昨年の暮れからAstelのPHSを使っている。以前はDocomoのPBを使っていたのだけれど、あれはあまり便利ではなかった。受信できるメッセージに限界があるし、カナのフリーワードを通常の電話から送信できる知り合いもいない上、いちいち「こうやってメッセージをいれてください」と頼むのも気が引けるほどアレは面倒であり、かつ、着信してからおもむろに電話を探すのがまた手間であったからだ。NTTの窓口の応対が不愉快なものであったことはこうなると些細な問題でしかなく、そのまま解約してしまっていた。PHSは基地局の数に若干の不安はあったけれど、基本料金でみればPBとたいしてかわらない上、都心から家に連絡をいれる際に公衆電話をさがさなくてもよいというメリットは大きい。かくして、昨年暮れにPanasonicのA131を使うようになった。
A131選択の理由は、サイズがコンパクトな上、イヤホンジャックが使えるから。知り合いが携帯を使うのをみていて、これはイヤホンジャックは必須であるなと判断していたため。特に、雑踏の中で通話する時にこれがないと自分の声がどれくらいの感じで流れているのかわからなくていきおい無駄に声をはりあげることになってしまう。ああいう下品で見苦しいことはしたくなかったのだ。モデムにつなぐことができる、というのはおまけ。で、A131を使っての印象だけれど、ほぼ満足といったところだった。いくつか不満な点はもちろんあって、たとえば、
といったところ。それ以外は特に不満はなかった。また、基地局の数については、家の近くには未稼働がひとつあるだけだったので何回かAstelに電話して頼んでいたら数ヵ月後には二箇所新設されて、駅から家までは通話がとぎれずにつながるようになった。学会等ででかけた際にも活躍していて、たとえば札幌や小樽市内での基地局の数の多さには驚かされた。留守番メッセージの呼び出しがPHSから直接できない点を除けば、それなりに地方の大都市でも使える。
それでも、基地局のない場所はまだまだ多く、圏外表示が消えたところで留守番メッセージの有無を確認するという作業が不可欠であり、ここに繁雑さを感じていた。結局、この秋に同じPanasonicのA831に買い換えた。A831はPB内蔵タイプで、留守番メッセージが録音されると自動的にPBに呼び出しがかかるようにできる。また、PBのカナフリーワードもPHSのテンキーから入力できるため、暗号のようなコードを扱わなくてもいい。
買い換えは、渋谷のAstelStationでA831の白ROM機を購入して、その場でA131の番号を移してもらうことで完了。安売り店で買えばもっとやすくなったけれど、解約だの新規手数料だのがかかる上、番号がかわってしまう。逆にいえば、十分に安い店があり、かつ、番号がかわっても構わないのであればその方がいいということはあるかもしれない。僕の場合はA131をトランシーバー登録することで子供の首にかける「おでかけトランシーバー」にした。家族ででかけた時に、トランシーバーですぐにお互いの居場所を確認できるので、子供もこれで随分気持ちが楽になったようだ。小学生が町中や店の中でPHSを使っているとめだつらしいけれど。
さて、A831だけれど、上にあげたA131での不満点はすべて解消されていた。これはちょっと驚き。また、A131ではメニューにあるけれど使えない機能がいっぱいあったけれど、それらはちゃんと整理されている。ちょっとだけさびしいのは、PHSの呼び出し音のバリエーションが大幅にへってしまった点だけれど、こんなのは大勢に影響ないのでどうということはない。実は奥さんにも同じA831を買って彼女も仕事でつかっているため、お互いに出先から連絡をとりあうのが随分楽になった。カナの入力ストレスさえなければPBも便利なものだ。また、基地局は随分町中に増殖していて、建物の中で使えるという場所もふえてきたし、都立大のキャンパスの中もいくつか稼働していて便利になった。おしむらくは理学部の建物の中ではまだつかえない、という点だろうか。ブースターアンテナのよいのがでてくれれば少しは対応できるのだけれど。もっとも、その前に理学部裏の通りぞいの基地局予定地にはやく基地局をたちあげてほしい、という希望がある。あの位置で稼働すれば研究室の窓側はたぶんなんとかなるのに。
このクリスマスには子供にPBをひとつ買い与えてさらに連絡が簡単になるように仕込む予定。共働きの家庭ではこういうガジェットによる恩恵ははかりしれないほど大きい。
1986/11/11