Weekly「今週の英語雑誌」 No.19


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Weekly 「今週の英語雑誌」  No.19  1997-12-27日 発行     

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みなさん、こんにちは。 今年最後のWeekly 「今週の英語雑誌」No.19をお届 けします。

世界にとっては今年も激動の1年でした。私にとっては、個人的な仕事とか生 活では穏やかな1年だったのですが、パソコン生活というか、通信生活ではか なり大きな変化を経験しています。そのなかのBest Fiveを挙げると、

1. Internet 接続 (3月中旬)
2. Home Page 開設(8月10日)
3. Weekly発行(9月22日)
4. NiftyのHome Pageを開く(12月16日)
5. Internetで各種の英語の雑誌を読めるようになったこと。

5は他の内容と重複していますが、結局これが一番大きいのかもしれません。 別に英語の雑誌でなくてもかまわないのですが、多くの情報に接することが出 来るようになったこと。初めてNiftyに接続した去年も、情報の海におぼれそ うな感じを受けました。しかしやはりInternetの世界は、パソコン通信の世界 以上に情報があふれています。この中にどっぷりひたったせいか、1年前はど う感じていたかがはっきりと分からないほど、遠い昔のように思えます。果た して来年はどのような年になるのでしょうか。

皆様が、良いお年を迎えられますように。

1997-12-27

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目次
1. The Sunday Times 97-12-21
2. Newsweek 98-1-5

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1. The Sunday Times 97-12-21

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1. フランスで暴動が多発。
French city riots over police killing
Youths go on rampage in Lyons after man shot in mouth during interrogation

フランスの若者が荒れてきているようです。16才から26才の若者の失業率が、 25%にもなるという事実が背景にあるのでしょうが、各地で警察などとの衝突 が起きているようです。

まずリヨンでは、24才の若者が警察内で射殺されたのをきっかけに、暴動が発 生。原因は犬の窃盗のことについての議論と言うことのようですから、まあさ さいなことですね。それを1人の警察官が、自分のpump-action gun(ポンプ連 射式の銃)で、容疑者が警察に到着するとすぐに射殺した。彼は、同僚の警官 が銃から弾を抜いていたと思っていたと弁解しているようです。ただ以前にも 容疑者に暴行を加えたことが3回ほどあるようですから、銃を振り回して容疑 者を威嚇することは、普通だったのかもしれない。

この知らせを聞いて100人ほどが警察・消防士などに石や金属、木などを投げ つけ、30台の車を炎上させた。さらに周囲の高層住宅からも、ビンやコンク リート片が投げられたようです。少なくとも金曜日と土曜日は暴動が続いてい る。火炎瓶も投げ込まれているようです。火炎瓶はa Molotov cocktailだと思 っていたら、a petrol bombという言い方もあるようです。たしかにこちらの 方がわかりやすいですね。

パリ郊外では、16才の少年が交通検問を突破して頭に銃弾を撃ち込まれて死 亡。これに200人の若者が反発して、やはり騒動が起きている。少年の身元は 最初から分かっていたようですから、何故翌日家にいるところを逮捕しなかっ たのか、というわけです。

両方の事件とも、警察の対応のまずさが気になります。ある若者の言葉、We want a professional police force, not cowboys who think they are in New York.しかしこれがNew Yorkだったら、銃の撃ち合いで大変なことになっ ているかもしれません。

若者が警察に欲求不満のはけ口を求めるのは、この2つだけではないようで、 ニースとかストラスブルクとかでも発生しているようです。そしてツーロンな どでは、公共輸送機間の運転手が身の安全を恐れて、就業拒否の事態になって いるようです。大分深刻なようです。社会党政権が、労働時間を短縮してで も、失業率の低下をはかるのはもっともなことかもしれません。

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2. レーニンの遺体はどこへ
Bury him, says Lenin embalmer
Biochemist says preserving body of founder of Soviet state is barbaric

レーニンの遺体をどうすべきか。現在赤の広場に眠る彼の遺体は、もう母親の 眠る墓地に埋葬してやるべきではないのか、というのが元遺体管理者の言葉で す。

現在84才になるIlya Zbarskiは、レーニンの伝説をその精神面と同様に肉体面 でも生きながらえさせるべく、そのほとんどの社会人人生を捧げたようです。 ただこれには少し問題もあるのですが、これはあとで触れます。彼は現在赤の 広場の大理石の中に眠るレーニンを、ペテルスブルクの墓地に葬ってやった方 がいいと考えているようです。もちろんこんなことはスターリン時代には考え ることさえ出来なかった。

