Zゲージのレンガ橋レイアウト製作記(1)

以前より気になっていたFALLER(ファーラー)のレンガ橋 282924。
これを組み込んだ小さなパイクを作りたいなあと長らく考えていました。
ボチボチですが、やっと作業がスタート。

プランニング〜制作記を順次紹介して行きます。






◾️プランニング

レンガ橋を組み込んで・・・というより、このレンガ橋を中心にジオラマを作ると言う感じです。

手軽なPowerPointを用いてラフにスケッチをしたものが以下のイラストです。





●レールプラン
レイアウトサイズやポイントレールの数など様々なものを考えましたが、最終的にシンプルなオーバルに引込線を設けたものにしました。
完成後に埃除けカバーを設けるので、車両の出し入れに引込線は必須です。

●レンガ橋
橋が主役なので、2個使うことにしました。
レンガ橋1個の長さは220mmで、高さは81.5mmです。
これを2個つなげると440mmの直線区間ができます。
これに、さらにCRAFTの「レンガアーチキット」を加えて、橋の総長は550mm。
オーバルの総長約1800mmの31%をレンガ橋にしました。

●カーブレールのR
今回は、緩やかなR220も検討しました。
ところが、レールを仮組してみると、レールバスや短い貨車などがカーブを曲がる風景はR145の方がきれいだったんです。
また、レイアウトの緻密感がR145のほうがよかったのでR145にしました。

●勾配
安定した低速走行で楽しむことを必須としているため、レンガ橋のレイアウトであっても勾配無しのフラットトップです。

●トンネル
当初、トンネルを設けるつもりでした。
しかし、先に書いたとおり長尺以外の車両の場合、カーブの通過が見せ場になります。
見せ場を隠すのがもったいないと考えて、トンネルは無しにしました。

●ストラクチャ
駅舎を設けることにします。小さなレイアウトでは駅舎は条件の制約にしかならないのですが、停車中の列車の風景は見栄えがします。
メルクリンの駅舎 8790は廃版になりましたがサイズ感もデザインもベストなので採用しました

以上から、レイアウトのサイズは770mm×360mmと、まずまずの小ささになりました。
構造は、厚さ80mm分の発泡スチロールの両面をラワン合板(下面:5.5mm厚、上面:2.5mm厚)でサンドイッチします。
下のラワン合板の端部に、縁板を接着し、レイアウトの底面に配線スペースを設けます。
レンガ橋の部分は、発泡スチロールの地面を大きくくりぬいて湖にします。

このようにシンプルなレイアウトですが、以上のようなことを考えながら10枚以上のイラストを繰り返し描きながら数ヶ月も考えたんです(汗)。
あきれるほどシンプルなレールレイアウトなので、情景でカバーする必要があります。



◾️レイアウトベースの製作(切断)



発泡スチロール板とラワン合板を770mm×360mmにカットします。

上から、
 2.5mm厚 ラワン合板
 20mm厚 発泡スチロール
 30mm厚 発泡スチロール
 30mm厚 発泡スチロール
 5.5mm厚 ラワン合板
の順に重ねた状態で、総厚さ88mmで接着前です。
なお、発泡スチロールの厚さはバラつきが大きいです。


◾️レイアウトベースの製作(接着)



ラワン合板をカットしてから、木工用ボンドで接着します。
カットはカッターナイフを用いますが、OLFAの替刃の場合はシルバーではなく黒刃を用いたほうが作業しやすいです(但し、黒刃のほうが耐久性に劣ります)。

木工用接着剤(木工ボンド)は水溶性で多くの水を含んでいます。
ラワン合板の接着剤を塗った面は吸湿して伸びますから反ってしまいます。
ですので、表面も濡らして反りを押さえつつ、ゴムバンドなどで縛って乾燥させます。


◾️レールの敷設

まずは、レンガ橋を組み立てます。
カーブの部分に使用したCRAFTの「レンガ・アーチキット」はペーパーモデルです。



正確にレーザーカットされており精度よくカッチリと組み上がります。
強度も十分ですが、レールクリーニング時にゴシゴシやると力がかかるので、組み立て後に内側に木材を貼り付けて補強を行いました。


塗装はタミヤの水性アクリル塗料で、レンガは「レッドブラウン(XF-64)」、手すり部分は「ニュートラルグレー(XF-53)」です。
レンガ橋を塗装してから接着固定し、その後にレールを敷設します。
レールの敷設の際には忘れずにギャップを挿入します。
ギャップを忘れると、あとで大変な事になります。



レールの固定は、私はメルクリンの純正の釘を用いています。
釘は打ち込まずに、先細のラジオペンチで挟んで差し込む感じで用います。
釘を強く押し込むとレールの枕木に歪みが生じて走行に支障が出るので注意します。
メルクリンの釘に付属する説明書には、釘の頭と枕木の間に0.1mmのすき間を空けるようにと、まるで冗談のような注意が書かれています。
要するに、釘を強く押し込まないようにということですね。

接着剤は、レール位置の修正ができないので取扱が難しく、使用しないほうがいいと思います。

前回はカーブにカント(線路の垂直方向の傾斜)を設けましたが、カーブの牽引車両数の減少や、走行面で多少の影響がありますので今回はカントなしです。
以上のように、今回は、とことん安定走行にこだわりたいと思います。

