TAMIYA 1:20 Kit No.2010 Ferrari 312T3 (と、1999年のF1の続き)

8/30

 随分昔に買ってあったキットである。随分、というのはどれくらい随分かというと、値段は1100円になっているし、タミヤから出ている塗料はスプレーとエナメルしかないし、説明書が日本語のものしか入っていない、という感じ(さらに、説明書の紙の質が違うし、最近のにはない「パーツ注文カード」が印刷されている→これ、後で重要になってしまう…しくしく)。さすがにモーターで走らせるほど古くはないけれど。山のようなストックの中の一つとして冬眠していたのだが、P34をつくっている時にStudio27からのオプションパーツ(エッチングパーツ、アルミホイール)を手に入れてしまったのがきっかけで、着手ということにあいなった。

 さて、ざっとキットを眺めてみると、まず気がつくのはこれが後期型T3であるということ。ボディのサイドが垂直に切り立っているし、エキパイは上にもニ本あがっているし。軽く組んでみて感じるのは、ボディの合いがちょっと…かな。これは念入りにすりあわせないと。前期型に改造…などということは考えてはいけない、いけないってば(笑)。このままだと、カナダGP優勝のかたちになるんだし、ね。マシンとしては前期型の形のほうが好きなんだけれど。いろいろみていたら、どうやらProterの1/12のT3が前期型らしい。実物はみたことないけど。
 後で見てみたら、カナダGP仕様のT3ってサイドのラジエーターグリルに蓋されてダクトの開口にかえられている… バリエーションが多いのはT2もT3もいっしょ、なのね

 説明書どおりにエンジンまわりからつくっていく。車体のサイズに対して、180度V12エンジンの巨大なこと。たしかに、これではエンジン背負った箱、ですな。このブロックで気になるのはテールランプ。グレーのプラスチックでモールドされているのですね。ランプって、やっぱり透明でないとなあ、というへんな執着で、まずはこれをおきかえることにする。

 まず、ブルーミックスというシリコンパテでパーツの型をとる。これ、粘土みたいな感覚で使えるのでこういう単純なものには便利。ただ、できあがる型はちょっと堅いのでテーパーのきついのとかは辛そうですな。おしつけるだけで型がとれるから、壁面とか天井みたいな部分でもいけそうだし、片面とりなら完璧でしょう。

 パーツが小さいと、型が弱くなるので、横に余計なものをいれてみたりして。3cmのアクリル玉と、食玩のオマケについていたEXをいれて型をとる。いれる樹脂はクリスタルレジンという名前の透明なもの。これは主剤2に硬化剤1の割合で混ぜると硬化するので、電子天秤で重さを量る。少量だったら滴数であわせてもよさそう。台所用電子天秤は小数点以下がでないので(精度の保障はいらないから表示してくれるだけでも役に立つのになあ。TANITAさん、そういうのつくってくれません?)かえってそのほうがいいかもしれない(電子顕微鏡の試料づくりの経験がそのまんまつかえそうな作業だけれど、電子天秤だけは研究室にあるもののほうが便利でよかった。あれ、どこかで廃棄処分のとか手に入んないかなあ)。

 ちなみにこれが使っている天秤。1-100gの範囲は1gで分解してくれる。上に乗っているのはamtのちびプラたち。これ、ランナーについた状態ですでに塗装されているというお手軽モノ。一種の色プラ。本当はロイヤルスターシップが欲しかったんだけれど出てないらしい。そういえば、このまえ近所のドン・キホーテ(いわゆるなんでも量販店)で、amtのStarWarsモノのプラモが特売で、横に「ガレキ特売」と書かれていたのにはのけぞってしまった。「ガレキ」なんていう略し方がこんなところにまで浸透しているなんて。でも、amtをガレキ扱い、というのもなんか気の毒だけど(タミヤやバンダイに慣れてしまうとそう見えるのかなあ)。日本のプラモがすごいのか、海外のプラモがアレなのか、日本のガレージキットがすごいのか、それとも日本のガレージキットが…(やめとこ)。ようするに、そろそろすいているだろうという頃合でEpisode1を見てハマッタのでした。この映画に文句つけるヒトって、きっと「自分なりの文脈でできあがったすんごいStarWars」が頭の中にできあがっていたのでしょうね(これも、ようはオタクの文脈だな)。素直に「そのまま」として見たら、こんなに贅沢な楽しいものはなかなかないと思うのだけれど。

 ランプの型とEXにはそのまま樹脂を、アクリルボールの跡には、貝やらウニやらをいれて樹脂を流し込んで、例の乾燥機の中で50度程度で24時間おいておくときれいに固まる。