彼がembalmer, つまり遺体整復師のチームに加わったのは1934年。21才くらい の時でしょうか。彼の父親が、初めからその職にあったようです。彼はそれか ら18年間を、遺体をpeachy colorにするために、つまり色つやをあたかも生き ているかのように見せかけるために、働いた。これは生化学者としての彼にと っては、華やかなキャリアだったのでしょう。そのための苦労がいろいろ書か れています。2週間に1度の検査、18カ月間隔での数週間にも及ぶ化学的処理。 失敗すれば、収容所送りになっていたでしょう。戦時中には、レーニンの遺体 をシベリアに疎開すべくクレムリン護衛隊の1小隊がつけられた。レーニンの 遺体を腐敗と悪臭から防ぐことには、いわば国家の威信がかかっていたのかも しれません。Zbarskiが、第2次大戦終結まで、遺体管理に当たります。

しかし1952年に父親がでっち上げのスパイ容疑で逮捕されると共に、彼も職を 解かれます。このとき彼は39才位のはずです。そのあとZbarskiが、どんな人 生を送ったかはよく分かりません。しかし仕事人生の大部分をレーニンの遺体 管理に過ごしたということですから、それからの45年間はあまり自分にふさわ しい職にはつかなかったのでしょう。科学者のチームが、彼からその職を引き 継ぎます。

死してなお国民の前にその姿をさらす。それは栄光というよりは、悲惨という 感じが私には強いのですが、多くの人にとっては、やはりそれが望ましいので しょうか。エリツィンもまだはっきりとは決断が出来ないらしい。革命の父レ ーニンの持つ威厳は、以前として一部の人には根強く残っている。なかなか権 力者は簡単には消えてくれません。

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3. 黒人によるアパルトヘイト
Race in America - US blacks opt for school apartheid
Tony Allen-Mills reports from Detroit on the rapid rise of Afro- centric education

アメリカで黒人達が学校の現場で、同化よりも分離・分化の道を選んでいると いう記事です。タイトルにapartheitが使われています。白人達から差別され るのでなく、黒人達が自発的に選んでいるという意味でしょうが、この傾向が どこまで強くなるのかは分かりません。

Aisha Shule中学校(secondary school)は、黒人の子供たちの通う学校。校長 は多分Imani Humphrey。まずは、この学校の紹介が詳しくされています。場所 はデトロイト。

1日の学校生活の終わりに生徒たちが唱える言葉。"We pledge to think blac k, act black, buy black, pray black, love black and live black. We have done black things today and we're going to do black things tomorrow." 確かに、これはアメリカ教育界を震撼させるに十分な言葉でしょ う。さらに、壁中アフリカ諸国の国旗とスワヒリ語のスローガン。朝の出席調 べは、アフリカのドラムのビートに合わせて取られる、とありますが全学にそ うした音楽が流されるでしょうか。クラス名はAshantiやら、Dogon, Dahomyな どの部族名で呼ばれる。3才の幼稚園児は先生のことをMama Oyaと呼ぶ。当然 これもスワヒリ語でしょう。

どうやら今までのアメリカ教育の根底を揺るがす実験が、各地で広まっている ようです。これまでは人種間の融合は、各人種の対話によって促進されるとい う了解があった。しかし一部の黒人達は、そうした方向に完全に見切りをつけ て、自分たちの失われたアイデンティティを確立することに乗り出したようで す。ただ外から見るとかなりのアナクロニズムにも見えます。

もう少し見てみます。Aisha Shuleは今までのカリキュラムを完全に無視し て、アフリカ系アメリカ人中心の教育をしているようです。人種に関係がない ような科目、例えば数学や外国語もどうやらアフリカ系から見たものになるら しい。数学では、エジプトで発達した数学を学ぶとか。Englishの授業も当 然、黒人が登場してくる作品が中心になるでしょう。記事ではシェイクスピア の名前もでてきますが、当然オセロは必読作品なのでしょう。

