2010.1.16(その4)

森田実の言わねばならぬ【40】

平和・自立・調和の日本をつくるために[40]
《新・森田実の政治日誌》[谷垣禎一自由民主党総裁研究(13・第1部完)]谷垣総裁の課題/第一の課題は2010年7月の参院選、第二が2011年春の統一地方選、第三が衆院選

「人間は名誉を得る前に試練を受けなければならない」(ソロモン)



『日刊ゲンダイ』2010年1月1日号に小沢一郎民主党幹事長のインタビューが掲載された。ちなみに『日刊ゲンダイ』は公然と小沢幹事長を支持し、応援する立場をとっている夕刊新聞である。

 このインタビューの見出しは「自民党は一度、徹底的にやられないとダメなんです 政権選択が可能な真の二大政党制が機能するのはそれからだ」

 このインタビューで小沢幹事長は、「二大政党制は、いったん自民党を潰したあとのことだ」と言明している。すなわち一度は民主党一党支配体制を確立し、そのあとで二大政党制にするといっているのである。言い換えれば、今は自民党を徹底的に潰してしまうと宣言したのである。これは、「二大政党制はそのあとでやる」とは言っても、当面は二大政党制を破壊し、小沢民主党一党体制にしようとしているのである。

 2010年1月14日号の『週刊文春』は、2010年夏の参議院議員選挙で民主党が圧勝するとの宮川隆義政治広報センター社長の予想を掲載している(見出しは「鳩山民主『ニッポン制圧』/民主127議席vs自民76議席)。2010年夏の参院選で民主党は65議席をとり(非改選を含めて127議席)圧勝するというのだ。これに対して自民党は39議席しかとれず(非改選を含めて76)敗退するという予想である。

 もしも以上のような結果になれば、自民党が次の総選挙を谷垣体制で戦うことは困難になるであろう。谷垣政権をつくるためには、谷垣自民党は2010年夏の参院選で勝利しなければならない。

 だが、私は以上のような方向へ動く可能性は次第に低下すると見ている。まず、参院選に至る通常国会で小沢・鳩山体制は危機に瀕すると予想する。

 第一に、政治とカネの問題で小沢幹事長は窮地に立たされる。鳩山内閣の支持率はさらに低下する。

 第二に、春から夏にかけて日本経済は深刻な危機に陥り、鳩山内閣の経済無策が問われることになる。

第三に、沖縄基地問題で鳩山政権は混乱する。

このような政府危機の深刻化のなかで7月の参院選を迎える。民主党の勝利はきわめて困難になると私は予想している。

 参院選の予想についていえば、第一に、民主党対自民党の構図ではなく、地方自治体政治家を中心とする第三勢力(新党を含めて)が登場する可能性があり、この第三勢力と自民党が反小沢統一戦線を組むことになれば、民主党大敗北という事態すら起こり得る。

 『週刊文春』の予想では、民主党は選挙区で43、比例区で22、合計65議席をとる。だが、小沢一郎、鳩山由紀夫両トップが政治資金問題で全面批判を受けた状況下で、民主党が比例区で22議席をとるのは困難だと見るのが順当である。非改選(前回19)を上回ることはむずかしい。選挙区についても前回のように3人区の多くで2人当選を実現するのは困難であろう。複数区(5人区1、3人区5、2人区12、計18選挙区)で2議席獲得可能な選挙区は東京(5人区)と3人区1つと見なければならない。つまり、民主党は複数区19選挙区で19〜20議席とる。

 最大の問題は29の1人区でどれだけとることができるかである。前回(2007年)の参院選では民主党を中心とする反自民勢力は1人区で23議席を獲得したが、これが今回はむずかしくなっている。民主党の地方に冷たい政治に対し、地方住民は怒っている。私は1人区で16〜20議席が獲得可能範囲であると予想する。

 比例区は22議席をとることは困難で、16〜18議席と予想する。

 総計すれば51〜58議席であり、過半数を得ることはむずかしいのである。小沢幹事長が狙う単独過半数獲得が実現するのはきわめて困難である。

現在のところ、自民党内は混乱しており、自民党単独で民主党を凌駕することは困難であろう。

 地方自治体の首長(知事、市長)の大連合が参院選に参入する可能性はきわめて高い。この首長連合に自民党と公明党とみんなの党が加わって反小沢大統一戦線が形成されれば、7月の参院選での政権の転換(鳩山内閣退陣)という事態も起こり得ると思う。

 問題は自民党である。夏の参院選で小沢一郎政治をストップさせるためには、第一に自民党が内紛をやめて団結すること、第二に「地方自治体の首長連合」と連携し、反小沢統一戦線を結成すること、第三に地方を中心に高まる傾向にある地方・地域住民の要求に応える現実的政策を示すこと、が必要である。これができるか否かに、谷垣政治の未来がかかっている。

[これにて「谷垣総裁研究」第1部を終わります。また改めて第2部を書きます。それまで、取材活動を行います/森田実]