Schlecht Essen

まずはじめに

ドイツ人の味覚と食事の傾向について、私が感じたことを書きました。
日本とドイツの食文化の違いを理解していただける、ちょっとしたヒントになる
かもしれません。

なお、これはあくまで私個人の身の回りから判断したものですので、ドイツ国内が
すべてこうだということでは、当然ありません。
ドイツは16もの州が集まってできている国家ですから、その州にはその州独特の
食文化があります。
またその人の生活習慣や好みの違いから、個人差があることも申し添えておきます。



ドイツ人は辛いものが苦手らしい

ドイツ人はしょうが、とうがらしなどの、直接舌&鼻に刺激がくるような強い辛さに 極めて弱いようだ。したがって、日本人が好きなカレー屋は、ドイツではほとんど 見かけない。しかしインド料理屋やタイ料理屋が、増えてきているようなので、 だんだんと辛い物に対する許容量も増えてきているのかも。 ただし、ハーブやこしょうなどのスパイスは、料理によく使う。 特に肉を焼く時など、タイム、ナツメグ、パセリといった香りの高い香草を多用する ので、日本人にはちょっと鼻に付くことも多いかもしれない。 慣れればおいしいものである。 特にこしょうを好きな人は多いようで、ステーキなどにたっぷり振りかけている人を よく見かける。


ドイツ人はくさいものが苦手らしい

ニンニクのあの香り。日本人はあの香りを嗅ぐと食欲がそそられるものだが、 ドイツ人は大の苦手。 ハーブを好む国民なのに、ニンニクだけはどうもダメなようだ。 ここのところイタリア料理がブームのようで、南方系野菜(ズッキーニやナスなど) もたくさん輸入されてきているので、ニンニクもこのブームに乗って、ドイツ人に 親しまれつつあるのかもしれない。 最近ではかくし味としてニンニクを使う機会も増えたようだが、とあるドイツ人の 奥さんは、みじん切りにしてあるニンニクがそばにあったりすると、すぐにラップ などで覆って匂わないようにしてしまう。 私がレストランで魚のスープを頼んだ時、ニンニク入りとニンニクなしとどちらに するかと聞かれたこともある。 また、ドイツ人は魚の匂いも苦手。 日本人が魚を焼いて、外に煙を出していたりなどすれば、もう大騒ぎ。 それでもチーズなら、どんな濃厚な匂いもまったく苦にならないそうなので、生活 習慣というのは面白いものである。


ドイツ人の味覚は塩辛いらしい

寒くて長い冬を越してきた民族だからだろうか。ドイツの食事は、日本人にとって は、往々にして塩分が強く、味が濃いケースが多いようである。


ドイツ人は一度に食べる量が多い

ドイツでは日本のように三度三度の食事を摂るということはまれで、朝型、昼型、 夜型と、その人の生活習慣に合わせて、メインに食べる時間が決まっている。 例えば、朝はフルーツだけ、昼にフルコース食べて、夜はハム、チーズとパンのみ というように、一日一食集中型が多い。 だから、1回の食事の量がおのずと多くなるわけで、レストランに入ったらとても じゃないが食べきれなくて困った、という日本人も多いそうである。 これはドイツ人と日本人の食生活の違いからくるものなので、ドイツで食事をする ときは、自分のペースに合わせて食事の量を加減する必要がある。 毎食毎食をレストランできちっと食事するのは、日本人には重過ぎるであろう。 (ドイツ人だって、それはしない。) また、ドイツのレストランでは、必ずしもフルコースを注文する必要はない。 スープだけでも、パンさえ添えれば充分1食分になるボリュームのものもある。 それよりも、自分が食べきれないほど取って、残すことのほうが失礼にあたるので、 お気をつけを。


ドイツの店は味に一貫性がないことが多いらしい

この間行ったあの店はおいしかったからと、もう一度訪れて見ると、「あれ? こうだったっけ?」と思わされることが、ままある。 逆も真なりで、ここはあまりおいしくなかったなぁと記憶していたはずなのに、 「お、今日はイケるね。」なんてことも。 スーパーなどで、味付け済みの肉が売られているのだが、その日によって 塩辛かったり、味が薄かったり。 これはなぜだかわからないのだが、こういうことに当たるケースが多い我が家 である。




名物料理とはいうものの

「私、今度、旦那の転勤でドイツに住むことになったの。」
「あら、いいところらしいわね。安全だし自然は多いし。でも食事がね。」と友人。
「いいとこだぞ。出張で行ったことあるけど。でも、食い物がイマイチうまくない
  んだよなぁ。」と元会社の同僚。