園児がアルファベットを覚えるのも黒人の観点から教えられる。例えば使われ る本の名前は"A is for Afrikans" 。「AはAfrikanのA」ですか。なぜAfrican ではなく、Afrikanなのかはわからない。記事では原文のまま(sic)と言う言葉 を使っています。レベルの低さを暗示しているのでしょうか。

経済学は、まあ社会的要因の研究が多くを占めるから、別に不思議はないので すが、自然科学系は少し気になります。教科内容に満足している生徒の声も紹 介されていますが、やはり少し疑問が残る。

Aisha Shuleは1995年から公的助成を得たようですが、生徒数は3倍にもなった し、デトロイトにある同じような学校14校の中でもパイオニア的存在なようで す。全国には400くらいある。数的にはまだ少数派だが、急速に広まっている。

この背景には公民権運動から40年。政府が進めてきた人種差別待遇廃止が成果 を上げていないこと.への、黒人層の不満があるようです。彼らは自立の道と して、文化的な独立の道も探り始めた。白人のサンタクロースに飽きた彼ら は、自分たちの流儀でクリスマスも祝い始めている。この調子で進むと、教会 の分離まで進むかもしれませんね。

とにかくHumphreyたちは、ギャングと銃とドラッグが当たり前の黒人の10代の 青少年に自信を持たせるためにはもうこれしかないという決意で臨んでいるよ うです。賢いことは恥、という黒人青少年達の意識、少なくとも学校の成績が よいのはかっこよくないということは、ヒスパニックもそうでしたが、黒人系 にも言えるのでしょうか。彼らの意識をdumb is not cool 無知は格好悪いと いうところまで持っていくのには、これくらいの荒治療が必要なのかもしれま せん。それだけ病根が深いから、外部のものには表面的なことだけで軽々判断 は出来ないのかもしれません。

だが将来こうした教育を受けた生徒たちはどうなるのか。いくら民族の時代と はいえ、この開かれた世界で、しかもアメリカで、自分たちの住む社会から隔 絶されたような教育を受けた彼らが現実に直面したとき、大丈夫なのか。 Spielbergの奴隷制を描いた作品、Amistadも、ユダヤ人が制作しているから見 るべきでないと教えられる。しかも純粋のアフリカ文化というものはどこにも ないはずなのに、それを観念的に作り出そうとしている感じもします。学科の 内容といい、あらゆる点でプロパガンダ教育を受けているようなものです。

優秀な生徒ほど、現実とのギャップに悩むでしょう。あるいは挫折していく。 さらには大学へ進学するときのハンディも大きい。スワヒリ語のスローガンだ けで、ハーバードに合格できるのか、と記事は問うています。ルーツの英雄、 Kunta Kinteには、誰もが慣れるわけではないが、彼から学ぶことは出来る。 それがHumphreyの答えです。

しかしアメリカはこうした学校にまで公的援助をし、そして当然ながら正規の 学校として認めているのですね。度量が大きいと言えばそうも言えるが、これ じゃまとまりがつかなくならないのだろうか。

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4. 南アの農民殺害事件
  South African farmers hit by murder wave
19 farmers have been murdered in the past month

あまり楽しい話題ではないのですが、南アで農民達が殺されているという話で す。どうやら黒人過激派が、いっこうに黒人の経済状態が向上していないのに 業を煮やして、白人の農民達を襲撃しているようです。

数百万の人々がマンデラがANCの議長職を退くのをテレビで見ていたとき、 JasperとJohnの兄弟は両親を殺害されるのを目撃したあと、両親の死体の側 で、2日間も過ごしていた。2人はunder sedationだったとあります。落ちつい ていた、と言うことでしょうか。実はこの20才と24才の兄弟は知的障害があっ て、武装グループが両親を殺害したあとも、状況を理解しておらず、助けを求 めることも不可能だったようです。兄弟は車椅子を使っているようですから、 事件前から足も不自由だったのだろうと思います。事件の様子も話すことは出 来ない。

しかし推測によれば襲撃者は3人。両親は夕食の準備をしているときに襲わ れ、縛られ、拷問され、助けを求めたが、殺された。50ポンドも奪われた。近 所の友人が、訪ねてきて事件が分かるのですが、兄弟は2日間何も食べていな かったらしい。兄弟が何故殺されなかったのかは不明。しかし黒人の中には知 能が遅れた人を殺すと、その魂が乗り移って自分たちも同じような障害にな る、と信じているものがいるようです。

