8.コンタックスRTS


 カメラとの「出会い」というのは劇的である。MXを何年か使っていて、そこに不満はなかったのだけれど、ふとしたタイミングでヨドバシカメラに展示してあったRTSを手に持ってしまったのが運のつき。これが、手にすいつくようで、持ってみるとすべての必要な要素が実に自然にそれぞれの指の先にあり、欲しくて欲しくていてもたってもいられなくなった。カタログをすべて集め、値段が値段だったので、とにかく倹約してお金をためる、ということをずっと続けた。結局、次にIIaを手にする十数年後まで、これがメイン機種となるのである。まず、プラナー50mmF1.4で本体を購入。当然、他のレンズなんか当分買えなかった。ただ、MXで味をしめていたのでワインダーは比較的早い時期に購入。あとは、なだれのようにオプションを買い集めていく。結果的に、今手元にあるのは…ベローズ、リバースアダプタ、接写リング、スライドコピアまでのワンセット、数種類のフォーカシングスクリーン、マグニファイヤ、アングルファインダ、顕微鏡レンズアダプタ、と接写関係を中心に。揚げ句の果てに、中古で二代目のRTSを買い、なんとかゾナーの85mmF2.8を買った。85mmにしたのは、トキナーのズームを使っていて、自分が80mm側しか使っていないのに気がついたのがきっかけ。このゾナーがまた使いやすいレンズなのだ。開放でのボケ味はもちろんのこと、リバースアダプタをつけたりベローズにつけたりしても絵が荒れない。そして、本当は一番欲しかったのが85mmF1.2だったのだけれど、それは手に入れそびれてしまった。で、大学に入ってからバイトをして買った一番のお気に入りレンズとなったのがマクロプラナー100mmF2.8。100mmの2.8というのも明るくて美しい上、単体で等倍まで出るダブルヘリコイドが、花などの接写に絶妙。85mmよりも少し長いけれど、結局は「これ一本」でなにもかもをすませる、というのがずっと続くことになった。二台のボディはフイルムの使い分け。つまり、フイルムバックがわりとなった。
 ところが、RTSIIには興味がわかなかった。デザインはほぼ同じなんだけれど、ボディを持ったときの重量配分がなんか手になじまなくて、そして、IIIは高いだけでなくあまりにも巨大で、もう、初代RTSどまり、だったのである。
 最初にRTSを買うとき、買ったときの気持ちの昂揚は、忘れられない。カメラはただの道具ではないのだな、と実感できた。それとまったく同じ感覚を、実はIIaで感じている。IIaがたぶん二代目の、「自分のカメラ」なのだろう。そのはなしは、またのちほど。
 RTSは二台とも手元にある「はず」なんだけれど、一台目のボディがゾナーの85mmといっしょにゆくえしれず。大学においてきちゃったか、引っ越し荷物に埋もれてどこかにあるか、どちらかだろうな。
 さて、これがローライの次のツアイス、だったわけだ…

 RTSのもう一台の居場所が判明。そういえば以前後輩に貸していたのだった。近いうちに再会の予定。つもるはなしもいっぱいありそう。

 短大の研修で葉山の自然をそぞろ歩くので、RTSにマクロプラナー100ミリをつけてひさしぶりに持ち出した。ボディの調子がいまひとつなのが恐い。寿命が近いのかねえ。ワインダーもときどきとまるしなあ。


あざみ


すいせん

 マクロで開放2.8でとれるのが嬉しい。RTSIIIあたりを予備に考えておかなきゃだめかもしれない。どうせAXのオートフォーカスはマクロでは使えないのだし。

 2000年の暮れに、ある植物標本のスライドを撮る必要が生じた。手持ちにあるレンズで使えるのはニコンのマクロ55ミリだったのだけれど、動くボディがない。休みに入った時期だったので研究室のカメラを持ち出すのも面倒、と悩んでいたら、新宿でマクロプラナーの60mmの安いのを発見。ピントリングにがたがある、というだけで三万円台だったのでそのまま購入、RTSで乗り切ったのだった。その後、年があけてからRTS、ワインダー(時々動かなくなる)、この60ミリをそろえてオーバーホールに出してみました。以前、おとして壊したW-3もいっしょに。グリップ型で縦位置レリーズボタンもあるW-3もお気に入りなのだ。なおるかなあ。