レールは慎重に配置・固定し、この状態で様々な車両で低速での試走を繰り返します。
2軸のレールバス、4軸のSL(厳密には接地車輪は2軸です)など走行が不安定な車両をメインにチェックします。
この段階で、フィーダーやポイントコイルの配線を済ませるといいと思います。

ここまでで新たに気づいた事は、低速走行の障害になると思っていたポイントは、さして障害にはならないと言う事でした。
2軸しかないレールバスが、低速でトングレール、フログレールとも難なくスムーズに通過するところは、さすがはメルクリンのポイントレールです。
それよりも、レールのねじれや凹凸、表面の傷と汚れ(酸化被膜)が低速走行の障害になりました。


プランニングを始めて、ここまで1年半もかかっていますorz



◾️バラスト蒔き

バラストはKATOの細目を用います。
板材に敷いた枕木レールの場合は、木工ボンドを水で3〜4倍に薄めたボンド水溶液で固着します。
ボンド水溶液は、水で薄めすぎるとバラストが固まらず、濃すぎると、バラストに浸透しにくくなるので注意します。
目安は、ミルクよりもほんの僅かにとろみがあるくらいです。
枕木レールに細かいバラストを蒔く場合はやや薄めでも大丈夫ですが、プラ道床の横に蒔いたバラストや荒目のバラストは固着しづらいので濃いめが良いです。

ほとんど砂のようなバラストで粉も混ざっており、ボンド水溶液を弾いてしまって作業性は最悪です。
ですので、これまでのレイアウトと同様に、このサイトの「私のTips」でも紹介している前処理(バラストを少量の洗剤を添加した水で洗い後、生乾きにする)を行います。




生乾き、あるいは、完全に乾ききる手前のバラストを蒔いて柔らかい筆で成形します。
ボンド水溶液にも数滴の中性洗剤を加え、スポイトを使ってバラストにしみ込ませていきます。
線路の周囲は土の地面にするので、曲線部分のバラスト蒔きは結構雑に行っています。
写真のように、かなりびっしょりとした感じまでボンド水溶液をしみ込ませます。





駅のホームなどを配置する直線部分は、定規や木材を用いてバラストを直線状に成形してから、ボンド水溶液をしみ込ませていきます。
ボンド水溶液は時間とともにしみ込んでいくので、慌てず、ゆっくりやるのがコツです。

バラストが乾いたら、線路の内側などに固着したバラストを竹製の割りばしで線路を擦りながら取り除きます。
あらかた取り除いてからピンセントを使って取り除き、試験走行を行いながら確認をします。

この時点で、バラストをレールごと塗装します。
塗装は以下の水性アクリル塗料を用います。
 (1)「フラットアース(XF-52)」・・・これを基本にします。
 (2)「レッドブラウン(XF-64)」・・・レールの内側や周辺にほんの少量を混ぜます。
 (3)「ミディアムグレー(XF-20)」・・・線路から遠い部分に足します。
以上を、うすめ液(X-20A)か水で薄めたものを平筆で筆塗りします。

乾いたら、レール上面の塗装を竹製の割りばしで擦ってそぎ落とします。
割りばしで落とせない場合はサンドペーパー(耐水ペーパー)を用いますが、#1000以上の細目のものを用います。
バラストとレールの着色は地面を造ってしまってからでもかまいませんが、この塗装のそぎ落とし作業はストラクチャや樹木を配置する前の方がやりやすいです。

◾️ストラクチャの製作

地面の起伏を作る前に、配置する主なストラクチャを組んでイメージにズレがないか確認します。
地面の起伏が完成してからだとストラクチャが置けなかったり情景が破綻することもあります。
平面のうちにストラクチャを置いてみてイメージを確認したほうが失敗がないと言うわけです。

今回はメルクリンの旧製品の「駅舎」 8970 とFALLERの「小さな住宅」282761 の2つを配置します。



欧州メーカーのストラクチャは普通にプラスチックモデルと呼べるものです。
とても部品が多く、小さな家でも40点以上のパーツで構成されていて製作にはとても時間がかかります。
窓枠から雨どいまで別パーツになっており、当然、接着か所も多くなります。
少しでも楽に作業を行うために、接着剤は、タミヤの「タミヤセメント(流し込みタイプ)」がお勧めです。
パーツを組み合わせてから、接着剤のキャップに付いているハケを軽くあてると、接着剤がすき間に浸透していきます。
1分ほどで仮固定程度の強度がでますので、組み立てがスムーズに進みます。

後に照明を組み込む場合は、ストラクチャの内側を着色します。
まず黒色で遮光し、その後、仕込んだ照明の光が拡散するように白などの明るい色を塗り重ねます。
内側が黒のままだと、昭明に入れたランプが点光源になってしまい、ランプを明るくしても不自然に照明になってしまいます。
内側を明るい色に塗る事で、建物内部が均一に自然に照らされます。
なお、FALLERのこの製品には遮光用の紙が付属しており塗装の必要はありません。

照明を仕込む作業をやりやすくするために、この時点では屋根の接着は行いません。


この次は、地形造りになります。




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