Weekly「今週の英語雑誌」 No.16


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Weekly 「今週の英語雑誌」  No.16  1997-12-05日 発行     

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みなさん、こんにちは。 Weekly 「今週の英語雑誌」No.16をお届けします。

No.15は、普段より少し容量が多いかなと思っていたら、32KBあったようで す。もしかしたら、ご迷惑をおかけしたかもしれません。私は大体20KB位の量 に達したところで、このWeeklyを発行しています。だから、ほぼ週に1回発行 という原則は守りつつ、しかしいつ発行するか分からないというなんとも曖昧 な基準のまま、場当たり的に発行してきたところがあります。この傾向は、今 後も必ずしも直らないかも分かりませんが。

感想を書く記事がここ2・3週間は、The Sunday Timesを中心に偏っていたのが 少しは気になっておりました。Sunday TimesはTIME, Newsweekと比べたら、日 本ではどうしても知名度も低いですから。一応TIME/Newsweekも読むように心が けていますが、記事の内容によって時としては偏ってしまいます。

1997-12-05

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目次
1. TIME     97-12-01
2. The Sunday Times 97-11-30
3. Economist 97-11-29 
4. Winnie裁判 (ST, TIME)

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1. TIME 97-12-01

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*黒人とヒスパニックの対立
THE NEXT BIG DIVIDE?
BLACKS AND HISPANICS SQUARE OFF OVER BILINGUAL
EDUCATION--AND FOR CONTROL OF PUBLIC SCHOOLS

アメリカでは、黒人とヒスパニックの対立がこのごろきしみ始めているよう です。 かつて人種対立の構図と云えば、白人と黒人がおきまりでしたが、ど うも最近は黒人とヒスパニックの対立が目立つらしい。

まず記事は、カリフォルニアの労働者の町、Fast Palo Altoのレポートから 始まっています。ここは10年前までは生徒数の85%を黒人が占めていたところ ですが、最近はヒスパニック系が70%だということです。だから黒人の割合 は、はっきりしないのですが多くても4分の1くらいでしょうか。ところが学校 の理事会などは、以前と同じように黒人が牛耳っているわけですね。だから、 ヒスパニックの両親達が、学校に押しかけて二カ国語教育をするように要求し て、両者がにらみ合い、警官隊導入の騒ぎになったようです。女性同士の喧嘩 を警察官が割って入ったのですが、「メキシコに帰れ」とか、激しいですね。

 (^^;  

確かに黒人女性のCharie Mae Knightが11年間教育長(superintendent)に居座 り、5人の理事のうち、1人しかヒスパニックがいないということを考えると、 ヒスパニックの不満が強まるのも無理もないかもしれません。逆に黒人にとっ ては、ヒスパニックの増大は脅威に映るようです。

そしてFast Palo Altoは、決して例外的存在なのではない。ダラスでも、ワシ ントンでも相手の人種の役職者をやめさせたり、さらにそれへの反撃があった りして混乱しているようです。去年12月のカリフォルニア州オークランドでの ebonics論争も、こうした対立を浮かび上がらせたようです。

スペイン語と多文化の重要性を教える教育を求めるヒスパニック系と、その 必要性を認めずもっと教育の質を高めることを願う黒人達の対立というわけで す。もちろん2カ国語教育だけが問題なのではなく、教育の質・非能率性・え こひいき・汚職などなどいろんなことが問われていますし、当然教育から他の 分野にまで意見の違いはでてくるでしょう。あるヒスパニックの言った言 葉。「白人が責任者であったときは、今ほど高圧的ではなかった。人は自分と より似ているものはあまり信用しないものらしい」 (^^;

こうした状況ではささいなことから誤解が生じる。ヒスパニックが自分たちの 地区にある小学校を労働運動家の故Cesar Chavesにちなんで改名しようとした ところ、その式典当日に多くの黒人が反対のために、学校にやってきていた。 黒人達は、Cesar Chavesを、ボクサーのJulio Cesar Chavezと勘違いしていた ようです。結末は書かれていませんが、この場合は多分誤解は解けたのだと思 います。

