Weekly「今週の英語雑誌」 No.11


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Weekly 「今週の英語雑誌」  No.11  1997-11-6日 発行     

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みなさん、こんにちは。 Weekly「今週の英語雑誌」No.11です。

今回は、少し間があきました。前号が、10月29日発行でしたから、少し遅れまし た。予定としては、この間にもう1号出しているはずだったのですが、今週は少 し忙しく、感想をなかなか書けませんでした。記事そのものは結構読んでいたの ですが、どれを書くかという段になって、なかなかうまく行きませんでした。

アメリカで大きく報道されている、Louise Woodward裁判についても書きたかった のですが、Niftyの会議室では他の人がUPしていましたので、これはパスしました。 あと今週のTIME USA版がありますが、これは来週に回します。

発行が遅れた分、内容が少し古くなったかなと思っています。

1997-11-6 YUKI

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目次
1. US News 97-11-03
2. US News 97-11-10
3. The Sunday Times 97-11-02

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1. US News 97-11-03

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1. 人種差別を逆用した犯罪
The strange case of faked hate crimes
  An ugly form of fraud seems to be on the rise

 

人種差別があることを悪用して、逆に保険金詐欺などをはたらく例が出てきて いるようです。

それは痛ましい光景だった。異人種のカップル、Sandra Bensonと FreemanBerryは、去年の秋ジョージア州Jonesboroの焼け落ちた家の庭に佇ん でいた。彼らが、レポーターたちに話したことによれば、彼らはhate crimeの 犠牲者だということだった。放火によって、多くの家財道具を失った。その中 には20万ドルのコンピューター装置も入っていた。しかしこの20万ドルという のはすごい金額ですね。2400万円にもなります。どんなシステムになっていた のだろう。 (^^; とにかく彼らの塀とか、小屋はかぎ十字やら、スペルが 間違っている人種差別の言葉が書かれていて、FBIも捜査に乗り出した。hate crimeをおかす白人は教養が低いという偏見があるようですね。

しかし詳しく調べると奇妙なことになってきた。まず多くのhate crimeは、公 に対してなされるのが常なのに、人種的中傷の言葉はフェンスの内側、つまり 外からは見えないところに書かれていた。そして8月にBensonとBerryのカップ ルは自宅放火を含む23の訴因で起訴された。どうも過去5年間でそうした事件 で60万ドルを手に入れていたたらしい。

はっきりした統計はないようですが、こうしたhate crimeを悪用して詐欺をは たらく例が1990年以来増えてきているようです。特に最近2年間に多くなって いる。当然こうした事件が多発すれば、本当のhate crimeの犠牲者に影響があ ります。まず真実かどうかが疑われますし、ためにする主張じゃないかという わけで、信用されなくなる。二重・三重の意味で被害者になってしまう。

こうしたhate crimeの犠牲者だと偽わる人たちは、当然ほとんどが金銭がらみ でしょう。内容は記事で紹介されているほかの例を見ても、様々な例がありま す。

Angela Jacksonという学生兼美術取扱業者は、自分あての美術品に人種差別的 言葉を書いて、作品がだめになったといって、UPSを告発した。さらに念が入 ったことには、同じように27の荷物の中に人種差別の言葉を書いたUPSの便せ ん少入れて、著名な市民活動家に送りつけたらしい。こんなことをすれば、分 かりそうなはずなのに。UPSは、アメリカの代表的貨物業者。

さらにマイアミでは反セミズムのスローガンを息子の働いている学校にかきち らしたかどで父と息子が逮捕された。どうもその修理仕事がねらいだったらし い。

こうした事件を起こす人は、お金が欲しく人の関心を引きつけたい人が多い。 考え方が成熟していない。だから真相を明らかにすると、今度はそうした人た ちにはねかえる。真相究明は必ずしも、徹底的には行われないようです。

しかしアイオワの黒人牧師の場合はそうはいかなかった。彼は自分のMercede s-Benzが、人種差別語でスプレーで塗られたと主張。保険金会社が支払いを迅 速に行わないとみるや、地元のメディアからあのOprah Winfreyにまで接触し て、保険会社を人種差別主義と訴えた。しかしその前に数社の修理工場に塗装 の見積もりを聞いていことが分かり、起訴されたようです。

こうしたことが続発するということは、人種差別が緩やかになってきているの かな、と思わせます。本当に厳しいところでは、こうした余裕はないでしょう から。

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2. US News 97-11-10

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1. 田舎町のAIDS騒動(US News 11/10)

