2010.1.27(その2)

森田実の言わねばならぬ【75】

平和・自立・調和の日本をつくるために[75]
《新・森田実の政治日誌》[月満つれば欠く・小沢政治の終焉(13)]無意味な紛争を求めつづける小沢一郎〈その6〉小沢・鳩山・菅トリオの反官僚主義・反産業主義への警告

「われわれは人に忠告するときには賢い、しかし自分の過ちには気づかない」(エウリピデス)



 一つの小さな記事が、国民の意識に大きな変化を起こすことがある。最近、これを予感させる記事に出会った。2010年1月11日の朝日新聞朝刊2面左下に掲載された[米コンサル「世界10大リスク」鳩山政権危険度5位]の囲み記事である。以下、全文を引用する。

《国際政治上の危険要因を分析している米コンサルティング会社ユーラシア・グループは、今年の世界10大リスクの5位に「鳩山政権」を挙げた。「気候変動」(6位)や「インドとパキスタンの緊張」(8位)などより危険な要因だとした。  鳩山政権の「官界と産業界の影響力を小さくしようとする政策」が、世界的に見ると高い危険要因になっていると指摘。「参院選で勝つと、今よりマニフェストに忠実な政策を実行しようとして混乱するだろう」と予測した。

 「党の実権は小沢一郎氏が握っている。鳩山首相は選挙指揮が巧みなわけでも、政策決定に強いわけでもない。現政権は年末までもたない可能性が相当あり、ひょっとすると参院選までもたないかもしれない」とも分析した。

 リスクの1位は「米中関係の悪化」、2位が「イランの暴走」、3位は「欧州連合(EU)域内のあつれき」だった。ユーラシア社は98年設立。ニューヨークに本部を置き、紛争や選挙、外交、財政などを指標化して政治リスクを算出している。顧客は企業や投資家など。》

 世界10大リスクの1、2、3位は「米中関係の悪化」「イラン暴走」「欧州連合(EU)域内のあつれき」である。4位が何かは記事にはないが、5位が日本の鳩山内閣であるということは、何を意味するか。日本経済が沈没し、世界に大混乱を及ぼすおそれが大きいということである。そして、その原因が「官界と産業界の影響力を小さくしようとする政策」にあるとしているのだ。小沢・鳩山・菅トリオが推進している脱官僚・政治主導は「官」の影響力を小さくする政策であり、これが日本経済を沈没させるおそれがあると、海外からは見られ始めているのだ。今後、鳩山政権の存在そのものが国際政治上の危険要因であるとの見方が広がる可能性がある。鳩山政権が進める反官僚主義・反産業主義が世界を危機に陥れるのである。

 この小さな記事は、日本の官僚の意識を変えるきっかけになるかもしれない。2009年8月30日の総選挙で、国民が麻生自公連立政権を拒否し、脱官僚・政治主導のマニフェストを掲げた民主党を支持し、民主党政権を誕生させたとき、多くの指導的官僚は自信を失った。キャリア官僚たちは、民主党と民主党の応援団と化したマスコミによる「官僚叩き」に絶望しながら耐えてきた。

 しかし、海外には、いまだに一部ではあるが、鳩山政権の反官僚主義が世界の10大リスクの一つであり、しかも「気候変動」(6位)や「インドとパキスタンの緊張」(8位)などよりも危険性が高いという見方があることは、キャリア官僚たちの傾きかけた自信を回復させるきっかけになるかもしれないのである。

 2009年7月12日に行われた東京都議会議員選挙で自民党が敗北し、民主党が大勝した。多くの国民が、同じことが直後の衆議院議員選挙で起こると考えるようになったときから、私は、民主党政権の危険性に目を開くよう国民に訴えてきた。この危険性の第1位に民主党のデフレ経済に対する危機意識が薄くデフレ不況対策がないことと、民主党の小沢・鳩山・菅トリオの過激な反官僚主義を挙げた。小沢・鳩山・菅トリオが推進する「政」と「官」との理不尽な戦いが日本の政治・行政を混乱させ、日本経済を沈没させるおそれがあると警告してきたが、圧倒的な台風のような政権交代への風の中で押しつぶされた。

 政権交代が実現し、鳩山内閣が成立した後も、私は鳩山政権の過激な反官僚主義・反産業主義が日本の沈没につながることを警告してきたが、同志を増やすことは遅々として進まなかった。私は孤立した。

 しかし、日本国民の目を覚ます情報が海外からもたらされた。これが米コンサルティング会社ユーラシア・グループの「世界10大リスク」の5位に「鳩山政権」があるとの記事である。この記事は、国民と官僚たちの思考に刺激をもたらすだろう。日本国民は小鳩政権の過激な反官僚主義・反産業主義の危険性に早く気づかなければならない。(つづく)