過去1カ月、白人農民19人が南アで殺されている。どうも白人農民をその土地 から追い出すために、過激派が暴力を使っていると信じられているらしい。こ の虐殺に対して、白人農民はマンデラも攻撃しているようです。マンデラは、 虐殺を批判しているものの、白人の特権をも批判している。このコメントが白 人への攻撃材料になるかもしれないと、ある新聞は警告しています。ただ次の 大統領になるムベキが、新たな黒人革命を予定していることは、大体間違いな いようですから、ちょっと危ないですね。

かつての黒人指導者のスローガン、「1人の白人入植者に、1発の銃弾を」が、 力を持つかもしれない。さらに政府の無策に危機を募らせた白人達も、自分た ちで黒人容疑者狩りに乗り出している。実際、今月はじめには別の事件の容疑 者として、白人グループが、1人の黒人を跪かせ、尋問し射殺している。既に 何百人もの白人農夫が土地を売って、自分たちの土地を離れた。

JasperとJohnの兄弟は、おそらくこれからの生涯を、国の施設で過ごすことに なる。南アの追い求めた壮大な理想はついにはかない夢と終わるのだろうか。

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5. ヌートリアを食べよう!!
Deep South makes a meal of its coypus
Lousiani to encourage consumption of beaver-like rodents in bid to protect fragile wetlands

アメリカ南部の州ルイジアナで、coypuという動物の繁殖に対抗して、彼らを 食べるようにと人々に勧める計画が実行されるようです。記事にもあります が、決して冗談ではないらしい。 (^^;

coypuは、リーダーズによると、「南米原産、「沼のビーバー」といわれ毛皮 が尊重される」とあります。そして地元の人が(nutria)と呼んでいることは記 事でも紹介されています。記事によりますと、この動物食欲が旺盛で繁殖力も 強いようです。兎よりも強いとあります。さらにこの動物には鰐の他にほとん ど天敵がいないらしい。体重は14ポンドにもなるようですから、6kg以上にな りますか。これが植物の根を食い尽くして、湿地を破壊しているわけですね。

だから地元紙が主張するように、「ヌートリアがルイジアナを食べ尽くしてし まわないうちに、ルイジアナがヌートリアを食べ尽くさなければならない」と いうキャンペーンになったようなのです。しかしこの動物、辞書にもあります ように、もともと毛皮が尊重されていたようなのですが、動物保護論者の圧力 で毛皮としての市場がダメになったようですね。他にも歯をswamp ivoryとし て、利用しようとしたらしいのですが、これも失敗。

だからただ殺せと言うわけにもいかないので、食べ物として利用しようと言う キャンペーンになったのでしょう。 (^^; しかしはたしてうまく行くの か。人は食べ物に関しては案外保守的ですから、前途多難でしょう。nutriaと 言う代わりに料理的魅力を訴えるためにフランス語のragodinと言う言葉を使 っているようです。それに料理コンテストも開いている。

しかしりすの脳をおいしいと感じるアメリカ人でもnutriaを食べる勇気はない らしい。イメージが悪すぎる。ルイジアナの人は道路でひかれてぺちゃんこに なった姿を見ているし、さらに湿地に住むほかにnutriaは、都市の下水道にも 住んでいるから、あまり食欲がわかないのも無理はないと思います。

しかし勇気ある人がいるもので、一部のCajunの中には、ミートボールにして 楽しんでいる人もいるようです。彼らに言わせれば、名前が悪いからbayou rabbitとでもかえれば、人々も食べるようになるだろうと言うことです。たし かにいい考えかもしれない。(^o^)

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6. 東ドイツのドーピング
East Germany's doped sports stars in court revenge
Triple Olympic gold medal-winner dosed with anabolic steroids she thought were vitamins

かつて東ドイツのスポーツ選手が、オリンピックで華々しい活躍をしたのは 記憶に新しいところです。モントリオール大会では、女子水泳の13種目のう ち、11種目で東ドイツが優勝した。しかしベルリンの壁崩壊後、そうした華や かさの裏にあったドーピングの事実が、明らかになりつつある。そして今選手 達に事実を知らさないまま、ドーピングを実施してきたコーチ達が裁判で裁か れようとしている。

