2007.3.21(水)

稲村公望(中央大学大学院客員教授・元日本郵政公社理事)
郵政民営化に抗し、地域社会再生のための旅をつづけています


 謹啓 すっかりごぶさたしております。
 16日の金曜日には、はじめて城内実氏に会いまして歓談いたしました。郵政民営化問題に翻弄され、刺客を放たれ議席を失いましたが、森田先生の激励を頂戴しながら、再起を目指して着々と研鑽を重ねている、筋を通しつづけている由で安心をいたしました。衛星放送の日本文化チャンネル桜で、金曜日のキャスターを勤めながら(インターネット放送でも配信しているので、ご関心の向きはチャンネル桜をご覧ください)、歯に衣を着せない新聞記事解説を目指しているとのことでした。城内氏は、外交官時代にはドイツが専門でしたから、対米従属ではなく、ヨーロッパ型の国づくりも参考にすべきであるとの考え方です。共感するところ大でした。

 土曜日には、たまたま、山口県に小さないつもの旅をいたしました。早鞆の瀬戸の急流の潮の流れに逆らって全力をあげて航行する貨物船の遅々とした動きの姿は、郵政民営化に抗する動きのようでもあって、国民資産の徴用や地域社会の基盤の崩壊を回避するためにも、逆風の中でも満帆の体制で市場原理主義に抗して乗り切ることが必要であると教えているようでした。
 山口では、高杉晋作のことや、外国に長州で造った大砲が持ち去られ取り返した話や、朝鮮戦争のとき海峡をゆく船は戦車を甲板に野積みにしていたなどの話を聞きながら、懇親会を開きました。なにせ土曜日の休日で、しかも寒波の入った日でしたが、同志が集まりホットな意見交換するためには、安倍総理の地元であるだけに、かえってよい日和であったのかもしれません。
尋常であれば法律にもとづく郵政民営化を成功させたいところだが、成立過程から問題があり、希望が持てないとの意見が大勢でした。なかには、もう退職することにしたし、国民が愚策を選んだのだからと突き放した意見もありましたが、何とか郵政民営化の欠点を修正して国民資産の徴用や米営化を阻止するために、居残ってでも先行きを見極めたいとの心強い意見も聞かされました。生田総裁の突然の解任や、西川郵政会社社長の総裁兼任をいぶかしく思うとの意見も聞かされ、郵政公社は実質的に民営化法が施行される前から市場原理主義に乗っ取られてしまったのではないかとの見方もありました。
 OBの皆様方は、現役の後輩諸君の閉塞感を目の当たりにして、やはり民主主義だから政治の世界で決着をつけるべきだとの一貫した主張でした。劇場型政治のもと、政治宣伝の刃を国民に向けた世論操作が行われるから、また同じような構図がつくり出されてしまうかもしれないが、宮崎県では政治不信でそのまんま東氏の知事当選もあったぐらいだから、小泉・竹中マジックが薄れたのではないかと指摘する意見もありました。  安倍総理の地元ですから、安倍総理が信頼を回復したいのであれば小泉路線と訣別することが先決だとの声も聞かれましたが、ずたずたにされた地域社会の崩壊は山口県でも顕著で、市町村合併があっても何もよくなっていないのではないかとの指摘もありました。
 小生は、いつものように、郵便局の民営化は国益を侵すと反対運動を先導された故岡野明治大学学長の「明日の天気は変えられないが明日の政治は変えられる」との名言を引用して激励いたしました。
 宿泊は駅前のビジネスホテル(6000円強)、旅費は新幹線・小倉駅乗り換えで往復4万円の出費でしたが、大海に一滴を注ぐようなものであっても、やがて大きなうねりになることが期待できる旅でした。
 響灘、瀬戸内の海の豊穣に恵まれた水産県山口県で旬のさば、いかに舌鼓を打ちましたことは余録でしょうか。捕鯨を主とする会社も、鯨の名をつけたプロ野球球団ももうありませんが、小倉駅では鯨弁当がささやかに売られており、港町の再生を祈る旅にもなりました。

 以上、最近の活動を報告いたしました。
 先生のご活躍を心から祈っております。来週の終末は、また、北国の方に小さな旅を計画しています。