TIMEはこうした誤解は、お互いの理解を通して徐々に無くなっていくだろう と楽観的ですが、私はかえってこれから多くの摩擦が起きるような気がします。

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2. The Sunday Times 97-11-30

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1.  魔術師殺人
Indian villagers killed by a murderous magic
Woman desperate for a baby claims sorcerer told her "a life for a life"

インドでは、魔法使いが流行っているという記事です。困ったり、悩んだ人が 相談を持ち込むようで、どうもその周辺はおどろおどろしい雰囲気ですね。日 本にも生き霊とか死霊とか、丑の刻参りとか、わら人形とか、恐山のいたこの ようなものがありますが、そんな雰囲気ですね。

自分の子供を欲しいために、魔法使いの助言に従って、近所の6才の娘を池で 溺れさせた32才の女性が逮捕されました。a life for a life,命を授かるため には、命を犠牲にしなくてはならぬ、そうしたことを魔法使いに言われて、彼 女は殺人を実行したのです。インドのビハール州では、悩み事を解決するため にoojahsという魔法使いに相談することが多いようです。その結果、ここ6年 間でoojahの助言に従って、114人の人々が殺されたそうです。呪術の力でのろ い殺すのかと思ったら、 (^^; なんと物理的な力で殺してしまうのですか ら、もちろんこれは単なる殺人です。

ついでに、oohahを辞書で調べたら、「なんとかいうもの、あれ」とか言う訳 が載っています。これがはたして、関係があるものかどうかは分かりません。

とにかくインドのこの迷信ぶりはひどいもので、魔法をかけたと言っては拷問 されることもあるようです。あるイスラム教徒の女性は、魔法の嫌疑をかけら れ、村中引きずり回され、人間の尿を飲むことを強制されたとか。もちろんこ うしたことは、昔は世界中であったことだとは思いますが、不思議なことにイ ンドでは過去よりも近年の方がこうした事件が目立っているようです。田舎だ けの現象ではなく、都会でも流行っており、さらにヒンズーの中心部に影響を 与えてきている。その結果、場所によってはヒンズー教の寺院の没落が起きて いるようです。

日本の藁人形とそっくりなものもあるようです。五寸釘というわけではないの ですが、小さな人形にお経を唱えて、悪霊をいれ、そしてその人形の足を折っ たり、胸を叩いたりすれば、呪っている相手にも同様なことが起きるのだと信 じているようです。死者の魂を呼び戻したり、未来が分かるというようなこと も行われている。

災害や病気が起こったら、その原因を自分たちにかけられた呪いのせいだと考 えるのは、あたりまえなのかどうか。実際、南ビハールだけでも7人の女性が そうした疑いで、今年になってから殺されている。過去には、そうした嫌疑が かけられたときには、社会からの追放だった。村八分みたいなものですね。と ころが、現在では死刑判決。もちろんこれは正式の判決ではなく、一部の人た ちが勝手にそう決めて、執行するのでしょう。

そしておそらく人々の恐怖心を利用している人物がその背後にいる。財産問題 というか、土地などの取得が絡んでくるようです。7人の子供の死に関連があ るとして、魔女狩りで両親と6人の兄弟姉妹を殺された20才の女性が証言して います。それによれば、最初に土地を奪うという計画があり、手はずを整えた あとoojahに彼女の家族が魔法使いだと言う相談を持ちかけて、その託宣を殺 人正当化の理由にするわけです。ずっと前に読んだ、妻の殉死の風習、satiで も、夫の親族が財産を横領すべく利用していました。ここでも多分、計画者は 魔法のあまりにも実務的な効力を知り尽くしている。