TIMEにも同じ内容の記事が載っています。

* AIDS Comes to Small-town America
The Chautauqua case exposes a hidden problem: AIDS is growing fast
in rural areas

この話は、以前ほとんど同じ内容の記事を読んだことがあります。地名などの 固有名詞を覚えていないので、同一事件かどうかは分からないのですが、その 可能性もあります。ようやく全体が見えてきたので、これらの記事になったの かもしれません。

New York 州Jamestownは、人口35000人の田舎の町。ぶどう酒醸造所やら自然 保護区域もある魅力的な町のようです。この町が今AIDZ騒動で揺れている。

1人のAIDSにかかった若い男性が、意識的に十代の女性たちと性的関係を持っ て、次々とAIDSに感染させていった。先週明らかにされたところでは、 JamestownのあるChautauqua郡内で、10人以上のいずれも20歳以下の女性たち が、Nushawn WilliamsによってAIDSに感染させられた。そのうちすくなくとも 6人は、彼自身がHIVのキャリアであることを知らされてからのもの。

US Newsでは、98人の女性と関係したといっているようです。これはTIMEなど と少し食い違いがある。Williamsが当時13才の9年生ninth graderと、関係を 持ったことを理由に、郡検察は第2級強姦罪で起訴するようです。現在彼は 麻薬売買の嫌疑でNYのRickers Island刑務所に収容されていますが、これは事 件とは関係ない。

この事件がショックなのは、被害者が13才の少女もいるということや、1人の 男によって感染させられたということではない。確かに若くて女性で異性愛者 間の感染ということもありますが、AIDSが田舎で急激に増えているということ にあるようです。Chautauquabut郡ばかりではなく、全国共通の傾向のようで す。特に南部で著しい増加傾向にある。以前も増加率を見るならば、田舎が大 きかったようです。しかし事態は深刻化している。ということは、数そのもの も増えてきている上に、増加率が高いということかなと思います。96年の統計 で、大都市部で56556件に対して、地方では4605ですから。

何故田舎のAIDS患者が増えているのか。1つには都会で感染した患者が、故郷 に戻るということがあげられます。NY州の西部の3郡の場合、その割合は25%。 どうも感染後、家族から支えてもらうために、あるいは最後の時を迎えるため に故郷や田舎に移る人が多い。

もう1つは麻薬です。薬ほしさのために性的関係を持つということが増えてい る。南東部のジョージア州では、1996年AIDS感染者の60%が黒人、45%が女性と いうことですから、白人の同性愛者の病気というイメージが変わってきてい る。同性愛者の割合が減ってきているということは全国的な傾向です。そのか わりに貧しい女性の間に広がっているようです。

ミシシッピのVicksburgでも似たような事件がおきている。27946人のこの町で も、かつてはAIDS患者はほとんどが同性愛者の男性だったのが、今ではほとん どが麻薬関係か女性。ここでHIV陽性の男が、52人の女性と関係を持ち、その うち14才から20才までの女性12人がHIV陽性と判断された。彼女たちは梅毒や ら淋病などの性病を移されたと思っていたようです。しかしこの男性は診察を 拒否しているようです。

田舎では、AIDS感染者であることが知られれば、住み難いことも確か。病室の ドアの前に置かれている赤い星の印とか、あるいは家族に知られたらもう一緒 には住めないこととか。患者宅を訪問するソシアルワーカーは、患者たちから 身分を明かさないで欲しいといわれるそうです。他の人から聞かれたら保険会 社のものとかいってごまかして欲しいというわけです。さらにBible Beltと呼 ばれる地帯では、子供たちの前でsexのことを話すのも、タブー視されている から、その中でAIDS教育を子供たちにしようにもなかなか成果は上がらないと か。

田舎では、一般の人々ばかりではなく、医者や看護婦の間にもそうした傾向は あるようです。患者そのものを受け付けないところも多い。AIDS患者1人あた り年間20000ドルかかる薬の費用に、郡予算が圧迫されてきています。AIDS関 連のRyan White基金の配分にも、地方に不利なところがあります。どれくら いのAIDS患者を診断したかによって、配分されるようですが、大都市で診断 後、地方に移住したり、あるいは地方で感染しても大都会で診察を受けたりす るから、必ずしもそうした基金の配分が地方に適切であるとはいえない。AIDS 患者に対しては、故郷であっても、田舎は住み難いところかもしれません。

Jamestownは、どこにでもある普通の町なのです。ことAIDSに関する限りは。

(佃さん情報では、この事件は以前の事件とは違うということのようです。)

