邦画 ア行
仮想現実の中で行われる戦闘ゲーム。そのゲームで無敵のパーティーと呼ばれた「ウィザード」の解散後、アッシュは単独プレイを貫き、日々レベルアップを行っていた。しかしある時、ゲームの世界で、アッシュは自分の模倣のプレイで、しかも自分よりうまくミッションをクリアしていくプレイヤーに出会う。挑発されていると直感した彼女は、その男と会うべく動き始める。それは、仮想現実のゲームに存在すると言われる「幻のフィールド」への挑戦のきっかけでもあった。
アニメ作家として有名な押井守監督が、ポーランドにおいて全編撮影を行った実写映画。
この映画、人物などを全部コンピューターに取り込み、画面上に再配置するという、非常にアニメ的な作り方がなされています。
雰囲気はダークで重く、アクションシーンの表現の仕方も凝っていて重厚感に溢れています。サイバースペースにおいて殺し合うゲーム世界を扱ったSFで、その世界観もかなり好み。
ですが……。
正直、作品として絞り込めていないんじゃないかな、というのが感想です。ダークな雰囲気を出すためなのかストーリーのテンポはかなりおそめ。なのに主張自体はあやふやな上、かなり薄い気がするのです。これだったら、テンポを早くしてアクション作品として仕上げた方が、作品としての完成度は上がった気がするのですが。
俳優の演技は素晴らしかったし、映像表現も素晴らしかったのに、残念です。
第3次世界大戦から31年後の日本、ネオ東京。荒れ果て、すさんだ空気が支配する街の中を、バイクで疾走する集団があった。職業訓練校の生徒、金田達だった。ある晩、金田達は対立するバイク集団と抗争を起こしていたが、そんな彼らの前に突然、シワだらけの少年が現れ、仲間のひとり、鉄雄が事故に遭ってしまう。更に、アーミーのヘリが現れ、鉄雄を連れ去ってしまったのだった。その夜から、金田と鉄雄は運命に翻弄されていくことになる。アーミーの警戒するAKIRAとは何者なのか、そして、金田と鉄雄はどうなってしまうのか……?
大友克洋監督が、自身のコミックを原作に制作した長編アニメ映画。この作品が、世界中に日本のアニメを知らしめたと言っても過言ではないでしょう。今観ても、その動きの滑らかさ、細部までこだわったディティールは、トップレベルにあるといってもいいでしょうね。作品としては、主人公に感情移入がしにくいとか、内容が薄いとか分かりにくいとか、公開当時から色々な批判もあったみたいですけど、個人的には大好きな映画ですね。正統派サイバーSFです。
戦国時代末期。徳川家康は豊臣側を圧倒し、ほぼ天下を手中に収めていた。しかし、日本の各地に、未だ豊臣の天下を望む武将達も存在していた。彼らは豊臣秀吉の息子、秀頼が成人した後は秀頼を将軍に祭り上げる心づもりでいたのである。その動きを察知した徳川は、彼らの動きが小さい内に倒してしまうべく精鋭の暗殺軍団を結成する計画を実行する。かくして、10人の子供が集められ、戦いの英才教育が施されたのである。やがて、少年と呼べる年にまで成長する彼ら。その中に、ひときわ剣の扱いに長けた一人の少女、あずみが居た。そして、暗殺を遂行する刺客として成長した彼らに、最初の指名が下る。「一番仲の良い者と、斬り合え」と。そしてあずみは、密かに思いを寄せていた、なちと斬り合うこととなるのだった。
上戸彩主演、小山ゆう原作のアクション映画。
正直、冒頭が軽いノリの展開だったのでがっくりきたのですが、その後は一転してかなり冷酷で血なまぐさい物語に変わり、ぐいぐい作品に引き込まれてしまいました。
監督の手腕でしょうか、物語の見せ方に力があり、非常にテンポよく進んでいく話と、随所に織り込まれた程良いケレン味のあるアクションシーンは見応えがありました。
特に原田芳雄の殺陣のシーンはなかなかの迫力。堪能しました。
ただ、主演の上戸彩だけは、ちょっと存在感が不足していて残念。岡本綾と一緒に画面に出て心情を表現するシーンなどでは、完全に岡本綾に喰われてしまっていました。
しかし、アクションシーンはカット割りやカメラワーク、斬られた敵の動きの駒を間引くなどして小気味よく見せることに成功していますね。上戸彩の、お世辞にも上手いとは言えない剣捌きを、スクリーンの中でここまで上手くアクションシーンとしてまとめてしまったこの監督の手腕は本当に大した物だと思います。
