なしで輸入し、それを市場価格で販売して 利ざやを稼いでいる。さらにリベートやら、財源の横領なども含めると、国庫 の40%近くが無くなっているようですから、住民が怒るのも当然といえば当然 でしょうか。

本文では3人ほど例が紹介されています。PLOの執行委員会の事務総長Abu Mazenはガザの繁華街に推定250万ポンドの豪華な邸宅を建造した。この人はア ラファトの後継者とみなされているようですが、その家は3階建てで塔などが ついた豪華なもののようです。同じような家を西岸のRamallahの町にも建てて いる。息子達によれば資金は西側で稼いだものということのようですが、住民 の疑いは晴れず、怒りも収まらない。

近くには1988年にイスラエルによって暗殺されたAbu Jihadの未亡人Um Jihad の家がある。彼女の家はAbu Mazenのほど豪華ではないようですが、彼女は年 収20000ポンドの社会福祉大臣。その仕事は貧しい人たちの面倒を見ることで すから、目立つらしい。彼女は建築資金の出所説明を拒否。

しかし一番豪華なのはガザの治安責任者(? the head of Gaza's security service)Mohamed Dahlanの家。地上5階、地下2階の、80室もあるといわれる豪 華な邸宅です。どうやら外観というか、外枠は完成したらしい。

こうした建物に対する国民の反感を気にしてか、パレスチナ自治政府はそうし た家の写真を取ることを禁じたようです。Dahlanの家の写真を撮うとした Sunday Timesの記者は、カラシコフ銃を持った係官に阻止され、邸宅に近づく ものは誰でも逮捕されると脅かされたようです。Dahlanの年収は2万ポンド足 らずのようですが、突如として建設を中止した。理由は「彼がそうしたかった から」He stopped it just like that, just because he wants to.というこ とです。

アラファト自身は、安全上の理由から6つくらいの家を転々としているようで す。まあこれは彼の家ではないようですが。彼の場合、家にかえることも稀な ようですから、そんなことを考える余裕もないのでしょうか。

まだ汚職の告発はないが、彼らの資金源としては政府企業の取引に疑いがもた れているようです。食料輸入から土地開発まで、幅広い活動をしているのが政 府企業のようですが、どうもその内容は秘密になっているらしい。政府側の主 張はなんら法律に違反する活動はしていないということのようです。

こうした腐敗ぶりと比べたとき、ハマスの活動は目立つ。海外では過激派のイ メージが強い彼らは孤児院・養老院を含めて、幅広い福祉事業を行っている。 学校やら、病院などを経営していることは、時々雑誌などで読みますね。

自治制府が堕落すればハマスの人気は上がる。そうすると中東和平はますます 遠ざかる。68才のアラファトは、いろんな事件やらパーキンソン病に似た症状 と闘いながらも、頑張っている。様々な改革も約束している。それに応えるか のように、西側諸国は今年6億ポンドの援助を約束した。

国連やEU、それにそれぞれの援助国は多かれ少なかれパレスチナの腐敗に気づ いているが、このまま自治制府を支えていかなければならない。少しの不始末 には目をつむらなければならない。ある国連の役人は語っている。「アラファ トが指導者であることが、我々の利益にかなう。もし援助がなければ、彼は1 日と持たないことは我々はよく知っている」

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2. 人民の敵、ベリア
  Kremlin guard reveals how he shot hated Beria
An executioner of the chief of Stalin's secret police ends enduring
mystery

ベリア(Lavrenti Beria) の死の真相が明らかにされた。この人知る人ぞ知 る、有名な人のようです。私は知りませんでした。 (^^; まあ40年以上前 に処刑された人のようですし、現在興味を持ったり知っている人はほとんどい ないと思いますが、読んでみたら面白かったので、書いておきます。

どうやら彼はスターリン政権下で、KGBの責任者として知識人を粛清し、300万 人もの人々を収容所に送り、スターリン死後の一時期その後継者とみなされた こともある人のです。フルシチョフとの権力闘争に敗れ、ソ連内部でも、犯罪 者・裏切り者の烙印を押された。国外では当然イメージはよくない。いわば世 界中で嫌われていた人物、それがベリアのようです。ところが一方では、彼は 死んでいない、アルゼンチンに逃れたという伝説も根強く生き残っていたよう です。ヒットラーやらナチスの指導者が生きているという噂があったりして、 どうもアルゼンチンは独裁者の天国と思われているようですね。この記事は、 彼を自ら処刑した人物が語る真相だと言うわけです。

