地方自治における団体自治と住民自治の問題



 地方自治の概念を分析すると、通常それは、「住民自治」と「団体自治」の二つの要 素よりなる。
 住民自治とは、地方行政を中央政府の干渉を排してその地方の住民の意思で自主的に 処理させることである。これに対し、団体自治とは、国から独立した法人格を持つ地域 団体を設け、この地域団体をして地方行政にあたらせることである。
 地方自治を実現させるためには、国から独立した団体を設け、地域が一体となって地 方行政に取り組むことが必要であるから、団体自治は、地方が中央の支配から脱して自 主的に行政を営むための不可欠の手段である。だが、団体自治が認められれば、当然に 地方自治が完成されるとはいえない。国から独立した地域団体が存在しても、地域団体 の政治や行政への住民参加が不十分であれば、住民のための地方行政の実現は覚束ない からである。地方自治にとって住民参加と団体自治は車の車輪であり、この二つの要素 が兼ね備わった時、はじめて、「地方自治の本旨」(憲法92条)が実現されるのであ り、逆にいえば、どちらか一方の要素でも欠落すれば地方自治が実現しないのである。