Weekly「今週の英語雑誌」 No.10


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Weekly 「今週の英語雑誌」  No.10  1997-10-29日 発行     

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みなさん、こんにちは。

Weekly 「今週の英語雑誌」 No.10 をお届けします。今回は面白い記事が多 かったせいか、No.9の発行から、あまり時間を経ないで発行できました。

ただ毎週Sunday Times, TIME、US Newが日曜日の夜から火曜日にかけてUPされ ますのでこのへんをどうやって読んでいくかについて、少し悩みます。今回の ように先週末に来たNewsweekの記事も残っていたら、どれから読んでいいのか 分からなく迷ってしまうことがあります。本当はこの辺は整理した方がいいと 思うのですが、私の場合順序がでたらめというか、面白そうな記事から読んで いっています。その結果、今回はNewsweek2つ、Sunday Times4つ、TIME 1つの 記事の感想と言うことになりました。この辺は、Newsweekは別として、次の No.11もあまり変わらないものになるかと思います。

理想的を言えば、1週間に読んだ記事の中から、取捨選択して決まった曜日に 定期的に発行する、という形だろうと思います。しかし私の今の状態では、こ れはなかなか難しいことです。今はある程度の分量に達したら、いわば泥縄式 に発行するという形しか出来ません。これは毎回どの雑誌の記事を主に読むか が、違っているということも原因ですが、私の自由になる時間が毎週違ってく るということあります。

次のNo.11も、今回取り上げた雑誌にまだ面白い記事がいくつかありますの で、それも含めることになると思います。なるべくなら、同じ号の雑誌の感想 は、同じ号でまとめて扱いたいのですが、今しばらくはこの形が続くかと思い ます。

97-10-29    YUKI

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目次
1. Newsweek 97-10-27
2. The Sunday Times 97-10-26
3. TIME USA版  97-11-03

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1. Newsweek 97-10-27 

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1. ユダヤ人内部の分裂
  Whose Faith Is It? (p.32)
  Jew versus Arab isn't the only conflict in Israel

イスラエル社会の対立を描いた記事です。漠然と感じていたことですが、やは りOrthodoxとnon-Orthodoxの間の溝は深い。Orthodoxは、ユダヤの伝統に固執 する人たち、聖書の記述をそのまま真理と受け入れ、昔風の生活に固執する人 たちでしょう。これに対してNon-Orthodoxは、ReformとConservativeを含みま す。ConservativeはOrthodoxではないのです。政治的信条は別として、宗教と 政治を切り放して考えている人たち、ということでしょうか。あまりいい説明 でもないのですが・・・

Orthodoxが、イスラエル国内である一定の割合を保っているのは分かります。 そうした思想を持っているユダヤ人はほとんどが、イスラエル移住したでしょ うから、例えばアメリカのユダヤ人社会などと比べて、比率はかなり高くな る。しかしネタニヤフの連立政権を支えるKnessetの議員66人の内、23人がそ うしたOrthodoxに属する3つの政党の議員だということは、やはりかなりの危 険さを感じます。これではネタニヤフは、アラファトと交渉しようにも大きな 決断は出来ないかもしれない。

今イスラエルで2つの法案が議論の的になっているようです。どちらも宗教と 政治がもろにぶっつかっている。

1つはNon-Orthodoxのユダヤ人を、150人からなる宗教評議会から閉め出すこと を狙っています。この宗教評議会は毎年シナゴーグ建設のために7000万ドルの 国家予算を使い、ユダヤの法律に基づく食事kosher dietryを定め、各種の宗 教行事を執り行うということですから、その権限は大きい。

もう1つの法律は、Orthodoxのラビだけがユダヤ教に改宗することを認める権 限を持つというものです。

これは現在既に慣習としてあるものを制度化するということのようですが、私 は今までこんなにOrthodoxの力が強いとは思わなかった。たしかに450万のイ スラエル人口の内、6割がsecularと思っているようですから、数の上では宗教 と社会・政治を切り放して考える人が多い。しかしobservantと考える180万人 のほとんどが、Orthodox。彼らは概して頑固で他の意見には耳を傾けないと言 う感じですから、これではイスラエルがパレスチナ人との共存を受け入れるこ とは難しいかな、とも思います。

