保温箱の温度制御をするとき、温度センサは空気中で大丈夫か?

 実は悩んだんですよね、これ。温度センサはヒーターであたためている水の温度を管理したほうがいいのかもしれない。しかし熱帯魚用サーモスタットは設定できる温度が15℃〜30℃くらいの製品がほとんどで、5℃とか10℃という温度を設定できるものがほとんどありません。ひとつだけみつけたのはマイコン制御の12,000円もするものでした。(T_T)

 ところで、空気があたたまるのに必要な熱量って知っていますか? 実は空気って意外とあたたまりやすいものなんです。(他のものと比べてという意味ではないですよ)

 空気の比熱は 1.01 J/g・K です。1gの空気の温度が1度(摂氏または絶対温度で)上昇するのに必要な熱エネルギー量は 1.01 J(ジュール)だという意味です。Jという単位はなじみが薄いと思いますので、cal に換算すると、0.24 cal です(1cal=4.2J)。また、空気の質量ですが、1立方メートルあたりおよそ 13,000gということです。

 今回作成した保温箱の容積は
   46 × 50 × 81 = 186,300 ml (0.1863立方メートル)
です。しかし衣装ケース内の水や飼育ケースの昆虫マットがありますので、それを差し引かなくてはなりません。衣装ケース内の水はおよそ50リットル、昆虫マットは10リットル×3ですから
   186.3 − ( 50 + 10 × 3 ) = 106.3 リットル (0.1063立方メートル)
つまり 1,382gです。

 ということは保温箱内部の空気が1度上昇するのに必要な熱量は
   1382 × 1.01 = 1396J = 332.3 cal
なので、衣装ケース内の水から 332.3 cal 放熱されたときに下がる温度を求めると、水は1リットルで1000gなので
   332.3 ÷ ( 1000 × 50 ) ≒ 0.0066 度
というほんのわずかに過ぎません。たとえば保温箱のふたを開けて空気の温度が−10℃まで下がったとしても、衣装ケースの温度が 0.132度下がるだけで10℃まで復帰するわけです。さらに昆虫マットからの放熱もありますから温度変化の幅はもっと小さいはずです。つまり、衣装ケース内の水の温度と保温箱内部の空気の温度の差というのはあまり気にする必要はないだろうという結論になります。

 ここまでの計算で、保温箱から外に出て行く熱のことを計算に入れていません。発泡スチロールの熱容量や熱伝導率などがよくわからないというのもありますし、箱を置いているガレージの地面の温度と外気温の違いとか多くの要素がありますので私にはとうてい計算できないんです。(^^;)

 衣装ケース内の水は 150W のヒーターで加熱しています。このヒーターが保温箱内部の唯一の熱源です。W(ワット)というのは1秒で1Jの仕事をする仕事率のことですから、1秒あたり 150 Jつまり 35.7 cal の熱を発生します。1秒にこれより多くの熱が保温箱から外に逃げていくと、このヒーターでは追いつかずに保温箱内部の温度がどんどん下がってしまうということになりますが、さて・・・。