森田実の言わねばならぬ【52】
平和・自立・調和の日本をつくるために[52]
「寸鉄人を刺す」(『鶴林玉露』)
大島幹事長は冒頭、米国の政治学者ジョン・H.ハロウェルの言葉(民主主義における倫理の重要性)と昭和60年につくった国会の政治倫理綱領第4項(「われわれは、政治倫理に反する事実があると疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」)を引用し、鳩山首相にこの綱領を順守する決意があるかを問うたのは、鋭い重要な指摘だった。だが、鳩山首相の答弁は不誠実そのもので失望した(なお、大島幹事長の質問中に見せた鳩山首相の笑い顔には、大島質問をせせら笑っているような高慢な様子が感じられた。国民が民主党に与えた300議席以上の数の驕りを感じさせられた)。
鳩山首相は母親からの資金提供を知らなかったことが検察当局の調査で明らかになったとの趣旨の答弁をしたが、これは大いに疑問である。そんなことを検察当局が証明できるわけがない。鳩山首相の「知らなかった」発言については、ほとんどの国民が疑いをもっている。十数億円の贈与をまったく知らなかったとの鳩山首相の発言を真面目なものと考える国民はほとんどいないであろう。鳩山首相の人間性が疑われているのだ。
大島幹事長は、鳩山内閣に対する国際社会の評価の低さについての、鳩山首相の所見を求めたが、鳩山首相は真面目に答えなかった。鳩山首相の傲慢な態度には、「井の中の蛙大海を知らず」の感があった。情けないと感じた。
質問の最後に、大島幹事長は、「民主主義に道徳律の正当さが必要」とのジョン・H.ハロウェルの言葉と「民、信無くば立たず」との孔子の言葉を引用して、政治倫理の大切さを強く訴えたが、民主党議員は真面目に聞いていなかったのは残念だった。民主党国会議員の政治倫理に対する無関心と不真面目さが気になった。「民主党に多くの議席を与えすぎた。国民は民主党を過大評価したのではないか。次の選挙では民主党の数を減らさないと、民主党の傲慢さは治らないのではないか」との大阪のタクシーの運転手氏の言葉が思い出された。
大島自民党幹事長につづいて公明党政調会長の斉藤鉄夫氏の声涙下るような熱弁に対する一部の民主党議員の不真面目な対応には失望した。下劣なヤジは国会の品位を汚すものである。鳩山首相の答弁には国民の苦しみに対する真面目な姿勢が感じられなかった。鳩山首相は「母からの贈与は知らなかった」との答弁を繰り返したが、白々しい答弁だった。
300議席以上の多数の驕りが、鳩山首相の答弁の底にある傲慢さと民主党議員のヤジににじみ出ている。鳩山首相と民主党議員は表面上は低姿勢を装いながら、その底にふてぶてしい開き直りが感じられた。2009年8月30日の政権交代に示された国民の願いは、小沢・鳩山によって裏切られたと感じざるをえなかった。鳩山首相と民主党は、議会で多数さえもっていれば何でもできると考えているのかもしれないが、心得違いである。
鳩山首相と菅直人副首相・財務相の二人が答弁したが、デフレと失業に対する鳩山内閣の姿勢の甘さが露呈された。とくに「供給側より需要側を重視する」との軽薄で時代錯誤の経済政策を繰り返し主張しつづけていたことには驚き、失望した。公共事業を減らせば経済がよくなるという論理は馬鹿げている。鳩山・菅の経済政策理論は非現実的で度し難い感じがした。小沢・鳩山・菅トリオが日本を崩壊させないようにするためには、国民的な民主党批判の大運動を起こす必要があると、改めて痛感した。
《新・森田実の政治日誌》2010年1月19日衆議院本会議における代表質問(主として大島質問)を聴いて/格調高く、急所を突いた大島理森自民党幹事長の質問演説に迫力と説得力あり/鳩山首相は明確な答弁できず
通常国会二日目の1月19日に行われた代表質問を聴いた。冒頭、大島理森自民党幹事長が代表質問に立った。最近の代表質問演説のなかでは迫力と説得力のあるすぐれたものだと感じた。