森田実の言わねばならぬ【54】
平和・自立・調和の日本をつくるために[54]
「いかに長く生きたかではなく、いかに良く生きたかが問題である」(セネカ)
最近、民主党の内情を聞いてみると、「本当なのか?」と思うことが多々ある。一つは密告者の存在である。いまの民主党の内部には「小沢幹事長への恐怖」が異常なほど強い。読者の皆さんは、民主党はたとえ「小沢独裁・小沢恐怖政治」があるとしても、スターリン時代のソ連共産党には遠く及ばないと考えられているかもしれない。たしかにスターリン時代のソ連共産党ほどにはひどくはないだろう。ソ連では、批判者は容赦なく殺された。作家のソルジェニーツィンが暴いたことだが、当時のソ連ではスターリンを批判したら容赦なく逮捕されシベリアの収容所へ送られた。多くの普通の市民が密告者の告発で市民生活を奪われ、地上から抹殺された。密告が市民生活の末端まで広がっていた。日本の民主党においては、逮捕されたり処刑されることはない。
いまの小沢独裁下の民主党と昔の日本共産党と比べるとどうだろうか。私が知っている限り、日本共産党では、暗いスターリン主義全盛の時代ですら、かなり言論の自由はあった。私の場合は、非合法組織の会議においても、自分自身の信ずるところを率直に主張し議論した。上級機関を批判したことも何度かあった。少し危ないと思ったことがあったが、切り抜けた。1955年に非合法組織が廃止されて以後は、言論の自由への制限はほとんどなくなった。私は、中央指導者への批判は徹底的に行った。私自身は、結局は当時の日本共産党の独裁者の宮本顕治氏と対立して除名処分となったが、論争において遠慮したことはなかった。1955年以後の日本共産党の空気は、いまの民主党よりは明るかったのではないかと思う。
それにしても、いまの民主党内の空気は異常である。小沢氏への恐怖が党内に充満していることは否定できないことであろう。いまの小沢民主党の異常さは、スターリン主義時代の日本共産党と比べても異常すぎる。この原因の一つは、小沢氏の性格にあるのかもしれない。批判に対して非寛容すぎるのではないかと思われる。とくに決定的なのは党内に密告者網が張りめぐらされていることである。これが「恐怖」の源泉の一つである。
中堅議員Bが語っている。
「なんと『密告制度』」まであるんですよ。マスコミと接触すると、『あいつは〇〇社と会っていた』と国対に通報される。だから、親戚に新聞記者がいても議員会館では会わないようにしています。後で何を言われるかわからないから」(同誌p.34)
小沢幹事長と側近たちがとくに神経過敏になっているがマスコミである。小沢軍団はマスコミに極端に神経質である。
若手議員Dの言葉は驚愕すべきものである。
「(接触したのが)週刊誌なんて論外ですよ。いまここに(週刊誌の座談会のこと)いるのがバレたら、たちまち反小沢のブラックリスト入り。特に比例選出議員なんて頭数に入れられていないから、反乱分子と思われたら、次は名簿の最下位近くに置かれて落選させられます」
皆が恐れているのは次の選挙のことである。小沢幹事長に睨まれたら、次の国政選挙で公認されず、政界引退に追い込まれることを恐れているのである。民主党は民主主義の政党とはいえない状況になってしまっている。それにしても、独裁者も独裁者だが、ただ自分かわいさから小沢幹事長への過剰な恐怖に怯え、勇気も見識なくした民主党議員に国政をまかせることはできないと思う。小沢一郎程度の独裁者に対して異常な恐怖感を抱いて、政治家としての誇りを失った者に政治をやる資格はない、と言わなければならない。(つづく)
《新・森田実の政治日誌》[月満つれば欠く・小沢政治の終焉(6)]裏切られた政権交代〈その6〉密告者の存在
党内に張りめぐらされた密告網