この論争が深まることは、ユダヤ人社会の分裂を招く可能性がある。さらに ultra-Orthodoxに牛耳られているネタニヤフ政権に不信感を募らせているアメ リカのユダヤ人もまた、イスラエルに対してこれまでとは違う態度を取り始め た。多額の資金を提供しているアメリカのユダヤ人主流派は、彼ら自身が、 non-Orthodoxだから、資金の流れを見直し始めた。今までとは違って、イスラ エル政府に近い組織にではなく、より目的に合う組織に流れ始めた。

このユダヤ対ユダヤの争いは、激しくなってきている。Ultra-Orthodoxは改革 派の幼稚園を開園前日にを荒らしたり、シナゴーグの窓を壊したり、家の戸口 のわきの護符をはがしたり、時にはナチスのかぎ十字をシナゴーグの掲示板に 書き込んだりと、考えられない行動を犯している。それに対して首相や大臣 は、他の国で同じことをされたら、非難の叫びをあげるのに、口を開こうとも しない。そこまでOrthodoxの存在は重くのしかかっている。こうした野蛮な行 為は、やがて流血沙汰に発展するだろうと、Newsweekの記事は結んでいます。 かなり不気味な書き方です。

私は今までTIMEやらNewsweekでは、イスラエルの比較的理性的な考えを読んで きたとは思っていましたが、その底にここまでどろどろしたものがあるとは思 わなかった。やはり中東での人間の情念の闇とその深さは私にはとうてい理解 できないのかもしれない。

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2. 文法よ、さようなら。
So I'm Like, 'Who Needs This Grammar Stuff?' (p.13)

2000年関連です。どうやら英語の世界でも、その乱れを嘆く声は日増しに高ま っているが、しかし時代の流れは確実に今までの文法では説明できない英語を 生み出す方向に向かっているようです。

今の英語の使い方には,昔ながらの正しい英語の用法にこだわる人には我慢が出 来ないのでしょう。Web上でStamp Out Bad Cornerを設けたりしています。今 こうした動きを起こさなければ、間違った使い方がそのままstandard language になってしまうというわけで、相当危機感も強いようです。学生た ちの言語能力の低下はずっと前から見られたことですが、ここ数年は特にひど いとか。

しかしもちろん冷静な意見もあります。「文法のきまりのほとんどは死んでし まったか、あるいは死にかけている」と、語るのはシカゴ大学のJoseph Williams 教授。彼に言わせれば今日の標準英語とされているものの多くのき まりは民族学と同じと言うわけです。これは多分厳密なきまりがあるわけでは ない、ということだと思います。文法は最近ようやく体系化されたに過ぎな い。もともと言葉は自然法則とは違う。

UCLAを退職したRichard Lanham前教授はもっと厳しい。正しい文法云々を言う のにはうんざりする、1623年の盲腸を今でも持ちたいと考えるようなものだ、 と言うことですから。 (^o^) 

しかし英語が時代の波に洗われていることは事実。今は話し言葉だけですが、 この変化はやがて書き言葉にも入ってくる。そして国際化とテクノロジーの2 つの大きな力が英語を変えていく。今や英語は言語の中のWindows。世界の標 準になってきている。それとともに、英語の中に外来語がものすごい勢いで入 ってきている。既にunabridged dictionaryの90%は外来語だとか。そして語彙 の数ばかりではなく、それと同時に英語の内容が変わってきている。

さらにe-mailによって、より格式張らず、話し言葉に近い書き言葉が勢いを持 ってきている。次の10年間は、コンピューターがさらに進化するだろうし、話 し言葉がそのまま文字になったらどうなるのか。そうなったら誰も正しい英語 の使い方を、他の人に強制しようにも出来なくなる、ということです。このへ んは日本語も多かれ少なかれ同じかもしれません。