まぁ、皆さん揃いも揃ってドイツというと「うまくない」を連発。ソーセージと
ジャガイモと黒パンばっかりビールで流し込むことになるぞと聞かされ続け、いざ、
去年の夏から生活を始めてみたのですが・・・誰がそんなもんばっか食べてんのよ。

ちなみに出張で何食べてきたのと問えば、ドイツの郷土料理屋みたいなところで、
ビールをたらふく飲んで、アイスバインとソーセージ。
付け合わせがザウアークラウトとジャガイモだぁ?
他に何食べたのと聞けば、あんまりおいしくなかったから後は日本食レストランで
食事してた?
ねぇ、どこの郷土料理屋行ったのさ。日本人だと思ってだまされてんじゃないのぉ?
私、こっちに来てからアイスバイン食べてるドイツ人、見たことないです。

ということで、日本で知られている典型的なドイツ料理についての現実を、ちょこっ
と書いてみました。




アイスバインEisbein

塩付けにしておいた豚の足を茹でたもの。 昔のドイツ家庭では、主婦が自家製していたそうだが、今では自宅で作っている主婦 はほとんどいないらしい。 また脂肪分が多くカロリーが高いので、ダイエットブームの昨今、食べる人も少なく なっている傾向に。 ドイツの主婦いわく「食べたかったらおいしいと言われているお店に行くのが一番。」 だそうだ。 ベルリンの名物料理なので、ベルリンには確かにアイスバインのおいしい店がある。 肉はふっくらと柔らかく、きちっと茹でてあるので、余計な脂肪分も落ちていて そう、しつこくない。 そして、そんなに大きくないんである。 (日本でアイスバインを食べると、どーんとでかいものが出てくることが多い。) 食べたい方、ご安心ください。


ザウアークラウトSauerkraut

キャベツを千切りにして、塩付けにし、発酵させたもの。 いんげんを同じように塩付けしたものもある。 これは冬が長く寒いドイツの長期常備野菜で、昔は各家の主婦が、冬が来る前に 必死でたくさん仕込んだそうだが、今では一年中フレッシュ野菜が手に入るよう になったので、自宅で作る人も減ったそうである。 若い人の中には「酸っぱくて、あの匂いがいや。」と好まない人もいる。 ただし、健康にはいいそうだから、召し上がれ。 それから、ザウアークラウトは冷たくしたものと温かいものがあるが、温かいほう が格段においしい。


ヴルストWurst

ドイツのブルスト(ソーセージ)はやはりおいしい。これはもう、どうしようもない。 しかし、ソーセージはソーセージスタンドでおやつ代りに空腹をしのぐとか、 お祭りの屋台で食べるとか、夏のグリルパーティーで焼いて楽しむとかの「軽食」 であって、メインのおかずではないようだ。 したがって、レストランで食べようと思うより、街のソーセージスタンドや インビスブラウハウス(ビアハウス)、お祭りの屋台でどうぞ。


じゃがいも料理Kartoffeln

まず、じゃがいもがドイツに伝わったのは18世紀頃のこと。 じゃがいもが痩せた土地でも収穫できることに目をつけた時の王が、ドイツ全土に じゃがいも栽培を普及させたのが始まり。 それ以来、戦争や不況などの食料難の時も活躍してきたことは確かだろう。 ドイツではじゃがいもが主食だと思っている人が多いようだが、実際の主食は あくまでも「パン」である。 しかし、料理の付け合わせにじゃがいもがかかせないのはいうまでもない。 おいしいから、ついつい付け合わせにしてしまう気持ちもよくわかる。 (それほどドイツのじゃがいもはおいしい) だいたいの肉料理にはじゃがいもが付け合わせとしてついてくる。 付け合わせじゃがいもの調理方法はいろいろあるので、料理によって、焼いたもの、 炒めたもの、茹でたものなどさまざまである。 なお、ドイツ人は付け合わせのじゃがいもをつぶしながら、肉料理のソースに からめては食べ、お皿をなめたようにきれーいにして平らげてしまう。これは実に 見事である。


