天空のエスカフローネ 〜infinite〜

【Act.22第一稿】
 ひとみとバァンは神崎家に続く道を足早に歩いていた。
 ひとみにとっては歩き慣れた道なのに気持ちが落ち着かない、胸の鼓動が早くなるばかりだ。
「!」
突然、ひとみの肩をバァンが抱き寄せた。ひとみの心臓が大きくひとつ跳ね上がる。ひとみは息を止めたまま、歩調を変えずに歩くバァンの顔を見上げた。バァンは目深に被った帽子の影から鋭い眼光を周囲に放っている。
―そうよ・・ね・・
 少しばかり浪漫ちっくな展開を期待していたひとみだったが、今はそういう場合ではないらしい。
 ひとみも感じている誰かの視線をバァンも感じている。その視線から敵意は感じられないが、監視されるというのは十分不愉快な物である。とにかく今は、怪しまれない様ゆかりと天野のふりをして歩くしかない。

 「ただいまー」
ひとみはそう言いながら靴を脱ぎ、帽子とかつらを取るとさっさと家に上がった。バァンは玄関で物珍しそうに辺りを見回している。
「バァン?」
ひとみの呼ぶ声に、バァンは玄関より一段高い廊下に一歩踏み出したが、少し考えると急いで靴を脱ぎひとみの消えた部屋に向かった。
 そこには、ソファーに座って食い入るようにテレビを見ているメルルが居た。くじいた足には包帯が巻かれ、氷の入った袋が乗せてある。
 「バァン様!」
メルルはバァンの顔を見ると嬉しそうに言った。
「メルル、足は大丈夫か?」
「はい、平気です。痛みもほとんどないし、腫れもだいぶ引きました」
「そうか。良かったな」
バァンのほっとした顔を見て、メルルが嬉しそうに言った。
「バァン様にそれほどまで心配して頂いて、メルル嬉しゅうございます」
【↑Act.22第一稿ここまで】

 この後、みんなで夕飯を囲み、バァンはメルルを寝かせつけ、ひとみは台所で後片付けをやりつつ母と語らう・・という所まで書いたんですが、ぜ〜んぶカットです。

 次回は登場人物の皆さんに座談会をしてもらう予定です。
 こんな所まで付き合ってくださった貴方、ありがとうございました。

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