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2. 自殺幇助法案の行方

* In Oregon, a political campaign to die for
Assisted suicide fight turns ugly

安楽死・自殺幇助認めるかどうかの議論については、ここでも大分前に何回か 話題にしてきましたが、いよいよオレゴン州で安楽死を認めている法律の廃案 を求める住民投票が今週実施されるようです。しかし人間の倫理にとって重要 な問題を政治的に解決するのがふさわしいかどうかは別として、ここ数週間の 運動はかなりの泥仕合的様相を呈しているようです。

Measure 51として提出されたこの住民投票は、世界で最初の医者による自殺幇 助を認める法案Measure 16の廃案を狙ったもの。最高裁はこうした問題に対し て、各州独自の権限を与える判決を今年の夏下しましたから、この住民投票の 結果はかなり大きな意味を持ってくる。オレゴンでMeasure 16の廃案が決まれ ば、アメリカでも当分はこうした動きは出ないかもしれませんから。

仕方がないことかもしれませんが、両陣営ともかなり感情むき出しという感じ ですね。第51号法案賛成論者、つまり安楽死反対論者たちのTVコマーシャル は、健康な若者を登場させて、彼が今にも誤診の結果、苦しみながら自殺す る(あるいは彼らによれば殺される?)というイメージを与えているです。さら に10代の自殺も増えるようなことをあおっている。

これに対して51号法案反対派、つまり安楽死賛成論者はローマカトリック教会 の役割を批判しているようです。16号廃案のために、全国で230万ドルもの資 金を集めたことなどをさしているようです。カトリック・バッシングの非難も 出ているようですが、このへんはカトリック教会のアメリカでの立場を反映し ているのかもしれません。プロテスタントの国、アメリカでカトリックは保守 的というイメージは強いのでしょうか。

しかし戦術的には安楽死容認派の方が上手というか、ずるいというか、かなり 奇妙なコマーシャルを流していますね。16号法に反対な人は、51号法案に賛成 なわけですが、彼らの広告とほぼ同じ広告を容認派が流していて混乱に拍車が かかっている。つまり安楽死反対派は16という数字の外側を赤い○で囲み、そ の中に線を引いているわけです。16, No.というわけですし、そのキャッチフ レーズはfatally flawed致命的欠陥というわけです。ところが容認派は、 fatally flawedの言葉も、デザインもそのまま採用して、数字だけ、51に変え てしまった。これでは、混乱する人が出てきても仕方がない。25%もの人々が 混乱してしまって反対の意思表示をいかねないということです。これはオレゴ ン州の政治で、もっとも賢い作戦だとか。  (^^;

こうした人権の一番重要なところが、単なる政争の道具になっている感じで す。来週には、この結果が分かるでしょう。

(今日の朝日によれば、安楽死法賛成派が60%を超えて、圧勝したようです。)

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3. The Sunday Times 97-11-2

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1. 中国の人権弾圧に厳しい見方
Congress turns heat on Jiang with anti-China bills

江沢民の訪米を中国では大成功だと評価しているようですが、欧米の見方はか なり厳しいようです。特に共和党の議員は、冷たく出迎えたとか。いうまでも なく、その底流には反体制派の弾圧、女性への強制妊娠中絶、さらには臓器売 買などで、中国に対する厳しい批判があります。

水曜日から、議会は中国の人権弾圧をめぐっての集中討議が始まるようです。 ここでクリントン政権の対中政策を弱腰と批判する共和党は下院で立て続け に、中国批判法案を提出するようです。議長のNewt Gingrichも、江沢民の訪 米中は彼を困らせないために、討議を延期していたのが、今では江沢民の非協 力的態度に怒っているということです。

どうやら、江沢民は人権問題の発言で、反発を招いたようです。「人権と自由 は相対的なものだ」という発言が、かつてのソ連指導部に対するのと同様なイ メージを植え付けた。経済改革は進めるが、政治的自由では妥協するつもりは ないというのは、本音でしょうが、どうも頑固な強権主義者のイメージが出来 上がった。Sunday Timesの表現はかなり厳しいですね。世界が前進しているの に、時計が過去に戻ったみたいだとか、かなりきつい。

公式的見解を、繰り返すだけで人間的魅力に乏しかったのかもしれません。最 初はなかなかよい出だしだったようです。ハワイではフラダンスを踊ったり、 子供を抱き上げたり、さらに1時間も泳いで、陽気で親しみのあるところを見 せた。 (^o^)  だからアメリカ人もDeng Xiaopingのようなユーモアと、愛 想の良さを期待していたら、一昔前の教条主義的言葉しか発しなかったという ことで、反発も大きかったのでしょうか。少なくとも天安門について、なんら かの反省は期待されていたようです。