1本のアクション映画として、とても良くできていました。
つい辛口になってしまいましたけど、それくらい上戸彩がひとり、見劣りして見えてしまっていたので……。もっとも、彼女はこれで映画初主演。今後の精進に期待したいと思います。
それにしても、つい比較してしまうんですが、この「あずみ」の上戸彩を観ていると、いかに「修羅雪姫」の尺由美子が頑張っていたか、本当によく分かりますね。
世界中を破滅へと追い込んだ非核大戦が終結した、西暦2131年。
兵士デュナン・ナッツは、戦争が終わったことを知らぬまま、廃墟と化した都市で武装勢力と戦い続けていた。
だがある晩の戦闘中、突如現れたヘリから降り立った軍隊がデュナンの敵を殲滅し、デュナンも捕獲されてしまう。
デュナンが連れてこられたのは、平和都市「オリュンポス」。そこで彼女は、争いのない都市とそれを管理するコンピューター「ガイア」、人のクローンから感情を抑制されて作られた「バイオロイド」、そして無骨な機械の身体に変わってしまったかつての恋人「ブリアレオス」と出会うのだった。
人類の未来を守るために建立されたこのオリュンポス。その楽園を舞台に、デュナンはやがて、人類の未来を左右する戦いに巻き込まれていくことになるのだった。
史郎正宗原作のアニメ映画。
CGを駆使した映像表現は綺麗で、今後の可能性を感じさせてくれます。
もっとも、まだ現段階では、人間に近い動きをアニメキャラが見せてくれはするんですが、動きがリアルであるほど、微妙に違和感を感じてしまいますね。観てる間に慣れてしまいはしますけど。
ストーリーについては、私は原作は未読ですけど、恐らくは様々な要素をばっさり切り捨てて、愛憎劇に焦点を絞って物語を組み立てたんではないかと感じました。ユートピアの成り立ちや過去の世界大戦といった、掘り下げればもっとドラマティックなものになったであろう世界観はただ紹介されるのみ。デュナンの過去をメインに、アクションを重視した作風にしたのは、同じ原作者の「攻殻機動隊」との差別化を図る上でも成功であったかと思います。
ということで、動きの違和感になれてしまえば、あとは見応えのあるアクションシーンと単純故に楽しめるストーリーとに、十分満足のいく出来映えでした。
最近、アニメ映画も小難しいのが多くなってきてますからね。こういうパワーを感じさせてくれる作品って、貴重だなぁ。
聾唖者である青年は、ゴミ収集の仕事をしていたが、ある日ゴミ捨て場にサーフボードが捨ててあるのに心惹かれる。それからサーフィンの練習を始めた彼だったが、問題が次々と起こってきて……。
北野武監督の第3回監督作品。
初めて俳優ビートたけしが出演しない映画を監督された訳ですが、これ、いい映画です。
元々、寡黙さが特徴の北野映画ですが、これは主演の真木蔵人(これがデビュー作)とその恋人が聾唖者であるという設定になっていて、主人公のカップルは一言も発しません。無言のまま、ふたりのドラマが進むシーンは圧巻ですらあります。
見終わった後のつらさと爽やかさは素晴らしい物があります。
こんな映画を北野監督が撮るとは、正直思っていなかったのでとても感動しました。
ただ苦言を呈するならば、久石譲さんの音楽、単品で聴くととても素晴らしいのはもちろんなんですが、この映画に使われると、登場人物が寡黙なだけにちょっと耳障り……(苦笑)。感情が豊かすぎて、映画鑑賞の妨げにすら思えてしまいました。
秋名の走り屋として不敗記録を作っていた藤原拓海。そんな彼に、以前走りで敗れた高橋亮介が、新チームへの加入に誘ってくる。しかし、拓海には、その前にやらなければならないことがいくつかあったのだった。
アニメ映画です。車に興味のない方にはなんの面白みもない映画でしょうね(笑)。以前テレビで放映されていたエピソードの続きになりますが、CGで描かれた車は格段に出来が良くなってますね。道路もちゃんと書かれていたし。もっとも、その車の走行はリアルに見えて実はかなり滅茶苦茶です(笑)。でも、そこがまたいいんだなぁ……。
