2007.9.20(木)

堀本秀生(旧大宮市在住)
ブッシュ戦争大統領への協力をやめさせよう
従米派を、地域でしっかり監視しよう


 昨年10月中旬、「日本海」で一触即発する軍事事態が発生した。軍事的緊張を高めたのは安倍内閣である。その時、前原氏(民主党前代表)は、「周辺事態法」を適用すべきだと、院内集会で、戦争を煽った。ふだんマスコミを煽り、日本の住民に対して朝鮮人民民主主義共和国との戦争挑発をしている評論家たちは、11月初めまで大人しくなった。日本の住民と韓国、中国、ロシアの政府が、有志連合による開戦を阻止した事態があった。
 その前原氏(現・民主党副代表)が、いま、インド洋での給油継続の問題で、頻繁にマスコミに登場し、小沢一郎代表への批判をつづけている。インド洋からの自衛隊の撤退は、民主党の国民に対する公約である。前原氏ら従米主義者は、米国の「草」として民主党内を混乱させようとして、陽動作戦を展開している。従米派は、「対外公約」と称して、国民に顔を向けないで、米国の利益を担っている。
 われわれは従米派を、地域でしっかり監視しなければならない。従米派が、昨年の「日本海」を挟んで軍事的緊張が高まったときに、どんな態度をとり、誰の利益のために行動をしたのかを、みていく。

 朝鮮籍船舶検査開始まで「半月かかる」
 朝鮮人民民主主義共和国(以後「共和国」と呼ぶ)に対する決議(1718)が国連安保理で採択されたのは、日本時間の10月15日の深夜であった。
 次の日、久間防衛庁長官が「わが国が国連決議があったからといって周辺事態で直ちに臨検ができるかと言われると難しいのではないか」と答弁したのに対して、麻生太郎外相は、衆議院テロ防止・イラク支援特別委員会で、決議をたてに「船舶検査」の実施時期について「すぐスタートというわけではない。作戦計画を立てて行動に移すまで最低半月や2週間はかかる」と答弁した。
 安倍内閣は、国連安全保理の朝鮮制裁決議を口実に、自衛隊を使っての軍事作戦を計画した。安倍内閣は16日に、米軍が共和国に出入りする船舶への検査を実施した場合、「日本の平和と安全に重要な影響を与える」という「周辺事態法」と関連法を適用し、海上自衛隊の護衛艦、補給艦、哨戒機P3Cなどを日本海などに派兵し、米軍の軍事展開の海域とは別の公海上で、「船舶検査」や米艦艇への給油、給水支援を実施する、と軍事作戦の計画をマスコミにリークした。
 19世紀に主権国家が成立し、戦争が「国民総動員」の形をとる近現代で、偶発的に起こる戦争はない。麻生外相の答弁で「日本海」を囲む国々に軍事的緊張が生まれた。10月16日以降、戦争放棄、戦力放棄の憲法第九条をないがしろにする事態が安倍内閣の手によって生み出された。

 海上保安庁でなく最初から軍事力投入
 安倍内閣が適用する、2001年施行の「船舶検査活動法」は船舶検査に強制力がなく、海自の武器使用基準も米軍などに比べ制約されている。このため「船舶検査」は、朝鮮半島付近の海域は米軍など他国軍が担当し、海自は排他的経済水域(EEZ)内など「沖縄」西北方海域と対馬沖に限定することになった。
 さらに、P3Cなどの監視情報を、米海軍など他国軍に提供する。船舶検査と米軍艦船への燃料補給は、日本の防空識別圏(ADIZ)下の海域に限定している。そこには、日本が防空識別圏と設定した海域がある。防空識別圏とは、空からの「攻撃」に備えるため領空の外側に設けた空域で、領土から400−500km圏に定めている。通報なく侵入した場合は国籍不明機と判断、迎撃機の緊急発進の対象となっている。
 海域を空域に限定したのは、新聞報道によれば、米軍への燃料などの補給活動や「船舶検査活動法」による船舶検査を実施する際、防空識別圏内の海域であれば(1)日本側の航空優勢が確保できる(2)戦闘に巻き込まれる危険性が相対的に低くなる――と判断したからだ。(06年10月18日「共同通信」)
 対馬海峡で海自の護衛艦、P3C、哨戒ヘリコプターのほか、航空自衛隊の空中警戒管制機AWACSを用い、上空からP3Cなどが船舶の航行状況を監視、不審な船を発見した場合は護衛艦が停船を要請する。必要に応じて小型船などで立ち入り検査を行い、海自の特殊部隊「特別警備隊」の投入も想定していた。(今年5月、「沖縄」辺野古沖で投入)

