小泉・竹中政治を否定することなくして日本の未来なし【その1】――3月26日朝日新聞オピニオン欄の関岡英之論文の意義
「天網恢恢疎にして漏らさず」(老子)
ついに表に出てきた「年次改革要望書」の存在
上記の「老子」の意味は「天の網は広大で目が粗いが漏らすことはない」というものです。よく「悪人は必ず天罰を受ける」という意味に使われます。
私が言いたいことは、日本政府、大新聞、大テレビ局が、この10年間の「日本の構造改革」の指針書(「年次改革要望書」)の存在を隠しつづけてきたけれども、ついに隠しきれなくなった、ということです。
関岡英之氏(ノンフィクション作家)は、私が本欄で何回も紹介した『拒否できない日本――アメリカの日本改造が進んでいる』(文春新書、2004年4月刊)の著者です。関岡氏は、「1990年代から2000年代に至る日本の構造改革はアメリカによる日本改造であること」と、「この指針書が存在していること」を明らかにしました。
『拒否できない日本』が出版されてから約1年が経ちましたが、この間も(それ以前から)大新聞、大マスコミは、このアメリカ主導の構造改革を、激賞しつづけてきました。関岡氏が指摘した「米国政府の日本政府に対する『年次改革要望書』」のことを報道しませんでした。したがって、国民は「年次改革要望書」の存在すら知らなかったのです。
繰り返します。「年次改革要望書」は、この10年間の「日本改造」の真の指針書だったのです。日本政府、大マスコミはこの重要文書の存在そのものを隠しつづけてきたのです。
この「年次改革要望書」の存在が、国民に知らされれば、国民はこの10年間の「日本大改造」が、米国政府の指示によるものであり、「米国政府の、米国政府による、米国政府のための大改造」であることが明らかになります。
私は、あえて言います。日本政府が「年次改革要望書」を発表せず、大マスコミが「年次改革要望書」を報道しなかったのは、国民が“真実”を知るのをおそれたからだと思っています。大マスコミが激賞し続けてきた「小泉・竹中構造改革」は、「日本を米国政府好みの国に改造する」ための構造改革だったのです。
3月26日朝日新聞朝刊のオピニオン欄で関岡英之氏の名前と写真、「構造改革 『米国モデル』に検証必要」の見出しを見たとき、「やっと、大新聞が『年次改革要望書』の存在を報道してくれた、ようやく…、やっと…」という気持ちでした。私は、朝日新聞が「年次改革要望書」の存在を、他紙に先駆けて報道したことを高く評価します。
じつは、私は、昔から、近くの朝日新聞販売店から朝日新聞ほか数々の定期刊行物を購入して読んでいました。この4月から新聞以外の購読はすべてやめるつもりでした。しかし、3月26日に関岡論文を掲載した同社編集局の“快挙”を評価し、今後も諸々の定期刊行物を購読しつづけることにしました。朝日新聞への、ほんの心ばかりの「褒美」です。
注目すべき関岡論文の内容
関岡英之氏は朝日新聞論文の最初にこう書いています。
《日本の今後を知りたいと思えば、必読の文献がある。米国政府が毎年、提示している「年次改革要望書」である。93年7月、宮沢首相とクリントン大統領の日米首脳会談で決まり、94年から交換されている。
表面上は対等で双方向という建前で、日本も米国に要望書を出してはいるが、もともと米国が外圧の手段として提案した経緯がある。事実上、日本の法律や制度の中で、米国の国益にとって都合の悪い部分の変更を迫るものだと言える。》
対象は、「日本の立法、行政、司法の三権も含む、あらゆる分野に及んでいる」のです。
郵政民営化についていえば、早くも96年11月15日付の「年次改革要望書」で要求しています。さらに2003年、2004年の要望書で、より具体的に要求しています。小泉・竹中体制は、郵政民営化を、米国の要求どおりに実行しようとしているのです。
関岡氏は、朝日新聞紙上の論説の最後をこう結んでいます。
《いわゆる「構造改革」は、米国の圧力などすべての背景について政府が説明責任を果たした上で、国益に照らして検証されるべきではないか。》
関岡氏の3月26日朝日新聞の一文は、全国民の必読文献です。本欄で全文を引用することができないのが残念です。ぜひ、朝日新聞3月26日朝刊を読んでください。
政治の季節の到来
2005年4月、政治の季節が到来しました。
小泉首相は力づくで米国政府の要求どおりの郵政民営化を強行しようとしています。小泉首相は自民党に対して、「首相に従わなければ衆院解散だ」と言わんばかりの脅しを繰り返してきました。衆院解散をおそれる自民党議員は及び腰です。小泉首相に従順です。
しかし、自民党の中にも「腰抜けでない政治家」はいます。首相が筋の通らないことを強行したとき「ノー」と言う勇気ある議員はいます。
民主党は、小泉・竹中郵政改革に反対することに決めました。現在の公社形態での改革の方がよいという考え方にもとづいています。これは正しい決定だと思います。
郵政民営化に賛成している政党は公明党だけです。
いよいよ政治の季節が始まります。マスコミには中立的で公正な報道を行うことを求めたいと思います。