人々の無知がこうした現象を生み出しているようですが、いつの時代でも苦し むのは貧しい寡婦であり、無力な人々であることに変わりはありません。

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2. さらに厳しい冬を迎える北朝鮮
  Kim shows starving nation no mercy
  by Michael Sheridan Pyongyang

 

北朝鮮の窮状は、いろいろ伝えられています。ここでは、新しい情報に的を絞 って書いてみます。

 

農業問題の責任者が公開処刑されたようです。これは、大分前に日本でも伝え られた党の幹部とは違うと思います。先月公開で銃殺されたようですが、こう したニュースがピョンヤンの外交官に入ってくる量が多くなっているようです から、大分増えてきているのでしょう。飢饉による体制崩壊を今以上の厳しい 締め付けで、防ごうとしているようです。以前は、秘密処刑だったものが公開 処刑に変わってきている。そうしたことで人々の恐怖心をさらに増大させ、何 としてでも権力を守ろうという鉄の意思を示しているのでしょうか。

 

以下、気についたことを書いてみます。

 

野菜を自家用に作ることは認められているらしいのに、鶏・豚を飼育するの は、禁じられている。何故なのか。これは私にもよく分かりませんが、貧富の 差がはっきり現れるから? いまさらこんなことをいっても、おかしいと思いま すし、よく分かりません。

都市部では思想教育はさらに徹底化されてきているようです。以前は週1回だ ったものが、週に2回も3回も、そのための会合を開いている。外国人と接触し た人は、詳細なレポートを提出される。こんな暇があるくらいなら、もう少し 何か出来そうなものですが・・・

エネルギー不足は深刻で、今や北朝鮮と外国の間を飛んでいる航空会社はな く、古くなったTupoley-154が週に2回北京に飛んでいるだけ。

しかし国民の窮状と反比例するかのように、金王朝の栄光を誇示するかのよう な様々な記念碑があるようです。例えばDelicate Fragranceの山々のなかにあ る、Mount Myohyang。そこに輝くばかりの宮殿があるようです。周囲や建物の 様子も豪華なようですが、そこに飾られているものは、外国からの数々の贈り 物。スターリンから送られた、鉄道の客車、チャウシェスクからは死んだ熊。 中央アフリカの独裁者、Kolinbgaからは6000匹の熱帯蝶の羽から作られた tapestry。さらにリビアのカダフィ、シリアのアサド、PLOのアラファトから も数え切れないほどの豪華な贈り物を受けているようで、そうしたものを陳列 して権力を誇示しているようです。これを競売にでもかければ、かなりの金が 入ってきて、飢えている国民の食料事情を向上させるのですが、もちろんそう した発想は、現在の北朝鮮の指導部にはないでしょう。

記者を案内してくれた何人かのガイドはいずれも、チャウシェスクの最期など も知らないようで、それを聞いて驚いていたとか。彼らは、レポートにこうし たことを書いて提出したのだろうか。 (^^;

人々があまり利用しない地下鉄や、そのほかいろんな豪華な建物のこともとき どきは聞きますが、こうしたものを見ると、人々の心は尊敬に満たされるもの なのでしょうか。

金正日の素顔は、なかなか伝わりません。現在の北朝鮮の実状は、チャーチル がスターリンのソ連を表していった言葉、a riddle wrapped in a mysteryinside an enigmaがそっくり当てはまるようです。謎の中の謎。国民 が自分たちの置かれた情報を知らないままで、いつまでもいられるのでしょう か。誰の言葉か知りませんが、次のような言葉を昔聞いたことがあります。「 少数の人々を、長期間だますことは出来る。多数の人を短期間だますことも出 来る。しかし多数の人々を長期間だまし通すことは出来ない」

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3. 出エジプトのユダヤ人
  Moses: at last it all adds up
  by Steve Connor Science Correspondent

