Nゲージの小型レイアウト製作記(4)

レイアウトの拡張


あらかじめ増設できるようにUの字にしていた部分を少し拡張する計画を立てました。
私は、2〜3両のローカルムードが好きなのですが、子供はどうしても長い列車を走らせたがります。
そこで、「ユニット式レイアウト」による拡張というわけです。
拡張部分のジオラマをどうするかは、この時点では未定で着手しました。

●増設後のレイアウトプラン
増設サイズは600mm(608mm)幅で、450mm延長しC280レールで構成したUの字です。
図の中で、右側のうす緑色の部分が拡張部分です。
延長を450mmにしたのは、収納性を考えてのことです。
またもや、先を考えてターンアウトを1個、PR280-30を設けておきました。

このターンアウトの先をどうするかについても、あまり考えていません。
フロア・レイアウトにつながる事になるかも知れませんし、ヤードのモジュールというのも考えられます...。
する、しないは別にして、次のステップへの可能性を設けるというのは精神衛生上良い事です。
妻としては、こういう意味不明の途切れた線路は、その先どうなるのか... 精神衛生上良くないようです。
パワーパックは2台にして、一応、2列車を走らせれるように考えています。




●増設部分の製作

レイアウトボードは、同じく5.5mmの合板と24mm×14mmの角材で自作しました。角材は図のように裏面の周囲のみですが、十分な強度があります。木工ボンドで接着し、20mm強の釘を打っています。
600mm×450mmと言うサイズのベニヤ合板は売っていなかったので、600mm×900mmの合板をノコギリで半分にカットしました。薄板なので、通常のノコギリで簡単にカットできました。
600mm×900mmの合板が約400円、角材は長さ900mmで100円程度でしたので格安のレイアウトボードです。
この拡張ボードは増設・固定するのではなく、運転時のみ、必要に応じて追加するという予定です。

●線路固定と試験走行

レイアウトボードに線路を固定し仮接続しました。使用したレールは同じくTomixの道床付きで、ほとんど見られなくなった茶色のほうです。固定は前回と同じく10mmの釘のみで未接着です。
右の写真は全景ですが、ダイニングテーブル(幅1400mm)にちょうど載る大きさです。
左の写真の下側に見える段差は、元のレイアウトボードに添えた14mm幅の角材のせいです。
レールはカーブの部分で0.5mmほどのカントを付けましたが、ほとんどわかりません。カントは最低でも1mm程度は無いとそれらしく見えないようです。
今回、試験走行をしておどろいたことがあります。
車輌が、ベニヤ平原上にさしかかると突然、ゴーッと走行音が響くのです。元のレイアウトには特に防音の処理を施したわけではないのに、ジオラマのせいでとても走行音が静かになっていたのです。
風景もさることながら、この音のせいでベニヤ平原にさしかかると一瞬で興醒めする感じです。
さて、これからが大変です。野原にしようと思っているのですが、この先、全くアイデアが無いという情けない状態でした。

 




あれよこれよと散々まよって、結局、池を作ることにしました。またもや、妻による”悪魔のささやき”によって概要が決まってしまいました。
それでもって、穴開けです。はずかしながら、ここでも計画性の無さを暴露することになりました。先に線路を固定してから池を作ろうなんて思ったもので、良くない手順の見本ですね。
実は、この穴はカッターナイフで開けました。手持ちの糸ノコが板の端面から寸足らずで、回し引きノコは、ノコ刃の幅が太すぎて仕方なくカッターとなりました。
3mm厚程度なら簡単ですが、5.5mmのベニアとなるとちょっとばかし汗をかきました。


それから、発泡スチロールで丘の製作です。
何のことはない地形ですが、想像力の乏しい私にとって、全くの平面から地形やストラクチャーの配置を考えるのは骨の折れる作業(思考)です。こういうのが思いの外、難しいです。風景を想像だけで描く絵画、あるいは、見本無しで彫る彫刻の様なもの。決して、大げさな表現では無いと思います。
このホームページでは「製作」と書いていますが、ほんとうは「制作」でしょうね。
今回は、薄い目の発泡スチロールを入手できたのでそれを適当に重ねて木工用ボンドで接着しました。
写真の位置に「近郊住宅」(Tomix)を配置する予定です。
池の穴には、裏からベニア板を接着しています。この面が水面になる予定です。


地形を成形し、地面を塗ってパウダーまきを行ないました。
発泡スチロールの山は、カッターナイフで削って滑らかにした後で、木工ボンド水に浸したティッシュを重ねて地形を整えます。
乾いたら、水で柔らかくのばした紙粘土を全体に塗っていきます。木工ボンドを少し混ぜると強くなるそうで私もそうしました。
前回はプラスターを使用したのですが、諸先輩のアドバイスで紙粘土にトライしました。ただ、紙粘土は水で薄めすぎると乾いてからひび割れが起こるそうです。
池の水際や山と平地の境目などを紙粘土で埋めて滑らかにします。この造形作業は素手で行ないました。
着色は、模型用の水性アクリル塗料(つや消し、フラットアースにグレー、黄土色を混ぜたもの)と水彩えのぐを用いました。
乾いた後に、木工ボンド水を筆塗りしながらパウダーをまいていきます。ボンド水は写真のようなトレーに作って作業するとボンドの追加等やりやすいです。
所どころ指で押さえたりしながら、時々だんごになったりもしますが気にせずに進め(地面だし(^_^;))、2日程乾かしてから未着のパウダーを掃除機で吸います。このままではムラがあるのでもう1〜2度同じ作業を繰り返します。
さて、次はとうとうバラストまきです。



