森田実の言わねばならぬ【57】
平和・自立・調和の日本をつくるために[57]
「独裁者の反面は奴隷である。権力の座にあるときは万能だが、権力を失えば奴隷性百パーセントになる」(魯迅)
民主党には400名以上の衆参両院議員がいる。これだけの国会議員が、小沢幹事長という一人のガリバーと多くの小人たちに分かれている。さらに小人たちは小沢幹事長側近・追従者と残りの沈黙議員に二分されている。沈黙議員は2010年夏の参議院議員選挙における民主党の勝利まで恐れている。本音レベルでは、参院選における民主党の勝利を恐れているのだ。参院選で民主党が勝てば小沢幹事長の権力はますます強大化し、恐怖政治は強まると考えている。
小沢恐怖症に陥った沈黙派が待っているものがある。「政治とカネ」をめぐる問題の決着である。彼らは本音レベルでは国会審議と検察当局の捜査の進展を心待ちにしている。検察によって民主党の小沢恐怖政治がなくなることを祈っている者もいる。いまの民主党は、小沢幹事長とマスコミ、小沢幹事長と検察当局との戦争の真っ最中である。ここに小沢民主党のファッショ政党化の真の原因がある。
政界の最高実力者・小沢一郎対検察、小沢一郎対マスコミの戦争が、民主党全体を戦闘組織化しているのである。だが、そうだからといって、民主党ファッショ政党化の現状を誰も肯定できないと思う。小沢一郎は民主主義者として行動すべきである。さらに言えば、四百名を超える民主党の国会議員は国民の代表である。政治家としての自らの信念に従って積極的に発言し行動すべき国会議員が、小沢幹事長への恐怖心のために縮んでいるとしたら彼らを選んだ国民を裏切っていることになる。
民主党における小沢恐怖政治の横行と非民主主義政党化は小沢幹事長対検察、小沢幹事長対マスコミという二つの戦争が終わらない限りつづくと民主党員が考えているとすれば、それら民主党員は間違っている。政治家なら自らの力で独裁政治を倒すべきである。民主党内で小沢独裁体制を打破するための党内革命を起こさなければならない。これができないならば、民主党に未来はないと思う。
民主党議員と全国の党員が、小沢幹事長が検察とマスコミとの二つの戦争に勝てると考えているとすれば甘い。甘すぎる。
たしかに小沢幹事長の政治力は巨大だ。しかし、この巨大権力を支えているのは民主党議員の小沢幹事長への忠誠心と恐怖である。しかし小沢幹事長への恐怖心で追従するような政治家は国民から支持されない。また、小沢軍団の忠実な議員も小沢氏が敗北したとき、政治家をつづけることは難しくなる。民主党全体があくまで小沢幹事長を支持し守り抜こうとしたとき、民主党そのものが瓦解し消滅する危険性がある。
現在の状況は、1970年代後半の政治状況に似ている。政界の超実力者・田中角栄と検察・マスコミとの戦争である。国会の多数を握った大権力者・田中角栄と検察・マスコミとの戦争の中で政界は揺れに揺れた。結局は、田中角栄氏の病気によってこの田中角栄氏をめぐる戦争は決着したが、田中角栄氏の弟子の小沢氏の場合はどうなるのだろうか。(つづく)
《新・森田実の政治日誌》[月満つれば欠く・小沢政治の終焉(7)]裏切られた政権交代〈その7〉小沢恐怖政治の展開の背景には小沢の「戦争」がある
民主党内における小沢恐怖政治の展開