Weekly「今週の英語雑誌」 No.7


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Weekly 「今週の英語雑誌」  No.7   97-10-15日発行     

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みなさん、こんにちは。Weekly 「今週の英語雑誌」 No.7です。

前回のNo.6は少し手違いがありました。発行元のまぐまぐさんの事情があった ようですが、私が送付手続きをしてから、丸1日くらいたって皆さんの元には 届いたようです。私が最初に送付を試みたのは、10月10日(金)の夜11時過ぎ でした。しかしこのときは、まぐまぐさんにつながりませんでした。10月11日 の早朝にもう1度試みて、今度は仮送付には成功。本送付も画面上では成功し たのですが、私のところには朝には届きませんでした。(私も確認のため、一応 定期購読者の一人になっています) 少しは遅れるのかなと思っていたのですが、 11日の夜11時過ぎにまだ届いていなかったのには驚きました。これは私の方で失 敗したかな、どうしようかと思っていましたが、様子を見ることにしていたら、 12日の朝には無事届いていたというわけです。こんなこともあるのですね。メー ルも、ときどきかなり時間がたってから届くことがあります。

今回のWeeklyは少し細切れになったかなという感じです。あちこちの雑誌のつま み食いみたいな感じになりました。各雑誌とも、全体的に読んでいるわけではな いので、No.8も今回と同じ雑誌の違う記事をもう1回読むことになるかと思いま す。

それと週2回発行はやはり少しきつい感じです。分量さえ納得行けば、週1回くら いのペースならあまり負担にならないかなと思っています。その週の雑誌記事の 内容にもよりますが、今の所は2週間に3回発行のペースで行こうと考えておりま す。

97-10-15   YUKI

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目次

1. 電子マネー(TIME 10/13)
2. 第六感は存在するのか(Newsweek 10/13)
3. ヒスパニックの学業不振(US News 10/20)
4. TIME 97-10-20
5. The Sunday Times 97-10-12

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1. 電子マネー(TIME 10/13)

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Leave Your Cash at Home (p.44)

電子マネーの形態もいろいろあるようですが、これは今週(もう先週ですか? ) から、NYのUPPER WEST SIDEで始まったsmart cardと呼ばれるものの紹介で す。呼び名は少し違いますが、Chase ManhattanとCitibankが始めたようです。

形は従来のクレジットカードや、debit card, automated teller machine cardと似ているが、大きな違いがある。お金を保存できる。つまり利用者は ATM(現金自動預入支払機)で、好きなだけの金額をカードにdownload出来る。 だから持ち運びに便利だし、現金の代わりにもなる。

既にMaster-Card傘下のMondexがカナダで、VISAはアトランタオリンピックで 似たような実験をしているが、失敗に終わった。このカードを受け入れてくれ る店が少なかったからです。だから今でも94%の取引は依然として、現金か小 切手で今でも行われている。日本のTVのCMでも似たようなものを見た記憶が ありますが、同じでしょうか。

これを人口が密集した特定地域で実施してみようというわけです。将来の cashless societyの実現の鍵を握っているかもしれません。現在でもNYでは MetroCardsというのがあって、地下鉄やバスで利用されているようですが、こ れを一般化しようというわけですね。

マンハッタンの500の店が参加するようですから、50000人のカード所有者の数 から比べたら、どうでしょうか。多いのかどうか、どれくらいの割合なのかど うかはよく分かりませんが、一応あらゆる種類の買い物は出来るかな、という ところでしょうか。商店側は歓迎しているようです。サインが入らない、クレ ジット会社への問い合わせの手間と時間が省ける。

しかし問題もある。ATMからカードにdownloadするのに手数料がかかる。1回に つき45cから1$のようですが、これは利用者にとって負担にならないか。商店 の方は、クレジットと違ってクレジット会社に2%から6%の手数料を払う必要は ないから、あまり不便な点はない。現金も扱いませんから、何となく便利です しね。時間も節約できる。

最後の文章が、よくわかりません。For Manhattanites, who expect their three-minute eggs in 90 seconds, that's a lifetime. three-minute eggs は何のこと? まさか料理時間ではないですよね。