今回は青春物の要素が多くなってしまって、ちょっと引いちゃうところもあったんですけど、でもかなり楽しんでみることが出来ました。ハチロクがかっこいいです。
四国の山奥の小さな村。そこに赴任してきた若い教師が、地元の40代の紙すき職人である美希と恋に落ちる。そのときから、村には不可思議な現象が起こり始めた。次第に若返っていく美希。村に伝わる狗神筋とは、果たしてなんなのだろうか。
「死国」に続いて、坂東眞砂子の原作を元に映画化された、角川ホラー映画シリーズの1本。
とはいえ、これはホラー映画ではないなぁ……(苦笑)。
僕は原作を読んだことがないので、推測でしかないのですが、坂東さんって多分「死国」にしてもこの「狗神」にしても、ホラーを書こうと思って書いてないんじゃないかなぁ、という気がします。
古いしがらみや、いにしえの縁によって業を背負わされた女性の苦しみや哀しみ、それに振り回されてしまう人たちの姿を描いた作品のように思います。それを、「ホラー映画」として映画化してしまうから今ひとつな出来になってしまうのではないか、なんて思いました。
ロボット工学が飛躍的に発達し、サイボーグやロボットが街にあふれ、電子ネットは地上を覆い尽くしている、そんな近未来。草薙素子が失踪して数年が経っていた。
街では、愛玩用のロボットが暴走し、持ち主を殺害するという事件が立て続けに起きていた。トグサと共に捜査にあたったバトーは、電脳に侵入してこようとするハッカーの妨害などと戦いながら、次第に事件の真相に迫っていく。そんな彼を待っていたのは、許されざる事実と、彼を見守る存在であった。
「攻殻機動隊/GHOST IN THE SHELL」の9年ぶりとなる続編。今作も、押井守が監督を務めています。
映像面で言えば、かなり素晴らしいんだろうな、とは思います。ただ、凝って仕上げた背景画などと、登場人物の絵柄がかなりミスマッチであったことが気になってしまいまして……。逆に、人物画のクオリティに合わせて背景を描くくらいしたほうが、ひとつのアニメ映画としては良かったんではないかと思ってしまいました。平坦な2次元キャラは、ファイナル・ファンタジーの世界のような3DCGには似合わないですよね。
んで、映画の出来ですが……途中まではやたらと暗くて重いです。物語が、ではなくて、雰囲気が。
キャラクターが妙に哲学的に喋りすぎるというのは押井監督の特徴のひとつですが、今作は輪をかけて色んな言葉を引用して喋ります。それも、出てくる人間、みんながみんな、日常の会話の中にそんなセリフを織り交ぜるんです。ありえない……。
これまでの作品では、そんな哲学的な引用を含んだセリフをキャラクターにはかせる前に、それを言うにふさわしい雰囲気を作ってから喋らせる、という脚本の流れを作っていたんですが……押井監督、とうとう雰囲気作りも一切やめてとにかく喋れるだけ喋らせるという暴挙に出てしまったようです。
最後の30分は素晴らしかったですけどね。船を舞台にした大アクションシーンは圧巻の一言。
ただ、作品のつかみが「暴走ロボット」であったのと同じように、このラストのアクションも「機動警察パトレイバー劇場版1」だなぁ、とは正直思いました。しかも「ブラックマジックM-66でパトレイバー劇場版1」だなぁ、とも。
押井監督には、そろそろ難しくするためだけの難しい演出、哲学するためだけの哲学はやめて、作品として成り立つ映画づくりに帰ってきて欲しいと思っているのですが……。
かつて大ファンだった押井監督作品に、決定的な溝を感じさせられた気がしました。
東京湾周辺で、レイバーを狙った連続破壊活動が起きていた。レイバーは大破させられ、操縦者は引きちぎられたようにその身体の破片だけを残すのみ。捜査にあたっていた城南署の刑事、久住と秦は、しかしその犯人を特定出来るような証拠を見付けられず、壁にぶつかっていた。そんな時、秦は大学の教壇に立つ女性、冴子と出会う。生物学を教えている彼女は美しく聡明な女性で、秦は次第に彼女に惹かれていく。一方、東京湾周辺では、レイバー破壊が続いて行われていた。ある夜、久住と秦は東京湾に浮かぶ作業場へ出向き、そこで巨大な、人を襲って喰い殺す化け物と出会う。レイバーを襲っていたのは、この化け物だったのだ。自然には存在し得ないはずのこの化け物の正体とは?