●バラストまきと草むした地面

通常は地面ができてからバラストまきをするのが一般的な手順ですが、地面のパウダーをまいてからバラストまきと固着を行って、その後に道路を作成、塗装して最後に「コースターフ」(雑草)をまくという順序でやりました。


バラストはこの写真のように結構ラフにまいてしまいます。
線路の横に、とりあえず、まくと言う感じでしょうか。


このように、こんもりと置いてから整えていってもOKです。
水彩などに使う平筆(幅10mm程度)を使ってなでるように整えていきます。

写真に見える白い部分は道路で工作用ボール紙を貼ったのもので、この時点では未塗装です。


ある程度整えば、周りに散らばったバラストは気にしないで木工ボンド水で固着します。
今回は、Tipsのところで紹介した前処理をしましたのでボンド水ははじかずに助かりました。ボンド水滴下前にバラストを湿らせるための霧吹きによる散水も行っていません。
写真では分かりにくいかもしれませんが、バラストはびっしょりと濡れています。

600mm×900mmでは何度かにわけて作業するところですが、今回は600mm×450mmのサイズでレールも少なかった(単線だった)ので、一回でまいて一回で固着してしまいました。


バラストが固着できたら水性アクリルの「フラットアース」に少し「ライトグレー」(ともにつや消し)を混ぜて水で薄めたものをレールと道床ごと塗り、最後に「コースターフ」(ウッドランドシーニックス社)をまきました。
「コースターフ」の固着は、あらかじめ3倍程度の木工ボンド水滴下後に「コースターフ」をまいてから、さらに、その上からスポイトでポタポタとボンド水を落として固着しました。

レール上面と内面の塗料は、Tipsで紹介した「竹製のわりばし」でこすって落としました。



●地面の完成と池の製作

全体の「コースターフ」の固着が完了したところで池の水面の塗装をしました。塗料はアクリル絵の具「アクリルガーシュ」(タナー)です。色は普通のグリーンとブラックに適当に混ぜたもので、一部、アクアグリーンも混ぜています。
清流等の流れがある水面では、川底の色であるグレー、ブラウンにブルーを混ぜたものを基調としますが、池の場合は藻や水面に映る緑を反映してグリーン基調になります。周りが木に囲まれた小さな池ではブラックのみでそれらしく見えると書いた本もあります。中央を濃く、周辺をやや薄めにするというやりかたを守り地面に近いところは土っぽい色も混ぜています。要するに写真のようにまだらに塗っています。
最後の水面の表現は、「グロスポリマーメディウム」(リキテックス)を使います。

道路は先に述べたように工作用ボール紙で、水性アクリル塗料の「ライトグレー」に少し黄土色を混ぜたもので着色しています。踏み切り部分にできる地面とのすき間は紙粘土で埋めました。
まだ、「近郊住宅」(Tomix)は置いてあるだけです。
ここまで来て、やっと車輌を走らせてみようかなという気になります。このページの最初の方のベニヤ平原と見比べてください。ずっと広がりが増したように感じられませんか?



●池の製作

着色した池に「グロスポリマーメディウム」(リキテックス)を筆塗りしました。乳白色の木工ボンド水溶液のように見えますが、乾くとツヤのある透明の樹脂のようになります。
塗るのはホンの表面だけで厚みは不要です。着色しただけの状態とは全然違って、それらしく(池らしく)見えます。私は水面に波立った雰囲気を出そうと失敗もしながら3回ほど塗り重ねました。
池の周辺には「フォーリッジクラスター」の潅木を植えました。



●グロスポリマーメディウム

「グロスポリマーメディウム」(リキテックス)は180ccのものを買いましたが使用したのは1/4程でした。3回ほど塗り重ねてこの消費量ですので、通常は50ccのものでいいと思います。
一般的なものらしいのですが私はなかなか見つけられずネットショップで購入しました。



●情景の制作

情景を作り込む作業を進めました。

・植樹40〜50本を実施。「広葉樹キット(小)」(ウッドランドシーニックス)や、つまようじ+「フォーリッジクラスター」をまぜこぜです。
・「鉄柵」と「ガードレール」(津川洋行、つや消し白に塗装)を設置
・踏切(津川洋行)を設置
・電柱(グリーンマックス)を設置
・近郊住宅(Tomix)を設置

情景が出来てくるにつれ、かなり、広がりが出てきました。
明らかでしょう?
作業順にすすむ様子を写真で見比べて下さい。



●拡張部分の情景をいくつか・・・。

踏切を通過するDD54(Tomix)です。このDD54は古い製品ですが、走りもよく実車のイメージをよくとらえていて、お気に入りです。
この写真は多少色温度を上げてコントラストを高めているので日中の雰囲気です。


同じく踏切を通過する9600(KATO)。
こちらは、DD54の写真よりもやや色温度を下げ、午後〜夕方の雰囲気にしました。
また、目線を下げて撮影していますが、それだけでかなり違った雰囲気になっています。
津川洋行製の踏切は、元の塗装のままで手を加えず使っています。


線路と池越しに見た「近郊住宅」です。やはり、薄めたつや消しグレーを塗っています。
この写真では、ほとんどわかりませんが、庭に子供を抱いた人がいます。



拡張部分から見た、「本線」側の直線部分です。拡張部分を増設することで4〜5両編成は普通に走らせる様になります。





*写真は全て室内の蛍光灯下で撮影したものです。


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