化石のレプリカづくり

テーマの特徴
 
化石を採集するためには化石についての情報を集め、野外に出かけて採集します。なかなか大変な労力が必要です。化石は貴重な物のため、保存研究のため化石を複製する技術があります。この化石を複製する技術をやってみることで、化石に親しみ、関心を持つことができます。私は簡単にできる化石のレプリカ作りやいろいろな方法で実践してみました。

GE東芝シリコンTSE350 できあがったシリコンの型 ダンボールで型を作っているところ

必要な物
1.もっとも簡単な方法
化石、油粘土、焼石膏 (丸石石膏 06-6967-5141)、シリコンオイル(離型剤)、絵  の具(黒色など)、ニス、紙コップ、割り箸、新聞紙

2.精密なレプリカ作り
油粘土のかわりに必要な物
  GE東芝シリコンTSE350(GE東芝シリコーン株式会社03-3479-5688)、
硬化剤 CE621、
  木片または、段ボール紙、釘または両面テープ、布ガムテープ、(木の枠を作るた   め)
石膏のかわりに必要な物
  ・エポキシ樹脂 500G エポック株式会社 
  透明性がとても高く、硬度が高く強度もある。収縮率も小さいので完成品の寸法が  安定している。硬化時間が他の樹脂に比べて長くかかる。(24時間前後)

  ・ハイ−キャスト(有機溶剤ウレタン注型材)平泉洋行株式会社 03-3865-3621 
2液混合タイプ(1:1)の樹脂で硬化時間が速く、5〜15分で硬化します。硬  化時には発熱します。ホワイト、ベージュ、ブラックの色があります。

・自由樹脂 JJ−35 株式会社 ダイセルクラフト 03-5833-6931
60℃で柔らかくなるプラスチック、臭いもなく、色も豊富です。
3.レプリカ文鎮作り
  紙粘土 または 工作用オーブン陶土 ヤコ株式会社 03-5396-2559
小さめの鉛のおもり、るつぼ、るつぼばさみ

ハイ−キャスト(有機溶剤ウレタン注型材) 石膏を流し込んでいるところ シリコンを流し込んでいるところ

やり方
1.もっとも簡単な方法
@ 油粘土をで直方体をつくり、その上に化石をのせて、軽く押さえ型をとる。
A 石膏に色を付けるときは色水を作ります。 水と石膏の割合は混水量どおりにはかり、混水量74%の場合石膏1sに対して水740tを加えて、よくかき混ぜます。焼石膏の場合目分量で混ぜても問題はありませんでした。
B 油粘土の型にシリコンオイルをぬり、石膏を1〜2分間十分水をしみこませ、気泡が入らないように一方向にかき混ぜ棒で混ぜます。混ぜ棒のあとが残るようにんなったら、静かに流し込みます。流し込んだ後、型を軽くたたくと気泡が抜けて、仕上がりが美しくなります。
作業ができる時間は8〜9分ですから、流し込み作業は準備をしっかりして、素早くする必要があります。
C 30分〜70分で硬化しますから、硬化を確認して、型から取り外します。
D 化石部分に絵の具やニスを塗るとさらによくなります。
E 化石のラベルをつくり、化石レプリカを標本箱の中に入れて、完成させます。

2.精密なレプリカ作り
油粘土のかわりにGE東芝シリコンTSE350を使って型をつくる。
@
 木片や段ボール紙を使って、化石が入る大きさの箱を作る。シリコンが漏れないように箱の内側に布ガムテープを貼っておく。
A 化石を箱の中に入れて、シリコンオイル(離型剤)を全体に塗ってから、シリコンと硬化剤CE621を混ぜ合わせ、十分にかくはんして箱の中に流し込む。流し込む時は、気泡が入らないように注意し、流し込んだ後、箱を軽くたたくことによって、気泡を取り除くことができる。
B 硬化したことを確かめて、箱と化石をはがして、シリコンによる型を作ります。

石膏のかわりにハイ−キャスト(有機溶剤ウレタン注型材)を利用する。
@ 紙コップなどにハイキャストA液とB液を同量とる。
A ハイ−キャストA液とB液 を気泡が入らないようにして十分かくはんする。ハイキャストは90〜120秒で硬化が始まるため、素早くシリコンの型に流し込む必要があります。
B ハイ−キャストは5〜10分で型から取り出すことができますが、熱いうちに取り出すとレプリカが変形することがあります。 レプリカが冷えてから取り出します。

石膏のかわりに自由樹脂を利用する。
@ 熱めのお湯(65℃以上)に自由樹脂を入れる。箸などで自由樹脂を取り出す。
A シリコンの型に柔らかくなった自由樹脂を入れて、軽く押さえる。
B 自由樹脂が冷えてから、化石のレプリカを取り出す。
C 軽くお湯につけるかドライヤーで熱風を吹き付けると、表面につやが出る。

3.レプリカ文鎮作り
@ 紙粘土を直方体の形にして、化石を紙粘土に軽く押さえて、型を作り十分乾燥させる。
A 鉛をるつぼに入れて、融かし紙粘土の型に少量流し込み、紙粘土の乾燥状態を確かめる。乾燥が不十分の場合は紙粘土の水分が水蒸気爆発を起こすことがあり、危険です。
B 鉛が十分冷えてから型から取り出す。

エポキシ樹脂 500G を注入しているところ レプリカ文鎮 シリコンの型 と 石膏のレプリカ

金剛晴彦(Kongou Haruhiko) (京都パスカル)