 首相官邸で指示したのはシーファー駐日米大使
 共和国が核爆弾の実験をしたと発表したのは、10月9日であった。「海上封鎖」への自衛隊の後方支援に関しては、13日に塩崎恭久官房長官が、首相官邸でシーファー駐日米大使から直接指示された。
 塩崎官房長官が、シーファー駐日大使に指示された13日の未明は、ボルトン米国連大使(06年11月米中間選挙を受けて辞任)が、国連憲章7章に基づき、核実験実施を発表した共和国に対する制裁措置を盛り込んだ再修正案を安保理各理事国に提示し、国連安全保障理事会が、共和国制裁について非公式協議を開始した日であった。国連での制裁決議案は、日本、韓国も共同提出した。
 国連安保理決議の翌日の16日には、ヒル米国務次官補が、東京都内で外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長と朝鮮籍船舶の「貨物検査」について協議した。協議後、ヒル次官補は「貨物検査の問題は、詳しく取り組まなければならない。ライス米国務長官が来日時に専門家を連れてくるので、綿密に協議できるだろう」と記者団に述べ、実務レベルでの協議に入る考えを明らかにした。また、佐々江局長は記者団に「国連決議の速やかな実施に向け、日米が行動することで意見が一致した」と述べた。両氏は韓国、中国、ロシア、豪州などと協力し、制裁措置を効果的に実施していく方針を確認した。

 韓国政府が会談場所で機転
 ボルトン米国連大使は、決議に盛られた「貨物検査」について、「国際法と各国の当局と法律に基づくが、検査に協力するのは各国の権利であり、実のところ義務だ」との態度を採用していた。この立場で、ライス長官は16日に米国務省で、日本、韓国、中国、ロシアを訪問することを記者会見で発表した。ライス長官は、18日に来日し、安倍首相、麻生外相と個別に会談した。19日に麻生外相とともに訪韓し、日米韓外相会談を開いた。すでにヒル次官補がライス長官の日韓中歴訪のテーマについて「決議の実行が非常に重要な話になる」とも語っていた。
 しかし、16日の麻生外相の「日本海海上封鎖」をめぐる答弁があって、韓国政府は、韓日米外相会談を決めるのに会談の日付と場所をめぐり、安倍内閣との交渉で、水面下での開戦阻止のための熾烈な外交を繰り広げていた。
 韓国『中央日報』によれば「外交部関係者によると日本は米国が3カ国外相会談を申し入れると、これを東京で開こうと主張した。ライス長官が日本にとどまる18日に開催しようという提案だった。麻生太郎外相が会談を主導する場面を演出し、対北強行論が流れる国内政治にも活用するという日本側の計算が垣間見えた。ここに韓国外交部は国連事務総長当選後、ニューヨークに滞在中の潘基文(パン・ギムン)長官の日程などを立てて『ソウル会同』を主張した。韓国の外交部長官が日本に渡って北核問題を協議する姿はよくないという実務陣の意見によるものだった。潘長官のスケジュール上、多少無理はあったが、会談を1日繰り上げるのが難しいほどではなかったという。また国連新事務総長の初訪問国を日本にすることも負担だった。日本側は『国会が開かれて麻生外相の出国が難しい』としたが、米国の仲裁で会談場所はソウルに決まった。外交部当局者は『敏感な事案が扱われる会談であるだけにソウルで開かれるのが交渉戦略上最も望ましいと判断した』と言った」と、10月17日付で記事にしている。
 韓国政府により「日本海海上封鎖」作戦を阻止されたライス長官は、翌20日から21日かけて中国、21日にはロシアを訪れた。

 軍事的緊張は22日衆議院補選のため
 安倍内閣は、18日に来日するライス長官と麻生外相との日米外相会談で、安保理決議を口実とした「貨物検査」に米側が米軍を使い、どの程度の範囲や規模で船舶検査を行うのか、どう対応するのか説明を受けた上で、「周辺事態」と認定して「基本計画」の詳細を詰める予定だった。
 しかし、「ソウル会同」の結果か受けて、20日の夕方、シーファー駐日米大使は、防衛庁で久間章生防衛庁長官に対して、「日米両国政府はこれからどのような形で履行していくかを協議していく」と「貨物検査実施に向けては一定の時間がかかる」と軍事作戦展開について米国の判断を待つようにと指示した。
 安倍内閣は、21日以降、シーファー大使の指示を受け入れ、軍事的緊張を高めるトーンを下げた。これには安倍内閣の政治的な思惑があった。22日には、神奈川と大阪で衆議院補選の投開票があったからである。
安倍内閣は、衆議院補選に向けて、共和国の核実験宣言を利用し、軍事的緊張を高めるだけ、高めた。これが安倍内閣の選挙に対する、政治手法だった。
 安倍内閣は、13日午前の閣議で、共和国に対する日本独自の追加制裁措置を正式決定した。〈1〉北朝鮮籍船舶の入港を全面禁止する〈2〉北朝鮮からの輸入を全面禁止する〈3〉北朝鮮国籍保有者の入国を原則禁止する――ことが柱で、6か月の期限付きで発動した。入国禁止は11日からすでに実施しており、入港と輸入の全面禁止は14日から適用した。(安倍政権は、07年9月7日に経済制裁を半年間延長を固める)閣議決定の一方、15日警察庁は、対共和国制裁措置の発動によって設けられた「警備対策本部」の初会合を開き、在日本朝鮮人聡連合会(朝鮮聡連)に対しての諜報活動と警備を強化した。