なおこの記事全体にいくつかのstandard Englishでない例というか、最近の風 潮が載っています。よく分からないのですが、こんな使い方は英文法学者から 見たらひんしゅくものなのでしょうか。 (^^;

1. 文を前置詞で終わらせること。
2. 不定詞を分断すること。(toと動詞の間に副詞などを持ってくることなど)
3. 人称代名詞の乱用。主格と目的格の混同など。
4. アポストロフィはあと50年たったらなくなってしまうだろうということ   です。
5. likeという言葉を、3語おきに挿入すること。

私は以上のことが気になるレベルには達していないので、感覚がよく分かりま せん。

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2. The Sunday Times 97-10-26

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今週のSunday TimesのWORLD欄は17もの記事があって、しかも興味をひかれる 記事が多かったです。おかげで、読むのに大分時間を取られました。しかし内 容が少し暗いのが多い。読んでいてあまり楽しくならない。世界の株式市場も 暴落しているようですし、あまり読みたくないかもしれませんが、まあ、とに かくいくつかを紹介してみます。

1. 殺人遺伝子はあるのか
Murder is a family affair on death row by Christopher Goodwin

Arizonaの刑務所のDarrel Hillと、1000マイル離れたArkansasのJeff Landriganは、ともにいつ処刑されるかもしれない死刑囚です。この2人はお互 いに郵便チェスというのを交換している。郵便囲碁というのは、聞いたことあ りますが、アメリカにもこうした浮き世離れしたことをする人が、たとえ死刑 囚とはいえいるのですね。 (^^;

Hillは57才で、Landriganは37才。Landriganはチェスを愛することと、暴力的 性質がHillによく似ている。それどころかHillの遺伝子までも持っている。2人 は親子なのです。Billy Hillとして生まれた、Landriganは35年前に養子に行っ た。それ以来2人は会ったことはない。1・2才の時に養子に行ったようです が、名前が完全に変わっていますね。

BillyことJeff Landriganの養父母は、犯罪とは無縁の愛情に満ちた中産階級 upper-middle-classだった。しかし彼が犯罪に走ることを防ぐことは出来なか った。この生物学的な父と息子の経歴が驚くほど似ているというわけで、昔か らの論争に新たな議論がでているわけです。すなわち人の性格は、遺伝によっ て決まるのか、それとも社会的要因の方が大きいのか、というわけですね。

まず簡単に2人の略歴を述べておくと、父親のHillは、3世代にわたる犯罪者と あります。祖父母の代からということでしょうか。7才でギャングの一員にな り、11才で強盗をしているときに撃たれ、16才でオクラホマ州刑務所の最年少 の受刑者となった。刑務所に入っているとき、最初の殺人を犯した。酒と麻薬 に溺れ、武装強盗などの罪で、何回も刑務所に入り、1980年に脱走したとき犯 した強盗殺人で、死刑判決を受けている。

息子のLandriganは10才になるまでに、やはり酒と麻薬に溺れ、賭玉突き場に 出入りするようになった。22才の時、子供時代からの友達を殺し、5年後さら にテキサスでバーテンを殺した。

2人の驚くべき類似性が、過去の論争を現代的な形で、問いかけているわけで す。すなわち「殺人遺伝子killing geneが存在するのか」、というわけです。 つまり生まれつきの殺人者は存在するのかと言うわけですね。Landriganの弁 護士(複数)は、その存在を信じているようで、Landriganは死刑囚になるべく 運命づけられていたと主張しています。2人ともまだ上訴の手続きをしている ようなので、一種の法廷戦術かもしれませんが、これは専門家でも支持者がい る。

