DSC-F505V

 二年ほど使ってきて、間に模型製作日記どきの開始や八王子から八千代への引っ越しがはさまったり、どたばたしているうちに確かに何度もぶつけたり落としたりはした。したけれど…ある日突然オートフォーカスが使えなくなるとやはり愕然としてしまう。特に、カメラが動かないと日記の更新もおぼつかない…

 と、いうわけで、DC260は故障してしまった。実は、昨年の夏あたりにも一度買い替えを考えたことがあったのだが。その時は、接写時のつかいやすさ、という点で260に限界を感じていて、ソニーのF505Kに気を奪われていた。ツアイスレンズ、ということよりも光学五倍ズームとか、2cmまでの接写とか、早い液晶レスポンス(笑)とかに魅力を感じたのだけれど、結局、まだ使える260をさしおいてまで、という気がして買い替えはみおくった。290が出た時も同様だったので、今回もKODAKの新型、4800とF505Vとを中心に調べてみた。

 4800は、形がフィルムカメラもどきになってしまったのが残念でしかたがない。「いわゆるカメラ」を買うのならばいまはまだデジカメを選ぶ理由なんかない。この中途半端なデザインではまったくといっていいほど魅力を感じないではないか。これは、デジカメではなく、ただの「偽フィルムカメラ」のようにすら見える。これでは…却下だな。

 さて、260を使っていて面倒だったり残念だったこと、は、

・液晶のレスポンスがとっても悪い
・接写時のフォーカスコントロールに慣れが必要
・無圧縮モードがない
・紙芝居モードはムービーともアニメともいえない中途半端さ
あたり。

 そういう目で505Vをみてみると… がーん、すべて克服されている。さらに、KODAKの特徴だったあの3:2モードすらもついている上、縦位置自動検知センサーすら内蔵している。デザインは前の505Kで気に入ったもののままだし、レンズもそう。さらに、MPEG1のムービーの撮影すらできる上、テキスト用のモノクロGIFのモードまである。きわめつけはマニュアルフォーカスや数々のAEモード。「カメラらしさ」というのはデザインではなく機能なんだ、ということだ。

 …あっと、思ったら、夏のボーナス払いで買ってしまっていました。地元のカメラのキムラで、64Mのスティックと、予備バッテリと、スティック用のPCカードアダプタとこみで。

 さて、使ってみて、というか手にしてみての感想なのだけれど、実に手になじむサイズとデザイン。そもそも、デジカメのデザインというのは液晶とスイッチ、バッテリとカード、この四点に支配される。つまり、レンズとマウント、フィルム面に支配されてできあがった「いわゆるカメラのかたち」にとらわれるのは「間抜けリアル」以外のなにものでもないのだ、ということがよくわかる。レンズはツアイスのバリオゾナー、それを中心としたデザインというのは正解だろう。CCDはレンズの後端にあればいいのだし、マニュアルフォーカスの切り替えやホワイトバランスは鏡筒の横にあるので楽。

 使ってみて、第一にありがたいのはマクロが楽なこと。デジカメはその光学系のせいもあって接写が比較的楽なのだけれど、505Vはさらにオートフォーカスの範囲が広くて結構やくにたってくれる上、液晶が明るいのだ。さらに、ホワイトバランスをその場の光源で設定できるので(近くに白いものは必要だけれど、レンズキャップに白い紙でもはっておけばよいのだ)色も適切で気持ちよい。

 メモリースティックというのは初めて購入したけれど、64メガで二万円しない。この調子で、128Mとか256Mとかがでてくると、MPEG1記録の高画質モードでもテープくらいの容量は出るようになるのだから、ムービーとスチルの境界はこうやってなくなっていくのかもしれない。ハンディカムにしてもデジカムにしても、あのごろっとしたサイズが嫌で買っていない。それは、バッテリとテープ、駆動系のせいなわけで、テープを使うかぎりある程度サイズに限界ができるわけだ。デジカメのすすむ道のひとつは、こちらだろうなあ。

 MPEGムービーは予想以上に面白い。音も結構きれいだし絵もシャープ。メモ動画なら64Mで42分撮れる。さらに、シャッター優先AEもあるから、テレビをブラウン管から「録画」したりもできてしまう。ムービーでシャッター優先、というのは面白いなあ。

