8月11日(月)、二つのラジオ番組で、私は「小泉再選はなく、小泉内閣はこの秋に総辞職する」との見方を語った。一つは朝の「高嶋ひ
でたけのおはよう!中年探偵団」、もう一つは当日午後の「テリー伊藤のってけラジオ」(ともにニッポン放送)。
ラジオ番組における私の発言要旨を以下に記す。
朝のラジオ番組出演が終わっての帰り道、私の発言を放送で聞いたタクシーの運転手氏は言った――「ラジオを聞いていました。小泉さん
に期待してももうだめですね。代わってもらいたいですね。景気をよくしてくれるのは亀井さんだと思う。景気回復のためには亀井内閣をつ
くるしかない」
自民党総裁選の投票日は9月20日。自民党総裁選の有権者は、同党所属国会議員356名(議員各1票)と国会議員以外の自民党員(票数は
300票)。合計656票で争われる。
この自民党総裁選の有権者は一般国民とは違う。新聞社の世論調査に回答している人々とは異なる政治意識の持ち主だ。自民党とともに生
きてきた人々、もしくは自民党を支持して入党した人々である。この自民党員の大多数は小泉政治では日本経済は上向かないと思っている。
大都会地の党員には小泉支持者が多いが、地方は違う。小泉支持者は全体の一部に過ぎない。小泉首相が一般党員の過半数の支持を得るのは
困難な状況にある。
新・民主党の誕生確定までは、自民党国会議員の間には選挙に勝つために「小泉人気」に頼ろうとする空気が強かった。だが、新・民主党
誕生という新たな政治状況を前にして、自民党国会議員たちの間に動揺が広がっている。「小泉人気」依存(無党派層依存)をやめ、旧来の
保守的支持層を固めて新・民主党に対抗する以外に道はなくなったと考え始めた自民党議員は少なくない。小泉首相が国会議員の過半数の支
持を得ることはむずかしい形勢だ。
最近では、小泉首相周辺から「自民党総裁選はきびしい。負けたら国会を解散して自民党を分裂させる」との異常発言が飛び出す始末だ。
こうした暴言が、小泉首相の立場をさらに苦しくさせている。
私はこうした新情勢を分析し、「小泉再選は困難」と発言した。
「小泉首相が9月20日の自民党総裁選で勝つのはほとんど不可能な状況になっている。小泉首相は、党員票の過半数をとることができるか
どうかという段階を越えて3分の1をとれるかどうかの状況に陥っている。第一回投票で過半数を獲得するのはほぼ絶望的であり、決選投票
に持ち込まれるだろう。決選投票の有権者は国会議員のみ。小泉首相が決選投票で過半数をとるのは困難だろう。結局、決選投票に残った候
補者が新たな自民党総裁に選ばれる可能性がきわめて高い」
この私の発言に対して、テリー伊藤氏は「その対立候補は誰か」と問いかけてきた。私は「今のところ、その対立候補になり得るのは亀井
さんか藤井さんだろう」と答えた。
[ラジオで言ったわけではないが、この点について少しつけ加えれば、今現在、事実上の出馬表明をしているのは亀井静香、藤井孝男、笹
川堯、熊代昭彦の4氏。このほか堀内光男、高村正彦両氏の出馬も噂されている。このなかで決選投票に残る最有力候補は亀井氏だ。藤井氏
も橋本派が一本化すれば可能性だろう。両者とも第一回投票で小泉氏を越えることがないとは言えない]
小泉・亀井両氏の間で決選投票が行われた場合、国民的人気の面では小泉氏が高いが、自民党内の力関係では五分五分と見るべきだろう。
自民党内には小泉経済政策への不満が強く、とくに地方では小泉支持者は少数派だ。
テリー伊藤氏はさらに次のように問いかけてきた。「人気の高い小泉さんを下ろして人気の低い総裁で総選挙をやれば、菅さん、小沢さん
の新・民主党に負けてしまうのではないか。自民党はそれでいいのか」。テリー伊藤氏はさすがに反応が早い。
この問いに対して私は次のように答えた。「そのとおり。だから新総裁は総選挙を来年の2004年夏まで延ばす。衆参同日選挙まで先送りす
る。この間に景気対策をやり、自民党の地方・地域組織を再建する。その上で新・民主党との決戦に臨むという戦略だ。彼らにとって、来年
夏まで総選挙の時期を延ばすためにも、小泉首相を代えなければならない」
だが、亀井静香氏はいまだ正式出馬の表明に踏み切っていない。政局は、8月28日の橋本派3候補の所信表明から動き出すと見られてい
る。8月28日から立候補届出の9月8日までの10日間、ポスト小泉の候補者をめぐる調整はヤマ場を迎える。