パンBrot

ドイツで毎日焼かれているパンは200種類以上にも上るという。 大きいもの小さいもの、白いものや黒いもの、全国的に作られているものもあれば、 その地方独特のパンもある。 パンというと白くてふわふわの食パンやクロワッサン、フランスパンを想像しがち な日本人だが、ドイツでは小麦(白パンの材料)とライ麦(黒パンの材料)の収穫 できる地方が違っていたこともあり、さまざまなパンが作られていったようだ。 それに、ビタミン、ミネラルが豊富な黒パンは、健康面から人気があるのも事実。 明治初期、日本で脚気が流行った時、脚気について何の知識もなかった政府は 外人入留地にあるドイツ人の病院に患者を送り込んだ。 病院の入院食で過ごしているうちに、たいした治療もなしに病人の症状は すっかりよくなってしまったという。当時の入院食は黒パンと牛乳だったそうだ。 色が黒くちょっと酸味があり、固めの黒パンだが、チーズやハムをはさんで食べ ると実に味わいがあっておいしい。 パンはドイツ人の生活とは切り離せない。 ドイツを訪れた際は、一度パン屋をのぞいてみるといい。 あまりの種類に驚かされるとともに、パンからドイツの歴史と文化が垣間見られる のである。




外国料理店もたくさんありますが

ヨーロッパの中心に位置するドイツだけあって、いろいろな外国料理のレストラン
があります。
ドイツに長く滞在していると、ドイツ料理に飽きて、たまには中華料理やイタリア
料理、日本料理などを食べたくなるもの。
でも、お待ちください。ここはあくまでドイツ。
日本料理店に入っても、自動的におひやが出てくるわけでもなく、頼めばすぐに
料理が出てくるわけでもありません。
ドイツ人向けにアレンジされているところがほとんどですから、それなりの覚悟
が必要かもしれません。



ラーメンNudeln

中華料理屋に行っても、日本のラーメンにあたるものはメニューにないことが ほとんど。 ただし焼きそば、焼きビーフンのメニューを掲げているところはかなりあり、 おいしい中華料理店は多い。 スーパーでインスタントラーメン(日清トップラーメン)が売られているのだが、 こちらは実に懐かしい日本の味で、なかなかイケる。


春巻Fruelingsrolle

中華料理店で春巻を注文すると、太さ5cm長さ20cmほどの巨大な春巻が1本、 テーブルに登場することがある。 それをうやうやしくナイフで切り分けては食べる。 中身はもやし、にんじんなどの野菜がぎっしり詰まっていることが多い。 春雨やたけのこなどというものは、ドイツにないから仕方ないのではあるが、初めて 注文してそれが来たときには正直に言って驚いた。 最近は家庭用冷凍食品で一口春巻も売られている。これはけっこうおいしい。


スパゲティSpaghetti

ドイツにはイタリア料理屋がたくさんある。 ピッツァも最近メジャーになってきているらしく、注文しているドイツ人も多い。 ただし手では決して食べず、ナイフとフォークで切って食べるところがいかにも ドイツ人らしい。 さて、そんなイタリア料理店には、もちろんスパゲティもメニューとして存在する。 しかし、ここでご注意。 ドイツで食べるスパゲティはどれもこれも柔らかい。つまり茹で過ぎ。 アルデンテという言葉はないに等しい。 シコシコ感のないスパゲティを食べることになるので、少し寂しい気分になる。 もちろんドイツ人はスパゲティも、ナイフとフォークで細かく切ってから食べる のでアルデンテなどあまり気にしていないようである。 しかし最近、アルデンテで出てくるイタリア料理店を発見。うれしくて通って しまいそうである。




カフェーにて

午後のひとときはカフェーでゆったりとお茶とケーキで過ごすもいいですね。
オープンエアのカフェーも多いですし、昼時にミッタークスメニューを置いている
カフェーもあります。
ゆったりと、友人とおしゃべりをしながら景色をながめて、お茶をしていると、
ドイツに来たなぁという実感もわくというもの。
でも、日本の喫茶店とはちょっと違うドイツのカフェーです。



おひやWasser

これはカフェーに限らず、どのレストランでもそうなのだが、ドイツの水は固いの で、日本のようにテーブルに着いても、自動的にお水が出てくることはない。 自分の好きな飲み物を注文する。 水がほしい時は、「アイン・ヴァッサー・ビテ!(Ein Wasser bitte!/ 水ください)」と言うと、だいたい炭酸入りの水が出てくることが多いので、 苦手な人は 「オーネ・ガス・ビテ!(Ohne Gas bitte!/炭酸なしでお願いします)」と 付け加えるといい。 慣れると炭酸入りの水のほうがおいしく感じられるようになる。

コーヒーKaffee

ドイツにはアイスコーヒーはない。アメリカンコーヒーもない。 (日本人向けのレストランではおいてあるらしいとの情報もあるが、私は確認して いない) 当然、缶コーヒーもないので、冷たいもので喉を潤したい時は、ヴァッサー (Wasser/水のこと)、またはザフト(Saft/ジュースのこと)、コーラ、 ビールでどうぞ。 ただしアイスティーは缶や紙パックで売られている。 レストランでコーヒーを注文すると、ほとんどがエスプレッソほどに濃いものが 出てくるところが多い。(我が家は濃いめが好きなのでうれしいのだが。) うれしいことに、まずいコーヒーにあたるというケースは少ないのでご安心を。