 液晶がバックライトオフにできたり、ストロボの光量をかえられたり、マニュアルフォーカス時には中央部分が拡大されたり、と、よく考えられている。

 おしいのは、MPEGムービーを連続で撮るときはシャッターを「おしっぱなし」にしなくてはならないこと。ささいなことだけれど、スティックが1Gとか2Gとかにならないとテープに対抗できないから仕方がないのかもしれない。

(追加 6/14)
少し使ってみての感想その一。

 まず、シャッターをおしてから実際に画像が取り込まれる時までのラグが結構ある。たぶん、オートフォーカスに時間がかかっているのだと思う(マニュアルフォーカスにしたらちょっと速くなったから)。もっとも、260ほどではないので、これはこの機械のリズムだとして慣れるしかなさそう。こういうところが、デジカメはまだ過渡期だなあ、と思わせるのだな。

 MPEGは楽しい。最低画質で連続1分。中くらいで15秒。なんでもっと長くできないのか、と思ったら、どちらもファイルサイズは1.3M 。つまり、バッファの容量あたりの限界なんでしょうね。中くらいサイズで1分とれるとありがたいのだけれどなあ。ちなみに、最低画質のMPEG中くらいの画質のMPEG。どちらも大学でかえったカルガモの雛とその親です。

 USBで大学のWINマシンに画像をいれてみた。簡単。でも、考えたみたら大概のWINにはまだふろっぴいなるものがあるから、フロッピーアダプタを使うほうがカメラのバッテリのことを考えなくていいから楽かも。そういえばソニーはハーフサイズのスティックを発表した。これって…PS2メモリーカードサイズの、ハーフスティックアダプタがでれば、ソニー製品は統一されることになる。最初からそのつもりだったのだろうなあ。でも、ハーフで64Mということは、フルサイズの128Mなんかはすぐにもだせる、ということか。うーむ。

 レンズの個性はまだよくわからない。夜景モードは、たぶん12bit処理とあいまってなかなかの情報量でおもしろい。260では長時間露出するとノイズがでたけれど、そういうのもいまのところないし。ただ、バリオゾナーならではのよさ、というとよくわからない。フィルムと違って、CCDから画像までの間にいろいろな過程があるために判断できないのだ。ただ、いまのところきれあじやコントラストは悪くないし、色も特にいじらずにすんでいる。ソニーの処理がいい、ということもあるだろうから、これで「やっぱりツアイス」とはいえない。

 でもね、「てぃすたあ」じゃないから意味がないなんていう乱暴な言い草はただの無知ですよ > そのあたりの方。T*の存在自体ツアイスレンズの歴史の中では「つい最近」のものだし、そもそものツアイスレンズのよさ、というのはコンタフレックスとかスーパーシックスとかの頃からある評価なのであって、別に「T*がツアイスの価値」というわけではない。所詮、いまのデジカメはまだレンズの性能をきっちりひきだせるほどのところまできていない、という言い方をすればいいところをT*が、といってしまうのは「えせのきどり」にみえてしまって哀しい。そんなだから、KODAKの4800のデザインは「あんな」なのかもしれないなあ。

 ここから、三枚ほど撮影例をだしておきます。1856×1392モードで、明るさなどはいじっていません。と、いうか、いまのところこれで撮影した画像ってサイズ以外いじることがない。最後の一枚は書斎で育てているアフリカツメガエル(Xenopus laevis)のおたまじゃくし。拡大すると足が小さく出てきているのがわかると思います。


2000.06.11

 で、とうとう10月に後継機707がでる。週間宝島とかいうしらない雑誌にレビューがでていたけれどなかなか興味深いぞ。
 レーザー測距、ナイトショット、絞りばねの増加、Mpeg動画がカード容量まで撮れる、ズームスイッチがレンズ側についた、ビューフアインダーがついた、プレフラッシュによる像面光量測光、メニューダイアル化といったあたりがよくいわれる点、かな。十分すごいか。

 マクロがワイド端のみになった(たぶんマクロのきりかえはなくなった)とか、ちよっとおおきくなった、というのが気になる点。でも、雑誌が一言もコントしていないポイントもある。一つは、がっちりしたストラップ受けが両サイドについたこと(そんなに重いのかな)、そして、アクセサリシューがついたこと(ホットシューではない)。さてて、実物を触ってみるのが楽しみである。よければ買い替えちゃおっかなあ、とかね。

2001.09.15