クリントンと個人的な会談を長時間行ったにも関わらず、どうやら最後までそ の姿勢は変わらなかった。お互いの立場を、確認しあっただけのようです。そ れ以上に、議論は進展しなかった。:あまり成果はなかったようです。江沢民 としては、自分の立場をしっかり守ったから、面子を保ったし、上出来でしょ うが、歴史的判断は厳しいかもしれない。

もちろん経済関係ではいくつかの成果が上がっています。しかし人権問題での 発言によって、アメリカの反中国の動きはかえって高まっているようです。中 国国内の収容所内で作られた製品の輸入禁止、宗教的迫害やら強制妊娠中絶に かかわった関係者のアメリカ入国禁止、さらには北京での情報活動を強めるこ と、アメリカ国内での中国のスパイ活動に目を光らせること、などが議論され るようです。クリントンが拒否権を発動するかもしれませんが、少なくともそ のメッセージは中国にも伝わるだろう、とのことです。

私はここまでアメリカの中国を見る目が厳しいとは思わなかった。日本の新聞 でも読んだはずですが、中身は素通りしていたのかな、あまりこんなことは読 んだことがない。 (^^;

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2. 悲惨なアフリカの少年兵士たち

アフリカの記事です。

先週のsunday Timesも、Ugandaの少年兵士たちの状況を、かなり長文の記事で レポートしていました。誘拐されて、殺人マシーンに仕上げられていく少年た ち。加害者であると同時に、被害者でもある彼ら。読み終わっても、感想を書 く気にはなりませんでした。今回は、Rwandaからです。どうしようかと思いま したが、簡単に書いておきます。

* Rwandan children on trial for murder by Jon Swain

3年前、ルワンダで起きたgenocide。多数派のHutu族による、少数派のTusci族 とHutu穏健派の大量殺戮が、始まりでした。あのとき、Tusci皆殺しの指令を 実行したものの中には、当然少年少女もいた。 Kadhafi Munyeshemaも、その1 人。彼は首都Kigaliの郊外で、Tsusi族の家族6人を殺害したことで、今裁判を 受けようとしている。

1994年フツ族出身の大統領が、原因不明の飛行機事故で、死亡。当時から、こ の事故自体が仕組まれていたものではないかという噂がありました。まだ真相 は不明なのでしょうか。とにかくこれをきっかけにフツの過激派がラジオなど で、ツチを殺すように呼びかけたと思いますが、4月から6月までの100日間 で、50万人以上も殺された。これにKadhafiも呼応したというか、参加した。

彼は無実を主張しています。序列の厳しい社会で、年上の少年から命令されれ ば従わざるを得なかったということです。「私は個人的には誰も殺していな い」というのが、彼の主張です。虐殺チームの一員であり、ツチ族の人々を殺 したことは、認めています。このときに瀕死の重傷を負い、今でも後遺症に苦 しむ14才の娘が、彼を覚えていて、裁判では証言台にたつようです。

Kadhafi は、当時15才だったから、死刑にはならず、最高で11年の刑になるよ うです。しかしルワンダが、過去と向き合ってくるにつれて、彼のような人種 間の暴力の犠牲者になった最大の犠牲者が子供たちだったということが、明ら かになってきている。3人に1人の子供は、他の子供たちが殺人などをおかすの を見ている。彼らの多くが両親や教師や近所の人たちにそうするように命ぜら れたから、実行したもの。いわば殺すか、殺されるかの選択しかなかった。

Sunday Timesは、子供たちが人類に対する犯罪で裁かれることは今までなかっ た、と書いていますが、最近では似たような事件はあちこちで起きている感じ ですね。ルワンダの場合、虐殺の疑いで現在収容されている12万人の内、2150 人が当時14才から18才の少年。85人が少女で、そのうち5人は当時14歳以下。 これを見る限り、ルワンダの子供たちが、人口比率から見れば特例とはいえな いかなという気もしますが、もともとこの虐殺そのものが信じられないもので すから・・・

収容所の状況もかなり悪いのですが、少年たちを釈放することには彼らの安全 面からも一部問題がある。殺された遺族の中には、少年だったからといって許 すことは出来ない、死刑が相当だとして、報復の機会を狙っているものもいる からです。

