新聞と電子新聞(E-News)

 以前は新聞をとっていたのだけれど、あまりにも膨大な体積を占有する割には読むところがないのでやめてしまった。もちろん、頭の悪い勧誘員(大体が地元の人間なのだけれど)のツラを見るのも不愉快というのも理由の一つではあったけれど。ただ、そうなると世の中の出来事の流れがうまくつかめなくなるのでちょっと気にはなっていた。テレビなどという代物も、例の阪神大震災のあたりから顕著になってきた馬鹿製造機能ばかりがのさばっているので気持ち悪くてほとんどみもしないし、こうなると、さらに世間から隔絶されてしまう。

 そうこうするうちに、サンケイグループの電子新聞・E-Newsの新聞広告を見た。テレビ電波に新聞データをのせる、というはなしはその半年以上前にどこかでみかけたの覚えていた。新聞記事を常に身近においておける、という利点に加えて、電車の中などで読むものがない時のひまつぶしになるので早速申し込んだ。勝手に配信されてくる新聞というのは実に気持ちが良い。

 で、まずは簡単な感想をならべてみよう。

 さて、こういうことをレポートする「場」はないわけではなかったのだが、昨年の暮を境になくなってしまった。もともと、PC-VANにSIGというかたちでサポートコーナーがあったのだけれど、そこはあまりにも閑散としていた(PC-VANの最近の傾向を考えると当然だろう)ために、ショップのみになってしまい、internet上のページだけが残っていた。ここに、ショップの他、受信したデータをパソコンで利用する、あるいはその逆のためのツールが登録されたり、興味を持った人間が意見交換をできる掲示板もつくられていた。この掲示板、これからE-Newsを購入しようとする人の他、実際に購入した人間による意見交換も活発になされていた。現行機種の不満点と次機種へのリクエスト、トラブルの体験談と対策などなど。ところが、これが年末を境にいきなり閉鎖されてしまった。なんども「効用面からのみなおし」なのだそうだけれど、まさか利用者からの意見がけむたくなったのではないかと思えなくもない。こういう双方向の媒体をちゃんと使いこなせないようでは電子新聞というのは発展のしようがないと思うのだけれど… 大学の「学科公式ページ」みたいなもので、こういうところにも一種のカンリョーカがおしよせているのかもしれない。

 Webというのは、発展の可能性のある巨大な媒体であると同時に、既存のメディアの中にはWebによってそれ自身のそれまでのあり方が否定され、崩壊してしまう危険をもよびさますのだろう。否定され、崩壊してしまうような媒体は、存在そのものが悪なのだから一国もはやくこの世から滅してほしいものだけれど、そういうのに限って口をぬぐってごまかそうとするものだ。電子新聞のホームページがこの手でないことを信じて、今は一刻もはやい復活を期待して待つこととしよう。

1997.01.19