ベリアの死の真相は今まで少しは明らかにされているが、全体像は分からなか った。ベリアの息子は、ベリアは逮捕当日に処刑されたと言っている。しかし エリツィンもまだKGBのすべての文書を公開していない。公開するにはまだ国 家の威信を損なうような多くの文書があるということなのでしょう。

現在83才になるHizhnyak Gurevichは、ベリアの逮捕時にも、そして6カ月後の 死の瞬間にも現場に居合わせ、さらには拘禁中も彼の世話をし続けていたとい う人物。ベリアを火葬にし、その灰を強力な送風機でまき散らしたのも彼。い わばベリアという人物の最後を語るには打ってつけの人物と言うことになりま す。この人、スターリンを愛し、ベリアを尊敬していた人物のようです。ベリ アがおかした犯罪は何も知らない。ベリアを命令によって処刑したことに、か なりのショックを受けたようですが、その彼が今初めて真相を語ると言うわけ です。

ベリアはスターリンと同じグルジアの生まれ。1938年にモスクワに呼ばれ、 KGBの前身NKVDの責任者となる。一時は原爆開発の最高責任者でもあったよう です。彼はKGBを根城に、20世紀の冷酷な独裁者の後継者たらんとした。ここ でdictatorsと複数となっています。スターリン・ヒットラーがこの中に含ま れることは確かですが、まだいるでしょうか。若い女性を護衛に誘拐させた rapistでもあり、torturerでもあった。実際5年前、モスクワの彼の家近くの 建設現場から犠牲者達の骨と考えられるものが発見されている。

とにかくGurevichが語る事実を見ていきます。時は1953年6月。Gurevichはス ターリングラードの戦闘、ベルリン陥落に参加したベテランで、当時赤軍の 少佐。6月26日に彼は50人の信頼すべき部下のリストを渡され、重武装するよ うに言われる。この時までにフルシチョフは最大のライバル、ベリアを失脚さ せるべく、そして自分がソ連の最高指導者になるべく十分な支持を打ち立てて いた。

会議が開かれ、そこでベリアは裏切り者として逮捕される。これは彼にとって は予期しないことだったようで、ポケットには赤インクで書いた自分の護衛宛 のalarmというしわくちゃのメモが見つかったようです。Gurevichたちは、逮 捕されたベリアを護送するものたちの護衛を命令されたわけです。もちろん Gurevichは、最後の最後までベリアが逮捕されるということは知らなかった。 スターリンに次いで権力者であった人物が逮捕されたことで、Gurevichはショ ックを受けるようです。このへんはソ連の軍人は律儀正しいというか、なかな か職務に忠実ですね。 (^^;

真夜中にベリアを乗せた黒塗りの車はクレムリンを離れる。ベリアは車の中 で、自分を逮捕した人物達に取り囲まれ、跪いたままモスクワの中心街にある 地下室に護送された。地下室はもちろん厳重に警戒され、Gurevichは攻撃を受 けたらベリアを処刑するようにという命令を受ける。その後の6カ月間、 Gurevichもまた一種の囚人だった。ベリアの隣室で寝起きし、彼のすべての面 倒を見なければいけなかったからです。2つの部屋はベルで結ばれ、ベリアが 何かしてもらいたいときにはそのベルをならしたわけですね。

時が経つに連れて、ベリアとGurevichはお互いが好きになってきた。ベリアは GurevichをMishaと呼び、最初のうちは自分は無実ですぐ釈放されるから、そ のときはGurevichの面倒を見てやるなどと言っていたようです。しかし時と共 に死を覚悟していくようです。

Gurevichはベリアの裁判ごとに彼を護衛して行くわけですが、1953年11月に警 備が厳重になってきた。死刑判決後、執行までは記事からは分かりませんが、 即座に行われたような感じです。ベリアはGurevichに自分の一人息子を捜して 真相を話してくれるように頼む。彼は全体的に見て、死を比較的冷静に受け入 れた。権力闘争を戦ってきたものとして、威厳ある行動を取ることは知ってい たようです。

空軍少将のBatiskiiが、近距離でベリアを撃った。それからGurevichや仲間の 将校達が2ヤードのところから、発射した。どうもGurevichが空軍少将に次い で、発射したようですね。日常の世話をさせていた者までも、処刑に立ち会わ せるということは、少し残酷のような感じもしますが、このへんは何か考えが あるのでしょうか。

