* BRIEF: Workers of the world
外国人労働者は増えているのか。何故彼らは移動するのか。それは国内経済に どのような影響を与えるのか。
この記事は、人類の歴史から説き始めていて、なかなか雄大です。(^o^) 人 類は、よりよい生活を求めて、あるいは迫害などから逃れるために、いつの時 代でも国境を超えていたのでしょう。そもそも国境という観念が、人工的なも のですから、国内の人口移動とほとんど意識の上では同じ人々も、もしかした ら現在でもいるかもしれません。歴史的な人口の移動を書いている部分が、私 は気に入ったのですが、ここは思い切って省略します。現在の状況を書いてい る部分だけの、感想です。
ある研究によれば、現在約8000万人の人々が、生まれた国と現在住んでいる国 が違うそうです。さらに2000万人が、自然災害や、政治的抑圧からの避難者・ 亡命者として、国外に住んでいる。これに毎年100万人の永久移民と、さらに 100万人の一時的亡命者が加わる。歴史的に見て、数的には大きいが、受け入 れ国の人口比率からは、少なくなってきているようです。
アメリカは1991年に200万人いた移民が、、1995年には80万人。ドイツは、 1994年と95年で、約80万人いたようですが、これは多くの短期の労働者を含ん だ数字です。1980年代から、90年代初期にかけては、移民も増えたようです が、ここ数年は減少傾向。既成が強くなったこともありますが、移民を出して いた側の経済発展が大きな要因かもしれません。
最近の傾向としては、に高度な技術を持った人たちの移民が世界的増えている ことです。多国籍企業の発展もありますが、各国政府もこうした移民は歓迎し ているようです。ここでは一応こうしたものは、除いて考えます。
外国人労働者は、どうしたインパクトを与えるのか。まず利点として、受け入 れ側の先進国では、高齢化が進んでいますから、概して若い外国人労働者は平均年齢 を下げるという効果がある。当然、生産年齢人口比率も上がりますから、税金 もそうでない場合より安くなる。日本の高齢化も、これで解決するかな。(^o^)
それに対して、外国人労働者への批判的な意見として、国内労働者の雇用を奪 うこと、賃金水準を引き下げること、などが普通は言われます。この一見常識 かに見える意見は正しいのか。問題はそんなに単純ではない。これが、 Economistの記事の言いたいことでしょう。
まず移民は、生産者であると同時に消費者でもある。だから、職を奪うと共 に、職を作り出してもいる。人口が新しく増えたわけですからね。そして労働 内容から見たら、国内労働者から職を奪っているというより、彼らがしたがら ない仕事をやっている場合が多い。補完的ということですね。さらに競争力を なくし衰退していく産業が彼らによって甦らせられる場合もある。例えば1970 年代から80年代にかけてのLos Angelesの衣服産業です。さらに低賃金が、物 価を下げ、実質賃金の上昇になることもある。
移民労働者が国内労働者の賃金に与える影響はそんなに大きくはないようで す。例えば、1980年に125000人のキューバ人が到着したマイアミでは、労働人 口が7%増加したが、非熟練労働を含めて市内の労働者の賃金と雇用状況はほと んど変わらなかったということです。さらに別の研究では、底辺の非熟練層の 黒人やヒスパニックにもほとんど影響を与えていない。ただ同じ外国人労働者 間では、少し影響があるようです。競合する分野では、2%の賃金下落が見られ るとか。さらに、彼らの賃金が、国内労働者並になるには予想以上に時間がか かる。これが労働市場に対して、賃金低下の圧力にはなっているかもしれませ ん。しかしほとんどの経済学者は、移民労働者の影響は他の影響に比べれば、 わずかだということで一致しているようです。
1973年から1993年にアメリカの非熟練労働者の賃金が、熟練労働者の賃金に比 べて、下がったのは、技術革新によって非熟練労働への需要が減少したことが 主な原因で、外国人労働者の流入はあまり関係ない。それぞれ30%と2%という 評価のようです。だから、彼らの経済的影響は過大視されでいる、というのが この記事の結論です。
日本ではどうなのでしょうか。たしかに外国人労働者の与えるインパクトは経 済的問題だけではなく、社会的文化的側面が強いのかもしれません。