それと一番最初に書いたことに関連しますが、1週間は何曜日から始まるのか? 日本では日曜日から数えるのが普通だと思いますし、アメリカのカレンダー も大体そうなっていると思います。ところが私が持っているイギリス製と思わ れるカレンダーは、月曜日から始まっていて、日曜日が一番最後。こちらがキ リスト教徒にはぴったしのような気もします。どなたか、知っている人はいま せんか。

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2. 第六感は存在するのか(Newsweek 10/13)  

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Is There a Sixth Sense?(p.52)

人間も動物と同じように、対外に分泌されるフェロモンがあって、特別な働き をしているのか?という記事です。五感は、ふつう視・聴・嗅・味・触の五つの 感覚をさし、また感覚の総称としても使われます。タイトルにもなっている第 六感は、辞書によると「勘・インスピレーションなど、理屈で説明はつかない が、鋭く物事の本質をつかむ心の働き」とあります。ここでいっているSixth Senseはこの意味とは少しずれるかなとは思いますが、人間にも今までは気づ かれなかった無臭のフェロモンを、無意識的に出しているのではないかという 記事です。

人間の鼻の中にVomeronasal organ、略してVNOという定訳は知りませんが、小 さな器官があります。これは進化で取り残された無用のものというのが今まで の定説だったようですが、どうやらここに来て新しい評価がでてきた。つまり 感覚器官として独自の役割を果たしているのではないかというわけです。人の 気分からセックスにまで影響を与えているかもしれないというわけで、企業の 中には研究・開発に乗り出すところもでてきた。

フェロモンが動物に大きな影響を与えていることはよく知られているようで す。人間がそうしたものを出しているかどうかは、まだ分からない。しかしフ ェロモンの働きと似た、androstenとかcopulinコピュリンとかの性分泌物は知 られている。

研究によれば次のことが分かってきた。 *女性が、他人の汗のエキスに定期的にさらされていると、月経周期が似てくる。 *女性は男性の汗に絶えずさらされていると、生理が安定する。 *劇場や待合い室で人間のandrostenesのスプレーを椅子にかけておくと、女性 はより座りたくなり、男性は逆。

もちろんまだこうしたことが完全に立証されたわけではないのですが、一部の ものにとっては絶好のビジネスチャンスとか。つまりこうしたものを利用し て、快適さ・安全さ・健康・自信を人々に与えるような商品の実用化をめざし ているわけです。VNOを刺激するような物質の特許もとったようです。そして 彼らは、そうした物質が人間の気分に影響を与えると主張しているようなので すが、これには異論もある。

しかしもしかしたら、香料産業に一大変革が起こる可能性もあるかも。そうだ としたら、枕カバーにしみこんだ香料のおかげで、楽しい夢を見れる日が来る かもしれません。枕カバーを取り替えれるだけで、毎晩違った種類のすばらし い世界にいけるかも。(^o^)

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3. ヒスパニックの学業不振 (US News 10/20)

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The Hispanic dropout mystery
A staggering 30 percent leave school, far more than blacks or whites. Why?

ヒスパニック系の高校中退率が、他の人種と比べて異常に高いという記事で す。30%という数字ですが、これは白人の3倍、黒人の2倍だそうです。他の人 種は、減少傾向にあるようですから、あまり中退率が減らないヒスパニック系 はそれだけ目立つようです。

原因もはっきりしない。低所得家庭が多いこと、英語力の低さとも関係がある のかもしれません。しかし移民系のヒスパニック家庭の子供より、アメリカ生 まれのヒスパニックの子供生まれの方がドロップアウト率は高い。

あと8年もすれば、ヒスパニック系が黒人人口を上回り、最大のminority groupになる。既に多くの大都市では、公立学校の半分近くを占めているよう です。だからこれは重要な問題なわけですね。

考えられることはいくつかある。学校では無視され、自分たちの文化は軽んじ られ、あまり成果を期待されていない。もちろん言葉の問題もあります。 hispanic dropoutsの43%が、外国生まれということですし、彼らは特別の英語 教育を受けていない。このへんはバイリンガル教育の是非ともからんできま す。