機動警察パトレイバーの劇場作品第3作目。タイトルは「ウェイステッドサーティーン」と読みます。今作は、前作までの「ヘッドギア」制作ではなくなり、スタッフが大きく変わっています。話の筋はマンガ版の「廃棄物13号」を脚色したもので、漫画家のとり・みきさんが脚本を書いています。
作品自体の感想は、正直に言うと「前作までのクオリティには全く手が届いていない」と言ったところでしょうか。雰囲気そのものは、押井監督作品のものにテイストを似せてありますが、これが裏目に出て「押井守の劣化コピー」といった感じが否めません。また、ストーリー上で意図して特車二課を排除しているようですが、その意図もはっきりとしませんでした。最後は「化け物VSイングラム」という構図になるんだったら、もうちょっと特車二課と事件の絡みを描いていてくれたらストーリー展開がスムーズだったのにな、と残念に思いましたね。
ふたり組の刑事主体で描くのはいいんですけど、それを通しすぎたために化け物の存在そのものが作品から薄れてしまったように思いました。このふたりのキャラクターはいい感じだったんですけども。
「パトレイバー」の世界を意識しすぎて、しかし「違ったものを作ろう」という意識も強くて、結果的にどっちつかずな感じになってしまったのでしょうか。
ただ、話自体は悪くはないと思います。1本の「映画」として成り立った、見応えのある作品でした。
結局は、作品中に登場する色んな立場の人間が、バランスよく描かれていないんですね。それが不満の一番の原因でしょう。「化け物を作った人間」「化け物で利益を目論んでいた人間」「捜査する刑事」「化け物を隠そうとする人間」「化け物」「化け物と直接戦う人間」色んな立場の人間が登場するのですが、「捜査する刑事」たち意外の人たちの、それぞれの思惑や行動、存在感を観客に感じさせる演出が極めて乏しいのです。
逆に、それが上手く出来ていたら、「怪獣アニメ」としてかなりレベルの高い作品になったように思います。本当に残念でした。
あ、それから、後藤隊長の台詞回しがとても気に入らないんですが……言葉遣いが後藤隊長らしくなくて、もの凄く違和感を感じました。
全海上保安庁職員中、わずか1%の人間しかなることの出来ない、潜水士という仕事。仙崎大輔は、その潜水士を目指すべく、13人の仲間と共に50日にも及ぶ辛く厳しい訓練に参加する。退屈な船上勤務から抜け出して、華々しい最前線に出ていきたいという思いからだった。
訓練期間中、バディという相棒に工藤という青年と組むことになった仙崎は、明らかに潜水士としての適性を欠いている工藤に最初いらだちをみせるものの、次第に彼のやる気に潜水士の本質を見いだしていく。
また、環菜という女性と出会った仙崎は、次第に生き方と潜水士という「命」を預かる仕事に対する意識を変えていくことになるのだった。
命とは何か。「人命救助」を標榜する潜水士が、自らの命の懸かった極限状態で下す判断の重みとはどういったものか。
14人の海猿たちの、厳しい訓練は続いていくのだった。
伊藤英明主演、加藤あい共演の青春ドラマ。
真っ向から作られた、王道とも言える青春ドラマで、熱く、爽やかな作風に最後までぐいぐいと引き込まれました。制作が数々の青春映画を手がけたROBOTプロダクションだけあって、手慣れた感じでまとめ上げられていましたね。
そのなかに、自らの命を危険にさらして人を助けなければならない潜水士という仕事の厳しさ、ひとつ間違えば自分も死んでしまう恐怖、その中で即座に判断を下さなければならない辛さを、作品の中に盛り込んでみせた手腕はお見事と言っていいでしょう。
安心して観ることの出来る青春エンタテイメント映画でした。
しかし、最後の海上保安庁上層部の物わかりの良さには、内心「ありえないよー」と無粋な突っ込み入れてしまいましたが、これも大団円のための虚構ですよね。
本当にしっかりと作られた映画でした。
ゲームの制作に携わる青年。彼は、元恋人の女性に請われ、彼女が相続したという古い洋館に出かけることになった。しかし、その館は古い因縁が渦巻く場所だったのだ。はたして、彼らがそこで出くわすことになる出来事とは?