 ランプは、ばりをとって形を整えてからリアブロックに張り付ける。クリアレッドを塗ってから輪郭をフラットアルミで塗り、完成。

 ちなみに、これが「うに」なんかで遊んだほう。表面を耐水ペーパーとコンパウンドで磨きだしてから、底面にメタルックを貼ってみた。よい感じである。貝殻は、固めている間に浮いてくることがあるから充填状況には注意が必要。これって、電子顕微鏡やりはじめた人間が必ずやる遊びの延長だなあ(うちにもSPURRに封入したウニとか花とかヒトデとか、いろいろあったりする)。なんか、こういうことしているのも楽しい。シリコンとか、レジンとか、集めていろいろためしてみたくもなる。とりあえず、研究室の不在表用磁石をこれで自作してみたり、遊んでいる。ガシャポンなんかをきれいに埋め込んだりしてもいいかも。御贈答にもいいかもね。

 ウィングのエンドプレートはStudio27のエッチングに置き換える。リアはそのままパーツ置き換えだけれど、フロントはパーツから一端切り離さないといけない。薄いのこぎりで切り離して、エッチングのパーツをエポキシで張り付けるわけだけれど、ここでちょっとしくじってしまった… ノギスに瞬着でエンドプレートを揃えて張っておいて、間にはさむようにしてウィングをつける。エポキシが固まってから瞬着を剥離剤ではずすのだけれど、この剥離剤がウィングのメッキ側に流れ込んで、メッキが溶けてしまったのだ。これは予想外。仕方がないので、溶けた部分をきれいに整えてからメディコムのメタルスプレーで塗装しなおした。瞬着の剥離剤って、メッキはがしにも使えるんですねえ。ちょっとした発見ではあったけれど。

 デカールは、なんか古いせいか、もろいような。下地もすけそうだし、すぐに穴があくし、ちょっと気を遣わないといけない。マークソフターなんか使うと、ぐにょんぐにょんになる(一応、Mr.Craftで予備デカールは買ってある。模型つくる時に一番「どうにもならない」部分がこれだから、できるだけ予備が手に入るときは買うようにしている。どうしても手に入らなかったら、スキャナの最大解像度でスキャンしておいて、クリアデカールに印刷、という方向もあるけど)。また、一部は印刷のずれなんかもあるので、たとえばステアリング中央とかフロントウィングの跳ね馬はBBRのデカールから、メーターデカールはFDSのデカールからもちこんで見た。メーターは、デカールの上から透明エポキシで封入してしまう。

 また、ドライバーのヘルメットデカールが126CK(Studio27)の時に使ったモデラーズのと逆(赤地に青のデカールなのだけれど、これだと中央のラインがでそうできつい)なのでちょっと勝手が違う。それにしても、塗装中のヘルメットって、生首みたいでちょっと嫌だ。はやく身体につなげてあげたい。

 ドライバーについては、モールドされているシートベルトはモーターツールで削り落として、モデラーズのものにおきかえる。また、その下には前の時に使わなかった1978年のスーツデカールも貼ることにする。こういうのでちょっと雰囲気が出てくるからうれしい。軽くフラットクリアをふいてできあがり。

 ボディに1200番をかけているうちに、何ヶ所かヒケを発見。グンゼのラッカーパテをもって修正する。

 パテをやすってならした後、サフ吹きに入る。後の塗り分けのことを考えてちょっと迷ったけれど、試しにタミヤのホワイトプラサフにしてみた。うーん、なんかピンクっぽい。下地がすけているのかな。これで二回吹いているのだけれど。ま、この後のフェラーリレッドを考えたら結果オーライかねえ。いや、これをならしたらスーパーホワイト吹いて、マスクしてから赤、かな。うーん、どうしようか。

閑話その1
 さて、ベルギーGP。あいかわらずマクラーレンはやいじゃん、とか思っていたのだけれど、どうもやっぱりなんかがへん。確かに1-2で終ったけれど、これだと後になんか嫌なものを残すんではないだろうか。来期のシートも固まっているだけに、これってまずいことになんなきゃいいけど… ま、おかげでアーバインはたったの1ポイント差でモンツァにいけるわけだけれどね。いやいや、今回の「目玉」は、BARのジャック、祝・完走!! というコレにつきます。予選のクラッシュをものともせずオールージュをかけあがっていく姿は、くるものがありました。来期につながる結果が、残りのレースで出せるといいですね。
閑話その1、終わり

