ピンポン


この星の一等賞になりたいの卓球で俺は。
そんだけっ!


ストーリー:
 幼い頃から卓球を続けていた星野(通称ペコ)は、卓球で頂点を目指したいと思いながらも、部活などにのめり込めずにいた。そんなとき、中国からの留学生・孔(通称チャイナ)や、幼なじみの佐久間(通称アクマ)との対戦に破れてしまい、ペコは卓球の道に挫折する。一方、やはりペコの幼なじみである月本(通称スマイル)は、卓球部のコーチに素質を見いだされ、めきめきと頭角を現していくのだった。ペコは卓球の頂点へ駆け上ることが出来るのだろうか?


スタッフ
  監督 : 曽利文彦
  原作 : 松本大洋
  脚本 : 宮藤官九郎

キャスト
  窪塚洋介(ペコ)
  ARATA(スマイル)
  中村獅童(ドラゴン)
  サム・リー(チャイナ)
  大倉孝二(アクマ)
  夏木マリ(オババ)
  竹中直人(小泉コーチ)


作品概要

 松本大洋原作の、青春映画。
 274センチを飛び交う時速140キロの玉を打ち合う、地上最速のエクストリーム・スポーツである卓球を舞台に、高校生選手5人それぞれの熱い生き様を描くスポコン映画です。

 映像化が困難と言われていたこの原作ですが、CGを駆使して、迫力と躍動感溢れる卓球シーンを描くことに成功しています。

 しかし、メインに描かれるのは卓球そのものではけしてなく、登場人物達の人間関係であることもポイント。
 それぞれが抱く自分にとっての「ヒーロー」という憧れへの想いが、作品の隅々にまで描き出されていて、この映画を熱いドラマに仕立てています。


ひとこと

 とにかく良くできています。
 軽いノリの部分とスポコンの部分、そして友情や青春といった今や陳腐になりがちなテーマも上手く処理して、すっきりとまとめて見せてくれています。

 主演の窪塚洋介演じるペコは、本当に漫画チックなキャラクター。それを本当に漫画チックに演じながら、ぎりぎり漫画になっていないのは、やはり窪塚洋介の上手さでしょうか。これ以上弾けてしまうと本当に漫画になってしまうし、これよりもテンションが低いと他のキャラクターに埋もれてしまう……そんなギリギリのラインを上手く演じて見せていると感じました。

 他のキャラクターも、個性的で魅力的。

 子供の頃からの憧れであった人物はヒーローであり、けして醜態をさらして欲しくない……スマイルとアクマのふたりがペコに対して抱いているそんな想いを、さりげなく、しかし確実に丁寧に描いてあって、それだけで泣けてしまいます。

 また、ドラゴンも存在感が際だっていて素晴らしかったです。
 特典ディスクに収録されていた宮藤官九郎さんのインタビューで、「『笑止!』なんて言える俳優さんってなかなかいないんですよ。でも、そういったセリフ回しが出来なければこのキャラクターの存在感が際立たないんで、出来る奴がいないんだったら探すしかないだろう、って言ってて出てきたのが中村獅童君なんですよ」なんて言葉があったんですが、本当にこの人のセリフ回しの独特さと存在感は素晴らしかったです。
 また、宮藤さんのそのセリフから、キャラクターを大切にして映画を作っていることを感じましたね。魅力的なキャラクター達が出てくる映画に仕上がったのは、そのお陰でしょうか。

 ともかく、夢中になれる夢、打算のない友情、ライバル、そして憧れのヒーロー……様々な「男の子の大切なもの」がぎっしりと詰まった、笑って興奮して泣ける映画でした。


「ピンポン」DVD

2002年日本映画 114分
アスミック・エースエンタテイメント提供

音声
  日本語ドルビーデジタル(5.1チャンネル)
  日本語dts(5.1チャンネル)
字幕
  日本語字幕
  英語字幕

映像特典(初回限定特典ディスク収録)
  短編作品「ティンポン」「カンフー・マスター」
  メイキング、予告編等