大ヒットしたゲーム「弟切草」を題材にした映画で、「リング」シリーズを失った(笑)角川が新規開拓とばかりに手を出したホラー映画です。
が、この出来はあまりに酷すぎるのでは……?(苦笑)
新しい試みをやろうという意気込みだけは買いますが、映像センスあって構成センスなし、って感じですね。部分部分を切り取ればいい構図やシーンはあるんですが、映画として成り立っていない気がします……。
元がゲームの映画ですが、ゲームが「映画的なストーリーを目指し、そこにインタラクティブ性が加わる」ことによって成功したのに対し、この映画は「ゲームで成功したストーリーに、インタラクティブ性のないゲーム感覚を持ち込んだ」ために失敗したという感じでしょうか。
僕個人としては、「とうとうゲームに劣るストーリー映画が生まれてしまった」と思いました。
唯一の救いは、奥菜恵はやはり可愛い、ということぐらいでしょうか。なんのフォローにもなりませんね(苦笑)。
警視庁副総監誘拐事件から5年。人事交流などで一旦転勤していた青島も、再び湾岸署の刑事として配属されていた。時は移ろい、「空き地署」などと言われていたのも今は昔。お台場は開発が続く一大観光スポットと化していた。そんな折り、湾岸所管内で縄に縛られて殺された会社役員の死体が発見され、湾岸署に捜査本部が設置される。同じ頃、館内では連続婦女暴行事件と連続スリ事件が発生しており、青島達はその捜査を抱えたまま、殺人事件の捜査にかり出されることになるのだが、本庁からやって来た捜査本部長は、そんな些細な事件など意に介しない女性管理官だったのだ……。
大ヒットした前作から5年を経て、遂に登場した劇場版第2作。
いや、本当にこれは面白かったです。テレビシリーズから変わっていない登場人物達のやりとりと、微妙に変わっている登場人物達の心情。そして、5年分蓄積された想いを、各キャラクター達が吐露する場面など、思いっきり笑い、そして泣かせてもらいました。
監督の本広さんは、どちらかというと演出が笑いに偏ってしまう傾向があって、この作品でもそれが感じられました。正直「このシーンをカットしておいた方が作品のテンポは良くなるのになぁ」と感じたシーンも多々あったんですけど、考えてみればそれも「踊る大捜査線」という作品のカラーですしね。
ともかく、5年というブランクを上手く生かして、キャラの想いと成長、そして人間関係を存分に堪能させてくれた作品でした。
それに、室井さんが今作では光ってますね。前作では「現場を大切にする」という行為がそのまま「上層部にたてつく」という構図になってしまって、処分を受けざるを得なくなってしまった室井さん。今作では、如何にして「現場を活かすか」、その答えを見せてくれます。その室井さんの姿には感激することしきり。
犯人像などに甘さは感じられますが、全体としてこれほどまでに良くできた続編は望めないだろう、と思える程よく作り込んでありました。
懐かしい湾岸署の面々に再会できた喜びと、前作以上にいい作品を作ろうとしてそれを成し遂げたスタッフに感謝を捧げたいと思います。
倉庫の奥から出てきた、ぼろぼろに破れたクマのぬいぐるみ。
それは、のび太が小さい頃、可愛がってくれたおばあちゃんがくれた物だった。
そのぬいぐるみを抱きしめ、おばあちゃんを思い出すのび太。
もう一度、おばあちゃんに会いたい。
その想いを抑えきれなくなったのび太は、タイムマシンでおばあちゃんが生きていた時代へ行こうと思い立つのだった。
