ビデオゲームレビュー(2)
Mr.Do!(1983 ユニバーサル)
- Mr.Do! は一見ディグダグ(1982 namco)の単なるパクリに見えるんだけど、
実際にはディグダグとはかなり違って、豪快かつ熱いゲームなんだ。
Mr.Do! がディグダグと違う大きなポイントは林檎が動かせることと
EXTRA の存在だろう。
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林檎はディグダグの岩の役割りを果たしている。
つまり林檎を落としてモンスターをたくさん倒して
高い点数を得るってやつだ。
Mr.Do! では
横方向から押すことができるとか、一段だけ落とした場合には
割れないなどのオリジナルなアイディアが追加されて、
より使いやすくなっている。
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また、林檎以外で敵を倒す唯一の方法であるパワーボールが、
連続で使えないというフィーチャーによって、
どうしても林檎を使わざるを得ないような状況にプレイヤーは
追い込まれる。
真中のジェネレータから次々と出現する敵の数は
パワーボールだけでは到底対処できないほど多いのだ。
ディグダグでは、岩を使わずにどんどんプレイできるから、
プレイヤーは戦略を考えなくてもとりあえずプレイできる。
でも Mr.Do は
林檎を使わないと生き延びられないから
必然的にプレイヤーは戦略を練ることを要求されるんだ。
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次にEXTRA の存在である。
EXTRA それぞれの文字の入ったモンスターを全部倒せば自機が一機増えるって
いうありがちなものなんだけど、
ふつーのゲームと違うのは、
プレイヤーは意図的にこの EXTRA モンスターを出すことができるってことだ。
DIGDUG が岩で高得点を出すことに命を削るゲームなのに対して、
Mr.Do! はいかに EXTRA を取るかということに集中するゲームなんである。
高得点は出さなくてもプレイ時間は変わらないが、EXTRA は
とればとるほどプレイ時間をのばすことができるんである。
後者の方が熱いことはまちがいないだろう。
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いままで書いてきたように、Mr.Do! は
ヒット作のパクリでありながら元のゲームより高い完成度を誇っている
のであるが、その世界観は謎につつまれている。
そもそもなぜピエロが地面を掘っているのか?地面になぜ林檎や
さくらんぼが埋まっているのかから始まり、
中央のジェネレータの形は何を意味しているのかとか、
センターターゲットを取ったときに
青いモンスターはなぜ何の脈略もなく出現するのかなどすべてが謎だ。
しかもそれが一体となったときに非常に面白いゲームに
仕上がっていることを考えると、
このゲームの作者が一体何を考えてこのようなデザインを
思いついたのかが非常に気になるところ。