マンデラ後の南アフリカ(11/1)


The Economist 11/1の記事からです。

* Who is Thabo Mbeki?
South Africa's future leader is a man of many parts. But his message
to the country's whites is plain

今年12月に、マンデラはANCの議長職(President)を退くが、そのあとを引き継 ぐのはThabo Mbeki。おそらく1999年にマンデラの大統領職を引き継ぐのも 彼。はたして、マンデラ後の南アはどこに行くのか。

Mbeki(ムベキでいいのかな)は、南アをどこに持っていくのか。彼は以前は共 産主義者であり、しかし1980年代には、白人政権の下で既に実業家として活躍 している。保守と革新の両面の顔を持つ彼は、マンデラとは現状認識がかなり 異なるようです。

まずアパルトヘイトの過去を現在がまだ引きずっている、という基本認識があ る。アパルトヘイトで生み出された社会的不公平は是正されていない、という ことですね。マンデラが流血なしに、革命を成し遂げたのならば、当然次の課 題は、その上にたって社会的平等をどのようにして築くかにある。現状の上 に、未来を築くことは出来ない。だからこれからは今まで白人層が持っていた 特権が、少しずつ無くなる。というより、本来の姿に戻すと言うことでしょう か。

土地の国有化とか、新税(多分富裕税みたいなものかな、と思います。記事に は全然書かれていませんが、白人層に不利な税であることは確か)を創設する ことはしない。しかし人口比に応じて、黒人にそれ相当の役割を与えると言う ことです。マレーシアでマハチールが採った、マレー人優遇政策と同じような 内容でしょう。Affirmative actionと言う言葉をここで使っていますが、これ はアメリカで使われるのとは違って、多数派に大きな役割を与えると言うこと ですね。それ自体が目的ではないが、より公平な社会を作るために、必要なス テップだと言うことです。

白人の政権移転に伴う生命への恐怖は、一応マンデラによって取り除かれた。 しかし現状をそのまま続けることは出来ないでしょう。黒人層の不満も高まっ ている。5年後も黒人の地位に向上が見られなければ、おそらく反乱が起き る。そのためにも、黒人にチャンスを与えている。例えば国営航空会社の機内 の広報誌(in-flight magazine)の契約を若い黒人の会社とした。今までその仕 事をしていた、白人の会社は不平を言っているようですが、これは仕方がない と私も思います。

ムベキは、経済的には保守主義で、かなりこれに固執している。それとWinnie に対する考えが、他のANC幹部と少し違うようです。少年誘拐及び殺害の嫌疑 がもたれている彼女を、12月にANCの副議長に任命することに前向きなようで す。

彼にはマンデラの持つカリスマ性はない。当然ANC内部でも、国の大統領とし ても、実務能力で勝負するしかない。彼は、サッチャーのように、民営化を推 し進めるつもりのようです。これはANCも、黒人層にもあまり支持されない政 策ですが、どうやら労働組合を少しずつ味方に引きつけている。いくつかのラ ジオ局、1つの国内航空会社は既に民間に売られた。電話会社は一部民営化、 他にも空港、航空会社、ダイアモンド鉱山、貨物会社や森林会社などが、民営 化の予定ですから、これはかなりの規模です。

このへんと白人層の特権がどのように絡み合っているのかは、よく分かりませ んが、少なくともそうしたことを通じて、彼は黒人が白人と対等の経済的チャ ンスを持てるようにしたいらしい。批判も覚悟の上のような感じを、この記事 からは受けました。



感想はこちらに・・・YHJ00031@niftyserve.or.jp
Internetの場合は・・・ohto@pluto.dti.ne.jp



ホームページに戻る 

The Economistのホームページに戻る