森田実の言わねばならぬ【203】
平和・自立・調和の日本をつくるために[203]
鹿児島の同志Kさんへの手紙《第U部》〈30〉戦争への危険な三つの兆候――ソマリア沖への海上自衛隊の出動は危険な冒険主義です
「兵力に訴える前に、まず百種の和解策を試みよ」(ケント、アメリカの法学者、1763-1847)
Kさん。資本主義が自由競争主義で暴走すると経済恐慌・大失業・戦争という悪循環が起きます。今日の状況は金融危機→世界同時不況→大失業という大混乱が始まったところです。悪くすると、最後には戦争になる危険があります。20世紀の歴史は、大失業の次に戦争がくることを教えています。
現在においては、戦争を始めると核兵器が使われる可能性があります。大規模な核戦争になれば人類は破滅するおそれがあります。この道はどんなことがあっても止めなければなりません。
今回の大不況を乗り切るにあたって最も注意すべきことは、戦争を起こさないことです。第三次世界大戦だけは絶対に避けなければなりません。
日本をめぐる状況は、急激に悪い方向に進んでいるように見えます。戦争への危険な三つの兆候があります。
一つは、日本の政治が機能しなくなっていることです。『ニューズウィーク日本版』2009年3月11日号は、見出しに「世界が呆れる日本」「ポンコツ政治―なぜ、世界第2の経済大国に無能な指導者しか生まれないのか」と書かれるほど、日本の政治はひどい状況です。これは、大変に危ない兆候です。
麻生内閣は統治能力を喪失しています。民主党は小沢代表を守るため、検察庁との戦いに全力を挙げる方向へ進んでいます。政治の目的は国民を幸せにすることです。いまは不況克服が政治の中心課題です。不況克服に全力で取り組むべきですが、民主党は検察当局との戦いに走っています。政治は戦争の危険を止める力を失ってしまっています。こういうときに、国は危ない方向に引きずられます。民主党が国民のために政治を行うことを願っています。
第二は東アジアの緊張激化です。北朝鮮のミサイル発射です。北朝鮮は「人工衛星打ち上げ」と言っていますが、世界はミサイルだと思っています。これによりアジアの緊張が高まっています。
第三は海賊対策を名目とする海上自衛隊のソマリア沖への派遣です。麻生内閣は「はじめに海上自衛隊の海外派遣ありき」の姿勢で、法律をつくらないまま強引に海上自衛隊を海外へ派遣しました。冒険主義です。法を無視して軍隊を海外へ派遣するというのは、大変に危ないことです。第二次大戦前の日本軍と似ています。
これほど重大な問題が、国会でほとんど議論されていません。マスコミ報道によれば、民主党のN議員が国会質問を通じて、海上自衛隊のソマリア沖への派遣を誘導したと言われています。事実とするなら、与野党アベックでの海外派遣ということになります。これはよく調べてみなければなりません。
Kさん。日本は大変危ない状況にあると私は心配しています。政治にとって「戦争と平和の問題」は最も重要なことです。
麻生政権は人気の低さに焦っています。こういうとき、政治家は極端な行動に走りがちです。冒険主義に走ります。いまこそ、参議院の良識を発揮すべきです。ソマリア沖から海上自衛隊を一日も早く引き揚げさせなければなりません。参院本会議において、海上自衛隊ソマリア沖派遣反対の決議をして、海上自衛隊の引き揚げを政府に求めるべきです。Kさん。検討してください。(つづく)