Kadhafi は今でも自分がしたことは正しいと信じているようです。親戚の誰1 人、彼を訪ねてくるものはいないし、殺人者という汚名は生涯つきまとう。

司法制度も、他の制度と同じようにめちゃくちゃなようですし、裁判は遅れて います。少年たちに罪はあるのか、という議論もツチ族の役人たちにはほとん ど関心を呼び起こさない。彼らのほとんどが家族の誰かを殺されている。フツ 族が多数派であることに変わりはないから、現在のルワンダの状況はまだ安定 しているとはいえない。裁判を迅速に、という同意は出来たようですが、今年 に5件、来年に20件という状態では、100年かかっても終わらない。

ルワンダの失われた子供たち。彼らを再教育すべきか、あるいは収容し続ける べきか、これほどの規模ではルワンダ以外どの国も、まだ経験したことはな い。記事はこんなに結んでいます。

イギリスはやはりアフリカに関心が強いのですね。しかしアジアでも、過去に これに相当する悲劇は起こっていると思うのですが・・・どちらにせよ、経済 発展・民主化という新しいアフリカのイメージを描き始めていたら、アフリカ も相当広いようです。当たり前ですが、いろんな事件が起こっているし、なか なか分かりにくい。まだまだ、アフリカは遠い。

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3. Gnome解放戦線、庭先で全面戦争へ
*Garden guerrillas go to war on the gnome front

誘拐者たちは警告なしに襲ってくる。フランス郊外はおびえている。犠牲者 は、家から遠く離れた深い森の中か、川を下る筏の上で発見されている。

しかしついに先週憎むべきノームgnome解放戦線(GLF)の4人のメンバーが、法 廷に引きずり出された。彼らは庭のノーム、つまり庭に飾られた地の精の像 や、ミニチュアのティーセットや風車、プラスチックのきのこを誘拐した罪で 裁かれなければならない。

弁護士は被告たちを情熱を込めて、しかしわずかに笑みをこらえて弁護し た。「みなさんには、庭のノームたちが寒さにふるえ、時には通りすがりの犬 から街灯柱のように扱われている(つまりあまりありがたくないものをかけら れる)という屈辱に、怒りをbこめて叫んでいるのが聞こえないのか」さらに彼 は、gnomeは差別用語であり、politically incorrectだから、vertically challenged figureという言葉を使うべきだと提案した。

しかし検察官は真剣に反論した。これは政治の問題ではなく、窃盗と庭への不 法侵入の問題だと。そして被告たちに80時間の地域活動の刑を求めた。先週裁 判が始まって審理は2週間続いた、とあるのですが、多分まだ判決は下されて いないと思います。

弁護士と同様、裁判官もどうも厳粛な雰囲気を保つことは、難しかったようで すが、被害者の中には怒り狂っている人もいるようです。その一人は、「今度 誰かが私のノームを盗もうとしたら、警察には届けない。いつでもショットガ ンの準備は出来ている」と、穏やかではありません。彼は10個のノームの弁償 代金として、500ポンド要求しています。10万円くらいですから、高い。理由 は、それらは豪華で、ベルギー製でグラスファイバーで出来ていたからという ことです。

このGLFの活動は、以前にも多分Sunday Timesで、読んだと思います。彼らは ノームを盗んだあと、「あなたのノームは、森で平和に暮らせるように、解放 された」というメッセージを残していくのですね。彼らはバラクラバ(フード) をかぶって、記者会見したこともあり、その際は「所有者には危害は加えな い。庭のフェンスの後ろに幽閉されている小さいものを本来の自然環境に戻し てやるのが、我々の使命だ」と言っています。しかしGLF以外にも、活動をま ねしたグループも存在しているらしい。

GLFの創設者の考えでは、gnomeを庭に置いておくことが、悪趣味と通俗さの現 れであり、美的感覚を害するものだと言うことのようです。持ち主たちは、戦 々恐々して夜になると、家の中にしまい込んだり、番犬を飼っているとか。ま た一部自警団みたいな組織も作り始めたようです。

さらにいろんな解釈が行われているようです。反ノームの感情は、ナチス以来 の歴史を持っているとか、階級対立の象徴をここに見る人もいるようです。

しかしこうした事件のおかげで、フランスのノーム売り上げは10倍にも増えた とか。GFLにとっては、このニュースはあまりうれしくないようで、人々は彼 らの主張を間違って受けとめていると、苦り切っています。

日本にもノームはいるのでしょうか。田の神、地の神がいることは確かなので すが。(^o^)

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