「海はわがために魂のふるさとなり、みなもとなり」(若山牧水)
[本稿では「海と港」に重点を置き、「海と港」を生かすことを通じて、日本再生か達成したいとの私の個人的念願を果たしたい。以下、「海と港」を中心に論ずることにする]
日本を再生させるためには、日本国のもつ3つの資源を生かすしか道はないと思う。
3つの資源とは何か。
第一は人間である。日本人の能力である。この日本列島に生活する1億2700万人の人間力を生かすことである。
日本の国土は、1億2700万人が住むには土地が狭い。われわれ日本人は狭いところに身を寄せ合って生きていかなければならない。そのためには、日本国民は「和」と「共生」の精神を基礎にして生きなければならない。度を超した、節度なき自由競争を果てしもなく行っていたら「和」も成り立たない。「共生」も実現することはできない。日本人の生き方の根本に据えるべきは「和」と「共生」である。1億2700万の日本人が、この狭い国土で生きるためには、健全なる常識と道義を確立しなければならない。健全なる常識と道義を日本中に確立する上で大切なことは、全国民が勤労することである。社会はとくに若者に仕事を保障する必要がある。
19世紀のドイツの哲学者ニーチェが言ったとおり「職業は生活のバックボーンである」。一定の年齢以上の人々が、あまねく職業をもち、その職業を通じて自己確立することが、社会全体に健全なる常識と道義を確立する最も確実な道である。
すべての人が職業をもち、それによって生活のバックボーンを確立することが、健全なる常識と道義のある社会づくりの根本条件である。したがって、われわれは失業者のいない社会をつくらなければならない。完全雇用を達成し、完全雇用を維持することが健全な社会の基本条件なのである。完全雇用を政治の目的にすべきである。
その上で、社会全体が幼少年を愛し大切にする国民的気風をつくるために、すぐれた個性的教師を数多く育成し、それら優秀な教師によって教育がなされるようにすべきである。良い教育を実現するには、良い教師が必要である。国家主導、文部官僚主導の教育は百害あって一利なしである。
各地方において、多くのすぐれた教師のもとで充実した教育が行われるよう大きく包み込むように教育環境を整え、中身に口出ししないことが大切である。守られるべきは政治の節度である。
第二は海の活用である。日本にとって最大の資源は広大な海である。日本列島は海に囲まれている。海には魚介類が豊富であり、日本民族が日本列島に生活し始めてから今日まで日本人の食生活を支えてきた。日本人の食生活の基地は第一義的に海にあった。その上、海の底には、多くの資源が眠っている。まだ未知の世界であるが、すばらしい資源が海底下に埋蔵されているはずである。わが国はいままで海底の資源探査・開発において、他国に比べると、比較的に穏やかな態度をとってきたが、今後は、あまりアメリカなど他国に遠慮せずに取り組んでもいいのではないかと思う。もちろん海底資源は未来に残さなければならない貴重な資源であることはいうまでもない。
第三に海は偉大なる交通手段である。日本は古くから海洋国家である。船舶の国である。海洋は最も得意の分野である。
世界は新たな大航海時代を迎えている。このなかに日本の発展性がある。
海と陸との接点が港湾である。新大航海時代は船舶の時代であると同時に港湾の時代である。
第四は山を生かすことである。日本列島には山が多い。山が国民の生活を支え、山が日本の社会を支えている。日本列島の清冽なる水は山によって支えられ、蓄積され、供給されている。山の樹木が日本の快適な自然環境を支えている。山は人類の食料の供給源である。山から流れ出る河川が人類の生活を支えている。農業を支えている。山から流れ出る河川が運ぶ栄養分が海の魚介類を育てている。
この、山の活用こそ日本再生のカギである。(つづく)