9/3
 フロントをつくろうとしていて「やってもうた」のである。セミグロスブラックを吹いて、乾燥機にいれていたのだけれど、その際に、割り箸に両面テープでパーツを保持していた…のが、乾燥機の中ではがれて、こともあろうにすべての受け皿をすりぬけて一番下のヒートパンにまで落下。あわてて回収したのだけれど、ほんの数秒でこんなんなってしまった。

たしかに、この容積で50℃弱をたもつのだから、結構な温度だろうとは思ったけれど、こうなるとは。金網でもしいておかないとキケンかもしれない。

 しかたがないので、説明書切り抜いて予備パーツのとりよせをする。これが、ちょっと悩んだところだったのだけれど、はじめてのことだしとりあえずやってみた。いえね、Dパーツが400円、現金書留封筒が20円、書き留め送料がさらに数百円(速達なら700円ちかくかかる)。ということを考えると、キットをもう一箱かってしまったほうがはやいし安いのではないか、と。当面はつかわないパーツが手元にどとーんと残ることになるけれど。
(結局、一週間もしないうちにパーツは届いたし、悩むのはやめた。ただ、価格が420円に改訂された、とかで追加分「20円」を振り込んだけれど) あ、でもT4でこれやると、エンジンパーツだけという取り寄せができるわけだ。手元のV6ターボと並べられるなあ。

 T3のボディはこんな感じ。結構手間取ってしまった。

まず、デカールが「すける」。これが、買いなおしておいた新しいほうでもだめ。仕方ないのでマスキングして塗り分けたのだけれど。予想外の手間だったので、どたばたしてしまった。古いデカールはつや消しだけど、新しいのは光沢あり。どうせクリアかけちゃうけど。

 次はボディ下半分。これは経験をいかして最初から塗り分け前提でやることにする。

 さて、これは以前ちょっとふれた「スカルピーモノ」。ちんたらやっていていまはここまでです。

 白っぽいボディは、スカルピーの原形をブルーミックスで型取りして、レジンに置き換えたもの。ただ、型は一度でこわれてしまった。やっぱり堅いんだわ、ブルーミックスは。デカールはFDSについてきたものをスキャナで読み取って、地を消してからデカールにプリントしたもの。スケールは1/72のつもり。

(さぁて、これはなんでしょう)

 それにしても、新しいスターログ、なかなか書店でみつからないと思ったら「映画雑誌」のコーナーにあったぞ。なんか個人的には「違う」んだけれどなあ。ツルモトルーム版をみなおしながら、今後に期待、かな。

 ModelCarsの48。プロストのG.P.AP02をStudio27が版権クリアした、という記事あり。これがStudio27として「初めて版権を正式にクリアした製品」とのこと。じゃあ、これまではどうだったんだ、というと「しかしスタジオ27としては正規認可モデルとして発売するに足るクオリティを自負するだけに、無視されてもあくまで一貫した姿勢を取り続けた」とある…

 うーん、版権というものが「おりない」のが、純粋に「モデルとしての完成度」にだけ原因があるというのなら、この「自負」はほめられるべきものだろうけれど、これはどうだろう。キットメーカー側だけに都合のいい解釈にすぎんでしょ、それでは。「無視されてもあくまで一貫した姿勢を取り続けた」というと、なんかバリケードの上でたった独り闘い続ける孤高の気高さみたいなイメージが喚起されちゃうけれど、「一貫した姿勢」というのは、ひらたくいうと無認可のままキットを開発し、売り続けた、ということなのであって(…)、ようするに、いままでは「わかっていて、確信犯的に海賊キットをつくりつづけていた」ということが明確になっているのに、逆に記事では「"クオリティを自負するからこそ、版権に対する処理を積極的に行ってきた"と言う同社の拘りは、我が国では稀なものかもしれない」というキャプションがついている。「積極的に行ってきた」というのが「アプローチしたけどだめだったから無視してだしちゃう」ことまで含めているのなら、この記事の意味するところはすさまじく大きいといわざるをえない(もっとも、確かにそういうメーカーは一日本人として「稀」であってほしいものだが)。返事がないからO.K.扱い、というのは、よっぽど親しい間柄でもなかなか通用しない荒業ではなかろうか。少なくとも、今回の内容だと、「とりあえず、版権の申請はするけれどキットはその結果に一切おかまいなく作って売ります。でも、版権とれたら、それはそれでメーカーのイメージアップにもなるし、宣伝に使わせてもらいますぜ」という企業方針を邪推できてしまう。「いろいろな事情」で版権の許可を出さなかったコンストラクターも、許可を出さなかったからといって安心していてはいけない、なんてことが「常識」になっちゃったりすると、こんどはそのチェック費用までもが版権使用料に上乗せされてもっと条件がきつくなっていくのではないだろうか。うーん、業界としてはどうなんだろう。どうも「なんだかんだいって、結局やったもんがち」の構図が見え隠れしているModelCars48でした。とりあえず、Zacoの寺部氏の次号での発言に注目しよう。