ベリアの処刑後すぐに、彼の部下だった者の多くが処刑された。大ソビエト百 科事典の編集者は読者に、ベリアの項目を剃刀で切り取るようにと通知を出 す。さらにベーリング海Bering Seaの解説をベリアの上に張り付けるようにと 送ります。まあこうした歴史的ねつ造はよく行われていたのでしょうが、とに かくこれ以後ベリアの名前はソ連史の中では単なる犯罪者としてしか扱われな かった。

スターリンを敬愛する者は、現在でも多いが、ベリアは数千人の死を招いた犯 罪者としてしか扱われていない。Gurevich自身は、現在でもベリアを気の毒に 思っているようです。彼はベリアの息子に、死の真相を知らせる手紙を何通も 書いたが、息子は信じようとはしない。彼は元ミサイル科学者で、現在はキエ フで年金生活を送っている。いつかKGBのすべての文書が開放されたとき、父 親が犯罪者でなかったことが分かる、と堅く信じているようです。しかしとも かく息子は生き延びたのですね。

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3. ラシュディー、インドの豪邸の所有権を主張
Rushdie claims £1m Indian house of death
Novelist becomes protagonist of saga with elements of acrimony
reminiscent of his fiction

「悪魔の詩」を書いたために、イランのホメニィーから一方的に死刑判決を受 けたSalman Ruhdie、その彼がインドのデリーにある100万ポンドの家の所有権 を主張しているという記事です。この間の事情は辛辣さと陰謀に満ちた彼の作 品をほうふつさせるものであるとか。100万ポンドといえば、現在の円相場で 行けば2億2000万くらいですから、これはインドの感覚ではものすごい豪邸で しょうね。何故Rushdieがこの家の所有権を主張するのかははっきりしないと ころもありますが、とにかく長年もめていたことは事実らしい。

1940年代に、Rushdieの父親で裕福なビジネスマンだったAnis Ahmedがその家 を買った。1963年に一家はインドからイギリスに移る。このとき現在の所有権 を主張している退役軍人のInder Mohan Lalが、家の半分に家族と共に移り住 んだ。このとき弟(多分。兄かもしれませんが)のJag Mohanも移り住んだ。彼 らが移る根拠となった権利関係が記事からは良く分からない。賃貸借だったの か、それとも売買だったのか。残りの半分を占有している前国会議員の Bhikuchand Jainは売買だったといっているようですし、Rushdie側は1970年代 から占有者は家賃を払っていないと言っているようですし、偽造文書云々も書 かれていますから、このへんが争いの焦点になるようです。まあ両者の言い分 が違うのですから、第三者には事実はよく見えないのは仕方がないでしょう。

ともかく数年来Rushdieと占有者の間には裁判上の争いがあった。そうしたと き10月26日にInder Mohan Lalが、弟のJag Mohanに殺されると言う事件が起き た。タイトルの「死の家」house of deathというのは、このへんを指している わけです。まあ死因に関しては問題もあるようですが、とにかくRushdieに云 わせれば、賃借者が死亡した。法律上の扶養家族はいなかったらしい。弟の Jag Mohanを初め親類のものたちが、なお住んでいるのですが、どうやら彼ら には権限はないらしい。だからRushdie側はInder Mohan Lalが住んでいた居住 部分を封鎖するようにと主張しているわけです。

Rushdieの父親Anis Ahmedは1987年に死んだ。長年裁判を争っていたようです から、彼の死後、事態はますますこじれていたのでしょう。

ただこうした裁判問題を離れても、なかなか問題はあるようです。仮に Rushdieが、裁判に勝訴したとしても、自身で財産を直接調べることは出来そ うにもない。インド政府が彼にビザを発行しそうにないからです。インド は、「悪魔の詩」を最初に発禁処分した国。今でも国内には多分1億人以上の イスラム教徒を抱えているはずですし、パキスタンとの関係は最重要課題でし ょう。もしもRushdieの訪印を許すようなことがあったら、イスラム教徒とヒ ンズー教徒との衝突が発生し、政治問題になるでしょう。だから近い将来 Rushdieがインドに行ける見込みはまずない。

それにも関わらずRushdieのインドに寄せる思いもまた深い。彼の最新作The Moor's Last Sighは、インドとその人々とそして彼らの都市を豊かに描写して いるようです。彼の作品のミューズの源はインド。そのインドに1980年代半ば から帰っていない。新しい創作のインスピレーションを得るためにも、彼はイ ンドに帰りたいようです。

