2003.5.1
幻想から目を醒ませ――小泉政治2年


 経験は最良の教師だ。ただし授業料が高すぎる(カーライル)

 経済人なら小泉構造改革では日本経済は再生しないことに気がつかないはずはない。この2年間に日本経済が経験したことは、失業増、倒 産増、犯罪増、株価下落、金融危機の深刻化など悪いことばかり。これでも小泉改革で経済再生ができると思っているとしたら、よほど鈍感 か大儲けしている人だけだろう。小泉政権誕生から2年経った。もうそろそろ小泉構造改革の幻想から目を醒まさなければならない。

 人間は従順な動物である。どんなことにも馴れてしまう存在である(ドストエフスキー)

 始末におえないのが「小泉首相に代わる政治家がいない」という固定観念だ。テレビで朝から晩まで繰り返される「代わる人がいない」は 大多数の国民の固定観念になってしまっている。
 しかし、これは大きな錯覚だ。政界に小泉氏に代わる政治家がいないわけではない。今の政界、いくら人材難とはいえ、代わりはいる。だ がマスコミがこのことを認めない。国民の「代わる人がいない」という過った固定観念によって小泉政治は結果的に守られている。
 「すべての政治家が小泉氏よりも劣る」と見られていることに腹を立てない政治家もどうかしている。この状況を打破できるのは政治家だ けである。小泉首相に代わり得る政治家がいることを政治家自身が証明すべきだ。

 脱皮できない蛇は滅びる(ニーチェ)

 経済成長がなければ失業は減らない。景気が回復しなければ産業再生も企業再生もない。政府が景気対策を実施し、成長政策を実行するこ となしに日本経済の再生はあり得ない。これは分かり切ったことだ。
 今、打破し脱皮すべきものは小泉構造改革そのものである。自公保連立与党の国会議員の八割が景気回復策の必要性を認めながら、小泉政 治を変えることができないのは、勇気がないからである。その上、反小泉勢力が足の引っ張り合いばかりをしている。景気回復派が大同団結 して、小泉政権打倒の戦いに決起すべきである。野党も目を覚まさなければいけない。小泉政治を止めなければ日本は本当に危ない。
【以上は4月30日に配信された『コメントライナー』(時事通信社)に掲載された私の小論です】