森田実の言わねばならぬ【35】
平和・自立・調和の日本をつくるために[35]
「大道廃れて仁義あり」(『老子』)
《谷垣禎一氏は旧京都二区の選出、父専一氏の死去に伴って衆院議員になった二世議員である。『易経』に「潜竜、用うる勿れ」という言葉があるが、知る人ぞ知る、まだ表舞台にたたないけれど、自民党の有望株である。
東大で山に登って結局八年も在学、ゆうゆうたる月日をすごしながら、東西文化の書物を読み漁り、政界にまれなる教養の持ち主となる。反面、議員になったころは、竹下派の全盛時代、政治的に達者なわけではなく、金にも円薄く、将来性があるともみえなかった。
だが、時代は反転、この明朗にして重厚の気風こそ、貴重なキャラクターである。大道廃れて仁義あり、この徳人が政治の中枢を担う時の来ることを期待したい。》
谷垣禎一自民党総裁の相手の小沢一郎民主党幹事長は、「進むを知って退くを知らず」(『易経』)型の政治家である。しかも小沢幹事長は手練手管・権謀術数・力ずくの政治家である。鳩山由紀夫首相は小沢幹事長の操り人形になってはじめて首相になり得た、誇りなき政治家である。
谷垣氏は、この小沢氏に誠実・道理・道義をもって立ち向かう。自民党内にはこの谷垣氏の生き方を理解しない政治家がいる。マスコミは政治に面白さを求め過ぎ、真面目そのものの谷垣氏に不満を鳴らしている。それに乗じて揺さぶりをかける野心家もいる。そんななかで、谷垣氏の真面目さは、少しづつだが国民のなかに浸透し始めているように思われる。谷垣氏の誠実さ、まじめさを、国民が認める日が来ることを期待したいと思う。(つづく)
《新・森田実の政治日誌》[谷垣禎一自由民主党総裁研究(12)]『政治家の本棚』(早野透朝日新聞編集委員インタビュー、朝日新聞社、2002年5月5日刊、1890円)にみる谷垣禎一氏の原点〈その3=この項完〉誠実・道理・道義の道を行く
[本当の大道がすたれると、そのときに仁とか義とかがとりざたされる。仁や義がとりざたされるときは、大道のすたれている証拠である](諸橋轍次著『中国古典名言事典』より)
「谷垣禎一氏」の項の最後に「対談後記=1996年12月」と題する早野透氏の一文がある。名文であり、心を打つ文章である。全文を引用する(この文章は14年前に書かれたものである)。