しかしどうもそれだけではない。低所得層のヒスパニックにとっては、41%の ドロップアウト率ですが、彼らは幼稚園(?preschool)に通ったこともないし、 両親が教育をほとんど受けていない場合が多いから、子供たちに本を読み聞か せることもない。その結果として、白人や黒人の親と違って、学校に対してあ まり期待していない。

だから、子供たちの間でもdropoutする事への抵抗はない。むしろ学校の成 績がいいのは、Angroかnerdy(ばか、まぬけ,黒人のことではないですよね)で あって、かえって成績がよいと仲間外れになることがあるのかもしれません。 仲間意識が強い彼らにとって、勉強で目立つことは、ばからしいという雰囲 気があるのかもしれません。

とにかく生徒自身の力ではあまり改善の見込みはないようです。家庭の問題が 大きい。それに公立学校の生徒の13.5%かヒスパニックですが、ラテン系の先 生はわずか3%。この辺も少しは影響あるかもしれません。

改善策も少しずつですが、成果を上げているところもある。しかし記事で紹介 されている高校の例が一番面白い。この高校では中退条件として書類を読み上 げ署名しなくてはいけない。その書類にはこう書かれているそうです。「これ に署名するに当たり、私は私が21世紀を生き抜く技術を身につけないだろうこ とを認識しております」そして「ドロップアウト証明書」が、手渡されるわけ です。これを読まされた生徒の1人は、この誓約書の文言に怒って、それを校 長に投げつけ、「こんなものくそくらえ」と叫んだそうです。校長は侮辱され たのを気にもせずに、このわがままな中退希望者が、志を変えて学校に戻るこ とを歓迎したそうです。 (^o^)

私は当然のこととして、ここで問題になっているのは高校と考えきました。あ げられている例が高校でしたから。まさかここでいっている公立学校が、小学 中学も含んでいるということはないですよね。いくらなんでも中学の中退率30 %はないと思うのだけれど。

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4. Time 97-10-20

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TIME USA版の10/20からです。久しぶりに火曜日にTIMEを読めました。(^o^)

1. ミシシッピ怪奇物語
Mississippi Gothic

15才の少年が11才の少年を殺害した事件は、この会議室でも話題にしました が、次のESSAYでも扱っています。それと関連して以前に私が少しだけ触れた 16才の少年が、高校で銃を発射した事件についての記事が、これです。

まず簡単な事件の説明をしておきます。10月1日午前8時、16才のLuke Woodham が、白のChevy Corsicaを運転して高校にやってきた。彼は近視で、普通は母 親のMaryから送ってもらっていたので、これはおかしかった。彼は建物で囲ま れたcommonsに入っていき、トレンチコートの下から.30-.30のライフルを取り 出して、乱射した。7人が負傷,2人が死亡。死亡した2人はいずれも女子生徒 で、その中の1人がLukeが以前付き合っていたChristina Menefee、 16才だっ た。警察は、この事件をboyfriend-girlfriend thingと発表した。なおLukeは けがをさせた友達に謝罪したとも伝えられた。

この日Lukeは、3時間前に母親をナイフで殺していた。彼が文学好きで、太り すぎ立ったというのは、初めて知りましたが、以上の内容はは私も大体読んで いました。22000人のPearlは州都Jacksonの郊外にあるようです。このPearlは ここ数年、double-wide-trailer salesmanの非公式的な首都としてあまり芳し くない評判を持っているようですが、これがどんなことなのかはわかりませ ん。多分ここは郊外の住宅地で、実力者たちが住んでいるのかもしれません。 しかし今回の事件は、本当に不名誉な事件として、住民にはショックだった。

ところが取り調べとともに、事件は意外な展開を示してきた。一見単純なこの 事件の背後には、複雑な背景があるというものです。

10月7日Lukeの6人の友達が、殺人の共同謀議で逮捕された。これらの少年は the Groupを結成していた。彼らの何人かはラテン語を研究するグループにも 属していたようです。またあるものは、黒い服に執着を示し、19世紀の思想家 ニーチェのニヒリズムに傾倒していた。そしてこの銃乱射はニーチェの超人思 想の影響を受けたというわけです。なお一部メンバーがそのメンバーの父親殺 害も計画していたということで、起訴されたようですが、こちらは当の父親の 嘆願もあって事件扱いにはならないようです。