1980年モスクワオリンピックを控えて14才のRica Reinsichは毎朝青い錠剤を 飲んでいた。彼女はそれをビタミン剤と思っていた。彼女はオリンピックで金 メダル3個を獲得するようですが、オリンピック後初めて自分が同化作用のス テロイドを服用していたことを知る。そのときには既に卵巣が慢性炎症にかか っていたようです。それから33才になる現在までずっと病気で苦しめられてい る。an enlarged muscle in her heartは何と訳すのでしょうか。心臓の筋力 が肥大化しているようです。

今Reinischを初め、かつての東ドイツの選手達が、4人のコーチを訴える準備 を進めているようです。いたずらに運動能力を高める薬を与えたことで、選手 達に肉体的危害を与えたからというわけです。これは民事だろうと思います が、前コーチ達は有罪と認められると最高3年の刑を受けるかもしれないとあ りますから、並行して刑事裁判が進められるのかもしれません。

現在は女性水泳選手が中心に調査は進んでいるようです。これは彼女たちが薬 を与えられたときに、年少者だったために法律的に自分で同意できる年齢にな かったからですね。まず立証が簡単なケースからということのようです。さら に50件の裁判が起こされる予定です。

東ドイツでステロイドやアンフェタミンが使われていることは、ほとんど関係 者で疑う人はいなかった。彼女たちの体格を見れば分かったから。しかし証拠 は1989年以来、またもや東ドイツの秘密警察Stasiの中から見つかった。それ によって東ドイツではドーピングが組織的に行われていたこと、しかも国家犯 罪の様相が濃いことが明らかになった。

西側と違って、東ドイツの10代の選手にはほとんど自分たちが何を飲んでいる のかの意識がなかった。国家のトップが、東ドイツの栄光のために、政治的に 利用していたということも分かってきた。それを医学的な効率さが支え、実行 し記録に残していた。コーチと医者は協力して、副作用も含め選手達に与える 影響をいわば学問的に実験していた。しかもドーピングテストを逃れるため に、競技会前とその期間中は中止していた。狡賢いというか、専門知識がフル に悪用されていたことになります。

多くの女性選手が現在疾患に悩んでいるようです。Reinishのように心臓疾患 を始めとして、不妊、肝臓・腎臓疾患、さらには肺疾患でも悩んでいるようで す。女性選手の場合、男性らしさは、筋肉ばかりでなく、deeper voiceと体毛 に影響を与えている。男性選手は胸を切除しなければいけなくなっているもの もいる。

オリンピックで勝つためならば、ドーピングもかまわないという選手の発言も 昔読んだ記憶がありますが、個人レベルではなく、国家が管理してくるとなる とこれはどうしようもない。

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2. Newsweek 1998-1-5

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*民主主義は万能か
Doutbs about Democracy by Fareed Zakaria (p.26)

副題、というよりもリード部分がこの記事の要約みたいなものですから、少し 長いですが抜き出してみます。Most people now have the right to vote freely. But that's not enough if governments then trample on basic rights.民主主義と言うよりも、選挙は万能ではない、選挙で選ばれさえすれ ばその政府は民主的であるということにはならない、ということのようです。 まあ当たり前と言えば当たり前ですが、記事の最後の方にもありましたが、選 挙が自由・公平に行われば、その国の非民主的なところは無視して、民主国家 とみなす傾向が一般的にあるのかもしれません。

クリントンは今年1997年1月の一般教書(? State of the Union Message)の中 で、ついに世界の過半数の人々が民主主義体制の下で生活していると宣言した ようです。正確には54.8%らしいです。Thomas Jeffersonの「すべての人は平 等に造られている」は、現実に地球的規模の真理となった。しかし問題があ る。現実の民主主義は、醜い面を持っているということである。

例えばアメリカのある外交官はボスニアの選挙前に悩んでいた。「選挙が自由 で公正であり、しかも選ばれたものたちが平和と再統合に反対する人種差別主 義者や、ファシストや分離主義者であったとしたならば、どうなるのか」今年 行われた選挙結果は現実は、多かれ少なかれこの通りになっているようです。 ただこれはボスニアだけの問題ではない。