 緊張する自衛隊将校
 10月15日から始まった事態を、自衛隊の将校はこの事態をどうように見ていたのだろうか。
 陸上自衛隊西部方面隊の機関紙『鎮西』10月31日号に航空自衛隊西部航空方面隊陸上連絡官1等陸佐牧野兼雄の文章が転載されている。これによると「わが国周辺では七月に北朝鮮の多数のミサイルの発射実験が行われ、その状況が終了しない間に引き続き、核実験の情報が伝わった。これらに対し、日本は北朝鮮船舶の全面入港禁止、全品目輸入禁止処置を採った。また安全保障理事会が船舶検査実施を行う際に、わが国としては周辺事態法を適用する方針を決定した。私の上番時機にも事態は急激に変わろうとしている。この事態に合わせて自己の職務を、もう一度見直してみたい」とある。
 1等陸佐とは、陸上で陸将補の手前の駐屯地レベルの部隊を展開できる将校である。牧野氏は、短い文章だが、安倍内閣のこれから展開されようとしていた軍事的計画を的確に理解をしている。

 前原氏、ライス訪日に合わせて「周辺事態法」の適用を主張
 米国は日本において、19日ライス長官が、安倍内閣の面々と会談をしている最中には、民主党の前原誠司前代表ら同党議員15名を使い、国会内で会合を開かせ、前原氏に国連安保理の共和国制裁決議を受け周辺事態法を適用するべきだと容認論を展開させた。
 韓国においては、19日には韓国の京畿道金浦市で、韓国の海兵隊と在韓米軍など約3000名が参加して米韓合同の上陸訓練が行なっていた。
 安倍内閣の「周辺事態」認定には、民主、共産、社民の他に、与党の公明が反対し、党内では加藤紘一氏や山崎拓氏が、総務会で反対をした。国連安保理決議の履行を義務であると主張するライス長官に対して韓国の大統領は「国連安保理決議の範囲で」と言い返し、李中国外務長官は「公海上で貨物検査をしない」と平和的解決を主張し、プーチン・ロシア大統領は「意見を交換した」と言い放った。
 その結果米国は「日本海海上封鎖」を断念した。日本、米国、豪州の各政府は11月6日、共和国の核実験に対する国連安保理の制裁決議の履行に関する実務者協議を外務省で開き、義務だとする決議に盛り込まれた貨物検査の実施について、当面は洋上での船舶検査を行わず、共和国を出入りする船舶を海空で監視し、不審船への検査は各国の港湾に入港した段階で行うことにした。協議には外務省の西田恒夫外務審議官、米国のジョゼフ国務次官、豪州のリッチー外務副次官が出席した。(安倍政権の言う「主張する外交」)
 米国と安倍内閣による「日本海海上封鎖」をして「貨物検査」の軍事作戦が破綻をしたのは、韓国、中国、ロシアの政府の反対とともに、民主、共産、社民、自民の一部と、事態に関心を寄せている多くの住民が、日本中で街頭に立ち反対をしたからである。

 油断大敵である
 前原副代表は、ブッシュ・安倍路線の信奉者である。私が住んでいる大宮の選挙区にも、従米派の枝野幸男氏がいる。枝野氏は、昨年7月8日に、読売テレビの番組で、共和国の弾道ミサイル発射に関連し、「(日本を)本当に守るには、もし向こうが撃ってきたらミサイル基地自体を壊すしかない。他国の領土を占領する能力は要らないが、ピンポイントでミサイルを破壊することは専守防衛には反しない」(06年7月8日付『時事通信』)と述べた。
 今年7月23日付『ニューヨーク・タイムズ』は、《自衛隊による戦後初の爆弾投下訓練は北朝鮮を狙ったもの》と報道し、枝野氏の発言を軍事的に裏づけた。同紙によると《自衛隊が先月西太平洋の孤島で500ポンド(約227kg)爆弾を投下する訓練を行った》《この爆撃機はおそらく北朝鮮のある地点に爆弾を投下して帰還する訓練を行ったもの》《今回の軍事訓練は、日本と米国がグアムで行った初めての訓練であり、日本で今後導入が有力視されている最新鋭の F22戦闘機なら、日本の北部からグアムまで2700kmを給油なしに飛行できる。今回の訓練に参加した自衛隊のパイロットは「一気に攻撃できる」として露骨に自慢した。》とある(7月24日付『朝鮮日報』から引用)。
 心ある人は、民主党が前原氏のような従米主義者に振り回されないように、従米派を地域で、しっかりと監視をする必要がある。