逮捕されたメンバーの一人、Justin Sledgeが、Lukeのノートを公表したよう ですが、その中にはニーチェの有名な言葉、「神は死んだ」が書かれているよ うです。ニーチェの著作で神の死を宣言するthe madmanの言葉。「私は早く生 まれすぎた。私の時はまだ来ていない」それを受けてLukeは、こう書き記 す。「私は正気だ。私は怒っている。殺人は弱者や馬鹿者どもの行動ではな い。根性のいる、勇気ある行いだ。私のような本当の人間が不当に扱われてい るから、殺人を犯すのだ。私が惨めだから、私も悪意を持って復讐するのだ」 Sledgeの言葉によれば、今回の殺人は女友達が他の男と付き合ったからとか、 両親が5年前に離婚しているからとか、そんなつまらないことが原因なのでは ない。社会が偉大な思想家や天才を不当に貶めているからなのだ、ということ です。

どうもPearlの町は噂が噂をよんでpanic状態のようです。大人の関与者がいる とか、あの日大惨劇を引き起こしたかもしれない、他のメンバーの配置図があ るとか、もういろんな噂が飛んでいる。Lukeのノートにはギリシア語でLuke is God.の文字が張り付けてあるとか。自分の息子が、ターゲットの1人であっ た市長も、hit listやらcult activityは根拠がないといいながらも、何が何 やら分からないそうです。たしかにこんな事件は、どうやっても説明できな い。若者特有の誇大妄想と言えるかもしれませんが、若者たちの現実感覚が欠 如してきているからかもしれません。

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2. 90年式少年の死に方(ESSAY, 97-10-20)
A BOY DIES IN THE '90S
* NOTHING HUMAN IS FOREIGN? NOTHING FOREIGN IS HUMAN?  CHOOSE ONE BY LANCE MORROW

ESSAYです。タイトルは、*の方です。これは訳するのが難しいですね。「人 間に関係のあるものは、どんな人にでも起こりうるのか。それとも非人間的な ことは、人間のすることではないのか」どうも、分かったようで分からないよ うな訳ですが、誰かいい訳があったら、お願いします。

アメリカでは少年が犯罪、特に性犯罪の被害者になる例が続発しているようで す。Massachusetts州Cambridgeで、またもや痛ましい事件が起きた。 JeffreyCurleyという10才の少年が、50ドルと新しい自転車を買ってもらうと いう約束で、2人組の男に誘われた。少年が、男たちと性的関係を持つことを 拒んだとき、その内の1人250ポンドの巨漢、Charles Jaynesが、Jeffereyの上 に馬乗りになりガソリンをしみこませたぼろで窒息死させた。その後、彼は死 体を性的に犯し、その後50ガロンのRubbermaidの容器の中に、入れて、川の中 に投げ込んだ。この2人は2週間前に、逮捕されたのですが、トランクにはNorth American Man-Boy Love Associationの文書があった。

少年の死体が発見されたとき、500人もの人がCambridgeの行動が集まったが、 それらの人々がロープを持って警察署に押し掛けなかったのは、何よりも文明 の進歩のおかげだ。Massachusettsは、死刑を禁じているが、少年の父親は、 犯人の処刑を望んでいると語った。筆者も一時我を忘れて、さらにひどい処 刑、すなわちイスラム式の処刑法がふさわしいと思ったようです。当然昔な らその場でつるし首ですか。

こう行った種類のニュースはこたえる。ショックとそれに続く、報復的怒り、 それからどうしようもないやりきれなさ。ここでは、New Jerseyの例の少年殺 人事件も取り上げられています。