しかしこれは確かに危険な側面も持っている。この理論が一般に受け入れられ れば、犯罪率の高い黒人などへの人種差別が広がりますから。こうした理論の 1つとしては、あるオランダ人の研究があるようです。幼いときに養子に行っ た人たち14000人の生物学的親子の間の犯罪率を調べて、ある程度関連がある という結論を出しているようです。この理論を支持する心理学の教授によれ ば、「少年が犯罪を起こすかどうかは、父親を見れば分かる」ということにな るようです。

これは今の所アメリカの主流にはなっていない。ほとんどの有力な犯罪学者 は、生物学的要因と環境要因のどちらも、犯罪に関連があるとしていますが、 例えば赤毛を遺伝するというような意味での殺人遺伝子はない、と言っていま す。今までの犯罪者は幸福な安定した家庭で育ったものが少ない、ということ が主な原因かもしれません。しかしもしかしたらまた新たな議論の引き金とな るのかもしれません。

昔遺伝のところで習った、天才音楽家とか犯罪者の家系のことを少し思い出し ました。

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2.  インドの悪漢、自分の罪業に涙す
  India's bandit king weeps and repents by Stephen Grey

インドからの記事ですが、これも不思議と言えば不思議な記事です。インド で、119人を殺して、重要指名犯として懸賞金もかけられている盗賊が、今ま での生活を悔い改めて、自首するとか。彼は当然獄中生活を送るでしょうが、 死刑判決は予想していないらしい。2年くらいで自由になると期待しているら しい。インドは、死刑制度を廃止しているのでしょうか。前にフランス人連続 殺人事件の犯人がタイから逃れて捕まり、優雅な刑務所生活を送ったのもたし かインドだった。釈放されたときの記事を読んだわけですが、彼が釈放後、書 く本は既に高額の契約金が予定されていましたが、まだ本は完成しないのか な。

先週の木曜日Koose Maniswamy Veerappanは、政府の科学者を含む6人の捕虜を 釈放したときに、投降して刑務所に入る用意があると言った。彼は山賊王 bandit kingと呼ばれ、過去20年にわたって数百万ポンドがその捜索に費やさ れ、1000人以上の警官が南インドのKarataku州とTamil Nadu州にまたがって、 ジャングルを追跡していたとか。10万ポンドの懸賞金も、その首にはかけられ ているが、あまり効き目はなかった。

彼の残虐ぶりは伝説的なもの。娘が生まれたとき、所在地を知られるのをおそ れて、生まれたばかりの娘を殺したとか、32人の警官・10人の森林監視員・77 人の村人を殺したが、その殺し方は残虐で多くは手足や首が切断されていたと か。

その彼が捕虜を通じて自己の間違いを認め、神の裁きを受けると宣言したわけ です。しかし警察側は疑っている。前にも投降をほのめかしたが、その条件は 彼の映画を作るという風変わりなものだった。今回の条件は野外の刑務所に収 容されること、2年間以上は刑務所に収容しないと言う保証だそうです。しかし Karataku州とTamil Nadu州の首相は、既に話し合うことに決めたようです。今 回は来週木曜日までに投降しなかったら、血の海になると両州政府が警告した ことも原因かもしれませんが、それにしてもこうした取引が可能だということ が、やはり日本の常識では考えられない。

残虐な事件を起こしているにも関わらず、低カーストのインド人にとっては、 彼はロビン・フッドのように見えるようです。白檀の密輸で稼いだお金を、貧 しい村に寺を作る資金としてわかち与えている。彼はこうしたイメージを持っ て逮捕され、2年くらいで保釈されたら、と願っているようです。

私たちから見ればあり得ない世界ですが、なにしろインドは山賊の女王 Phoolan Deviの国。彼女も同様な経歴で、今や国会議員。日本でもその自伝が 出版されましたし、映画も完成したようです。Veerapanが、彼女同様政治の世 界でcareerを求めてもなんら不思議ではないのかもしれません。Karataku州の 首相の言葉も、必ずしもその可能性を否定してはいないようです。

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3. 年齢制限は違法
 Dutch set to outlaw ageism in workplace by Peter Conradi