紅茶Tee

お茶の時間というと、ドイツではコーヒーが一般的。 カフェーのメニューに紅茶があっても、銘柄別(ダージリンとかアールグレーとか) に注文できるところは少ない。フルーツティーもほとんどない。 ただし家庭用にはいろいろな種類の紅茶が売られているので、自宅で楽しんでいる 人は多い。 また、紅茶を注文すると、ポットの中にティーバックがポンッと入って出てくる ケースが多いので驚かないように。こちらではティーバックが主流なんである。 これは推測だが、環境問題に厳しいドイツだからではないかと思う。 紅茶は葉が細かく、お茶ガラが排水溝に流れやすい。 オストフリーゼン諸島(ブレーメンの北西にある)にはここ独特の紅茶の飲み方が あって、ドイツの中でもよく紅茶を飲む土地柄だそうだ。 想像するに英国に近いせいだろうか。

ケーキKuchen

ドイツ語でケーキのことをクーヘンという。 バウムクーヘンは「木の形のケーキ」という意味で、ドイツが発祥の地。 季節の果物で作ったケーキは、ぜひ食べてみたいもののひとつ。 カフェーやレストランでケーキを注文すると、「ミット・ザーネ?(生クリームを のせますか?)」と聞かれる。 「ヤー!(はい)」と答えると、ケーキにたーっぷりとホイップした生クリームが のってくる。 (脇に添えてくるんじゃないよ。ケーキにのっかってくるんである。) それでなくともドイツのケーキは甘くて、大きめ。こってりとしたデザートが 好きな方には、ぜひとも「ミットザーネ」で楽しんでいただきたいが、ダメな方は はっきりと「オーネ・ザーネ・ビテ!(クリームなしでお願いします)」と言う こと。 残すと「おいしくありませんでしたか?」と悲しい顔をされるので、はじめから 断るべし。 なお、このカフェーは混んでいるからケーキもおいしいとは限らないのでご注意を。 コーヒーがおいしいから混んでいる可能性もあるのだから。




ブラウハウスにて

ドイツに来たからには、やっぱりビールを飲んで帰らないと物足りないというもの
です。
ではどこで飲みましょうか。レストランで食事と一緒に楽しむのもいいですが、
ここはぜひブラウハウス(Brauhaus/ビール専門の店)で一杯。
楽しく乾杯できるように、ブラウハウスについてひとこと。



ビールBier

ブラウハウスは自分の店で作っているビールを飲ませてくれるところなので、 ここに入ればその土地の地ビールが飲めるということになる。 「アイン・ビアー・ビテ!」といえばビールを1杯注文したことになるのだが、 その時注意したいのが、そのコップ1杯の量。 ビールは種類によって、注がれるグラスの形と量が決まっている。 例えばアルト(デュッセルドルフの地ビール)、ケルシュ(ケルンの地ビール) などは1杯と頼むと約200ml。しかしバイエルン地方で1杯と頼むとビアジョッキ (普通1リットル)でやってくる。 ブラウハウスはメニューがテーブルに置かれていないこともあるので、注文前に メニューをもらうとか、回りを見渡すなどして確認を。

つまみBierhappen

ドイツ人がビールを飲むときは、普通「つまみ」はとらない。 ビールはビールだけをじっくりと楽しむものであるので、ブラウハウスのメニュー にも「つまみ」にあたるものがないことが多い。 「つまみ」はないがメインディッシュは置いてある、というところはあるので 余程お腹が空いていない限りは、ビールだけを注文することになる。

ビールの泡Bierschaum

ドイツではビールグラスにメモリが付いていて、ビールの泡はこのメモリより下に あってはならないと決まっている。 したがって、泡が沈むのを待ってはビールを注ぎ足し、メモリの上までビールが 来るようにするので、注文してすぐにビールが来ないからといってイライラしない ように。

酔っぱらいBetrunkener

日本のビアガーデンのように、いい気分で大声を出したり、騒いだり、飲みすぎて 気分が悪くなったり、酔っぱらってフラフラ歩いたりしている人はドイツには まずいない。 また、ビールは喉ごし、とばかりにプハーッと一気に飲んではおかわりをしている 人も見ない。 1杯のビールを、おしゃべりしながらゆっくりと飲むのが、ドイツ流である。


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Zukko
mikado@pluto.dti.ne.jp