 でも、手元の1/20の126CKが、認知されない隠し子というか、とても残念な姿にみえてしまうのが悲しい。ユーザーとしてはなにができるか… ちなみに、Waveの126CKは、1/24も1/43もちゃんとプランシングホースシールがついている。Waveのキットはその「出来」について「ちゃち」とかなんとかいろいろな批判もあるけれど、僕は、これは最低限のキットメーカーとしての良心は維持している姿に見える。Studio27のCKだって作ってみると結構大変だったのだし、版権とっていないからその分だけ価格が安いかというと、そんなことは全然ないし。きっと、「本音」は今回のModelCarsの記事の行間のさらに奥底に、「賢い人(=ギョーカイのオトナ達?)にしかみえないインク」でこっそりと印刷されているのに違いない。

9/5
 なんとかデカールを貼りおわる。マスキングの上、何ヶ所かはモデラーズの赤デカールを細く切り出して使っている。その後、例によってフィニッシャーズのオートクリアをかけ、乾燥機へ。

 しばらく乾燥させてから、いつもの研ぎだしにかかる予定。そこまでいけば、プラモデルの完成はもうすぐ、だしね。

 まだ、確実な話ではないのでアレなんだけれど、どうやら「1/25」というスケールで、初期型のT3のプラモというのがあるらしい。海外のメーカーみたいなんだけれど、うーむ、どこかで手に入らないかなあ。なんというか、これだけ後期型のT3をいじっていると、やっぱり初期型のあのぞくぞくするような絶妙なボディラインが恋しくなってくるのだな。Proterの1/12のT3って最近みないしねえ。

 ちんたらシリーズその2。MGのドムが完成。それから、食玩おまけの百式、だな。百式は、適当に色を塗ってみたりもしている。MGででればいいのになあ。1/100のUCでは出るらしいけれど。それにしても、ドムはモデルとしての出来はいいけれど、説明書の図がいくつかわかりにくかったぞ。どうしちゃったんだろう、バンダイ。次のMGはNT、その次がZZか… ZZは小林氏のデザインだし、どうやってあのギミックを実現させてくれるのか楽しみである。

 雑談ついでで、ターンA。「ハリーの災難」というタイトルには思わず吹き出してしまったけれど、内容もなかなかおしゃれでよかった。前回の洗濯機もよかったしねえ。それにしてもポゥさん、富野作品によくいる「かわいそうなライバル」になりつつあるような。黒騎士さんとかギジェさんとか、ね。今月の模型雑誌には、ターンAの「作例」がふたつあったけれど、これが実に対照的。正直、率直にいって、MGのはとても「かっこ悪い」と思った。なんだかんだいって、勝手な文脈の「ガンダム的正解」なんかを「ひげ」に出したらしいけれど、実に、なんというか、かっこ悪いをとおりこして醜いとまで思う。対して、HJのはとても気持ちいい、というのが感想。やっぱり、これは作り手が「今のターンA」をそのまま受容できているかどうか(受容できるだけの能力と精神的余裕があるか)、あるいは、「過去のガンダム世界の文脈」(それだって一本道ではないわけで)の中でしか物事を認識できないか、という差異ではないかと思う。あ、そういう意味では「ガンダムはファーストしか認めない」という言葉がとても「シシュンキ」である、という久米田氏の主張は実に慧眼ということになるなあ。
 でも、ターンエックスって、なに? スモーとのミッシングリンクかな。

9/6
 クリアを研ぎ出してから、個々のパーツをつける。これだけで、なんか完成のキブンである。さらに、ここからディティールアップパーツをつけるわけだ。

 ディティールアップは、Mr.Craftで買ったT3の資料写真、Profilli、ScuderiaのNo.20あたりをもとにしてみた。モノは、Studio27のパーツと、以前CKで使ったモデラーズのC2用パーツを流用。で、こんな感じです。いやあ、わりかしすばやく完成、ね、これで。

 なんか、デジカメのゆがみがでているような。

 さぁて、次はいよいよWaveの1/43の126CK後期型だぞ。