オランダでは、労働者を雇用するに当たって年齢が若かったり、オーバーして いるという理由で、採用を拒否することは出来なくなると言う話です。肝心な のは、ある年齢以上の人を雇わないといえなくなる点でしょう。

政府が現在法案化しようとしている内容によれば、ageismを禁止するとのこ と。人種的・性的差別と同じように、年齢を理由に雇用を拒んだ場合、違法に なり補償問題が生じることになる。オランダでも、40歳以上の人にとって雇用 問題は深刻らしい。生産性が落ちるという理由で、雇い主は中高年者を雇いた がらない。中高年者には再訓練もしないで、生産性を議論しているようです。

たしかに早く退職して退職後の生活を楽しみたいという人が多いのも事実。 1970年代から、ヨーロッパの50歳以上の労働人口は急速に減少してきているよ うです。多くの国で、退職年齢が5才も早まっているのも、その原因の1つにあ げられます。

しかしいつまでも働いていたいと思っている人がいるのも事実。こうした人た ちを活用すれば、2005年までに550万人の労働者を作り出す効果がある。出産 率減少と平均寿命の延びは、50歳以上の人口を労働力として活用しなかった ら、年金や社会保障などの問題で、かなり厳しい将来が予想される。

ヨーロッバ委員会Europe Commissionも、来年年齢による差別を禁止する法律 を作る予定のようですが、まずは隗より始めよ、ということになりそうです。 というのも同委員会は、ユーロクラートEurocratになるためには35歳以下とい う条件があるからです。(^o^)

人はいつまで働きたいのでしょうか。私はあまり働きたくないが、どうもいつ までも働かなくてはいけないようですし、なかなか自分の思い通りにはなりま せん。(^^;

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The Sunday Times 10/26 Britainの記事です。

4. Ingrid Bergmanの恋
Hitchcock film opens window on star's love by Rajeev Syal

ヒッチコック監督の「裏窓」は、片足を負傷しているJames Stewart 演じる戦 争写真家と、Grace Kelly演じる恋人が向かい側の建物で起こっているらしい 殺人事件についていろいろ推理する映画です。

しかしこの作品には実在のモデルがいた。なんとIngrid BergmanとRobert Capaというのです。来月出版されるBergmanの伝記で、彼女の友人だった Hitchcockが,バーグマの実話をもとにあの名作を作ったということが語られる ようです。バーグマンもヒッチコックも共に故人。2人の共通の友人Donald Spotoが、その真相を明らかにした。

Capaは有名な写真家ですが、私はスペイン内乱の時の兵士の最後の瞬間をとら えた写真くらいしか知りません。一方バーグマンやヒッチコックの作品はかな り見ているので、この記事は興味がありました。記事によると映画はかなり忠 実にバーグマンとキャパの関係を再現しているということになります。

彼らが最初に会ったのは、1945年のParisのRitz。これはカサブランカでも出 てきました。手元にあるバーグマンの自伝、Ingrid Bergman My Story ( Delacorte Press)によると、1945年6月6日、Ritzに滞在していたBergmanの部 屋にノートが入れられていた。Bob CapaとIrwin Shawからの夕食への誘いだっ た。(p.149-150) 自伝にも何回かCapaの名前は出てきます。Bergman 30才。 Capa 32才。Capaは、なかなか魅力的で女性に人気があったようです。彼はナ チスから解放されたヨーロッパの記録を取るためにパリにいた。一方のバーグ マンは連合軍の兵士を慰問するための旅の途中だったようです。

記事ではお互いに、その名前は知っていたと書かれていますが、自伝の方では BergmanはIrvin ShawもBob Capaもそれまでに聞いたことがなかったと書いて あります。このへんは自伝の方が、その気持ちを抑えて書いているのかもしれ ません。ところでここで出てくるIrwin Shawというのは、あの作家のIrwin Shawのことでしょうか。自伝にはG.I.とあるだけで、あとはこの人の名前は出 てこない。記事の方には全然出ていない。どちらでもいいことですが、少し気 になりました。

