Weekly「今週の英語雑誌」 No.17


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Weekly 「今週の英語雑誌」  No.17  1997-12-12日 発行     

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みなさん、こんにちは。 Weekly 「今週の英語雑誌」No.17をお届けします。

今週は、TIMEとUS Newsがケンタッキーで起きた、高校生の学校内での銃発射事件 を取り扱っていました。Sunday Timesには、ドイツでの快楽殺人とでもいうべき 事件が載っていました。それぞれの国で衝撃を与えたようです。殺人はどこの国 でも、発生するものとはいっても、銃社会のアメリカでは、悲劇は大きくなりが ちですね。クリントンも特別声明を出したようです。ドイツの事件は、感想を書 く予定でしたが、今回は間に合いませんでした。

1997年も、残りわずかになりました。多分、あと2号くらい今年の内に発行できる とは思うのですが・・・ しかし何かと忙しくなるし、うまくは行かないかもし れません。本当は、年内にNo.20まで発行したかったのですが、少し厳しいようで す。

1997-12-12

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目次
1. TIME Asia版 97-12-08
2. The Sunday Times 97-12-07
3. ケンタッキーの高校生銃乱射事件(TIME/US News)

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1. TIME Asia版 97-12-08

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*マルコポーロより前に旅したユダヤ人(TIME)
The Traveler's Tale (p.48-49)

TIME Asia版12/8からです。実はこれと同じ記事は、1月以上前にNewsweekで読 んでいます。感想も書きました。どうしようかなとも思いましたが、TIMEの方 が詳しそうですから、私にとって面白かったところを中心に書いてみます。

1271年、マルコ・ポーロに先立つこと1年、中国に旅をしたイタリア在住のユ ダヤ人がいた。彼はその旅行の記録を残していた。それがついに英訳されて、 イギリスのLittle Brownから、392ページの本となって出版された。この歴史 的ともいえる偉業に対して学会・出版界の反応は冷たい。問題は、ただ1つこ のThe City of Lightを書いたとされるJacob d'Anconaが実在の人物であった かどうかということ。しかしもちろんこのことが否定されれば、この本の存在 価値がないわけですから、これは当然のことです。はたして、真書なのか、偽 書なのか。

全体の感じでは、やはり ? という感じです。本文では翻訳者とされるDavid Solbourneの主張を中心に書かれていますが、やはり記事を書いている人もあ まり信用していないような書き方かなと思いました。

大体この原稿を匿名のイタリア人が所有しており、翻訳者のSolbourne以外に は誰も見せようとしないということ、これは小説だったら常套手段でしょう。 これが歴史的旅行記録、しかもマルコポーロ以前のヨーロッパ人が見た中国観 察記録ということで、資料的価値があるということから問題になった。しかも 他のどの学者も閲覧を許されず、写真複写も許されない。アメリカのLittle, Brownはついにその出版の無期延期を決めてしまった。同じ出版社で、この本に 対するアメリカとイギリスの評価が分かれたようです。

だからまあ私もこれは偽書の歴史に新たなリストを追加しただけだと思うので すが、こんな騒動は個人的には別にかまわないと思います。 (^o^) 面白い し、推理する楽しさがある。最近話題になったケネディの偽造文書の金銭がら みのどろどろしたのと比べたらまだ罪が軽いと思うのですが、これには他の人 からは異論があるかもしれない。

面白いから、Solbourneの言い分を聞いてみます。彼は以前は政治学の講師だ ったようで、多くの著作があるようです。歯切れがよく、その著作はブレア政 権の犯罪に関する法案作成に当たっても参考にされたようですし、かなり有名 な人なのでしょう。彼にいわせれば、この騒ぎは学会の彼に対する嫉妬がすべ てだということです。ヘブライ学者でもなく、イタリア専門家でもなく、中国 専門家でもない彼がこうした文書に専門家を差し置いて接近を許されたという ことで、学会関係者の面子がつぶれたから、騒いでいるのだということでしょ うか。 (^o^) 