ドラえもん屈指の名エピソードのひとつを映画化した作品。
何の疑いもなく、どんなにわがままを言っても、無条件に愛情を注いでくれるおばあちゃんと孫との関係を、暖かく、優しく描いています。
とにかく、泣けました。幼児時代ののび太の、子供ゆえの残酷さ。それを笑って受け止めるおばあちゃん。これは泣かずにはおれませんって、ホント。
ちなみに、原作では熊のぬいぐるみはおばあちゃんに繕ってもらうんですが、映画版ではアレンジされてますね。このひねりはうまくて、ちょっとニヤリとさせられました。
京の都に天才として名を馳せる陰陽師、阿倍清明。彼は、呪と式神を自在に操り、人間の常識を越えた力をもって鬼神すら退かせるほどの呪術を身につけていた。ある日、帝に男の子が授かった時から、京の都に権力闘争という不穏な空気が流れ始める。陰陽師の呪いが京を覆い始めたのである。それを感じ取った清明は、源博雅とともに事件に立ち向かうのだが。
人気小説「陰陽師」の映画化作品。これは、とにかく野村萬斎の映画ですね。彼の立ち居振る舞い、存在感、全てが画面の中で美しく輝いていました。素晴らしい阿倍清明でした。
また、敵役の真田広之も圧倒的な存在感を見せ、このふたりのやり取りは映画に強い腰を持たせてましたね。こちらも素晴らしかったです。
これに比べると、伊藤英明は……ダメです。全然ダメ。ふたりの達者な役者に囲まれて、為す術なしの大根役者、って感じに映ってしまいます。単体でみるとそんなに悪い役者でもないんですけど、今回はいかんせん周りが凄すぎたって感じですね。
映画そのものについては、邦画にありがちな「いかにもお金を使ってません」的な作品ですね。所々、京の都のCGとか、力を入れている部分もあるんですけど、残念ながらクオリティはそんなに高くありません。野村萬斎と真田広之の高クオリティの演技がなければ、ただの茶番の映画になってしまっていたところですね。
人とあやかしが共存していた、平安の時代。都では夜の闇に乗じて人々を襲う鬼が跋扈していた。襲われた人々は、それぞれ身体の別々の部分を食いちぎられて絶命していた。
調査を帝より託された晴明は、やがてどんな病でもたちどころに治癒させる力を持った術師、幻角と出会うのだった。
一方、博雅は右大臣・藤原安麻呂の娘、日美子に心奪われていた。だが彼女には、夜な夜な意識のないまま歩き回る夢遊病の症状が現れていたのだ。
鬼の出現時期と、日美子の夢遊病の発症時期は、丁度同じ頃からだという。
果たして、鬼の事件と日美子とは何か関係があるのか。そして、鬼の正体とは?
折しも都の宝と呼ばれるアメノムラクモノ剣が怪しき共鳴を起こす中、生命の命をかけた戦いが始まろうとしていた。
えー、前作での野村萬斎演じる阿倍晴明があまりに素晴らしすぎたので、今作も鑑賞したのですが……。
今作は、ハッキリ言って失敗ですね。
物語を夢枕獏さんの原作から起こしたのかどうかは、原作を知らない私には分かりませんけど、あまりに出来が酷いです。神話である天の岩戸の物語をベースにしてあるんですけど、微妙に伝えられている神話と違ってるような気がします。ヤマタノオロチが、何故その天の岩戸の物語に出てくる神々によって封印されているのか? そんな設定、神話にはなかったハズですけど……。
それに、クライマックスシーンのビジュアルも、陳腐で貧相なことこの上ありませんし、ねぇ。
見終わった後に脱力感が沸いてしまう、そんな出来でした。野村萬斎は相変わらず頑張っていただけに、とても残念です。