エジプトのファラオの下で、奴隷であったユダヤ人たちがモーゼに率いられ て、エジプトを出国して砂漠にさまようこと40年。映画「十戎」でも、お馴染 みのこの出来事は本当に歴史的事実だったのか。それに似た事実があったとし て、聖書に書かれていることは事実を何処まで反映しているのか。

紀元前13世紀に起きた「出エジプト記」の記述の中で何よりも信じられなか ったのが、200万人もの人々が、エジプトを脱出して40年間も砂漠を放浪する という非現実性でした。現在の中東諸国の人数から数えても、まず信じられな い。それにこれだけの人数がいなくなったという記述が、エジプト側の資料に ないのもおかしい。

この記事はそうした疑問が、科学的研究の結果ようやく明らかになりつつある ということを紹介しています。それによれば、出エジプトに加わったイスラエ ル人は2万人。何故今までに200万人と伝えられていたかというと、初期の聖書 の民数紀を筆写した人が間違って解釈したのではないか、という事です。たし かにこれくらいならば、可能性としては起こりうる。

この研究をしたケンブリッジ大学のmaterials science教授のColin Humphreys は、聖書記述の正確さを研究しているようですが、長年の疑惑がこれで明らか になったといっています。materials scienceとは、どんな訳語がいいのでし ょうか。道具学?

もともと200万人という数字は、民数記の中のエジプトを脱出し、イスラエル のために戦った20歳以上の成年男子の数603,550人を元に、推定されたもの。 女性子どもを含めれば、それくらいになるというわけです。しかしHumphreys の推定によれば、砂漠をさまよったイスラエルの民は20歳以上の男性は約5000 人。これに女子・子どもの数を合計すると、2万人くらいになる。これくらい だったら、天から降ってきたマナやうずらなどや水の記述も常識的に許容範囲 に入るというわけです。

誤解のもとになったのは、古代ヘブライ語で"elep"と発音される"lp"という言 葉です。今までは、これを1000人と解釈していた。しかしHumphreysは、この 言葉はもともとtroopとかfamilyという意味だといっています。だからその解 釈によるとある部族の46,650という人数も650人からなる45部隊、の意味になる のだということです。

これで見ると当時のユダヤ人の考え方はいかにも現代的です。20才で大人の扱 いを受けるというのは、当時としては珍しいのではないでしょうか。平均寿命 がそんなに高くない3000年以上前ということを考えれば、現在と成人年齢が同 じというの少し意外です。まあ、聖書、特に創世記に出てくる人物の中には数 百年も生きている人もいるのですが、モーゼの時代の人は比較的等身大に書か れていると思います。それだけに、改めてこの記事で20才という数字を読ん で、少し驚きでした。

はたしてこの解釈が受け入れられるのかどうかは分かりません。この記事は、 Britainの欄に載っているのですが、Britainといってもレーニンの愛人の話が 先週には載っていましたし、けっこうイギリス国内のニュースでないのが多い のです。これはスコットランド版やアイルランド版が出来る前からそんな感じ でした。面白いです。

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3. Economist 97-11-29 

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*市場の論理
Reality hits Japan

東南アジアの不況がついに、韓国そして日本の金融界へと広がってきました。 山一の自主廃業という事態をEconomistは、どう見ているのか。当然かなり厳 しい評価ですが、それにしても日本の再生の可能性を信じているような論調だ と私は思いましたが、これは私の期待の現れでしょうか。

Better late than never. Economistの記事は、この言葉で始まっています。 遅くともしないよりましだ。もしも、山一が自主廃業という名の倒産の道を選 ばなかったら、日本経済は破局に陥っていたかもしれない。なかなか厳しい。 山一のような会社が人為的に生き残っていたのは、たまごっちのバーチャル・ ペットが人工的に生き残っているようなものだ。そのスイッチが切られたの は、将来のためにいいことだ。なかなか手厳しいですね。