専門家の知識がいかに浅薄なものであるかを示しているとも言っていますが、 これはたしかにこの本が今までの専門家が知っていなかったことを詳しく書い ているようですから、まあ真書であるならば確かにそうかもしれません。 (^^; それとも専門家のたこつぼ化を皮肉っているのだろうか。

しかしその専門家の批判はもっともなものがあります。12世紀の商人と20世紀 の翻訳家の政治的宗教的見解がほぼ同じなのはどうしてか。Solbourneは、こ れに対してJacobを自分が思想的影響を受けた人物mentorであり、自分の考え の代弁者だというようなことを言っていますが、いかにも苦しい。その他資本 主義とか、教育とか、さらにはユダヤ人問題についても2人の立場はほぼ同じ だとか。ここで資本主義という言葉がでているのには少し驚きました。記事で は当然のこととして何も書いていないのですが、12世紀の商人が資本主義につ いて何を語っているのだろうか。当時のイタリアは貿易等は盛んだったはずで すが、まさかそんなことではないでしょう。

さらにSolbourneは、現在の議論は文書の真贋論争や歴史的事実の細部の間違 いばかりを問題にしていて、この書物のもつ政治的哲学的な広い視野を評価す ることを忘れていると苦情を言っています。これがおそらくは彼の本音でしょ う。彼自身が戸惑っているのかもしれない。こうした目新しい形で自分の思想 を披露したら、とんだ不名誉を受けるかもしれないことになった。彼はいつか この文書の正しさを証明して貰うために、原本を科学者や学者に見せることが 出来るかもしれないと言っています。しかし今はこの空騒ぎを冷静に見守るそ うです。文書の所有者は騒動の中でも最後まで、ちらりとも出てきませんね。  (^o^) 

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2. The Sunday Times 97-12-07 WORLD欄より

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1. Diana映画、エジプトで制作される
Egyptian to make Diana affair film
Director says his script was inspired by a dream

Dianaの映画がエジプトで制作されるようです。この映画の監督は、Khairi Besharaという人で、ロンドン映画祭にも参加した人のようです。彼の夢の中 にダイアナが現れて、事故の真相を語ってくれたということで、ドラマと記録 を交えたものになるとか。 (^^;

エジプトでは、ダイアナはイスラム教徒と結婚する予定だったことで、大人 気。相手のDodi Fayedも英雄扱いです。彼らを扱った本も軒並み売れているよ うですが、当然その中身は彼らの死はイギリス王室とM16の謀略によって暗殺さ れたというもの。エジプト映画界では珍しく高額の100万ポンドの制作費とい うことです。2億円あまりになりますか。

Dianaのイメージを商業的に利用しようとするものはDianaのの財産とダイアナ 基金の管理人によって訴えられる可能性があるから、こうした映画は西側では まず制作も公開もされないでしょう。しかしエジプトとイギリス・EUの間では 商標に関する取り決めはないようですから、問題なし。この映画がエジプトで ヒットすることもまず間違いなし。

しかし予想通り、エジプト人はほとんどが彼女の死では謀略説を信じているら しい。彼女は、イギリスやヨーロッパで、差別されている自分たちイスラム教 徒の中に入って来ようとしたヒロインだったのですね。この映画は、アラビア の古典的物語のようだということです。つまり愛があり、ロマンスがあり、悲 劇があり、そして陰謀がある、ということらしい。

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2. イスラエル諜報部員のショッピング
Shopping spy pushed Israel to brink of war
Apparent meeting with important source was really a shopping spree

イスラエルのモサドは、このところ失敗続きですが、またもとんでもない事件 が明るみにでた。幹部の一人が、今まで情報収集などの対価として支払われて いた金額を、なんとショッピングに使っていたという記事です。そして自分で 考えた偽の情報を流していた。イスラエル首脳部もこれに踊らされていたとい うわけですから、タイトルのように、もしかしたら偽情報でイスラエルは戦争 を起こしていたかもしれない。考えられない事件です。

