ビデオゲームレビュー(4)
リブルラブル(1983 ナムコ)
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とりあえずゲームの概要を説明する。
2本のレバーでリブル/ラブルの2つのキャラクターをそれぞれ8方向に動かせる。
リブルとラブルの間にはゴムひものようなラインが張られており、
杭に引っかけることによりラインはさまざまな形態を取る。
ラインでエリアを囲むことをバシシと呼び、これがリブル/ラブルが行える唯一のアクションである。
敵キャラをバシシする(囲む)ことにより消したり
植物をバシシすることによりエネルギーを補給したりしながら、
画面上のマシュリン(キノコの形をした敵キャラ)
をすべて囲めば面クリアとなる。
重要なフィーチャーとして、宝箱が挙げられる。
フィールドのどこかに宝箱が隠されており
その部分をバシシすることにより宝箱と妖精トプカプが出現する。
トプカプは画面外に逃げようとするので、それを逃さずにすべてバシシすることで
奇跡が起こり面クリアとなる上にボーナスステージに入ることができる。
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概要を読んでもなんのことかわからないだろうと思う(じゃあ何で説明したんだ?)。
このゲームはゲーム史上に残る(とボクが勝手に思っている)ほど難解なゲームなのだ。
とにかくこのゲームの基本的な目的はマシュリンをバシシすることである。
ところが、実際にゲームをやっている人を見るとそうではないことがはっきりする。
このゲームの目的は
「とにかくボーナスステージにいくこと」
でありすなわち
「宝箱を探し当て出現するトプカプをすべてバシシしてしまうこと」
なのである。
ゲームで得られる点数の大半がボーナスステージで得る点数になるからである。
宝箱をバシシして出現するトプカプを囲むには
宝箱を囲む際にちょっと特殊な形でバシシことが必要だ。
つまり囲んだのちのラインが宝箱の下に伸びるような形でバシシしないといけないのだ。
その特殊な形以外のバシシで宝箱を出現させてしまうと失敗という点が
闇雲にバシシしてしまうだけのゲームで終わらなくしている。
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また、リブルラブルにはエネルギーが設定されており、
エネルギーは時間と共に減っていきエネルギーがなくなると1ミスとなる。
画面上に出現する植物をバシシすることでエネルギーを補給できるが、
植物は1面クリアしても次の面に引き継がれるので、
むやみにバシシしてしまうと後の方の面で困ることになる。
植物は置いておくと成長し
種->葉->花->実->種*3 のサイクルを繰り返し増えて行くので、
必要な分だけエネルギーを補給し
自分の「農園」を作り
植物たちをうまく栽培することが長くこのゲームを続けるために必須なのである。
バシシした後のエリアは黄緑->緑->茶緑->茶色 という風に色褪せて行き、
色褪せた地で生息する植物は成長が遅くなってしまう。
そしてこの色褪せは
面をクリアしてもそのままであり、
元の土地に戻すにはミスするかボーナスステージに行くしか方法はない。
つまり
植物を栽培をうまく続けるために
ボーナスステージに行くことは必須である。
- 結局のところこのゲームはエネルギーを適度に補給しつつ
画面上にうじゃうじゃいる敵をうまく
あしらいながら宝箱を探してトプカプを全部バシシしボーナスステージを狙う
ことの繰り返しになるのである。
しかしそもそも自分が二つのキャラクターを両手で操ることだけでも大変なのに
バシシしてもバシシしても復活してくるイヤらしい敵の存在はかなりのストレスとなるはずだ。
宝箱を囲もうと苦労してラインを引いているのにシェアー(ハサミ型の敵)は容赦なくラインを切ってくるし、
チェンジャーがラインに触れてしまってリブルとラブルの位置が逆転し
「ぉ?」と思っている間に他の敵に当たっていたりするのである。
また、
大事に育てた植物が敵に荒らされたとき
(実をホブリンに横取りされて持っていかれたとき・
ガーゴルに植物をごっそり食べられてしまったとき・
シェアーに死ぬほどたくさんの花を切られたとき)
は本当にショックで
「なんでそこまでプレイヤーをいぢめる必要があるの?」
と悲しくなってしまうコト間違いなしだ。
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このゲームは私が知る限りで、
X68000,
FM-Towns,
Super Famicom
の3機種に移植されている。
この中では個人的にはX68000 版が一番出来がいいように思える。
Super Famicom版は30fpsでしか動かないとか音がイマイチとか問題点はあるが、
それなりにゲームの内容を知ることができる出来だと思う。
FM-Towns 版は実物を見たことがないのでわからないが、
グラフィックがちょっとドット数の関係で崩れているようだった。
音楽は PCM 音源によって実物をエミュレートして完全再現を狙っている(らしい)。
個人的にはとにかくぜひどれでもいいから遊んでみてほしい。
単純にはゲームとして成立しそうにない
「囲む」というシンプルなアイデアに絶妙なフィーチャーを追加して
名作ゲームに仕立ててしまっているのである。
真のゲームデザインとはこういう仕事であると思う。