しかし日本政府に取っては、これはもちろん彼らの見通しの甘さも含めて、そ んなに楽観的にはなれない。彼らは、決して何もしなかったとは思っていない からだ。1980年の初め、バブルがはじけたとき、かれらは金融機関の不良債権 は時間と共に、消失すると考えた。そのつけが現在回りに回って、銀行や保険 会社の危機になっている。

*アジア諸国への教訓・・・するべきことを8年間も延ばすな。

東南アジアの通貨・金融危機は、劇的であったが、そんなに深刻ではなかっ た。確かにタイやマレーシアやインドネシアなどの、東南アジア諸国が高度経 済成長から一転、危機に見舞われたのは劇的ではあった。だが、それらは適切 な対策さえ取れば解決可能であったし、なによりその経済規模が小さく、世界 経済に与える影響はそんなに大きくなかった。だが韓国と日本の危機は違う。 劇的の度合いは2倍だが、深刻さは4倍に増した。両国の経済規模の大きさを考 えれば、ことは重大だ。しかし日本が金融危機に原因があるのに対し、韓国は 金融関係ばかりではなく、大財閥の屋台骨が揺らいでいる。(韓国は別の記事 がありますので、時間があれば書くかもしれません。)

それでは恐慌になるか。まだだ。アジアを覆っている暗雲は、大きく灰色だ が、まだ黒い雲ではなく、雷鳴は聞こえていない。

日本の場合は、解決策ははっきり見えていないが、問題点ははっきりしてい る。政治的行政的に適切な対策を採ることが出来れば、高価な代償と苦しみを 払うにせよ、解決策はある。金融界を除けば、日本経済はまだ強く、産業の競 争力は世界をリードしている。だから金融界への信頼が回復すれば、消費は回 復し、成長力を取り戻すだろう。そうすれば韓国を含めたアジアにとっては、 大きな安心となろう。

ではこの金融危機の解決策は何か。政府の財政援助しかない。税金を使い、国 債発行ということで反対論もあるだろうが、他に選択肢はない。もちろんこの 過程で多くの経営内容のよくない金融機関は閉鎖されるし、経営陣も含めての 解雇が行われる。そうすれば競争力は回復する。Economistは、大蔵省と日銀 はどうやら財政援助と金融機関の整理をあわせて実施するつもりだと書いてい ます。そうだとすると、個々の金融機関や個人にとっては、まだかなりの痛み を伴うような事態が訪れるのでしょうか。Big Bangで、私はそんなに日本が変 わるわけではないと思っていましたが、最近の激動とも言える倒産劇を見てい ると、認識を改めないといけないようです。

もちろん日本経済がこの危機を乗り切れるかどうかは、Economistも楽観して いないようです。長期化するだろうし、まだどうなるかがはっきりしない。問 題は山一の倒産ではなく、簿外損失・債務の存在ですね。これが山一特有の問 題ではなく、一般的であるということが、問題です。日本的経営のつけがいっ ぺんに回ってきたような感じですが、はたしてこの膿を出し切るのか。このま ま体質を変えようとしなかったら、ということは曖昧な解決を取ろうとしたら ということでしょうか、多くの金融機関の倒産があるかもしれない。

大蔵省は、金融機関の倒産はないとうそを言い続け、官主導のビッグバンで時 間を稼げば、どうにかなると思っていた。しかし東南アジアの金融危機によっ て、もくろみは崩れた。市場の論理が、より強烈な形で、Big Bangを貫徹しよ うとしているようです。

最期にEconomist誌の言葉。日本は、危機に見舞われる度にそれをきっかけと して強くなってきた。だからアジア諸国は日本がもう1度その歴史を繰り返す ことを願わなければならない。そうして自分たちは日本の失敗を繰り返しては ならない。

明治維新と、第2時大戦の敗北。これは、多分世界史的に見て、かなり強烈な 出来事のはずです。私は今回の事態がそうしたものと肩を並べるという認識は まるでないのですが、どうも日本を見つめる海外の目はかなり厳しいようで す。21世紀に、太陽は再び昇るのか。