問題の人物はYahuda Gil。彼は長年月に数千ドルをシリアのアサド大統領の側 近のある将軍に支払っていることになっていた。ところがそうした事実はなか った。彼が自分で作り出した情報はイスラエルの対外政策に大きな影響を与え てきた。いわば最高の機密情報が、偽物だったわけです。彼はいかなるシリア の高官any senior Syrian sourceとも、長年接触はなかったと告白しているよ うです。

問題は彼がイスラエル指導部に流した偽情報の内容です。それによるとシリア はイスラエルとの戦争を絶えず準備しているということを伝えていたようで す。平和を願っているように見せかけていても、実は戦争のチャンスを狙って いる、こんな内容をずっと流し続けていたらしい。去年イスラエルが臨戦体制 に入ったのは、私も読んだことがありましたが、これもどうやらGilの偽情報 に踊らされていたらしい。誰も彼の情報の内容を疑わなかったみたいですね。 かれは、イスラエルの情報組織の中では伝説的存在だったということですか ら、その情報の信用度も高かったのでしょう。これでMossadに対する評価はが た落ちでしょうね。

しかも彼は極右のMoledetという政党のメンバー。当然、彼のレポートが中東 の平和交渉を妨げる目的で書かれていたことは、想像できます。ネタニヤフば かりでなく、ラビンも彼のレポートを受け取っている。どうやらイスラエルが 土地を返還すれば平和条約を締結するというアサドの約束を、ラビンが信じ切 れなかったのもこのレポートの影響もあるようです。ラビンはまだ理性があっ たから踏みとどまったが、もしこのままだったらネタニヤフは何をしでかした かわからない。

Gilの息子も軍人のようですが、父を刑務所に訪ねていったときの言葉。「あ なたはもう少しで戦争を起こすところだった。僕も、そして国民全部も死んで いたかもしれない」

しかしこの人、お金を何に使っていたのだろうか。(^^; 

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3. マザーテレサ亡き後に 
Mother Teresa's heirs accused of dumping sick 
Critics says successor lacks leadership skills

Mother Teresa亡きあと、彼女の後継者とその組織に対する非難が高まってい る。非難というのはきついかもしれませんが、少なくとも組織が以前のようで ないことを、貧しい人々たちが感じ始めている。マザーテレサほどのカリスマ と知名度がなかったら、資金的にも人的にもある程度の困難は予想されたこと ですが、それにしてもこんなにも急激に変化が起きるのだろうか。

病人の前で、Home for the Destitute and Dyingの門は堅く閉じられ、開こう とはしない。タクシーの運転手が瀕死の病人を運んでも、受け入れてはくれ ず、かえって警察を呼ぶぞと脅かされる始末。瀕死の老女を車で運んできて、 道路上に投げ捨てていく。

地元紙もこうしたことを報道しているようですが、当然Missionaries of Charity側はこれを否定。しかし修道会のNo.3のSister Priscillaの言葉もど ことなく冷たく聞こえる。「ほとんどの乞食は、乞食でいっぱいの部屋にいる よりも、streetにいる方が心地よいのです」

世界に600ものホームを抱えるMissionaries of Charityが、組織運営が難しく なっているのかもしれません。しかし規律も緩んできているし、修道女たちの 分裂も起きているようです。マザーの死の時に祈りを導いたカトリックの司祭 も、こうした変化に気づいているようです。カリスマを失った組織は、情熱も 空回りしているのでしょうか。記事を読む限りでは、まず愛をさしのべられる べき貧乏人や孤児に対する関心がだんだん低くなっているような感じを受けま す。

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4. エリツィン、大臣に吼える
Yeltsin rails at his ministers
Russian president summons entire government over worsening economic crisis

短い記事です。エリツィンもいらだっているのか、経済状態が悪いことの責任 を、大臣やら高級官僚のせいにしているようです。成果を上げられない大臣は 首だ、というわけですがどうもその危険がない大臣はほとんどいないらしい。 税金担当の大臣、Alexander Pochinokなどはそうそうにあきらめて、既にクレ ムリンの自分の机を片づけ始めているとか。税金の40%以上を、国庫に入れる ことが出来ないようでは、当然財政状況は苦しい。医者や教師の給料は払え ず、700以上の学校は教師が給料支払い請求のデモに出かけたので、9月1日の 学年最初の日には開けなかった。

