ZaurusPocketとPowerbook2400c/240

 wizを極めて便利に使い続けていた。最初はメモ代わりのつもりだったのが、スケジュールもふくめて自分の生活を調整するための重要なツールとなってきたといえる。ところが、最近「学生の人権」コーナーに関連した一連のケーススタディと考察をまとめてかたちにしようと考えた際に、wizのメモ機能では一データあたりの容量が少なすぎること、入力の反応が悪く、思い付いた文やフレーズをおとしこんでいくには能力不足であること、が判明してきた。結局、ザウルスポケットとキーボードを購入し、資料をみながら出先、たとえば喫茶店で文章を組み立てていくのに使うことにした。ワープロの容量は十分だし、データベースがわりの表計算機能も重宝している。年表やリストは表計算データで作成するわけで、本一冊に相当する分量が瞬く間にザウルスの中に蓄積されていった。ボケットに入る手頃なサイズ、そして、内蔵されているモデムによってメイルやwebもこれで確認できるし、発注などのFAXの送信もできてしまう。結局、今度はこのザウルスがないと生活がおぼつかなくなるまでに依存する生活となっているのが現状である。

 CE-PA3というアダプタが発売されて、ようやく手持ちのASTELのPHSからメイルやwebがつかえるようになった。モデムケーブルはこれでほとんど使わなくなる。唯一、FAXを送信する際に使うくらいである。PHSの基地局はこのところ実用的なレベルで配置されているため、メイルについてはほとんどいつでも読み書きできる環境になった。メイル、web、簡単なワープロ、というのが目的であるならば、ザウルスだけを持ち歩けば十分ということである。ちいさいといっても、単に「それまでのもっと大きなのとくらべて」でしかないサブノートパソコンを持ち歩く手間よりも格段にらくちんなのである。

 さらに、メモがわりのデジカメとしてシャープのVE-LC2を購入。購入基準は、小さいこと、液晶が見易いこと、接写のピントがきちんとしていること、である。本当は、本体のサイズとしてはPanasonicのCoolshotIIがよかったのだが、これがマクロ撮影するとつかいものにならない。こちらの目的としては、コピー機のない環境で書物の記載をとりこんでくることにあるので、接写の際の制度は命なのだ。VE-LC2は、本体サイズとしては少し大きくなるが、液晶の大きさとあいまって、接写の実用性が高いところを評価した。名刺の複写もできるクラスであり、本のページを可読性をたもったまま撮影できる。PCカードには対応していないが、ザウルスには赤外線で転送できるわけで、実用的には問題ない。現在、Victorが出しているIrTranP対応の携帯プリンタに食指が動いている。

 wizを買ったときにも思ったのだが、最近の雑誌などをみていても、「もばいる教」はいまだ根強いらしい。自分の楽なスタイルで必要なものが手軽に携帯できればそれでいいだろうに、と思うのだが、堪え忍ぶ美学に近い側面を持つ宗教になってしまっている場合がある。何をやりたいのか、という事を考えて、そこからボトムアップ式にシステムを構築していけばいいと思うのだが、モバイルに執着したあげく大量のACアダプタを携帯したり、かえって付帯する荷物が増えていたり、という本末転倒にみえる状況もある。もっとも、だからといってザウルスにしても売れた数ほどは使っている人間はいないようだから、そもそもの目的自体が「持ち歩くこと」あるいは「持ち歩けるということになっている機械を所有すること」にあるのかもしれない。筆者の知るあるリブラー(東芝のリブレットユーザー)はリブレットの初代を購入し、アップグレードはしても決して持ち歩いて使ったりはしない人間だし、存外、そういう人種によって業界は維持されているのかもしれない、とやっぱり思う。ただ、ひとつだけちょっとおもしろかったことがある。wizのコーナーで、「もばいる教の御神体」であるHP200LXのキーボードについて、テンキーなんかいらないから、と書いたのだが、新型の620ではちゃんとテンキーがなくなっている。OSがWindowsCE2.0でどれくらいつかえるかは未知数だけれど、とりあえず進歩はしているのだろう。ザウルスポケットからのりかえるに足る機種がでるのはいつだろうか。

 ひとつだけ問題があった。つまり、元ネタとしてのメモが蓄積されていくと、それをきちんとした文にまとめあげる必要がでてくる。そして、ザウルスは、登録データが大きくなったり多くなると、反応が次第に遅くなり、とても長文作成などできないような気配になってくる。さて、文章を書く環境が固定されていればそれは特に問題にならないわけだ。単に、母艦で書けばいいのだから。ところが、私の今の生活環境では、職場の大学、研究生登録をしている研究室、自宅、と実質的に母艦が複数あるかたちとなっている。そして、文章というものは、書きたいときに書きたいものだ。

 で、結局、Powerbook2400をそれように購入したのである。現在はザウルスと2400の二本立てで生活している。データは、コンパクトフラッシュメモリ経由でうつすので、手間もかからない。恩恵として、DC120の画像を外出先で転送できるようにもなった。夏にでるというG3カードを買うかどうか・・・とりあえず今のところは603evの240MHzに満足しているが、Softwindowsをもっと快適にするためにカードを購入するかもしれない。バッテリ駆動時間がどれくらいになるかにもよるけれど。以前、EpsonのPC286FやPowerbookDuo230を持ち歩いていた時のことを考えるとこの携帯性と機能とのかねあいはまさしく驚異である。これでG3ボードいれたらどうなってしまうのだろう。

1998.05.20