実は彼はデリーの家の他に、先月5年にも及ぶ裁判の結果、ヒマラヤの避暑地 Solanの別荘の所有権を回復した。そこには既に電話とFAXを備え付け、管理人 を置くように手はずも整えた。彼はそこを自分自身や他の作家や芸術家のため の静養先にしたいらしい。もう監視付きの生活には飽き飽きしているでしょう から、落ちついた生活を望んでいるようです。

しかし彼のいらいらはまだまだ続く。BBCが彼の小説Midnight's Childrenの映 画化(テレビ化?)しようとしたとき、インド政府は自国でのロケを許さなかっ た。スリランカで許可されて、現在進行中のようですが、そのスリランカでも 反対意見は強い。彼のように、常に死の脅迫と向き合って生きていることは、 つらいでしょうね。

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2. TIME US版 97-1-12 

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*カジンスキー 自身の希望
At His Own Request
Is Kaczynski's rejection of his best chance for a defense a result of
paranoid schizophrenia?

Unabomber裁判が今週から始まるようです。しかしカジンスキーは、弁護側の 方針を拒否した。予想通りということでしょうか。彼を誇大妄想的精神分裂症 とする弁護士の方針に対して、自ら地方裁判所判事(U.S. District Judge)に 手紙を書き、自らを代理したいと言った。represent himselfとありますが、 自分で訴訟方針を決める、少なくともその意思能力はあると訴えたのでしょう か。協議の結果、弁護側は最初の方針を変更して、カジンスキーが精神的に病 気であるという主張はしない。

これでまず膨大な証拠と合わせて、彼の有罪は決定したようなものです。彼 が自分のおかれた状況を客観的に認識できないほど狂気であることは確かだ が、それは法律的に責任能力がないと言うことではない。弁護側はこうした主 張を崩そうとしていたのですが、まずその点は被告本人の手で閉ざされた。検 察側の主張、「すべての連続殺人犯は狂人だ。だからといって彼らに死刑判決 を下してはいけないということにはならない」 カジンスキーは精神病医の診 察も拒んでいるようですが、これも検察側に言わせれば精神病と言うより仮病 を装っている場合によく見られる、ということになります。

弁護側は依然として、精神に問題があると考えているようですが、有罪確定 後の判決審理の過程で、精神的欠陥を減刑酌量の要因として持ち出すようで す。もしかしてカジンスキーが少しでも運があったら、死刑判決を免れるかも しれない。弁護士がカジンスキーの頭脳的欠陥を論議することは、彼にとって は好ましくないだろうが、どうもそうしないことには彼の命は救われないら しい。

カジンスキーがきちんとした身なりをして、メモを書いていたり、弁護士と話 し合っているのを見た人は彼をとても精神的に病んでいる人とは思わない。も ともと誇大妄想的精神分裂症の人は、外見上ではなかなか普通の人と見分けが つかないようですが。 正常と異常、これはちょっとした違いなのでしょうか。

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3. The US News 97-1-12

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* 愚かなマイクロソフト (^^;
From two different planets
The culture clash between Microsoft and the Justice Department

US News 1/12の記事からです。タイトルに対して、怒った方もいるかもしれま せんが、お許しを。これは私の本意ではありません。本文にそう書かれている のです。 (^^;

Michawl CartonはPC Week Labsの技術担当重役。当然コンピューターに詳しい 友人が多いが、例によって彼らは2つの陣営に分かれる。反マイクロソフト派 と、マイクロソフトの支持者とにである。ところがこの年末年始のパーティに 参加して驚いた。それはマイクロソフトのことを否定的に話す人が多いことに である。しかもその中にはマイクロソフトの崇拝者達(biggest fans)も含まれ ていた。彼らの多数が言っていた言葉。"Boy, Microsoft is being stupid." be動詞も進行形になるのですね。まあいつもというわけではなくて、「マイ クロソフトは今回は馬鹿げたことをしている」というような感じだと思うので すが。

しかしとにかくこんなことは今までになかったことだ。マイクロソフトは多く の点で批判されてきたが、しかしstupidといわれたことはない。多くの人を困 惑させているのは、裁判所は、マイクロソフトがコンピューター・メーカーに Windows95とブラウザーのIEを分離することを許可するように求めているの に、マイクロソフトがそれに敵対的な態度を取っていることにある。