48ドルの給料を4月以来貰っていない数学教師の例が紹介されていますが、こ れではデモにでも行かなければどうしようもない。借金で生活しているようで すが、これでは将来どうなるのだろうか。エリツィンは来年の1月1日までに は、すべての給料を支払うと約束しているようですが、ロシア国民でこの約束 を信じている人はほとんどいない。大臣が自分の身分の不安定さを感じるのも もっともなようです。

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5. 中国の児童誘拐産業 
Tragedy of China's stolen children

中国では、幼児誘拐が産業として成り立っているらしい。働き手として、花嫁 として、あるいは家系を絶やさないという名目で、ギャングによって誘拐され た子供たちは高額で売れるらしい。

記事は2才の男の子が誘拐されたことを縦軸に、いろんな解説をしているので すが、これが現代的な繁盛しているビジネスということですから、驚きです。 誘拐された子供たちの両親は、イギリスで迷子のペットを探すように、ポスタ ーを貼るようです。またShenzehen Youthという地元紙は昨年、2カ月間で56件 もの行方不明の子供を捜す広告を載せたそうです。日常茶飯事という感じです ね。

しかも記事で紹介されている例では、新聞広告が出た日に電話がかかってき て、20000yuan(約1500ポンド)要求された。警察の手を借りて、2人組を逮捕す るのですが、翌日夫妻が警察に行ってみると、1人は釈放し、もう1人は逃げら れたということだった。このへんも警察の対応がどうも分からない。結局夫妻 は捕まった容疑者が、本当の犯人かどうかは今もって分からないとか。

誘拐されて、息子がいなくなった人に、息子を売りつけるためにさらに他の男 の子を誘拐する。さらに男女間の不均衡のため、息子のための将来の花嫁とし て女の子を誘拐する。こうした信じられないことが実際に起こっているようで す。

しかも当局の取り締まりも、緩やかなようです。すでに子供がいる家で女性が 妊娠していることが分かったら、厳しく罰せられる。ところが2才くらいの男 の子がその家に突然現れても、養子か親戚の子だろうというわけで、別に深く 追求されないとか。だから年収の10倍の3800ポンドの大金を払ってでも、そう して誘拐されてきた子供を買い取る家庭はいくらでもあるのでしょう。No birth: no penalty. 第二児・第三児でなければ、その素性は問わないというわ けでしょうか。

記事で紹介された夫妻の息子が帰ってくる望みは、かなり低いでしょう。しか し母親は当然一縷の望みにすがっているようです。

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6. カダフィの大きな夢 
2,000 miles of pipe may hide Libya arsenal
Washington believes Gadaffi's "eighth wonder of the world" conceals more sinister purpose

リビアが砂漠の下に建設している2000マイルに及ぶトンネルは、はたしてカダ フィGadaffiが言うように、現代の世界8番目の不思議なのか。それともアメリ カが主張するような、兵器貯蔵庫なのか。

Great Man-Made River Projectと名付けられたこの壮大なプロジェクトは、カ ダフィの主張によれば、農業用水を砂漠に運び緑野とかえようとするもので す。彼の天才ぶりを証明するものとして、250億ドルの金をつぎ込んでいる。 乾燥した土地を中東の穀倉地帯に変えようというわけですね。しかし例によっ て彼の言うことはなかなかまともに受け取ってもらえないようです。

去年アメリカの脅しによって中止に追い込まれた化学兵器工場を作っているの ではないか。少なくとも、大量の武器等の貯蔵庫ではないのか。このトンネル が、車が通れる広さということも疑惑を広げているようです。カダフィが熱心 にこの事業を推進しているのも、いろんなことで分かるのですが、疑惑は深ま るばかり。10年間の工事のあともなんら潅漑施設の役目を果たしていない、と いうこともあるのでしょうが。