民主的に選出されたものが、憲法を無視して権力を濫用し、国民の基本的人権 と自由を奪う。これは西側諸国が過去一世紀の間に育んできた民主主義の観念 とは明らかに違う。西側では民主主義は、自由主義的民主主義とでも言うべき もので、自由で公正な選挙ばかりでなく、言論集会、私有財産・契約の自由が 認められ、法律の支配が保証されている。これに対しペルーからパレスチナ自 治政府、スロバキアからスリランカ、パキスタンからフィリッピンなどでは、 反自由主義的民主主義とでもいうべきものがが横行している。そこでは選挙は 行われているが、個人の基本的人権はほとんど守られていない。

大体のパターンは決まっている。国際的に監視された選挙があって、エリツィ ンやアルゼンチンのカルロス・メネム(Menem)などの人気のある指導者が大統 領に選ばれる。彼らは議会を無視し、大統領布告によって支配する。つまり彼 らは憲法で定められた政府の手続きを無視する。あるいは中東としては自由な 選挙で選ばれたイラン議会は言論・集会さらには衣服に対する厳しい制限を国 民に課している。旧ユーゴ、旧ソ連の一部、アフリカの大部分では選挙の結果 人種的対立が深まり時として戦争を引き起こした。国内に各グループの融合・ 調和の伝統がない国々では、選挙では人種的・宗教的な観点で代表を選びがち だ。

選挙と個人の自由の緊張関係はアメリカでも珍しいことではない。アメリカの 制度で明らかなことは、その民主義的な性質ではなく、非民主的な性質だ。な ぜなら多数の選挙民の意志が直接反映されているとは限らないからだ。アメリ カの最高裁判事は選挙によって選ばれない終身任期の9人から構成されてい る。上院はイギリスを除いて、世界でもっとも非民主的な上院である。人口に 関係なく、各州2名の上院議員を選出するから。だから人口48万1000人のワイ オミングと、3100万のカリフォルニアが同じ代表権を持っている。

アメリカの専門家は自分たちの制度を優れたものとは考えていない。少なくと も複雑なもの、やっかいなものと考えているようです。もっともアメリカの場 合チェック・バランス機能が働いているから、反自由主義的民主主義の多くの 問題点の改善に役立つことは確かである。憲法の背後にあるものは、権力が集 中することへの恐れだが、これは1789年と同様現在でも正しい。横暴な大統領 の暴走を防ぐのには、強い議会が必要である。たしかに権力の分散こそは、民 主主義の根幹でしょう。

アメリカ政府もいくつかの非政府組織も選挙はそれ自体が目的ではないという ことが分かってきた。自由市場、独立した労働の移動や政党、それに司法の独 立。こうしたものが大切だ。選挙そのものは公平な法治国家を生み出す過程で しかあり得ない。選挙だけですべての自由が保障されるとは限らないのだ。

そうした意味で、シンガポール、マレーシア、タイの東アジア諸国はあるモデ ルを与えてくれる。これらの国は偽物の民主主義国であり、一党独裁の国だと 批判されることも多い。たしかに選挙の自由が制限されてはいるのだが、国民 の安全や幸福の点では、多くの新民主主義国よりもよい環境が与えられてい る。結局のところ経済的・市民的・宗教的自由が、人間の自主性と尊厳の中心 ではないのか。西洋においても、歴史的に経済的自由と法律の遵守ということ が、普通選挙の前にあった。これら東アジアの国も同じ道、すなわち自由主義 的民主主義への道をたどっているのだ。それは自由のspillover effectといえ よう。最後のところは、東アジアが自由で公正な選挙を行うのは、時間の問題 だ、そしてそれは見せかけだけの民主主義ではないと言うことだと思います。

この記事は、Jeffersonの写真に釣られて読んだようなものです。最近彼の記 事を読んだばかりでしたから。だいたい本文の記事に沿って書いてあります が、例によって訳と言うよりは、論旨をこちらで解釈して勝手な意見等をつけ 加えて書いてあります。アジアの経済的危機のまっただ中で読んだこの記事で すが、東アジア(日本から見たら東南アジアといった方がいいかもしれません が)の将来は決して悪いばかりではない。アジアの価値感のあるものは、人類 の中で普遍的な価値を持ちうる可能性がやはりあるのだと、私も思います。

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