マイクロソフトは司法省と独禁対策責任者のJoel Kleinを「ソフトウェアのデ ザインの才能がない情報不足の法律家集団」と侮辱しただけではない。 Jackson判事の決定に対して、どのメーカーも受け入れないような代替案を提 示したのだ。すなわちOSからIEを外したいと思うWindowsの被提供者(license e)たるコンピューター・メーカーは次の2つのいずれかを選択できる。

1. Windows 95の2年以上前の古いバージョンを選ぶ。
2. WindowsからIEを外せるが、そうするとOSが働かなくなる。

これ、読み違えていないと思うのですが・・・多分前にもニュースで読んだこ とがあったと思いますから。しかしこんな代替案をまともに提示するとは、普 通は考えられないですね。司法省が怒り狂ったのも無理はない。マイクロソフ トに新たに侮辱罪の訴訟(contempt suit)を起こした。裁判所もこれには怒っ て、1月13日にこの件での聴聞会を開くようです。

まあマイクロソフト側に立って考えれば、技術会社の常として、調停とか、人 間関係の複雑さとか、妥協とかそうしたことが分かっていないらしい。その社 員も何よりも合理性を重んずる社風にどっぷり浸かっていて、論理的なコンピ ューターのコードしか目に入らないらしい。

不思議なことにマイクロソフトは裁判所が命ずる曖昧な言葉を自己流に解釈し ようとしてきた。そのよい例が1994年のマイクロソフトと裁判所(? 司法省? Justice)の同意だ。これではマイクロソフトは統合ソフトの開発は出来るとさ れたが、何が統合ソフトであるかは明確にされなかった。この不明確さが今回 の司法省のマイクロソフトの協定違反告訴となっている。

それ以来司法省は概念の明確化に務め、11月に裁判所にマイクロソフトがコン ピューター・メーカーにIEをインストールするよう強制することを止めさせる ように訴えた。しかしそのときはIEのアイコンをWindowsのスクリーンから取 り除くことを、マイクロソフトが認めればよいという単純な要求だった。仮決 定として、裁判所は完全な除去(?full treatment)を求めた。これに対してマ イクロソフトが、IEを外すことは、Windowsの機能を損なうと主張したことか ら、司法省は要求を修正しIEの97%をハード・ドライブに置いたまま、IEのア イコンを除去してもうまく機能するかどうかの道を探っている。

上の段の文章には間違いがあるかもしれません。なにしろWindowsを使ったこ とがないから分からないのです。それと関連記事は結構読んでいるのですが、 読んだだけではなかなか知識として頭に入らない。こうやって書いてみると、 自分の知識不足がよく分かります。 (^^; めんどくさいので、関連記事は 調べていませんので、悪しからず。

しかし裁判官はなかなか熱心な人のようで、仮決定を下したあと、自分でいろ いろやってみてIEをWindowsのuninstall programを使って簡単に外したそうで す。専門家によればどうもIEを外すことは簡単に出来て、しかもOSにはなんら 悪影響がでない方法があるらしい。そうだとするとマイクロソフトは、ここで も嘘をついていることになる?

マイクロソフトは司法省と対決することのリスクを感じてはいるものの、どう も全面対決の姿勢を貫くようです。その根拠として政府の介入は将来のソフト 業界の発展に悪影響を及ぼす、と言っているようです。もちろんシリコンバレ ーも政府の介入は好まないのですが、マイクロソフトは長期的に見たらあまり 利口な態度とは考えていないようです。それでなくともマイクロソフトはシリ コンバレーでは、あまり人気が無いようですから、同情者が少ないのかもしれ ません。

記事では最後に科学と人間性の相互の無理解に例えて、技術者と政治家の断絶 を言っています。お互いの理解がなければ、テクノ産業は危機に陥るだろうと 書いています。しかし最後に突然、業界一般と政府のことをいわれても、ちょ っとぴんときません。これはマイクロソフトと政府の関係であって、別に他の テクノ企業は関係ないと思うのですが。まあマイクロソフトがガリバー企業に なってきているのは分かりますが、マイクロソフトとコンピューターソフト業 界は同じではないと思うのですが。

しかしマイクロソフトの弁護士はなにをしているのだろうか。とんちんかんな 反論をしているのをからかわれているのをどこかのWEB サイト出見たことがあ りますが、この辺は客観的な事実なのかどうかは良く分かりません。

どうもマイクロソフトのことを書くと、私の偏見が入ってくるようで、もしか したらとんでもない読み違いをしているかもしれません。 (^^; なるべ く記事に沿って客観的に書いたつもりですが、何か気がついた方はコメントを お願いします。

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