Bergmanは18才でスウェーデンの歯医者と結婚していたが、ほとんど終わって いた。新しい恋を求めていたと、あとで告白しているようです。

その最初の出会いの夜に彼らの恋は始まり、戦争終結後(ということはヨーロ ッパでは既に終わっていますから、日本が敗戦を迎える8月以降ということで しょうか)に、終わった。Spotoはそう信じているようです。しかしBergmanの 心には、Capaの想いではいつも楽しいものだったらしく、あとになってもいろ いろな話をしていたようです。1954年に彼がインドシナで地雷によって死んだ ことを聞いたときは悲しみとショックの手紙を何人かの友達に書き送っている ようです。

バーグマンはキャパに戦争写真家であることを止めて、映画会社で働くように 言う。しかし彼も映画のStewart演じる人物と同じように、聞き入れなかっ た。映画とは違って、現実の方がよりロマンチックであり、悲劇的であったと いう表現も、記事にはあります。

ヒッチコックの題材も、周りの人からヒントを得ることが多かったのですね。 「裏窓」では、バーグマンの話をもとに男女間の緊張関係を、正確に映像化し たということでしょうか。

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3. TIME 97-11-03

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*Unabomber裁判近まる
 HE'S NOT CRAZY, HE'S OUR NEIGHBOR
IN MONTANA, TED KACZYNSKI'S ACQUAINTANCES INSIST HE WAS NORMAL

Unabomberの犯人として、Ted Kaczyskiが捕まってから、もう約1年半くらいに なります。11月12日からいよいよ彼の裁判が始まるようです。

彼のかつての住処、モンタナのリンカーンの町の山にあった、彼の小屋はFBI によって持ち去られた。彼の敷地を区切っていた鎖に掲げられた「立入禁止」 の看板を見るものは、今ではそこを通り過ぎる兎と鹿だけ。彼が4マイルの山 道を行き来するのに使った、赤い自転車も錆はてバラバラになって、そのうえ には雑草が茂っている。町の人も今では彼のことを多くは話さない。しかし2 週間前に、2人のよそ者が州道200号沿いに現れて、Kaczynskiのことについ て、あちこちで質問をしていった。

彼らは検察側の精神病学者で、町の人たちに「彼は精神的に病気だったのか。 そうでなかったのか」を聞いて回った。その結果は、彼にはなんら異常なとこ ろはなかった、正常だったということのようです。少なくとも彼と接触のあっ た人で、彼の人格に不審を抱いた人はいない。世捨て人ではあったが、社会の 外にはみ出していたわけではない。少し神経質に見えるが、人付き合いが苦手 な人にはありがちなこと。何ももめごとはおかさなかったし、穏やかで、話し 方もていねいだった。

しかし彼が精神的異常者だったという証拠はほとんどないが、弁護側は有罪評 決の時か、量刑を決める段階のいずれかにおいて、そうした主張をしてくるも のと信じられている。死刑判決を避けるためにはそれしかないのかもしれませ ん。精神異常insaneが認められないなら、精神的欠陥mental defectを持ち出 してくるだろう。

山小屋で見つかった証拠類から判断すると、弁護側はかなり苦しい。何故彼の 小屋に完成した爆弾があり、Unabomberの声明文があり、それをタイプしたタ イプライターがあり、さらにKazynski本人が書いた、すべての爆弾事件の記録 があったのか。検察が先週発表したものの中には、「1993年にこれらの装置を 送った。予定通りそれらは爆発した」と、はっきりと書かれているようです。

弁護側としてはそうした具体的証拠への反論はむずかしい。だから、精神的異 常ないし欠陥を主張せざるを得ないのでしょう。リンカーンの町で彼を知る人 々は、自分たちではなく、陪審員が評決を下すことにほっとしている。しかし それでも、彼らは知りたい。「なぜ彼があの事件を起こしたのか」、と。

American Sceneの記事でした。

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