しかしこうした残虐事件がよく起こりうるということを知って、何故私たちの 心は、さらに怒り狂うのではなくおさまってくるのか。1924年のLeopold-Loeb の事件では、14才の少年Bobby Franksが、ニーチェ的スリルを求めるやり方で 2人組に殺された。犯人のNathan Leopoldは、死刑反対論者の名演説で、無期 懲役になった。そして1958年に釈放され、66才でプエルトリコで死ぬまで、海 岸を散歩していた。ここでもニーチェの名前がでてきた。

こうした犯罪に対してどうすべきか、に関しては私たちの態度は揺れ動いてい る。左脳、つまり理性は、紀元前2世紀の喜劇劇作家Terenceが言った、「人間 的なものすべてに私は無縁ではあり得ない」Nothing human is foreign to me と考える。道徳的に混乱し、受動的に受けとめ、悪徳や気味悪さを寛容さを持 って受け入れる。

これに対し右脳、つまり本能は、「こうした犯罪を犯すものは、人間がするこ とではない」Nothing foreign is human to meと考える。これはより人間の本 性に根ざしたものといえる。健康的な性格というのは、その原始的な形では、 ファシスト的傾向を帯びるし、異種物を排除しようとする。だからCambridge の殺人や死姦の類は、健康体が病原菌を排除するように、受け付けようとはし ない。そうしたことを認めることは弱さの現れであり、社会の防衛本能のたが がゆるんでいることの証だ。

もちろんこれはある意味では正しい。しかしそれはリンチを求める暴徒の論理 でもある。暴徒は精神病医や、神学者や法律家の意見は聞かない。一方文明人 は、そうした暴徒・精神病医・神学者・法律家の、すべての人の意見を聞くか ら、混乱してしまう。

神学者も、精神病学者も、そして法律学者もそれぞれの立場から、事件をいろ いろ説明してくれる。私たちはそれを聞いて、その考え方を納得してしまう。 おそらくそうしたことから、私たちは何か新しいことを学んだのだろう。だが、 知識そのものが、なんらか汚染されているということもあり得るのではないか。

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5. The Sunday Times 97-10-12

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1.らくだレースと少年奴隷
Camel racing spurs child 'slave' trade

年端も行かない少年たちが、湾岸諸国で行われるらくだレースのために、イン ド・バングラデシュから売られていくという話です。一種の人身売買みたいな もので、命を落とす少年も多いようです。たぶんらくだレースは公式のという か、競馬などと同じように公共賭博として行われているのもあると思います。 ここでは、そうしたのではなく違法性の高いレースのことです。これは砂漠の 私有地で開かれるみたいですから、政府の監視も行き届かない。

少年たちは貧しい村から集められる。しかもこの場合親は子供たちが、よりよ い生活を送るためにと願って送り出す。親たちは子供を外国に送り出すため に、土地や宝石を売って金を工面し、旅費として世話役に渡す。だからこれは 普通いう意味での人身売買とは言えないのですが。しかし世話役は親たちと、 さらにはレース開催者からも斡旋料を受け取る。

このらくだレースは過酷なレースで、砂漠の中で行われるレースですが、時に は5才くらいの外国の少年たちが、かり出される。子供たちはらくだに縛り付 けられ、彼らの悲鳴が、らくだを時には時速40マイルの速さで競争させる。落 下すれば重症を負うし、時には命を落とすというわけです。さらにジョッキー は軽い方がいいから、体重を増やさないために満足な食べ物を与えられない。 子供たちの年齢は5才から12才だということです。レース期間は4カ月というこ とになっているようです。親たちは、うまい話にだまされていますが、少年た ちの境遇を考えると、やはりこれは一種の人身売買だといえるでしょう。

UAEでは、1993年に子供たちをジョッキーとして雇うことは違法になったよう ですが、莫大な金が賭けられているし、もちろんこうしたギャンブルがなくな ることはない。バングラデシュはこうした目的のための移民を禁止したよう で、世話役たちは今度はインドに目を向けた。自分の息子2人をつれて行き、 息子たちがジョッキーとして稼ぐ間、自分も電気仕事をし、妻は家政婦か家庭 教師として働こうとしていた電気技師の話が紹介されています。彼は知人が同 じような方法で大金を稼いだことを知っているから、その例に倣ったのわけで すが、一家出稼ぎのような感覚かもしれません。彼は自分の2人の子供以外 に、20人の子供たちもつれていたようです。この場合、旅費以外に彼が両親か ら手数料を取っていたかどうかは分かりませんが、レース主催者のところにつ れていけば、3200ボンドもらう約束だったようです。