 ちなみに、この60mm(等倍まで出るほうです)、85と50の中間の感覚だけど使いやすい画角かもしれない。それに、最近はIIaにゾナーの50mmだけ、という感じで写真撮ったりもしているから中望遠よりも短めに脳が慣れてきているのかも。


テーブルはさんだくらいの距離でこれ、というのはスナップ向きだねえ。



マクロだからこういうのもきっちりと撮れるし。


駅のホームに映る光の模様。通常レンズとしても使えるマクロ、というのは100mmと同様。

 オーバーホールに出したもののうち、本体、60mm、RTWは修理可能で見積もりがきたけれど、W-3はだめだった。でも、その連絡が来た丁度その日に新橋でW-3の中古を発見、購入してしまっていたので問題なし(なんだろう)。加えて、トキナーの500mmの安いのも発見したので一緒にかいこみました。こうなると、ボディがもう一台ほしくなってしまい、RTSIIを探すことしばらく。結局、RTSIIのいいものは発見できなかったけれど、神田のカメラのきむらでやたらと状態のいいRTSを発見・購入したのでした。この店、十数年前に二台めのRTSを買ったまさにおなじ店。縁の一種かねえ。で、このボディが傷ひとつなく、巻き上げもスムーズ、露出計も正確、という、三台のRTSの中で一番状態がいいのだ。いい買い物をしたなあ。ちなみに購入価格も十数年前とほぼいっしょでした。安いのかな高いのかな。


RTSばっかり(笑)

 さっそく、ミラー500mmでのためし撮りをしたら、トラブルだらけでやんの。ピントリングのゴムが空回りするのはまだいいとしても、絞り値がボディにちゃんとつたわっていない。F8のはずなのにF1.0くらいの位置にマウントのツメがきているみたい。さらに、無限遠をいきすぎるという甘いピントリング。ピントはちゃんとでているんだけれど、使っていて気持ち悪い。三ヶ月の保証があるから買った店にもっていかなきゃなあ。

 しらべていたら、開放で5.6より暗いレンズではファインダー内の表示は右側によってしまうらしい。確かに、もう一度確認してみたら露出はきちんと出ているみたいだ。無限遠より先までピントリングがまわってしまうのも、よくみてみるとたしかにリングの上の表記も「ちゃんと」無限の先まである(哲学的なレンズだ)。と、なるとゴムがすべる程度のことならいいや、と500mmは手持ち練習中です。やっぱり一脚が必要になってくるかなあ。

 AJ-51のロムバージョンアップということで横浜にいった。ついでにCIALのタナカカメラによってみたら、たまたまジャンク市のまっさい中。で、こんなものを買ってしまいました。

 えーと、KIRONの28-210 F4-5.6。マクロつきで、マクロは望遠側なので210mm側でつかえる。値段が2000円でした。理由は、かびあり、ということ。あそぶには丁度いいし、かびといっても本当に画像に影響するかどうかはためし撮りしてみないとね。いや、実はまたしてもcontax IをeBayでおとしちゃったもんで(みっつめ)これでようやく動く一台を手にできるかなとか考えていて、あんまりこれ以上の無駄遣いしちゃいかんよなあとか思うんだけどね。

 広角側で撮って見た。とりあえず、かびの影響はこれではよくわからない。望遠側とかマクロもこんど使ってみよう。

 上にあげた三代目のRTSとキロンのズームは、今年の卒業生にプレゼントしました。さぁ、カメラの泥沼にはまるんだ(笑)。