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火は生き物だ。 呼吸し、飢えて ストーリー: 子供の頃に、消防士の父が目の前で殉職してしまったブライアン・マカフレイ。彼は大人になってもねばり強さが足りない性格が元で、なかなかしっかりとした仕事に就くことが出来ずにいた。一方、その兄のスティーブンは、父の跡を継いで立派な消防士となっていた。その兄と同じ17分隊へ、消防士になったブライアンが配属されることになった。それと同じ頃、シカゴでは謎の爆発事故が連続発生していた。 |
スタッフ キャスト |
火事などで酸素が燃やし尽くされ、燃えることの出来ない可燃性ガスが充満した、部屋などの密閉された空間。そんな空間に、消防士が窓を破って入ったりすると、炎は暴れるような勢いでその酸素を吸い込み、爆発を起こします。それが、バックドラフトと呼ばれる現象です。 この作品は、その「バックドラフト」という現象で起こされる連続放火の謎を探るという物語を軸に、兄弟、家族、男同士の絆や誇りを描いた感動作です。 死と隣り合わせに働く男達の生き様。 炎と戦う男達がとにかく熱く、かっこいい作品です。 |
この作品を初めて観たときには、とにかく泣きました。 私にも兄がおり、そして弟がいます。そのため、主人公の兄弟ふたりの関係がよく分かるんです。 父親を亡くしたため、弟をしっかりと育てなければならないという責任に駆られて厳しく弟と自己を律する兄。その裏には弟に対する期待があり、弟がしっかりしないのは自分のせいだという無力感を持っています。 目の前で死んだ父親の誇り高い生き方を、見事に受け継いだ兄の立派すぎる姿に、何をやっても敵わないというコンプレックスを抱く弟。その裏には父の生き方に対する憧れと、誰よりも兄に認められたいという願望があります。必ず兄のようになれる、兄には負けないという思いも持ちながら、何事も続けられない自分に嫌気がさしています。 このふたりの、お互いに対する心情が痛いほど分かって、最後はぼろぼろと涙をこぼしてしまいました。 そしてそのふたりの関係に、さらにスティーブンとその別れた妻や息子との関係、ブライアンと父親との関係など、様々な人間ドラマが上手く取り入れられています。 様々な人間達の愛憎を「バックドラフト」事件と絡めながら、巧みに描いて見せている。 これが、この作品の傑作たる一番の要因といえるでしょう。 それをやれたのも、ロン・ハワード監督の手腕と、キャストとして集まった豪華すぎるほどの俳優達の名演があってこそでしょうね。ロバート・デ・ニーロ、カート・ラッセル、スコット・グレン、ドナルド・サザーランド、レベッカ・デモーネイといった一流の面々が、きっちりと役割をこなして見せた、その結果の傑作だと思います。 そうそう。もうひとつ忘れてはならない、陰の主役がいました。 炎です。 本物の炎を俳優の周りでこれだけ使った映画というのも、珍しいのではないでしょうか。普通は危険が伴うので、あれだけの規模の炎を俳優の周りでは使いませんからね。 しかし、本物を使って見せたからこそ、この映画の火事は本当に迫力があります。 火を扱う手管を考え出し、しっかりと操って見せた特殊効果のスタッフには本当に感心します。 愛憎劇と、燃えさかる炎の迫力。 それを存分に味わえる、会心の1作です。 |
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1991年アメリカ映画 137分 ユニバーサル提供 音声 オリジナル(英語)ドルビーデジタル(5.1チャンネル) 日本語ドルビーデジタル(2チャンネル) 字幕 日本語字幕 英語字幕 映像特典 なし |