| 東京銭湯ペンキ絵取材! |
| 銭湯のペンキ絵。これがどのように描かれるかを、ぜひ一度実際に見てみたいとかねがね思ってたのですが、2002年3月、三鷹芸術センターの「銭湯の背景画」展のイベントで実際に拝見する機会をえました。現在、東京に3人しかいないペンキ絵師が全員そろい三者三様の“富士”を描く。期待にたがわぬ素晴らしいイベントに会場も大盛り上がりでした。その模様をお届けします。 ※「オフロ・アート 銭湯の背景画」展は2002年3月2日〜24日、三鷹市芸術文化センターで入場無料で 公開中! 詳しくは三鷹市芸術文化センターHPをご覧ください。 ![]() @文京区など下町で活躍の早川利光氏の制作に密着しました。ペンキで下書き後、まずは「空塗り」です ![]() A空を軽くハケでこすって雲を描きます。ハケは5本程度持参し、塗る部分によって使い分けていきます ![]() B富士山をベタ塗りします。ここまでの所要時間は、わずか20分。まさに、あっというまのできごとです ![]() C何層にもグラデーションをつけて奥行きをつけます。この時点では効果がよくわからないのですが…… ![]() D50分経過。水面部分を制作中。まだ大雑把な絵なので「大したことないな」なんて思ってました(笑) ![]() E90分経過。海、そして波を描きます。ところどころの白い部分が、この後、どうなるかにもご注目 ![]() F120分経過。空白部分に島、岩、松が。湯気の中での鑑賞されることを考え濃い色使いが氏の絵の特徴 ![]() Gそろそろ完成かと思ったとら、延々と細部の仕上げ。するとみるみるうちに富士が生き生きと大変化! ![]() H下の空白部分は岩に当たる波しぶきでした。雄大な富士との対比がみごとです ![]() I完成。仕上げで絵が大きく変化したのがわかります。通常2時間程度で完成ですが3時間の力作でした ![]() @続いては埼玉を中心に活躍の丸山清人氏。でも立川にあるラブホテルにも氏の作品はあるそうです(笑) ![]() A淡い色使いが氏の特徴。左端部分に注目です。ここをどういう具合に仕上げるか。アップで見ていきます ![]() B富士の全体を終えて、いよいよ松の部分にかかります。まずはざっと塗りつぶします ![]() C上の写真の3分後。もうここまで塗ってます。奥行きを考えて徐々に濃い色を使います ![]() Dその30分後。上の緑の部分に黄緑で松の葉を描いた後です。細部になると時間がかかるみたいです ![]() E松のような小物は筆で。簡単そうでこれがなかなか難しいんだそうです ![]() F全体写真になりませんでしたが、これが完成図。個人的には氏の作品が優しい雰囲気で私好みでした ![]() @最後は山の手近辺でご活躍の中島盛夫氏。上の2作品に注目してたので、こちらは大まかな流れだけです ![]() A細部の仕上げ。中島氏は大胆な筆遣いが特徴。完成図が@と大きく変化してることにご注目! ![]() B横から見た様子。これを見るとこれだけ巨大な絵を短時間で美しい構図に描く難しさが実感できます ![]() C完成。実は氏の師匠は丸山氏と同じ方(故人)。でも絵の個性はまったく違うのが実に面白いです ![]() ▲左から、中島氏、丸山氏、早川氏。40年以上同じ仕事をしながら、丸山氏と早川氏は、この日が初対面だったそうです。厳しい徒弟制度だったことがうかがいしれるエピソードです。 【銭湯ペンキ絵トピックス】 ・描いてはいけない絵として猿、夕日、紅葉などがあるそうです。いずれも猿(去る)、夕日(沈む)、紅葉(散る)につながるので縁起がよくないことによるのだそうです。 ・1人前になるまでは、10年程度かかる厳しい仕事だそうです。それゆえ現在、3人には後継者もいないんだそう。残念ですが、これも消えゆく運命にある庶民文化といえそうです。 ・通常は、1つの銭湯に富士は1つ。つまり男湯に富士を描けば、女湯には富士を描かないのが基本だそうです。実は月刊高円寺本舗創刊号で銭湯をとりあげたとき「ペンキ絵が富士でないのが残念」という内容で紹介した銭湯があるのですが、今思えば、きっと女湯に描かれていたんですね。無知ゆえご迷惑かけました…… ・気になるお値段ですが…教えてもらえませんでした(笑)。ただ、個人の自宅の風呂場に描く程度なら3〜5万円程度で請け負うんだそうです。ですので、せいぜい10万円いかない程度ではないかと思われます ・均等に塗られている空の部分はローラーを使ってます。ほとんど普通のペンキ職人のノリです。でも、かつては「空塗り3年」といわれたように修行時代の基本の仕事だったようです |