全体の3分の1が地下に潜っているということも疑惑を呼び起こしている。地下 の利点はいろいろあるでしょう。なにより西側の監視の目をくらませることが 出来る。独裁政権の国家として、情報が漏れてこない点では、リビアは北朝鮮 と並びます。この工事に携わっている労働者は、北朝鮮の労働者と信じられて いるようです。

軍事的に見たら危険なように見えるこの世界最大規模の建設作業も、しかし、 軍事専門家から見たら歓迎すべきだということです。石油収入で得た富をこん な馬鹿げたことに使って、西側が憂慮する兵器等の購入が少なくなるから、と いうのがその理由です。リビアの経済力なら、もっと高度な軍事力を装備でき るはずで、そうなったら西側はさらに心配事が増えるわけですね。

この計画、どこか抜けているところもあります。去年、トリポリで最初に水を運 んでくる式典があったようですが、栓がひねられたとたん街は水浸しになった とか。水圧の増加で、古い地下の水道管が壊れたようです。社会資本などが整 備されていない段階で、はたしてうまく行くのだろうか。どうも軍事用に転用 するとしても、非能率的きわまりないという感じはするのですが・・・

カダフィは自分が育った素朴な牧歌的生活にあこがれを抱いているようで、都 市に住むようになってから自分がダメになったと感じているようです。だから 自分の書いた本の中で、国民に再び彼を昔のように羊飼いの生活に戻してくれ るようにと、お願いしているようです。これは、世界の人が喜んで聞き入れる と思いますが、リビアの人は彼のこのささやかな願いを聞いてくれないのでし ょうか。 (^^;

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7.  マンデラの娘も有罪か。
Zinzi Mandela flies into torture storm

NelsonとWinnieの娘、Zinziははたして無罪か。彼女もまた母親のWinnieと同 じように、犯罪に手を染めているのか。

彼女も、Winnieの下でその忠実な部下として、Sowetoの自宅でで行われた拷問 や殺人に荷担したのか。Winnieに対する真実和解委員会の聴聞の過程で、37才 のZinxiへの疑惑も浮かび上がってきた。

彼女が、殺人を含めいくつかの犯罪に関与しているという証言がWinnieの前ボ ディガードなどから出てきた。彼女が4才の時に、父親のネルソンは獄中に入り、 27年間戻ってこなかった。当然母親のWinnieは、彼女にとっては親であると同 時に先生でもあったでしょうから、何でも母親のまねをしていたのでしょう。

彼女の成人後の生活も安定しなかった。4人の子供を生んでいますが、それぞ れの父親は違う。父が大統領になってからは、Winnieの代役として華やかな生 活を送ってきていた。しかし彼女の子供の4人の父親は、既に2人が死亡。1人 は殺人罪で終身刑を受けて服役中。過去を清算したかに見えたZinziもここに 来て、その過去に悩まされている。

Winnieがどうなろうと全然心配もしていない大統領もZinziのことになると心 配なようです。闘争のために家族を犠牲にした彼にしてみれば、Zinziにはす まないと思っているのでしょう。今でもマンデラはZinziを甘やかしているよ うです。

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3. ケンタッキーの高校生銃乱射事件(TIME/US News) 

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TIMEとUS Newsは、ケンタッキー州の人口27000人の町で起きた、高校生の銃乱 射事件を取り扱っています。

まずはTIMEを中心にして読んでみます。

1沈黙が訪れたとき(TIME)
WHEN THE SILENCE FELL
A TRAGIC SHOOTING IN KENTUCKY REVEALS A CURIOUS AND POIGNANT FRIENDSHIP--AND THE FAITH OF A SMALL TOWN

12月1日月曜日の朝事件は起きた。Benjamin Strongは説教者である父が聖書の 箴言を読むのを聞きながら、朝食のテーブルについていた。といっても、ここ は家庭でもなく、教会でもない。StrongはWest Paducahのヒース高校のprayer circleに参加していた。彼は高校3年生で17才。US Newsなどの記事等も参考 にすると、フットボール・ブラスバンド部にも入っていながら、prayer circleのリーダーでもあったようです。このprayer circleは、聖書研究会と は違うし、宗教サークルの一種でしょうが、文字どおり祈りを捧げるサークル でしょうか。

