猫写真

阿部道生

 カメラというのは、「ある種の人間」にとっては身につけるものだったりする。それは、コンパクトやハンドバッグ、腕時計、眼鏡、あるいは常備薬みたいなものだ。つまり、どこにいくにも必ず一台はカメラを携帯してしまう、という人種がいる、ということ。

 それに対して、カメラというものはなにがしかの「目的」をもって使う道具である、という立場もある。立場もある、どころか、たぶんこっちが「ふつう」だろう。そこでは、旅行や遠足、運動会などのイベントの際に出動するのがカメラ、という立場。最近ではハンディカムとかデジタルムービーにその座を奪われているのかもしれないけれど、一家の大黒柱が威厳をもって購入し、晴れやかにシャッターを切る、という姿は日本のある時代を色づけていた一種の象徴だろう。(カリカチュアされたニホンジンがいつもカメラを首からさげている、のと関連があるのかどうかは今後の調査と考察にまたねばなならないけれど…)

 そういうカメラの立場は、使い捨てカメラやプリクラの登場によって様相をかえてしまったのかもしれない。フイルムの向上によって露出なんかは厳密でなくても写真はとれるし、プリンタの技術はフイルムすらも不要にしつつある。残された大衆の写真は、威厳ともイベントとも無縁で、ただ、気軽にその目の前を切り取って一時的に残すもの、となった。あれ? これってライカスナップの神髄だったのでは? 威厳と写真のギャップについては、そのうちどこかで書くだろうからまあいいや。

 で、そうやってカメラを「携帯してしまう」人種というのは、機械としてのカメラが好き、というタイプ(フイルムのはいっていないカメラを持ち歩いたりする。この場合、カメラというのはコミュニケーション手段なのだろうな)と、実際に「なにかを撮る」タイプに分かれる。たとえば、僕の知っているある先輩は「夕焼けの○○」という異名を持ち、どこにいこうとも良い夕焼けがあれば必ずシャッターを切る、という性癖の持ち主だった。

 ああ、前置きが長い。つまり、僕の場合、どうやらその必須撮影対象物が猫らしいのだ。「らしい」というのは、あがってきた写真をながめていたらカメラを持ち歩いていて「必ず撮る」のが猫だった、ということでもある。ミノックスなんかは、猫スナップがメインになりつつあるし。と、いうわけで、ここは写真コーナーから派生した、「猫の写真コーナー」です。とりたてて深い意味はありませんが、猫好きの人なんかかからの意見なんぞもらえるとうれしいです。


 地元駅の近辺にすみついているやつ。ちょっと前まではもう一匹がらのそっくりの子がいたんだけれど最近はこの子しかみかけない。近場の人が餌とか雨よけの傘とかを提供してくれたりするので結構人になれているし、毛並みもきれい。なかよくなってしまうと、写真の距離とか構図とかがとりずらくなっちゃったりして痛し痒し。ちょっと太めだけど美形ですな。こんどは3.5cmで撮ってみよう。

Kiev4A, Jupiter 8M (5cm/F2.0), F5.6, 1/125,Neopan400 Presto

 大学の、研究室の窓から見える斜面には時々猫がくつろいでいるのだけれど、なかなか、よいタイミングがつくれない。距離があるから絵にならないし、8.5cmを持っている時に限って猫がきてくれなかったり、とまだ満足できていません。

 これも、フイルムの一部トリミングなのでまめつぶ。この二匹のほかにもいれかわりたちかわり来るので、一種の猫スポットかも。

Kiev4A, Jupiter 12 (3.5cm/F2.8), F5.6, 1/125, Neopan400 Presto

 同じく、研究室の窓から。8.5cmを使ってもこんな感じなのが哀しい。13.5cmがほしくなるのはこういう時? でもそうするとレフボックスもほしくなるじゃないか…

 この斜面には、いまのところ四人の猫たちがあそびにきます。ちょっと暖かい猫日和な日なんかにぎやかですごいです。

Contax IIa, Sonnar (8.5cm/F2), F5.6, 1/100, Kodak Gold 400

 いつもの駅前猫。この猫に餌をあげているおじいさんの話では、以前いたもういっぴきはこれの子供で、人間と違ってちゃんと自立して親離れしたのだそうな。そうだったのか。

Contax IIa, Sonnar (8.5cm/F2), F4, 1/100, Kodak Gold 400

 次の三枚は、これまた大学内でみかけた猫達。とおりすがりでみかけた瞬間に胸ポケットからチビカメラを出して撮った写真なので、記録写真程度のできです。でも、Minoxをこういう用途につかうのは気持ちいいですね。

Minox B, Complan (1.5cm,F3.5), 1/100, King 400

 地元の駅前にはこういう子もいる。こちらは、駅前の植木屋で飼っているらしい。


なんとなく表情に緊張があるんだけれど、通学中の小学生なんかともちゃんとあそんであげるあたり、結構大人みたい。

Conatx IIa, Sonnar (8.5cm/F2), F5.6, 1/100, Kodak Gold 400

 こちらは大学の敷地にくいこんでいる石屋の中でみかけた猫たち。天気がいいと、ここにもたくさんの猫が昼寝している。

Conatx IIa, Sonnar (8.5cm/F2), F4, 1/1250, Kodak Gold 400

 こちらは大学内。まだ若猫で、結構おどおどしている。学生にいぢめられているのかも。

Conatx IIa, Sonnar (5cm/F2), F5.6, 1/100, Kodak Gold 400

ContaxIIa,Sonner (8.5cm/F2),F5.6, 1/500, Kodak Gold 400

 いつもの斜面の猫。85mmからの拡大です。

 こちらは研修の時にみかけた葉山の猫です。

Contax RTS, MakroPlanner (100mm/F2.8), F5.6, 1/1000, Provia400F

手に入れたばかりのSL66Eがうれしくて、早速家のまわりで撮影。ネオパン400Prestoなんだけど、スキャナが対応できないのでライトボックスの上にのせたネガをデジカメで撮って、あとから反転なので、ちょっとしゃんとしていませぬ。

Rolleiflex SL66E, Planar 80mm F2.8

近所の子供たちです。ウエストレベルだと、相手もあんまり緊張しないみたいで撮りやすくてよい。


Rolleiflex SL66E, Planar 80mm F2.8

大学にいる親子。母親に威嚇されてしまいました…



油壺の猫たち
RTS P85mm 1.4





江の島の猫たち
RTS P85mm 1.4