2003年1月

 新年がまたあけてしまいました。今年は実験にでむくこともあまりなく、例年にくらべれば普通のお正月っぽかったかもしれない。新年会もやったしなあ。

 とりあえず、年明けで楽しみだったのがThe Big-Oの新シリーズ。うむ、サービス満点でおもしろかったのは確かなんだけれど、いまひとつ不安が… 小中千昭っぽいといえばそう。でも、それは小中っぽいというよりも、たとえばディックっぽいものの延長だったりもしてしまうあやうい世界だぞ。よくできているけれど何かの類型(たとえばユービックとか)の一部、ということにおちないように、と祈りつつ、今後を楽しみにしてみましょう。まあ、個人的にはこの14話はおっけいなんだけれどね。

 今年は夏にまたしてもコスモスの映画(というよりもジャスティスの映画か)と伝説がある、というのでいまからそれも楽しみ。秋からはまたウルトラマンのある生活になるんだろうなあ。

 音楽業界が興奮していてなんかへんだ。CDの売上低下が違法コピーのせいだ、というのは「わかりやすい」けれど、ほんとにそうか? メディアタイアップと特定ブランドの組み合わせでいとも簡単にミリオンがつくれることに気がついてしまったあたりからこっち、CDのつくりかた、うりかたを失敗したのだ、とはおもわないのだろうか。正直にいうと、ここ数年、個人的には特に買いたいCDというのはないぞ。ミリオンセラーみたいなのはそのときだけ耳にくっつくけれど、すぐにどうでもよくなる。何年かしてききなおしてみても、やっぱりどーでもいーまんま。こんなもんでミリオン商売しているからばちがあたるんだよね。もっとも、買う人間もそんなものを買ってしまう程度に馬鹿なのだから仕方ないのだけれど。でも、個人的にはその結果、趣味の関係のものしか買わなくなった。これって、浜崎というミリオンをかかえていながら(いるせいで?)経営があやういとかいわれているavexのそれこそ「デフレスパイラル」の構造そのものなのではなかろうか。だって、コピーできないように、とCCCDなんかをやってしまったせいで、我が家でのavex製品の購入枚数はあきらかに減ったもの。V6だけは「仕方ないから」買っているけれど(それだって買うたびにずいぶんくやしいにがにがしい気持ちにさせられる)、それ以外は、たとえば龍騎のCDなんかは残念だけれど単純に「買わなくなった」。だって、買ってきても聞けないのだから仕方がない。違法コピーもくそもなく、純粋に購入意欲が消失しただけだ。聞けないんだからレンタルすることもないし、違法コピーに手をだすことももちろんない。ただ「買わない」だけ。ちゃんと聞ければプロテクトかかっていてもその分ちょっと値段があがっても買うんだけれどねぇ。CDコーナーに置くような商品ならば、せめてRedBookには従ったものを売ってほしいし、そうでないときは「これはCDではありません。プレイヤーの機種によっては聞けなかったり、壊れたり、曲がぶつぎれになったりします」と明記するくらいの誠意は必要なんじゃないのか。つまり、まじめなものをまじめにつくる、ということを忘れて、一山あてることしか考えなくなった業界に対する天罰、が、今の売上げのおちこみなのではないか。だって、業界のヒトが「コピーできない理想的なものの例」としてDVDをひきあいにだしているけれど、これだってCDと同様にリッピングでコピーつくれるわけで、業界の言う事例自体が業界のいうことの間違いを自明のものとしている、というこれまた「わかりやすい」事態になっちゃっている、ということだ。あーあ、あほらしい。仮想敵つくってヒステリーおこすひまがあればもうちょっと誠意のある作品作りでもすれば、といいたい。これって、ひところのパソコンソフトの違法コピー問題よりもさらに低レベルだぞ。つまるところ、「売れない」イコール「コピーがでまわっている」と決め付ける傲岸不遜ぶりが問題なのだ。だって普通は「売れない」イコール「買ってもらっていない」と考えるわけで、「誰もが買うハズなのに」という前提事態が量産型ミリオンの上にあぐらをかいているみぐるしさそのものだ。「癒しが求められている時代なんだからCDは本当なら売れるハズ」なんてさ、業界の人間がいうセリフじゃないよなあ。恥知らずな。ま、CDなんか買わなくったって人間の生活には特に支障は生じないんだ、ということを改めて思い出すのにはよいのかもしれないけど。もしかするとちょっと前の状態って「いらないものもふくめて買いすぎていた」のかもしれないしさ。あ、もしかして、消費者が賢くなって「いらないものは買わなくなる」と、業界は消費者を盗人呼ばわりするのがトレンディなんだろーか。

 と、いうかさ、少なくともavexは「CCCDにしたらこーんなに売り上げが上がりましたよ。やっぱり違法コピーのせいじゃん、ね、ね、そうでしょ?」というデータをきちんとしめさないと、なんの説得力もないよねぇ。とりあえず「わかりやすい」ものは「うさんくさい」ということと類似である場合が多い、ということだな、うん。

 鉄腕アトム誕生の年とかいってアニメの新シリーズだそーな。アトムも手塚もどーでもいーんだけれど、監督が小中和哉とくれば、これは楽しみにせずにいられない。TheBigと兄弟対決かな。小中和哉とアトム、というと、なんだかとてつもなく「うまい組み合わせ」に思えるぞ。