実は彼は感謝祭の前日の水曜日、つまり11月26日に級友の1人から月曜日の prayer circleの集会には出席しないようにという忠告(?)を受けていた。彼の 名前はMichael Carneal。14才の高校1年生。今度の事件の犯人です。Strong はCarnealがロビーに入ってくるのを目撃していた。アーメンの言葉ととも に、35人のサークルのメンバーが手を握ったとき、最初の銃声がなった。その あと銃が乱射され、3人の女子高生が死亡、5人が負傷した。

銃発射と共に、StrongはCarnealに止めろといい、駆け寄っていく。2人はにら み合ったというか、もみ合っているところに校長のBill Bondも駆けつけた。 Carnealが、捕まる前の最後にStrongに言った言葉。「僕を殺してくれ。自分 がこんなことをしたのが信じられない」

何故Carnealが、こんな事件を起こしたのか、よく分からない。この辺はUS Newsの方が詳しいのですが、それでも結局本人に聞いてみなければ説明がつか ないようです。prayer circleの仲間とは、宗教について議論をしたことはあ るが、それはむしろ冗談としての面が強い。事実Carnealの仲のよい友達の何 人かは、prayer circleのメンバー達。少し変わっている奴、とは思われてい たようですが、特別異常なところはない。Strongも彼を評して、He seemed to be real.とTIMEに、語っているようです。かなり評価している。

学校のInternetでpornographyをダウンして叱られていたこともあるようです が、課題として出されたRomeo and JulietをBard(吟遊詩人)の他の作品と関 連づけて議論することもできた。年が14才というのが少しは気になりますが、 多分彼は頭脳的には才能があったのだろうと思います。

共犯者がいたのではないかと警察は疑っているようです。なにしろCarnealが 持ってきた銃器がすごい。友達の家から盗んだものなのですが、ショットガン 2丁、ライフル2丁、ピストル1つという訳で、5人分です。しかしこれも今の所 不明。

街全体が悲しみに沈んでいる中、怒りや恨みが少ないのもこの事件の特徴。死 亡した14才のNicole Hadleyの心臓と肺は他の人の命を助けるために寄付され る。そして「君を許すよ、マイケル」のサインが、(多分)街のあちこちにある。

次に重複しない範囲でUS Newsの記事から。

* 祈りの中の殺人
Prayer Circle Murders
In Paducah, heroism, forgiveness, and the search for a motive

何故Carnealがこうした事件を起こしたのかについて、いろいろ原因を考えて います。

1. 映画、特に同じような事件を扱っている1995年のThe Basketball Diaries に触発されたというもの。もちろん細部は異なる。しかし気になるのは Paducahでは3年前にも少年が殺人事件を起こしているようですが、これも映画 の影響を受けたとされているようです。

2. 差別されたものの恨み。Carnealは少し内気で引っ込み思案なところもあ ったようです。からかわれていたというか、少しいじめみたいなものがあった と証言する人もいるようですが、これもあまり確かとは言えない。prayer circleのメンバーとはうまくいっていたし、死亡したのはいずれも女子学生。 彼をいじめていたとされる、運動選手とは違う。

3. 武器への執念。南部に珍しくない10代のガンマニアの影響を受けたのか。 しかし彼はその数週間前までは、銃を扱ったこともなかったとか。

4. 宗教への反感。これも少し違う。サークルの仲間と言い争ったり、一部で 伝えられているように悪魔の象徴666のシャツを着ていたことがあったとして も、5月には堅信礼を受け、教会には定期的に通っていた。仲間との議論は、 TIMEにも書いているように、からかったりからかわれたりと、あまり深刻では なかったようですから、これも断定できない。

最後にUS Newsが示唆するものとして、彼はInternetのskateboardのWeb site に接続するときの名前がLocoだったそうです。Locoには狂人という意味がある のですね。彼自身が、自分の中にある狂気を持て余していたのだろうか。

真相は、少しずつ伝わってくるでしょう。

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