少女たちは性的従事者として、少年たちはジョッキーとして売られる。貧しさ がなくならない限り、いくら国が禁止しても、不法移民という形の、現代版人 身売買はなくならないでしょう。

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2. Paponの新たな犯罪
Papon 'ordered secret Paris massacre of 1961'

Vichy政権下のフランスで、ナチスに協力して1500人ののユダヤ人を収容所に 送り、死亡させたPapon。健康上の理由により、保釈が認められたようです が、彼にまた新しい疑惑が持ち上がってきた。

今度は1960年代、彼が警察長官だったころにアルジェリア人を大量に殺害した 疑いです。いままで数々の証言がありながら、日の目を見なかった戦後フラン スの恥部がようやく明らかになろうとしている。

しかし前に読んだ記事で知っていたつもりですが、このPaponは偉かったので すね。戦後追放というような処分は会わなくて、順調に官僚機構の出世階段を 上り詰め、警察長官にまでなった。その彼が40年から50年前の行為で今裁かれ ている。

1961年のアルジェリア独立運動の最中、パリには多くのアルジェリア人がい た。11人の警官殺害を機に、当時警察長官だったPaponはパリに戒厳令を布 告。彼に反対するアルジェリア国民解放戦線(FLN)は、4万人にものぼるアルジ ェリア人を首都に終結し、抗議運動を展開することにする。10月17日、警官隊 とFLNは衝突。警察発表では、3人が死亡。

この衝突で当時から多くの死者が出たことはいわば公然の秘密。しかし今日ま で大きな政治問題になることもなく来た。まずこれが信じられない。噂は常に あったようですがどういうわけか、国民全体の関心を引きつけなかった。

死者の数は、警察関係者の話でも200人以上。おそらくは300人に近い。仲間を 殺されたことに対する復讐心が、大量殺人に結びついたのか。この数字はデモ 参加者、第三者、警察関係者からも支持されている。衝突の現場で、警察が暴 力をふるったことはまあ分かりますが、信じられないのは警察本部の中庭で50 人が殺されたこと。これは多分無抵抗の逮捕者に対してなされたこと。あまり の残虐ぶりに、多数の警察官がショックを受けたようですし、上官に抗議した ものもいる。これには当時の長官だったPaponの支持があった。破壊活動をせ ん滅しなければならないし、そうした行動をしても処罰はしないということを 警察内部で約束していたのですね。

だからPaponはそうした事態を招いたことに対し、直接的個人的責任がある。 サルトルもこうした事態をpogromと表現したようです。しかしフランス政府は こうした発言を封じてきたようですし、あまり責任追及も盛り上がらなかっ た。「こうした事件が、ナチスの野蛮さに苦しんだはずのフランスのような国 で起こること、これは国の恥だ」と、当時のデモに参加したアルジェリア人は 述べています。

この大量殺人が、何故起きたかには、Paponの関与は別としていろいろあるよ うです。フランス政府とアルジェリア人の独立派の、話し合いを決裂させ、ア ルジェリアを植民地のままにしておきたいものたちが仕組んだという意見もあ ります。

政権についた社会党内部からも、Jospinに対して真相究明の声が上がっていま す。Paponだけの責任というわけにはいかないでしょうから。歴史家に国の秘 密文書を公開せよというわけですが、はたしてどうなるのか。87才のPaponが この裁判終結まで生きている可能性は少ないかもしれません。そうだとすると 彼もまた真実を自分の胸にしまって死んでいくのでしょうか。この点はアメリ カの情報公開制度の方がすっきりしています。

学生時代「パリは燃えているか」という映画の大きな看板を見たことがありま す。気になったけれど、結局見ませんでした。アルジェリア独立を描いた映画 のはずですから、この事件を描いているのかもしれません。サルトルも少しは 読んだけれど、ここで書かれている事実はほとんど知りませんでした。

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