2010.1.28(その3)

森田実の言わねばならぬ【79】

平和・自立・調和の日本をつくるために[79]
《新・森田実の政治日誌》福岡の友・THさんからのメール/政府通貨の議論をみました

「政治は科学ではなく術である」(ビスマルク)



《森田実先生 いつもご指導をありがとうございます。また時折拙文を掲載していただきうれしくありがとうございました。  「太田光の私が総理大臣になったら」という1月22日金曜日夜の番組をみましたら、お金(政府通貨)をジャブジャブ出して景気をよくしたら、との議論をやっていましたが、賛成と反対相半ばしました。反対者の意見は、わが国戦時中の例や、どこかの途上国の例をあげて「政府がお札をどんどん出したりしたらハイパーインフレ、お金が紙くずになってしまう」、「政府が発行を始めたら歯止めが効かなくなるから」、ということでした。二つの誤解があると思いました。

 一つ目は、戦時下のように、供給がまったく足りないのに、政府自らの需要を満たすべく調達手段としてジャブジャブ出していけば需要過多(供給不足)となってハイパーインフレになることは疑いないことです。しかし、現在の日本は、まったく逆で、供給過剰、供給体制の過剰であって需要は大きいのに、潜在したまま眠っています。この需給ギャップを埋めるための通貨供給をすべきである、と思います。

 二つ目は、同じことですが、総需要管理の一環として注意深くやるべきことで、天井知らずに発行することはだめに決まっています。むしろ、こう考えてもいいかと思います。つまり、「お金が過剰で困る場合」の反対の状況があって、「お金が不足して困る場合」が現状で、この場合は適量になるまで増やす、という逆の発想です。

 ではそうすることで、誰しも心配されることは、また、膨大な国家の債務に債務を追加するのか、ということでしょう。

 そこで、ある専門家が「日銀券は、発行して外部に出す場合、日銀が債権者となり、借りる側(中央政府など)には債務となるが、一方の政府通貨は制約なしに供給でき、債務にならない(だから節度を超えても発行したがる危険がある)」と説明されていました。また、有効期限を設定する発想もありました。これは減価する通貨(ベルグルなどの地域通貨もそうされました)のことできわめて自然なものと考えます。

 名だたる経済学者や政治家の皆さんが議論しておられましたが、平べったい、底の浅い議論に終始していたように思いますし、あれだけの議論で国民世論がつくられてしまうとなると残念なことだと感じました。日本の行方にも関係するテーマです。学者ももっと勉強して、議論を深めてほしいし、いくらでも地域通貨の成功例があり、勇気をもって取り組んでほしいと思いました。

 いま一つ、そのような通貨を政府自ら発行して、国家のニューディール政策に用いたらどうかと愚案していますが、いかがでしょうか。昭和6年には、長崎街道など国道整備を直轄事業で開始していますが、それは失業対策が念頭にあったようです。いまならば、たとえば、森林整備、耕作放棄地の再利用など、国土美化、防災や安全な国土整備に政府自らが使います。なお、7月1日付の「政府通貨の発行について」の考え方は変わりません。2010.1.23 TH生》

[THさんへ。1月23日付メールありがたく拝見しました。政府通貨の議論は下火になってしまいましたが、私は、いまも丹羽春喜教授(大阪学院大学名誉教授)の『政府貨幣特権を発動せよ』(紫翠会出版)の主張は「救国の秘策の提言」だと思っています。政府貨幣特権の発動が日本を救うとの丹羽教授の考えは正しいのです。この議論をまた再開したいと考えていたとき、THさんからメールをいただきました。感謝します/森田]