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4. Winnie裁判(ST, TIME)

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* Winnie裁判(ST, TIME)

今日のBBCによれば、Winnie Madikizwla-Mandelaが自分の裁判の証言に立った ようです。もっともこれは裁判というよりも、真実和解委員会の聴聞ですか ら、正式の裁判ではないのですが、そこで彼女は自分のbodyguardに殺された 犠牲者を気の毒には思うが、自分には責任はないと突っぱねたようです。

これに先立って、私はSunday Timesの2つの記事とTIMEの記事を読んでみまし た。Sunday Timesの方がWinnieの殺人関与を示唆しているのに対して、TIMEは そこまでは断定していないようです。一応、Sunday Timeの記事を中心に感想 を書いてみます。

1. Brazen Winnie starts bid for presidency
2. Fear and courage of the witness who went back

Winnieは、内外の非難にも負けずますます意気軒昂のようです。STの書き方 は、brazen( 厚かましい)であったり、HER bravado was almost asastonishing as her conceit(彼女の大胆さは、うぬぼれと同じくらい大し たものだ、とか言外に彼女の犯罪関与を認めている感じです。先週はSowetoの 元自宅を「ウィニーマンデラ家族博物館」にする、華やかな開館式を行ったよ うです。外見から見る限り、他の証人が自分を殺人に関与したと証言している ことなど、気にもとめていないらしい。

彼女に対する黒人の貧困層の支持は相変わらず根強い。アパルトヘイトで痛め つけられた彼らにとって、ウィニーは指導者というよりも、自分たちと困難を 共にした同志なのでしょう。彼女が自分たちの象徴かもしれない。そうした草 の根を背景にANC女性連盟の議長として彼女は、今月ANC副議長の座を狙う。

ANCの指導部の彼女に対する評価はよくて大衆煽動者rabble-rouser、悪ければ 殺人者のようですから、ギャップは大きい。この2つの記事を読む限りは、彼 女を支持する声はあまりないのですが、おそらく彼女の支持者が黒人の指導層 とははっきり違うのだろうと思います。彼女を追いつめることも、どうもでき にくいような感じを受けます。

はたして14才の若き活動家、Stompieを殺害したのは彼女のとりまき、Mandela United Football Clubの独断だったのか。当然Winnieは、そう主張している わけですし、自分を殺人者だとする証言を噂であり、伝聞であり、そしてアパ ルトヘイトを作ったものたちの陰謀だと言っているわけです。

2番目の記事は、ウィニーが自らStompieらを殺したのを見たと証言するKatiza Cebekhuluを匿っているEmma Nicholsonの書いたものです。彼女は前自由民主 党の国会議員で女男爵。Cebekhuluは、その証言を恐れるものの手によって国 外に連れ出され、ザンビアの刑務所で衰弱していたのを発見され、現在は Nicholsonによって保護されている。命を恐れながら、真実和解委員会で証言 するために、わざわざイギリスから一時的に帰国したときのレポート。これを 見ると、彼の命を狙うものが南アでは今でもいるらしい。

3.  "MUGGER OF THE NATION"?
WINNIE MANDELA, ONCE SEEN AS MOTHER OF SOUTH AFRICA,
FACES ALLEGATIONS OF VIOLENCE AND KILLING

TIMEの記事は、事実だけを報道しています。タイトルは、Winnieのかつての 愛称Mother of the Nationに引っかけて、国を強奪したものMUGGER OF THE NATIONとは少しどぎつい感じですが、彼女が殺人に関係したとは匂わせていま せん。

この記事でおもしろかったのは、Winnieが一度だけ冷静さを失ったところで した。そして真実和解委員会はおそらく結論は出せないだろうというところ も印象に残りました。国民の関心はウィニーが、今月ANCの副議長になるかど うかということのようです。そして仮になれなくても、1999年にWinnieが大 統領か副大統領になる道が閉ざされたわけでもない。

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