病院歯科における歯科医師臨床研修      -日本歯科麻酔学会認定医とのかかわり- 小松病院歯科・歯科口腔外科 ○藤喜久雄・古玉克平 神戸市中央市民病院歯科口腔外科 足立了平・河合峰雄 行岡病院歯科・歯科口腔外科 山内義之 はじめに: 平成8年8月に歯科医師法の一部が改正され、歯科医師も医師と同様に臨床研修 が義務づけらた。平成9年度より、臨床研修が開始され、これに伴い、受け入れ 人数は少ないものの病院歯科においても、研修歯科医師を受け入れるようになっ た。日本歯科麻酔学会認定医が病院歯科において、臨床研修にどの程度かかわっ ているかを知るのを目的に、歯科医師臨床研修施設ガイド(平成10年度版)を もとに、臨床研修施設として指定されている病院歯科につて検討を加えた。 結果: 指定されている病院は全国で47施設あり、単独研修方式か複合方式の主たる施 設であるのは40施設であった。その中で施設の概要を正確に記載している33 施設について、平均歯科医師数5人、一日平均入院患者数6人・外来患者数は 67人であった。「研修プログラムの目的と特徴」の項目に「歯科麻酔」に関す る内容が記載されている施設は、2施設しかなかった。その施設は、日本歯科麻 酔認定医が臨床教育研修責任者であった。 考察: 病院歯科の使命として、 1)口腔外科 2)障害者歯科(笑気鎮静法、静脈内鎮静法、全身麻   酔) 3)他科疾患有病者歯科 4)顎顔面領域のペインクリニック 5)歯科救急 6)在宅歯科診療のバックアップ 7)卒後教育 が考えられている。 病院歯科の使命を考えると、歯科麻酔科医が担当するのが適切であると思われる 業務が多数あるにもかかわらず、病院歯科に勤務する歯科麻酔科医はきわめて少 数である。研修指定病院と日本歯科麻酔学会会員名簿を照らし合わせてみると、 病院歯科において歯科医師臨床研修にかかわっている日本歯科麻酔学会認定医は さらに少ない。今後、歯科麻酔科医は病院歯科においてもその能力を発揮すべ く、臨床の場を確保していく必要があると考る。